二次創作小説(新・総合)

chapter6 クレセリア ( No.64 )
日時: 2021/12/07 00:43
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

chapter6 三日月の明かり


いつも通り、僕達は依頼所にやってきた。
あのバトル大会から数日が経って、そろそろ仕事にかなり慣れたと思う。
そう思うと浮足立つ気持ちが止まらないのだ。

「ライト、今日は機嫌がいいね。」
「まあね~。」
「いつもは朝は不機嫌なのに。明日は雨ね。」
「依頼連れてかねぇぞ」

そういつも通りの会話をしていれば、


「大変大変、大変だー!!」


と大声を発して誰かが依頼所へと入ってきた。
そのポケモンは紫色の風船のようなポケモン…そう。フワンテだ。
フワンテは依頼書と思われる紙を手にしながらわたわたとパラケルの元へと大慌てでやってくる。

「あー、ポワン~。またいなくなったのかな~?かな?」
「今度は三か月も戻ってこないんだよ~!依頼受けてもらっても音沙汰ないし~!」
「最新記録だね~!ぱちぱち~。
じゃあ新しく依頼通しておくね~…っとアルバだ~。おはようおはよう~。」

「…おはよう。新しい依頼だったら受けるけど…ダンジョンとかわかる?」
「基本どこかにいることしかわからないからね~。アルバ、受けるなら受理するよ~?」
「まって!どこにいるかわからないってどうやって探せっていうのよ!」
「いつもはだんちょーが推測立ててくれるんだけどね~?いないからしらみつぶし~。」
「難易度高すぎじゃないですか…?」
「だからポワンが払えない分のほーしゅうはこっちで出すから安心してね~!」

と彼はにこやかにいうと

『依頼ナンバー7896、登録と共に受理完了。7896の番号を再度使ってよし』

「はーいじゃあ頑張ってね~!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛勝手に決められたアァァァァァァ!!!」

頭を抱えて叫ぶ。

「まあいいや…ポワン…だっけ。誰がいなくなったの?」
「あ、いなくなったのは僕の双子の妹、プワンなんだ!
いっつもいっつもいなくなっちゃう大変な妹!いなくなっちゃったのは三か月前!」
「場所の心当たりってありますか…?」
「…。」

彼は沈黙した。

「わあああああ!!そう言えば何か落としたって街行ったきり見てない――――!!!
大変大変、大変だ――――!」
「…特徴はどんな子かしら?」
「僕と反対側の手に桜色のリボンをしてるんだ!」

「特徴はわかったけど場所の絞り込みが難しいな…。フワンテってよく飛ばされるし。」
「風にあおられてね。」
「軽いからね。」
「だから大変なんだよ――!」
「わかったわかったから。」

というかいなくなって三か月だろう?ダンジョンに間違えて入ったとしか考えられない。
…かくなる上は。

「ノヴァ、地図」
「えっ、はい!」

地図を開く。…この街の周りなら雲は晴れている…が、念のため…。

「ノヴァ、イヴ。なるべくランクが高い騎士から地図を借りてきて。
枚数は多ければいい。」
「えっ?!
…うん。わかった。」
「任せて―!」

と、二匹は駆け出して行った。

「なにするの?」
「わかった~!だんちょーみたいに推測するんでしょ~!」
「当たり前じゃん。無駄足踏もうが、そうでもしないと見つかんない。
…あのレベルで頭良かったらなぁ。」
「パラケルと同等で頭いーよって前だんちょー言ってたよ!だから大丈夫~!」
「…だといーけど。」

そんな話をしていれば、地図を抱えるノヴァとイヴと、その地図の持ち主である騎士たちも集まってきた。




「受理したことあるぜ。プワンの捜索。
確かあんときは、街から少し離れた森の木に引っかかってたな。見つかったのは坊主曰くいなくなってから10日経ったぐれぇか。」
「あたしも受理したことあるわ。20日ぐらいいなくなっちゃった時。
その頃は街からかなり離れた水の洞窟の水面に浮かんでたわ。」
「1か月いなくなったときはその水の洞窟からちょいと離れた山にいたぞ。あんときは風に吹かれてどっかいきそうになってたな。」

「それ全部フェイが推測したの?」

「そうだ。あれでもかなりの推理力と知数を誇るからな。フーディンやメタグロスにも引けを取らないんじゃねぇか?」
「ひえ…。」

そういいながら、トレースシートを引きつつ、メモしていく。
基本飛ばされて長くなるのは…いやまて。

「受理したことある人、年月日を書いて僕に渡してほしい。
いなくなってどれぐらいたったという報告を受けて見つけたか。もお願い。」

そう言えば、受理したことがあるらしき騎士団たちはそれぞれ手元のメモを手に取り書き始め、書き終わればすべて僕の元に訪れた。
そしてすべて地図にメモしていく。

何年。何月。何日。どれだけの時間で見つけたか。その場所は。
書いて書いて計算をする。



「ノヴァ。昨日の月はどんなだった?」
「み、三日月になりかけ…。」
「ならここだ!!」

赤丸を付けたその場所は、森と湖。

「決め手は?」
「月の欠けによって時間と場所が違う。そして渡されたメモ全て違うダンジョンに出没した。
三日月になりかけたその時。いま絶対行っていない場所!!
“鏡面の湖”に恐らくいる!!」

そう豪語すれば周りは「おーっ…」ととの声と拍手が聞こえた。

「違うかもしれない。ならまた計算しなおすまで!
行くよ!!二人とも!!」
「任せて!」
「今回はあなたを信じるわ!」
「プワンを、よろしくお願いします!」



そして僕らは“鏡面の湖”と呼ばれるダンジョンへと進むのであった。

あ、ちゃんと地図は返したので安心してほしい。僕は泥棒しません。

chapter6 クレセリア ( No.65 )
日時: 2021/11/24 09:05
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)


というわけで僕たちは森の入口へとやってきた。
最深部には鏡のように映る湖があるから“鏡面の湖”と呼ばれるようになったらしい。
本当にここにいるかはわからない。これはただの推測で、憶測で、ただの予想なのだから。

「…とりあえず、いこうか。」
「うん。」
「最深部まで行っていなかったら今度は…」
「また推理するよ。…フェイがいたら諸々楽だったんだけど。」

だがしかし、一週間は経った今でもフェイは帰ってきていない。
一体どこに行ったのだろうか。
…だけど、今はそこを気にする場合ではない。

僕達は森の中へと入っていくのであった。







「ねえ、ライト…。」
「どうしたの。」
「なんか、最近敵のポケモン増えてきてない…?」
「うーん…確かに。」
「というか、強くなってる気がするわ。
…どうにかしたいわね。」

敵を蹴散らしながら僕たちはそう会話した。
一撃一撃が重く感じてきているのは気のせいではないし、増えているのも事実。
中央部にすら到達していない今現在でここまでの強さ…正直最深部にたどり着けるかどうかも不安だ。
というか、ここまで強いポケモンがいる場所に入り込めるプワンはすごいと思う。

そんな時だった。


「アラシモノダ!」
「デテイケ!」
「デテイケ!」
「チカラヲアワセロ!!」

がさり、がさり、と大量のポケモンが出てきた。
そう。これはいわゆる

「くっそ!モンスターハウスの区域に入っちまった!!」
「どうするのライト!?さすがにこの数は相手にできないよ!!」
「そんなんわかってるよ!!」
「ごめんなさーい!お先失礼しまーす!!」
「あっ、イヴお前!!僕倒れたらあんたも強制帰還だぞ!!」

ああ、阿鼻叫喚だ。
これは依頼失敗だ…。ポワンになんて顔をしよう…。
だが、諦めるわけにはいかない。

「ノヴァ、僕を踏み台にしてフロアにはいれ!
そのままはどうだんを撃て!誰でもいい!!
イヴ、あなをほるでそこのアリアドスをやれ!!抜群がとれる!
僕は手前のやつをやる!僕の指令が終わったら各自戦えるやつと戦え!!ふっかつのたねとオレンの実は惜しまなくていい!!」
「「了解!」」


二人の声を聴き、そして行動を見て僕も攻撃態勢に入った。
諦めて帰るよりは、立ち向かって倒れたほうがまだましだ!!
そう思った。そう決心した。


けれど、数には勝てず。
苦戦どころか、四面楚歌に追いつめられる。

「ぜぇ…はぁ…。もう、種もオレンの実もない…感じ…?」
「ない…。さっき使っちゃったので…最後…。」
「うぅ…一回も依頼失敗したことないのに…。」

僕含め、もう疲れ切っている。
敵側はまだ何匹もいる。
…ここまでか。


目を閉じて、覚悟した。

瞬間だった。




ドォォォォォォォン!!!


何かが、着弾した。


「へへっよくやったなお前さんら。」


目を開けるとそこには、





「フェイ?!なんでここに?!」

我らが騎士団の団長。フェイがにやりとした顔をしながら僕らの前にいた。

「最後の用事にここに来たまでさ。んじゃ、片づけるかぁ。」

高々と手をあげたフェイの手には光が集まり、それを敵に放った。
これは…“ムーンフォース”か…。

放たれ、命中された敵は一撃にして倒れ、フロア内の敵は全員倒れた。

「さ、最深部まで行こうぜ。
僕もそこに用事があるからさ。」

ウインクをするフェイはいつも通りの態度で僕たちに接した。
それでも僕達には、ひどく頼もしくて、頼りがいがあった。


フェイのアシストのお陰で、僕らは軽々と最深部へと進むのであった。