二次創作小説(新・総合)
- chapter7 あんこくポケモン ( No.80 )
- 日時: 2021/11/26 17:57
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
chapter7 新月の夜に誓え
僕達は起きた後、昨日のフェイの言う通り、依頼所へと集まった。
騎士団基地の外では依頼書を持ったポケモンでいっぱいだが、フェイ曰く「長い朝礼」とやらが終われば、依頼を受理すると言っていた。
依頼所は騎士団基地の中で一番広い。基地の広場と言われてもいる。
「…あ、おはよう。アルバ達。」
「フォーンチュン達じゃん。おはよー」
「おはよう。 そろそろ団長来ると思うけど…」
「あ、来ましたよ。」
フォーンチュンのチームたちと話をして時間をつぶそうとすれば、フェイとファリスがやってきた。
「おはようお前さんら。
今から重要任務を受けてもらう。自信がなきゃ普通に依頼を受けても構わねぇ。
そしてその重要任務の内容の概要を、こいつから話してもらう。」
そう言って呼んだポケモンはセリア。
セリアは昨日と同じことを話した。
ダークライの陰謀。
そのためにやってきた数々の所業…と言っても、悪夢を見せることしかしてないけど。
ダークライには協力者がいる。
自分ひとりでは悪夢を解きながら彼らを探すのは到底不可能だと。
それを話せば周りはひそひそと仲間と共に相談しはじめた。
自分たちにできるか。とか
絶対に捕まえてやる。とか
あの依頼しなきゃいけないのに。とか
様々だ。僕達は…まぁ、どうしようか。という感じの目線でチームメイトを見ていた。
「以上、ダークライと対になるポケモン、セリアの会見は終了だ。
ダークライ、もしくはそいつの協力者を探せ。相当の逃げ足らしいから見つけても油断はするな。
再度言う。自信がなきゃこの依頼は受けなくてもいい。この依頼は別の騎士団基地でも発令している。
質問がなきゃ朝礼は終了だ。」
シーン…………………
「じゃあ朝礼は終わりだ。
場所の検討は全くつかねぇから仲間内全員協力しろ。いいな?」
了解ッ!という言葉が全員から聞こえ、皆退散する。
「ファリス。しばらくボクの部屋に入るな。あと仕事は引き続き任せる。」
「なっ…サボりはダメだ!断る!
俺もダークライの捜索をしたい!」
「ちげぇよ。今は言えねぇが…ボクとて考えてぇことがあるんだ。
まぁ探したきゃ探しな。んじゃ。」
「兄さん!」
フェイは真剣な面持ちで部屋へと帰っていった。
「…最近団長さん様子おかしいですね。」
「確かに。」
ノヴァとイヴがそう言えば、
「あれじゃね?イメチェン。」
「一番ないわ。
怠惰というものが形作られた存在がそんなことするわけないじゃん。」
とリリィとエクスが横から入ってくる。
「ライト、お前たちどうするの?
私たちは一応捜索にでるつもりだけど。」
「僕達も一応…捜索かな。」
「…なんかあんたたちなら見つけられそうだね。」
「なんで?」
「ただの勘。
リリィ、プリュ。俺たちは荒くれ共の町の近くのダンジョンに行くぞ」
「へーい」
「わかった!」
じゃ~ね~。と言いながらリリィを抱えた二クスとプリュはここから出て行ってしまった。
「私たちはどうする…?これ、言っちゃえば虱潰しだよね…。」
「…。」
「ライト?」
「一旦のんびりしようか。」
「「は?」」
そういわれると思った。
だけれども、理由がないわけではない。
「昨日みたいに憶測させてほしい。あっちのテーブルで作戦会議いようか。」
そう言って僕は依頼所にポンっと置かれているテーブルと椅子を確保し、座った。
二匹もそれに倣って座った。
それを見た僕は、地図を広げ、考え始めるのだった。
- chapter7 あんこくポケモン ( No.81 )
- 日時: 2021/11/26 19:51
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
「あの~…」
さあ、作戦会議だ。というところで僕らに声をかけてきた存在がいた。
依頼書をもった色違いのピカチュウと…その後ろには首に緑色のスカーフを巻いているピチューがいる。
「どうかしましたか?」
「依頼の…お願いをと…思いまして…。」
「ライトと違って御淑やかそ~。誰か探してほしい人がいるの?」
「はい!そうなんです!」
「イヴ???」
「実は…私のパートナーを探してほしくて…。」
「わたしからもおねがいします!リンお姉ちゃんのお願い聞いてください!
どこも…依頼内容聞いたら無理だって断られ続けちゃって…。」
僕は地図とリンと呼ばれたピカチュウを目線を交差しながら話を聞く。
「ん~…今緊急事態だからなぁ。内容次第ってところかな。
名前、一度教えてもらえる?」
と、依頼書をよこせと言わんばかりに手を差し出した。
「はっ、はい! 私リンといいます。よろしくお願いします!」
「わたし、ハルです!よろしくお願いします!」
「僕らはチームアルバ。僕はリーダーのライト。」
「アルバのノヴァです。」
「同じくアルバのイヴ!よろしくねー」
そして握手された。
…まあ、解釈的にそうなるよなぁ…。
「依頼内容は?誰かの捜索?」
「は、はい!実は…私のパートナーを探してほしくて…。」
「どんなポケモンですか?できれば特徴もお願いします。」
するとえっと、えっとと言いながらリンはもごもごと
「実は探してほしいのはポケモンじゃなくて…人間…なんです…。」
「は?!」
僕は驚愕の声を出した。
まさか僕以外の人間がいるのか?!
計算がすべてぶっ飛んだ。何を憶測してたんだっけ。
「にん…げん…。
ねえ、ライト…。」
「…まて。いやまて。この辺で人間?そもそもこの世界にいること自体が怪しい。
ポケモンになってるか、はたまたパラレルワールド?」
そうぶつぶつ言うと
「や、やっぱり…ダメですよね。
皆さん口をそろえて言うんです…。人間なんているわけないって。」
「…見たことねぇのに存在否定とか石頭かな?
リン、それは受けさせてもらう。」
「ほ、ほんとうで…」
「ただし!僕らも僕らでやらなきゃいけないことが山ほどある。
最近の悪夢騒動の犯人の追跡。人間探しならかなりの時間がかかる。
足跡見つけたら随時報告はする。だから、時間と猶予と情報の整理をくれ。」
リンと目を合わせる。リンは依頼書を渡しながら
「…お願いします。」
そう絞り出すような声で言った。
ハルは「よかったね!」と言って喜んでいる。
相当断られ続けられたのだろう。…当然と言えば当然か。
「ライト!人間なんているかもわからないのに受けていいの?!」
「…繋がってる気がするからね。」
「…ダークライと人間が?」
「勘。だけど。」
ふう、ため息をついたところでようやくしたいことを思い出す。
ダークライの出現場所の特定だ。
「…フェイに聞けりゃいいんだけど。」
「どっちを?」
「人間。あいつ、なんかの憶測してるんでしょ。」
「邪魔をしないでってことよね。部屋に入るなって。」
「うん。」
「あの…、なるべく早めっていう訳ではないので…。」
わたわたとリンはそういう。
「それが条件だったからね。それが聞けたのなら遠慮なしよ。
ノヴァ、イヴ。この子たちとレガーレでティータイムしてきたら?」
「に、任務の方は?!」
「夜行く。それまで遊ぶか寝るか情報収集しといて。」
「う、うん…。」
二匹は言われた通り、リンとハルを連れて依頼所から出て行った。
「さて…。」
ペンと白い紙を何枚も用意し、地図を広げる。
前回の捜査のお陰で雲はかなり晴れている。
「どこかなぁ。」
ペンを回しながら、僕は思考を巡らせるのであった。