二次創作小説(新・総合)

chapter6 クレセリア ( No.70 )
日時: 2021/11/24 23:54
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

木の葉から差し込む光はオレンジ色から暗黒へと変わる。
夜が来た。しかし、そこから差し込む月の光は光源となって、見えやすかった。
フェイのお陰で僕たちはようやくまともに進むことができた。
悪戦苦闘していた先ほどまでの僕らはどこへいったのだろうかと考えるほどだった。
やはり、団長の名は伊達ではない。

僕ははっきりとそう思った。


彼のアシストの元進んでいけば、開けた場所へたどり着いた。
そこには上に浮かぶ三日月が、水面にしっかりと移りこんでいた。
その湖は鏡と呼ぶにふさわしい、正に“鏡面の湖”と呼ばれるものであった。

その景色に感動していれば、

「んで、お前さんたちは何しにここに来たんだ?
あんまり街からはぐれりゃつええやつにやられるのは当然のことだろう。」
「…プワンの件でね。」
「あぁ。そうか。 唯一来てない場所だもんな。ここ。」
「フェイもやっぱり、月の満ち欠けといなくなった期間で計算して見つけてたんだ。」
「まあな。」

へへっと笑うその口元。しかし目は笑っていない。
目は何かを探すためにきょろきょろと忙しなく動いていた。
僕も目的のポケモンを探すため辺りを見渡す。

すると、一筋の明かりが、茂みから出てくる。

「…あれか。」

フェイはそうポツリといえば、そこへ歩み寄った。

「…団長さん?」

僕達は不思議に思い、後をつけた。
茂みから覗く光を見れば、三日月のようなポケモンと、フワンテがいた。
フワンテは苦しむような表情を浮かべながら、温かな光に包まれて眠っていた。

「おぉっと。仕事中だったか。」
「…。」

三日月のようなポケモンは喋らない。
懸命に、ただ目の前のポケモンを見据えて、光を強くした。
そしてだんだんと光が弱まれば、フワンテの苦痛の顔は穏やかになっていった。

「…彼女は無事です。」

そう言えば、こちらを振り向いた。

「私はクレセリア。固有名はセリアと申します。
…あなたは、よくぞ私を探し出せましたね。」
「あんたのために一週間練り歩いたんだ。色々と教えてもらいたいことがあるんでね。」
「なんなりと。」
「しかし…あー、そうだな。
だが、今宵はもう更けている。直に夜行性の奴らも起きるだろう。」
「言いたいことはわかっております。あなた方の騎士団基地へ、ご案内願います。」

セリアと名乗ったものとフェイはそんな会話をしていた。
僕らはフワンテの様子を見る。ポワンの反対の手、そこを見れば桜リボンをしているのが月の明かりのお陰でよくわかった。

「この子がプワン…か。」
「このあたりで襲われ、疲れていたところを悪夢に侵されていたのを偶然発見したのです。
遅ければ、ここの野生のポケモン達と同じようなことになっていたでしょう。」
「そっか…。ありがとうセリア。」

僕は彼女を抱える。
穏やかに眠るその寝顔からぼんやりと「おにぃちゃん」と小さく寝言を言っているのが聞こえた。
今頃大慌てで彼女のことを必死に想っているのだろう。早く無事な姿を見せてあげなくては。
そう思い、フェイと同じタイミングで足を動かした。

「お、お前さんと息ぴったりだな。
へへっ。あんたなら…」
「僕なら…何?」
「いんや?なんでもねぇよ。
セリア。案内するぜ。ちぃと色々話が聞きてぇ。


今この瞬間でも。」
「わかりました。」

そう言って彼女は浮遊しながら、僕らに着いていきながら口を開けた。

chapter6 クレセリア ( No.71 )
日時: 2021/11/25 10:58
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

悪夢の大量発生の原因。
それはおそらく、ダークライの仕業でしょう。


「…ダークライ?ってなんですか?」


悪夢を起こすことができる。極悪なポケモンです。
狙いはおそらく、混沌とした本能のままに生きる世界を作り、それをチェス盤のように眺める。
私はそう狙っています。


「ふーん?
ただ一匹だけじゃああの量のポケモン達をどうこうするのを短期間でこなすのは至難の業だと思うぜ?」


ええ。そうでしょう。
協力者がいる。私はそう思い、この世界を悪夢に苦しむポケモンを助けながら探し続けました。
けれど、影一つも見つけられないのです。

…ダークライ自体は見つけられたというのに。


「見つかって…その様子だと逃げられたのね。」


ええ。逃げ足だけは速いのですよね。
しかも私は悪夢から救いながら彼や、彼の協力者を探す。それこそ至難の業だと思っています。
なのであなた方のような、協力者ができるのであれば。私は喜んで知恵も力も貸します。




「これが、私自身が喋れる範囲です。質問があれば…お引き受けいたします。」
「…僕はないかな。」

ひっかかる何かの違和感を抱えながらそういった。

「団長さん…セリアさんを探すためだけに一週間開けていたんですか?」
「ああ。この手の専門家はほかにもいるが…一番よく知っていて素直に話してくれるのはこいつだ。
あとは噂程度しか知らねぇ。おかげで疲れたぜ。」
「…すれ違ったのも原因かもしれないですね。申し訳ございません。」
「いーよ。お前さんもつかれたろ。基地に案内出来たらゆっくり休め。事情はボクが話す。」
「心遣い、感謝いたします。」



「ライト、どうして浮かない顔してるの?」
「えっ。僕そんな顔してた?」
「うん。いつもの、考えているときの顔をしていたよ。」

ノヴァからそう言われ、ぺちぺちと頬を軽く触る。

「疲れてるだけかも。ほら、イヴも同じ顔してるし。」
「なによぉ。クマ作って何が悪いわけぇ?
疲れて私も布団にダイブしたいわ。」
「今日は泊まりなよ。今日は激務だったし。」
「そうさせてもらうわ。」

と、言うとふわあぁ…とあくびをした。
夜がだんだん更けていく。
僕達は疲れ切った体に鞭を叩きながら、騎士団基地へと帰ってきた。




「プワン!!」
「しーっ…疲れてるみたいだから…」
「でもでも!ありがとう!プワンを見つけてくれて!」
「お前さんらガキ共今帰すわけにゃいかねぇ。ここに泊まって明日家に帰れ。」
「あっありがとう!!」

フェイは部屋に案内し、しばらくして帰ってくる。
そろそろ寝時だ。という騎士の人々を「お前さんら話がある」とだけ言って呼び止めた。

「ねみぃところわりぃな。明日の朝、ここに集まれ。
依頼は受けるな。なげぇ朝礼があるってことだけを頭に入れとけ。
長く空けて悪かったな。そして呼び止めてすまねぇ。んじゃ各自かい…いや、アルバだけ残れ。あとは解散。」
「えっなに?説教?」
「ちげぇよ。」

僕らは眠たい目をこすりながらフェイの元へときた。

「お前さんらよくやった。
だがあの行動は無謀に近い。行き過ぎた勇気は蛮勇だ。気持ちはわかるが逃げることも考えろ。」
「…わかった。」
「だがその蛮勇。褒めよう。」

と、フェイは指をパチンと鳴らす。
するとバッチの色はだんだんと輝かしい銀色になった。

「プワンの捜索の憶測の精度。背中を向ける気のない勇気。
それに値して、シルバーランクに格上げだ。おめでとさん。」
「えっ…えぇ?!」
「特にライト。お前さんがやったんだろ?あの推測。」
「そうだけど…。」

そういえば彼はにやりと笑い、

「やっぱ見込んだ通りだ。引き続き頑張れよ。
じゃ、おつかれさん。」

といえば、彼が着ていた上着を脱ぎながら背中を伸ばし、部屋へと帰る。


僕らも突然のランクアップにびっくりとながら、部屋へと帰り、泥のように眠ったのであった。




chapter6 終了


あとがき
じつはそろそろ中盤に差し掛かってます^^
なので、そろそろ募集枠を閉めようかなと考えております。
「いやまだ出してほしい子おるんですけどぉ?!」という方はお早めに。
それでは見てくださってありがとうございました!