二次創作小説(新・総合)
- chapter8 正義 ( No.87 )
- 日時: 2021/11/29 19:20
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
chapter8 貫き通す想い
「くっそ…堅結びしてやがる…。」
「ライト!はやく!!もう追いつかれそうだよ!!」
走りながらシオンの縄をほどこうと必死になっている。
そんな動作のお陰で疾走は遅くなり、後ろのどたどた音と声が近づいているのが嫌でもわかる。
「構わん…。」
そう言えば、彼は僕の影の中に入る。
「うっそでしょ?!そんな抜け縄の仕方ある?!」
「もうこの際いいよ!はやくっ…
あっ、あそこのダンジョンにッ!!」
見ればそこは洞窟のようで、僕らは見たことも入ったこともないダンジョンだった。
悪臭…というよりは危険物の香りがする。
紫色と緑色の毒々しい色で構成されているダンジョンには思わず足を止めそうになってしまう。
「もう何振りかまわず行ってやるッ!!」
「というかもう来てるッ!ライトいつものやっちゃって!!」
「了解ッ」
雨をふらせた。
火を持つ炎のポケモンは大慌てになる。
そしてとどめにかみなりをうつ。
「ぐおっまぶしい!!」
「痺れるッ…!!」
よしよし。効いているようで安心だ。
それを瞬時に確認した僕らは毒々しい色の洞窟へと足を運ぶのであった。
「ぐうぅ…鼻が曲がりそう…。腐った木の実と腐ったミルクで混ぜて茹でたにおいがする…うぇっ…」
「更にこれを雑草入れた感じもする…吐きそう…。」
「…。」
僕とノヴァは臭いの香りの感想で死にかけているがシオンは黙ったままだ。
周りにはその環境を好みとしている毒ポケモンが僕達に敵意を表していた。
それを蹴散らしながら、息を止めたり吸ったりたまに吐きかけたりして進んでいく。
「うっ…ぷ…あと、どのぐらい進めばいいの…」
「これ絶対入口入って少し進んだ辺りで脱落者多いよ絶対に…」
「鼻曲がるの比喩表現じゃないかも…。」
「…。」
「キミもなんか喋りなよ。」
「…喋るぐらいなら息をするな…うっ」
「あんたも限界なんかい…! オェッ」
進めば進むほど悪臭は段々と強くなり、鼻の感覚もなくなってきそうだ。
そんな時だった。
「ナニモノダ…」
ズルッズルッという効果音が正しい。そんな音を立てて何かが奥から近づいてきた。
大きなヘドロの塊…ベトベトンだ。
目は虚ろで、僕たちのことを見ているようで見ていない。
「オレノナワバリ二…テヲダスキカ…!」
「そんなわけないでしょ!」
「ウソヲシンジルオレデハナイ。」
その言葉は後ろから聞こえてきた。
ドスリ、ドスリと大きな重い足を立ててやってきたのを振り向き確認する。
そこには緑色とヘドロ色を混ぜ合わせたポケモン…ダストダスがそこにいた。
「ショブンノジカンダ」
「カクゴシロ…!」
「あーあー!これ僕らの話、鳴き声としか捉えてないようだねッ!」
「…すまない。」
「なんできみが謝るの?!」
「…だ、だって…」
「これはッお前のせいじゃないんだろッ?!」
そういうと彼はビクッと肩を跳ねらせた。
僕は足をよくつけ、戦闘態勢へはいる。ノヴァもそれを見てキリっと僕の後ろを見据えた。
周りには配下であろうベトベターやヤブクロンがわらわらと集まってくる。
「行くぞ…ッ!ここを乗り切れたらここともおさらばだッ
その気でやれ!」
「了解!」
僕は十万ボルトを親玉、ベトベトンに放つ。
彼はそこまで早くない。躱す方法がないと睨んだのだ。
だが、それは甘い考えだった。
「ちいさくなる…!
そっか、あんたら液状のポケモンだもんな!!」
そう。頭上は凹み、電撃を躱された。
だが、ボルテッカーはしたくないと本能というか、理性がそういっている。
3日は臭いが取れなさそうだし…。
「PP…足りるかなッ」
そう言ったノヴァは後ろのダストダスにはどうだんをうつ。
こちらは子分が率先してボスを守って倒れていた。
「リカバーなら惜しまなくていい!
シオンッお前も足りなくなったら言いな!」
そう言うと彼はこくりとうなづいた。
十万ボルトのみだとベトベトンに当てようとしても回避してくる。
ありがたいことに周りの配下はシオンが相手してくれている。
そのおかげでこちらとしても、ノヴァからしても、ボスと戦いやすくなるというものだ。
「はどうだんッ」
「あまごい…からのかみなり!
これであんたは避けられないよ!」
互いに必中の技を撃つ。
無論、避けれないためダメージは負う。
敵の攻撃も無論当たってはいるが、毒状態にもなってない。
ノヴァとのコンビネーションもそうだが、シオンのコンビネーションも中々いい。
何故だろう。
そんなことを思っているうちに、この毒の洞窟の親分二匹は倒れ伏すのであった。
- chapter8 正義 ( No.88 )
- 日時: 2021/11/29 22:29
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
ベトベトン達もダストダス達も倒れ伏した。
もう動く気配もないようだ。
「行くぞォォォ!!
環境に適さないこんな場所なんておさらばだァァァ!」
僕がそう叫びつつ走れば、二匹もそれについていく。
明かりが見えた。
僕達は、毒で侵されている洞窟から出ることができた。
「ようやく抜けられた…。あぁ、自然の香りが…懐かしく感じるよ…。」
「あそこで結構足止めできそうだね。ライト、シオンさん。どこかに隠れましょう。」
茂みに入り、獣道ですらない場所へと行き、無理やり座れる場所を作る。
そして、息を潜めつつノヴァは僕に顔を向ける。
「ライト、どうしてシオンさんを助けたの?」
「…どうしてだろう。
なんか、こいつじゃないって思ったんだ。」
「原因が…?」
「うん。」
モモのみを分けて二人に渡しながら食べる。
「ふと頭によぎった言葉で、シオンを助けたいって思ったんだ。」
「なあに?」
「…キミは悪くないって」
そう言うと、彼はじっとこちらを見た。
「…それだけで、俺を信じるのか?」
「まあ、直感で動いちゃうからねぇ。
…イヴとか騎士団メンバーに悪いことしちゃったなぁ。」
一番の気がかりはこれだ。
イヴ。僕らの大事なチームメンバー。きっと突然行ったことで対処しきれず、戸惑ってしまったか。
或いは、処刑に賛成していたか。…まあ多分前者だろうけども。
そしてメンバーたち。主にフェイとファリス。僕らを騎士にしてくれたトップ。
批判を真っ先に浴びる立ち位置にいる。
…でも、フェイならばひょいひょいと対処するだろう。批判ぐらいじゃあのリーダーはメンタルはおれない。
ファリスは…少し心配だけど。
「…俺は勝手に悪夢を振りまく。」
「うん。」
「だから、これは…この事件は、俺のせいでもあるかもしれないんだ。」
「でもそれはあなたが無意識でしてしまう言わば…特性というものなのでしょう?
それならば、ライトの言う通り…あなたは何も悪くない。ですよ。」
「…そうか」
彼はそういって目を閉ざした。
「もう疲れたし、寝ようよ。
ここなら誰にも見つからない。無理やり作った隠れ場所だもん。」
「あと、三人一緒に寝るんじゃなくて一人交代で見張りをつけるっていうのは?」
「それなら確実だねぇ。じゃあそうしようか。
誰から見張りする?」
「…俺からで。夜には慣れている」
「わかった。じゃあ任せるね…。
おやすみー。」
「次は私を起こしてくださいね。おやすみなさい。」
「あぁ。」
そう言って僕たちは入眠する。
悪臭の精神的疲れと、逃亡やバトルの疲れもあり、眠りはすぐに訪れた。
「…。」
シオンはライトを見つめる。
そして自身の手を彼女にさし伸ばした。
「…やめておこう。」
そうポツリと言って、静かな夜を彼は暫し過ごした。
- chapter8 正義 ( No.89 )
- 日時: 2021/11/30 23:13
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
あの後、無事に朝を迎えられた。
何やら探している者の足音が聞こえて一瞬起こされたが、この無理やり作った隠れ蓑のお陰でどうにかやりすごせた。
「ん~。どうしよう。」
第一声僕が発した言葉に二匹はこちらを見る。
「これからってこと?」
「そっ。行き場も無ければ、シオン…君の逃がし方もわからない。」
「…。」
「それに、僕達とて、もう戻れないだろうし…ね?」
へらりと苦笑を混じりそう言えば、シオンは顔を下に向ける。
それを見たノヴァは
「あなたは、優しいですね。」
「…どういう意味だ。」
「そのままの意味ですよ。
私たちのこと、考えてしょげてしまう…だなんて悪い人だったら笑って転がってますよ。」
悪い人…ウチュウイチが転がって笑ってるのが頭に浮かんでくる。
…あいつら今頃うれしくてたまらないんだろうな。僕達がこんな目に逢っていることを、酒のつまみにしていそうだ。
「…シオン。君は何もしてないんだよね?
誤解、解きに行こうよ。」
「だめだ。もう間に合わん。
…クレセリアのやつが狂ってそれが先導者になってしまった今…俺はなにもできん。」
首を振った彼に僕達は言葉を失ったと同時にそうであるという納得もしてしまった。
もう騎士団連合はダークライ…シオンのおたずねものを解こうともしないし、クレセリア…セリアの言うことを信じている。
だが聞きたいことが一つ増えた。
「狂ったってどういうこと?
セリアは今、正常じゃないの?」
「…ああ。今、理性が焼き切れている状況と似ている。」
「似ている?とはなんですか?」
「あの子は…どうしてああなってしまったのかわからない。
一つ言えるのは…あれはクレセリアであって、思考は違う者…ということ。」
「ははーん。
乗っ取られてんだな?」
「うん。あと一つ…原因がある。
“夢幻の月”が汚染されている影響で狂気にブーストがかかってるんだ。」
それに僕らは首をかしげる。
夢幻の月?初めて聞く単語だ。あとシオン、少し言葉遣いが柔らかくなっていないかい?
「夢幻の月、とはなんでしょう?」
「みんなの夢を守る月…って言えばいいかな。
悪夢にうなされるポケモンの理性を守っている、この世界が平和だった理由。」
「…汚染って何?」
「言葉通りだよ。汚れてしまったから、悪い夢を放ち続けているんだ。
…身体の垢を出そうとしてるものだよ。」
「キミはそれを知っているけれど、まさか…それをどうにかしたいというんじゃないんだろうね?」
「そのまさかだよ。僕はそのためにルディと協力して、死んだ友達の代わりにこの世界を元に戻すって決意しているんだ。」
ぐっ、と握りこぶしを作り、彼はやる気満々というポーズをする。
そしてハッとする。
「…、ダークライがこんなので、幻滅しちゃった?
安心して…強がらなくてもいいかなって無心で思っちゃったのかも。
えっとね、これが素…なんだ。それで…名前も変えて心機一転して…強くなって、みんなと仲良くするって友達と約束したんだ。」
「…じゃあ改めて自己紹介しようよ。
僕はライト。」
「私はノヴァです。」
地に座っていたシオン…と名乗っていたダークライはフワリと浮かび、お辞儀をした。
「僕はアスター。
よろしくね。ノヴァ。
そして久しぶり。ライト。」
その言葉に僕たちは言葉と思考を止めてしまった。
- chapter8 正義 ( No.90 )
- 日時: 2021/12/02 00:49
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
「久しぶり、…て」
「うん。久しぶりライト。
死んじゃったから…また会えてうれしいよ。」
そう言って、僕を優しく抱擁する。
訳が分からない。
頭が真っ白だ。
こいつに会ったのは初めてであって、そもそも僕には元々記憶がなくて、ただ人間だった頃しか覚えてなくて…
名前と人間だった頃しか覚えてなくて…
あっ…
「あ、アスターさんは…ライトの人間だった頃の…知り合い…だったんですか?」
「うん。僕の境遇を解っててくれて、友達になってくれた大事な人。」
「…僕、転生したらピカチュウだった件ってこと…?!」
「合ってるけど…。僕も予想外だったよ。」
「生きていることが、ですか?」
「うん。ライトは命を懸けて僕をここに送ったから。」
「ガチの異世界転生…?!」
「う、うん。ライトは不思議な力を持ってて…それを使って、僕はここに来たんだ。」
僕とノヴァは首をかしげる。
不思議な力、と言われてもピンとこない。
「ライトは…異世界旅行ができるんだ。自分、他者…一人だけを別の世界に送ることができるんだ。
…命が代償なんだけど…。
ライトはね、僕の境遇が、僕の友達が増えるであろうところ世界…つまりここに送り込んで命を落とした。
…けれど、事件が起こっちゃってて、気づいたら僕のせいになってて…どうにかしようとしたけど…結局捕まっちゃって…」
「オーケー。オーケー。理解した。
…何も覚えてなくてごめんねアスター。」
「いいんだ。ライトがいるってことが嬉しいから。
…何も変わってないなあとか。どうしてこの場にいるんだろうって思ってるけど…。」
ふむ。確かにそうだ。
命を代償を一人送り出すというのであれば、僕がここにいるのはおかしい。
アスターを送り出した。のにも関わず、僕が今ここに顕在している。
だがそれは二の次だ。
「夢幻の月…だっけ。汚染どうにかしたいなら手伝うよ。
それはどこにあるのかわかる?」
そう。目の前の問題“悪夢によね理性の焼け切り”を解明、解決しなくてはならない。
僕が今この世界にいるとかいないとか関係ない。
きっと、この世界がこうなってしまってるから…神も放り出したんだろう。多分。
「…今わかってるのは“月の裏”ってことだけ…。
ルディもわからないらしいから…探してもらっているけど…。」
「ルディって結構出てきてるけど、そいつ誰なの?」
「ここにきて初めて来た友達なんだ~。
あっ、そうだ。」
ことりと、懐から何かを取り出してそこに置く。
それは少し大きめの鏡で、反射して写る姿は綺麗でよく手入れされていることがわかる。
そしてアスターはそれに声をかけた。
「ルディ、ルディ。
二人仲間ができたよ。色々作戦会議、しよ。
だからそっちの世界に連れてって。」
声をかけた、その瞬間
ギャオオオオオオオオオン!!!!
その雄たけびと共に僕達二匹は黒い何かに包まれ、鏡の中に吸い込まれていくのであった。
- chapter8 正義 ( No.91 )
- 日時: 2021/12/02 20:19
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
「…ト! …イト!!」
ふわふわした心地良い感覚の中で聞きなれた声がする。
もう少し寝ていたい…。あと、五分…。
「ライト!!!」
耳元でそんな大声を出されてビクリと目が覚める。
周りをみれば、僕を起こした張本人…ノヴァがいた。
「よかった。ごめんね…少しパニックになっちゃってて…。」
「う、うん。」
少し戸惑ってしまった。
その理由は僕らがふわふわと宙を浮かんでいるからだ。
薄暗く、周りの地形もなんだかおかしい。
壁のように縦に道があったり、空中に地形が浮いて動いてたり…ともかく不可思議だ。
「あ、ここだよ。ここ。」
と、無邪気にアスターがふわふわと浮かんでこちらに向かってくる。
彼は元々浮いて移動するポケモンだ。ここの移動には慣れているようで、苦にせずこちらまでやってきた。
そこまではいい。
…後ろにどでかく、怖そうなポケモンがいたのだ。
金色の鎧のようなものを身に包み、闇に溶け込むことに特化した色の龍のようなポケモンがいた。
ギロリとこちらを見る。
「こっちが前に話したライト。で、こっちが新しい友達のノヴァだよ。」
「あっ、ヨロシクオネガイシマス。」
怖くて片言になってしまった。
ノヴァはそもそも声を出すことを忘れてぽかんとしているようだ。
「ほら、ルディも挨拶しよ?」
そうアスターがいうと、そのポケモンは口を開いた。
「初めましてー!ぼくのおうちにようこそー!
えっと、きいたと思うけど、ぼくはルディ!!よろしくね!」
と幼稚な笑顔でこちらに挨拶をした。
「…」
「…」
固まる僕ら。
そもそも…そもそもだ。彼は…もしかしなくとも…
「おとーさんにはかたっくるしく、ギラティナっていわれてるけどね。
ルイス姉さまと、ディア兄さまからもらってこのお名前が気にってるからこの名前でよんでほしーなぁ?」
ここまで幼稚なギラティナは初めて見た。いやギラティナ自体初めて見るけれど。
「き、協力者が…えっと、ルディ…さんなんですね?」
「うん!ぼくだってかみさまのはしくれだもーん。
姉さまと兄さまもおてあげだし、そもそもぼく出れないんだけどね…。」
不満そうな顔をして彼はそういった。
「場所自体はわかるんでしょ?月の裏…って。」
「そう!月の裏~!
せいしきに言うとね、“月雲の海”って場所にあるの。」
「げつうんの…うみ…」
聞いたことある?という感じでノヴァを見れば、彼は頭を抱えてこういった。
「お母様とお父様の話で聞いたことがある…。
“天空への階段”を上り、空を制する者に認められた者は“月雲の海”というところに行けて、月を見ることができるって…。」
「ノヴァ、それマジ?!」
「う、うん。だいぶ小さいころに聞いたから曖昧だけど」
「でも!新たな情報が手に入った!」
「うんうん!!あとはそこにいって、月の裏に行って、夢幻の月の汚染をどうにかしないとね!」
ルディもアスターも喜ぶ。だが
「…でも、そこどこにあるかわかる?」
「ぼくわかんないや。おとーさんならわかるかも。」
「…ルディもわからないんじゃお手上げかも…。」
「…出たことないんだもん。しょーがないじゃん…。」
「あーあー、拗ねんな!これやるから!!」
と、キーのみを差し出す。
「わあい!」
機嫌がすぐに直った。
…ここから出たことなくてコミュニケーションをあまりとったことないからこんなにも幼いのか…。こいつ…。
「アスター、お前影から影へ移動できる?」
「できるよ?」
「それで君、情報をあつめて。ルディも、もし声も聞こえたり家族に聞いてみて。
まず探すべきは天空の階段だ。」
「「わかった!!」」
「あんたら精神年齢一緒だなぁ…。」
はあ、とため息をつくとノヴァに肩を叩いてくる。
「私たちはどうするの?ライト。」
「…。基地に帰ろう。」
「?!
えっ、正気なの?!」
「これは…情報が必要だ。フェイはもちろん…パラケルのテレパシー能力が肝心になる。
僕らが捕まろうが関係ない。帰って、頭を下げて、頼むんだ。」
真剣な顔でそう言うと、ノヴァは心配そうな顔から決意に満ちた顔をし、
「わかった。どこまでもついてくよ。」
そう言った。
「よく言った!
ルディ、お願い。僕達をアンビション騎士団基地前あたりにほっぽりだして」
「ん、んー…。わかったよー。
…出した後のことは責任取らないからね?」
そう言えば、彼は一つの穴を作った。
「アスター。また会おう。
君のことも、ちゃんと真実を言って、誤解を解いてみせるから…それまで耐えて。」
「…うん!気を付けてね。」
そうして僕らはルディの作った穴に入る。
ふわふわした感覚はだんだんと慣れた重みへと変わっていき…
気が付けば、日の暮れた…懐かしの基地の前にいた。
chapter8 終了