二次創作小説(新・総合)
- chapter7 あんこくポケモン ( No.84 )
- 日時: 2021/11/27 14:58
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
「いらっしゃいませ~」
私はライトに言われた通り、時間つぶしのためにレガーレにやってきた。
イヴさんと、リンさんと、ハルさん。このメンバーで。
「あら?ライトさんはいないんですね。」
「はい。ちょっと考え事するから時間つぶししてきてって言われまして…。」
そういいながら、席に着く。
「あ、ツムギじゃない!」
「お前らか…。」
「あんたはどうするの?ダークライ探すの?」
「悩んでる。…そこのガキどもはなんだ?」
とリンさんとハルさんに視線を向けた。
ハルさんはツムギさんが怖いのかリンさんにきゅっ…としがみついた。
「大丈夫ですよハルさん。ツムギさん、とてもいいひとですから。」
「そうよ。好きな子に告白もできないヘタレくんなんだから」
「な、なんのことだかさっぱりだな。」
と言いながらカタカタともっているコップを震わせる。
「ツムギさん!コーヒーこぼれてますよ!」
「あつっ」
クールに見えてひょうきんな方だ。私はそう思っている。
「あ、あはは…。
私たち、依頼をアルバさんたちに受けてもらったんです。」
「お人よしだからな。あいつら。
…ダークライ捜索するつもりなんだろうに。」
「はい。特殊すぎるのと、その捜索があるので時間をくれ。と言われました。
けれど、受けてくれたのがとてもうれしくて…。」
「どこもお断りされたのにライトは受けてくれたの!」
「ふぅん…。」
とツムギさんはコーヒーをすすった。
「そろそろ注文の受付よろしいですか?
えーっと、ノヴァさんとイヴさんは紅茶とミルクティーですよね。ホットですか?アイスですか?」
「アイスでお願いします。」
「私もアイスで!あとクッキー食べたいわ。」
「かしこまりました。そちらの方々は?」
「私も紅茶で。温かいのをお願いします。」
「私モモのみのジュース!あとケーキ!」
「かしこまりました~」
リボンさんがカウンター裏に行ったのを確認するとツムギさんは口を開いた。
「しかし、どこにいるかもわからない。どこに出没するのかもわからない相手を探せってどうすりゃいいのかわからないよな。」
「それをライトが計算すると…言ってました。」
「あれが計算?」
「割と衝突猛進ですけど…頭いいんですよ。」
「い、以外ですね。かなり直感的に動く方かと思いました。」
「それは私ですね。」
そう。私はあまり頭がよくはない。
ライトのように計算高い方であれば、役に立てるのに…。
と、いつの間にか来ていたアイスティーをすすった。
随分とぼんやりしているんだろうなと周りに思われているだろう。
けれど、ライトの良いところは頭がいいところだけではないと私は思っている。
「団長も言ってたわ。ファリスもあまり頭が回る方じゃないって。
意外に頭良さそうな礼儀正しい人って直感的なのかしらね。」
「多分そう方が多いだけだと思いますよ。」
と、ハルさんが苦笑交じりに紅茶を飲んだ。
「ねえ、そろそろライトのところに戻らない?」
「そうですね。お二方、ここの会計は私たちが。」
「そんな…悪いですよ。」
「この先必要だと思うので。遠慮しないでください。」
と、ツムギさん、リンさん、ハルさんと別れて、リボンさんにお金を払ってレガーレを出た。
「おかえり~」
「ただいま。どこに行くかは決めたのかしら?」
「鏡面の湖にもう一度いく。」
「マジ?もうあんな目に合うのはいやよ」
「…でもここぐらいしか…出そうなところなさそうな気がするんだよねぇ~」
ペラペラとメモをしたためた白紙ではなくなった紙を確認する。
まず、移動の仕方。隠れつつ行くのは難しいエリアが実は多い。
洞窟はまずない。袋小路になれば終わりだ。森や水のエリアが妥当。
そして、鏡面の湖にしたのは一つのかけでもある。
月の満ち欠け。そろそろ新月になるころだ。
「…月の明かりと対になるなら新月の方にかける。
だから僕はもう一度ここに行く。」
「…わかった。」
「ええっ?!本気で同意するの?!」
「ライトなら、当てれるかなって…思いました。」
「…、本当あんたらって変なもんで繋がってるわね~…。
夜よね?ならそろそろ出発しましょ」
「わかった。」
僕達はもう一度鏡面の湖へと向かう。
いるかどうかは、賭け。だけれども。
- chapter7 あんこくポケモン ( No.85 )
- 日時: 2021/11/27 21:17
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
夜。
僕達は鏡面の湖へまたやってきた。
暗闇の中、光源になるのは星の明かりだけで、あとは何も見えない。
目が闇に慣れた。としても、3mぐらい先は闇だった。
「…怖いわ。不気味、ていうか…。」
「ライト、なんで明かりもってこなかったの?」
「警戒されるからに決まってるじゃん。
ああいうのは慎重に動くからさ。」
そういいながら進む。
夜という時間。夜行性のポケモン以外は眠っているため、昨日よりはさほど苦難なことはなかった。
…眠っているポケモンがまた悪夢に侵されていなければよいのだけれど。
そして、昨日来た湖へと、たどり着いた。
湖からは鏡のように映し出される星空がそこにある。
ここにくるだなんて、ただの計算と憶測だけだ。
来ない、なんて大いにある可能性だ。僕は、ある種のギャンブルに投じているのだ。
そもそも、来ないという可能性に少々賭けてしまっているのだが。
数時間、経ったのだろうか。
わからない。ずっと茂みに隠れて湖の水面を見ているだけで話しなんてしていない。
これは話し声が聞こえたら来ないだろうという考えでやっているだけで好きでこうしているわけではない。
…現に暇で顔にしわを寄せているイヴと、寝かけているノヴァがそこにいた。
ふ、とそれを苦笑してみればイヴは顔で「笑ってるんじゃないわよ」と言っていた。
そんな時だった。
ちゃぽん…
水音がした。
そちらを見やれば、この闇に溶け込みそうな黒色。頭は白く、炎のように揺らめいている。
閉じていた目を開ければ、輝かしいシアン色の目が光っていた。
その姿はさながら亡霊のようだと、思った。
ふわり、ふわりと水面から離れていく。
そこから、僕らは動いた。
がさり、と僕らは茂みから出た。ノヴァはたたき起こした。
「…。」
彼は僕らを見た。
「…きみが、ダークライ…?」
そういえば、彼の目はハッとしたように見開いた。
「その反応…そういうことね。」
「…私たちは騎士団チームアルバ。
貴方を捕獲させていただきます!」
そうノヴァが高々と宣言すれば、戦いの準備を僕らはする。
猛攻が続く。
ノヴァははどうだんを撃つ。
彼はそれを躱し、シャドーボールを撃つ。
僕はそのシャドーボールを十万ボルトで相殺する。
イヴがかみつこうとする。
しかしそれは彼があくのはどうを放ち、イヴは吹き飛ばされる。
僕はボルテッカーを使い、猛攻をしかけた。
ひらりと躱され、シャドーボールを放たれる。
「ッ…イヴ、ノヴァ…動ける…?」
「立つので…ギリギリよ…。」
「私も…同上。」
「奇遇だねえ…僕もなんだよねぇ…。」
ふっかつのたねもオレンの実もきれかけている。
どうしようか…。このままだと逃してしまう…。
「…オマエ」
「…何」
ダークライに声をかけられた。こんな激闘で。
「どこか…」
そう言われる前に、眩い光が現れる。
「見つけましたよッ」
「…ッ!」
光の正体はセリアだった。
ダークライはそれを見てびっくりしている。
当然だろう。ライバル、自分を追ってるものが急に現れたらそうなる。
「シオン…名を覚えておけ…」
そして影のようにさらに闇になったかと思うと、ダークライ…いや、シオンは消えていった。
「逃がしません!!」
そう言ってセリアはまた眩い光となってどこかへ行った。
そこからは覚えていない。
気づけば僕たちは基地の部屋のベットで寝ていて手当てを受けていた。
フェイから話を聞けば「基地の玄関先でボロボロでぶっ倒れてた」とのこと。
そしてセリアはシオンを追いかけて行ったとのこと。
ノヴァとイヴ達に
「やっぱ失敗したね。」
と声をかければ
「ま、まあ…突き止めただけすごいって言ってくれたし…。」
「…そうね。しばらく休んでいいって言ってくれたし、遠慮なく回復に専念しましょ。」
「…うん。」
そう言うと瞼が重くなり、やがて意識がなくなったのであった。
- chapter7 あんこくポケモン ( No.86 )
- 日時: 2021/11/29 09:46
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
強制養成を指示されて数日が経った。
ダークライ…シオンを捜索できずぶー垂れている僕ら三人は部屋で作戦を立てている。
ここ数日、ずっとだ。
「だーかーら!あのシャドーボールは相殺したんじゃなくて軌道をずらしただけよ!
真向ではどうだんをぶっ飛ばしても威力自体!負けてるの!!」
「わからないじゃないですか!というか実際ライトの十万ボルトで相殺はできてましたよ!
ねぇ?!ライト!!」
「必死すぎてわかんなかったわ。
というわけでこの話は無効!!はい次々!!」
「適当に流すんじゃないわよ!!」
そんな険悪なムードが流れ始めた時だった。
「号外~号外だよ~」
そんな抜けた声が聞こえた。
窓を見やれば、たまに僕たちに依頼書を持ってきてくれるフワライドのフワリが、薄いページの新聞をもってばら撒いている。
僕は咄嗟に窓を開け、
「フワリ、久しぶり。どうしたの?」
「あ~、アルバの皆さんじゃないですか~
号外をペリッパー達と共に運んでいるんですよ~」
「号外…?」
「はいー。なんと、あのダークライをセリアさんが捕まえた。との号外です~。」
沈黙が走る。
「あ、でも詳しく言うと、セリアさんを仲間に引き入れてるハロウィンの方々が捕らえたみたいですよ~」
「ハロウィンの連中も関わってたのね…。」
「あの方たちが関わったらそりゃすぐ捕まりますね…。」
「それで、広場に集まってほしい~とセリアさんから言われて、今こうして号外を配ってるんですー。
アルバさん達もどうぞ。」
号外を受け取ればそこには確かに“セリア、ダークライをついに捕獲!!”という文字がでかでかと書かれており、ざっとななめ読みすれば、確かに広場に集まってほしい。という旨が書いてあった。
「ではぼくは引き続き皆さんにお配りしてきますね~
号外~。号外でーす。」
そう言ってフワリは風に乗って引き続き号外をばら撒きに行った。
「…いく~?」
「そりゃ…行きましょうよ。」
「手柄取られて悔しー!!見つけたの私たちなのにー!!」
「シオンとは実力が違いすぎたんだよ。いこ、広場に。」
僕が促せば、二人は傷だらけの体で椅子から降りる。
まぁ、僕も傷だらけでボロボロなんだけど。
こうして、広場へとゆっくり向かうのであった。
広場に着くと沢山のポケモンがいた。
「あ、ツムギ」
「号外見てきたのか…?」
「そうです。ツムギさんも?」
「…そうだ。」
こくりと彼は頷いた。
「でも広場に集めて何する気なのかしら?」
イヴがそう言った時だった。
「皆さん。」
セリアの声がしてそちらを見やる。
子供たちが中央で遊ぶ、高台のような、机のような台だ。
そこにたたずむセリアは集まっているポケモン達を見据えている。
セリアの後ろにはダークライがお縄にかかっており、下を向いている。
そして高台の下にはハロウィンの方々と、フェイとファリスがいた。
「ダークライの捕獲に協力をしてくださってありがとうございます。
皆さんのご協力のお陰で今こうして捕らえることができました。」
そう言えば、みんなは歓声を上げた。
ハロウィンのリムとリカルが互いに顔を見合わせたのを僕は見逃さなかった。
「悪夢の原因。それを放置するわけにはいきません。」
淡々と、冷静に、彼女は言う。
「今から、彼の処刑を行います。」
そう言えば、高台の下のみんなはびっくりしてセリアを見上げる。
…フェイだけチラ見した程度だったけど。
そして、街のみんなは静まり返った。そんな中だ。
「いーじゃん。そいつが最近の騒ぎの原因なんだろぉ?」
聞きなれた、そう。フローの声がした。
「ならズバッとやっちまえよ。そーすりゃどうにかなるんだろ?」
「兄貴がそういうならその案に賛成だ!」
「俺もだ!」
ウチュウイチのメンバーが口々にそう言えば周りに、感染していく。
雰囲気は、発生源が周りにどんどん思考が侵されていった。
そうだ。処刑していなくなれば。
悪夢はなくなるんだ。怯えずにダンジョンに行って材料を集めることができる。
しょーけい! しょーけい! しょーけい! しょーけい!
気づけば周りはそう口々に言い始めた。
「それでは、始めます。」
セリアは攻撃の準備をしている。
嗚呼、リンチか。
何が好きでこんなものを見せられなきゃいけないんだ。
みんなはそうではないのか?こんなもの、ただの見世物だ。
こんなもの こんなもの こんなもの
偶然目が合った
シアン色の目がうるりと水分が多くなっていることを。
――――――君は何も悪くないよ。
そんな一言が脳内に走ったと共に、頬袋が電気を発した。
「ウオリャァァァァァァ!!!」
「きゃっ?!」
ボルテッカーをセリアにかました。
そしてセリアが持っていた綱を嚙みついて、飛び降りる。
そして、そして、街の出口へと駆け出して行った。
「待って!待ってよ!!」
誰かが追いかけてきた。
追いついて綱を掴んだのはノヴァだった。
「置いていくなんてひどいよライト!」
「…?」
「ライト、シオンの目を見てこの行動とったんでしょ?」
「…!」
「ライト、私はキミを信じてるからね!
行こう!!もう戻れなけれど、行こう!ライト!シオン!!」
僕達は駆け出した。
シオンは訳が分からないという顔をして引っ張られている。
「大丈夫です!私たちはキミを守る騎士です!
あとで、事情を聞かせてください!」
後ろから追いかけるポケモン達の声と足跡が聞こえた。
けれど、僕たちは無視して、街を出たのだ。
chapter7 終了
あとがき
ここからは、展開の事情により、オリキャラの募集は一旦終了します!
ここまで読んでくださりありがとうございました。