二次創作小説(新・総合)

chapter9 信念 ( No.97 )
日時: 2021/12/07 01:47
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

次の日。
久しぶりにモールスの鐘の音で叩き起こされた僕はキレつつも、懐かしさを感じて朝を迎えた。
キレた僕を押さえつけるノヴァの行動も久しぶりだ。数日…ぐらいここから離れてただけなのに。

準備を済ませて廊下へ出れば、イヴがそこにいた。

「おはよう!ライトにノヴァ!
私の家族を紹介したいところだけれども、そんな時間はないから残念だけど後々にしてもらうわね。」
「ん? イヴの家族ここに寝泊まりしてるの?」
「ええ。そうよ。
…あんまり言いたくないのだけれど、ダークライ…アスターだったかしら?
彼の処刑を邪魔したライトの元にいる私に飛び火して、さらに私の家族に火が移ったのよ。
…めんどくさいわよね。こういうの。」

と、ふふっと苦笑する彼女を見れば罪悪感が沸き上がる。
僕の信念を貫いた結果、こんな迷惑をかけてしまったのだから…

「謝るぐらいは…したいなぁ。」
「いーの!ライト、あなたは悪くないわっ!
フェイだって言ってたでしょ?あれは騎士ナイトにピッタリの行動だってッ!
私…いや、私たちは何も気にしてないわ!」
「…なんかごめんね。」
「だからいいの!」

と色々悶着を起こし、ぎゃいぎゃいと騒ぐ中…

「あの、情報収集を…」

というノヴァの声が聞こえた。

「あぁ、そうだったね。
…天空への階段だっけ…。」
「うん。お母様とお父様から聞いた話ではそう言ってたよ。
どうやって探そう…?」
「…ん~?天空って空でしょ?
というよりも、もっと詳しい人いるじゃない。」
「え~?誰~?」
「ノヴァの父と母よ!」

あぁ!と僕は合点がいった。
ノヴァ自身は幼いころに聞いた話をうろ覚えで覚えており、それを話しただけだ。
もっと詳しい話を聞くには、ノヴァの実家に“突撃!俺たちに話を聞かせてくれ!”するしかない。
そう思い、ノヴァをチラッと見る。

「…。」

ノヴァは明後日の方向を見ている。

「あんた…帰りづらいんでしょ。」
「そりゃ…家出同然に出てって帰るの…気まずいって…。」
「でも天空への階段に行かないと夢幻の月に辿り着けないのよ?
腹をくくりなさい。」
「う…うー…」

と頭を抱えて葛藤している。
そう言えば、食べ方とか僕以外への対応の仕方見ていると、かなり育ちがいいと思い返す。

「イヴ、父親と母親のことなんて呼ぶ?」
「えっ。普通に“お父さん”“お母さん”…だけど?」
「ノヴァは?」
「…“パパ”“ママ”…」
「大噓をつくんじゃないよ。お父様とお母様だろ。数分前のこと忘れるほど馬鹿じゃないよ。」
「だよね~…」

苦笑してため息をつくノヴァ。

「なんでそんなに偉い立場にあることを隠すの?」
「えっ?!ノヴァっていいところのお坊ちゃまだったの?!」
「ふっ、普通の家です!!」
「ごまかせないぞ~…。で、なんでそんなに隠したがるの?」

僕がジッとノヴァを見ると唸り声をあげて悩みだした。
そして、ため息をついて口を開いた。

「お父様とお母様に言われてて…。
良いところ出身と言うなってね…、それを堅実に守ってるつもり…だったんだけど…。」
「ふーん…。」

僕はある答えを導き出した。

「“天空への階段”の道しるべを隠すためだな。
本来行ってはいけない場所とある物があるからな…ノヴァのいたところの出身地の名前は知らないけど、広めてはいけない情報なんだろうね。
それを隠したいから、ノヴァには今はおとぎ話のようにしゃべって嘘か真かわからないようにしている…ってのが両親の算段だろうね。」
「はー…なるほどねぇ…。」

イヴが納得している隣で、僕は頷いて口を開いた。

「ノヴァ。君の家に案内させてほしい。」

そう言えば、彼は悩んだのちにこう言った。

「無論。ライト…それにイヴさんだったら信頼できる。
お母様なら、すぐにわかってくれる筈。
…今すぐ行く?」
「もちろん。」

その言葉を聞いた瞬間、彼は頷き「案内するね。」と言って、先導した。

chapter9 信念 ( No.98 )
日時: 2021/12/08 00:34
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

僕達が街から出れば、視線がチクチクと刺さる。
それと同時にあれやこれやと物言いする…というより、陰口を言うポケモンが多い。

「あれが悪夢の原因を逃がしたって言うチームらしいわ」
「まあ…なんでおたずねものにならないのかしら」
「なんでもファリス様が言うには別の何かが原因だって」
「本当かしら?」

「本当にあいつら真実を掴んだのかよ」
「号外に書かれてるけど信じられねぇよな」
「捕まんねぇ言い訳だったりして」
「あー、ありそー!」



嗚呼…本当に鬱陶しい。


「ライト。電気漏れてるよ。」
「んー…ごめん。何故か出ちゃうんだよねえ…。」
「気持ちはわかるけど抑えてよね。暴れたら本当に取り返しがつかなくなっちゃうわ。」
「わかってるけどぉ。」

頬をむにむにと揉んで電気を抑える。


ドンッ!!


「うわあ!
ご、ごめ…」
「おいおい何すんだぁ?このウチュウイチのフロー様にぶつかった罪はおも…ん?」

やっばい。嫌な奴に激突しちゃった。

「あー!ダークライ逃がしたアルバのリーダーじゃねぇっスか!!」
「のうのうと生きてたのかよお前ー!!」

モッコウとピクスがぎゃいぎゃいと騒ぐ。
それを聞いた街の住民がなんだなんだとこちらへ野次馬しに来た。
どうやら僕らの今日の運勢は最悪らしい。誰かに占ってもらえればよかった。

「ふーん?あれだけ迷惑かけやがったのにおたずねものにもならない…フェイの温情でこの地を歩けてるアルバさんじゃねぇの!
いやいや、久々だなぁ!元気そうで何よりだ!!」
「おや~?そっちこそフェイの温情どころか依頼さえちゃーんとこなせてりゃそれでいいって方針の騎士団基地で登録した“ノーマルランク”のウチュウイチ様様じゃないですかぁ~?
えぇ、えぇ。お陰様で元気にやらせてもらってますよ~?」
「はーっはっはっは!!皮肉言ってやったのにこのざまだぜ!やっぱおたずねもの一歩手前のアルバさんはちげぇなぁ!!」
「プークスクス!!皮肉を皮肉で返したのにそれにも気づかないだなんて脳も浮袋でできているみたいで~?
やっぱりウチュウイチ様は違いますねぇ!!」

「あ゛あ゛ん?」
「もっぺん言ってやろうかぁ?あ゛あ゛?」

「ライトぉ…もうやめなって…」
「あほみたい…。ほっといて行きたいけど私もそれなりに腹立つのよねぇ…!」
「イヴさんも抑えて!!あいつらの思うつぼですよ!!」

野次馬のいる中、その中心でフローと火花を走らせる。
睨み合い、どちらもひるむ気もなく、ただただバチバチと彼を見つめて喧嘩を買った。




その時だった。


「大変だ―大変だー!」
「この先だいじょばないことになってるよー!」
「誰か水タイプの方!お願いします!!この先の丘の森が火事に!!」

「ポワンとプワンとリンじゃない…。
この先の森が火事…?」
「不味い!!この先の森を抜けないと私の実家に行けません!!」
「じゃあそれどうにかしないと!!
お願い!そこに連れてって!!」
「こっちです!」

リンたちにお願いをし、僕たちは颯爽と家事の現場に向かった。

「…。」

ウチュウイチを置いて。

chapter9 信念 ( No.99 )
日時: 2021/12/08 22:46
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

轟々と燃え盛るその森には沢山の水ポケモンが消化活動に勤しんでいた。

「ああ~…!!僕の大切な資材も木炭になってる~…。」
「あ、リースじゃない。」
「あぁ…イヴさんいつもご贔屓に…じゃなくてー!
僕が愛用している木がたくさんあるこの森がー!」
「わかってる、わかってるわッ!落ち着きなさいッ!!」

リース、というキテルグマは文字通り“orz”の格好をしており、しくしくと泣いている。
イヴの知り合いで…言葉を汲み取るならば、恐らく何らかの商売をしているのだろう。

「えぇっと…何があったんですか…?」
「知らないポケモンが突然現れて森を焼き払ったんだ…!
採取していた木材も慌ててたから置いてきちゃってー!」
「知らないポケモン…?アンビション街なんて種類900近くのポケモンが闊歩往来してるのに?」
「本当に知らないんだ~!!」

と泣きながらそう言っている。

「商売しててもわからないポケモンってことだよね。
特徴は?」
「薄緑色…ですっごいおっきかったんだぁ~。脇に竹…みたいなのがあったの覚えてるよ~…。
だってそこからいきなり炎を出したからね…」

と第一発見者はそこまで言うとまた手でゴシゴシと目にたまった涙を拭いている。

「…確かに聞いた感じわかんないなぁ。」

と、記憶をまさぐれば


「駄目だ!!!火が強すぎて消化しきれねぇ!!!」
「つか火の勢い増してきてるっつーか消しても消しても燃え移ってくるッ!!」
「この森がこのまま焼け進めば街まで被害が及ぶぞ!!!」

思考する。 考えろ。
 まず火元をどうにかしなくてはならない。 だがその火元に近づくことは火の勢いで不可能。
 どれだけ水技を使っても増す炎。 いや、打開策ができた。


この間、わずか一秒だった。


「あまごいッ!」

僕は即座に空から水を降らせる。

「何人かはカクレオンの店でも雑貨でもいいッ!ピーピーリカバーやピーピーマックスをもらえッ!
金はすべてこっちが出す!!ツケにしてもって水ポケモンに飲ませて消火活動を再開しろ!!
特にすいすいが特徴のやつ!君たちは絶対に抜けるな!消化を続けろ!!」

何体かのポケモンは少し困惑したのち、了承し、僕の指示に従う。
そして…

「んだよ!!これぇ!!」
「ひええ!さすがの俺たちも兄貴も驚くしかねぇぜ!」
「叩き潰すこともできねぇっスよこれは!」

良いところに来た。

僕はフローに近づいてこう言った。

「フロー!アクアジェットで僕達を森の中に運べ!」
「はぁ?!なんだよ突然!!」
「お前特性すいすいだろ?!そんでもって森の中に発火元がいるんだッ!
それを最速で止めるにはお前の力が必要だ!!」

そう言えば、彼は腕を組み顔をそらした。

「はんっ!誰がテメェの命令なんか聞くかよ!
他者の…しかもアルバ…テメェの命令なんか聞かねぇよ!!」

それを聞いた僕はフローのスカーフを鷲掴み顔を近づける

「街の一世一代のピンチだっつってんのがわかんねぇのか浮袋野郎ッ!!
テメェも騎士の端くれならこんぐらいやれよ!!!」
「だったら金でも用意しなッ!!」

僕は鞄からポケの入った麻袋を取り出して放り投げた。
重みのある金属の音が、地面に叩きつけられた瞬間響き渡る。

「これで満足かぁ?!もっと欲しけりゃくれてやるよ!!」 
「あ、兄貴ぃ…1万ポケ…余裕であるぜぇ…これ…」
「ひぃぃ…逆に引いちまうよ…。」

フローはうーだのあーだのそう唸りながら僕と、ノヴァと、イブを抱える。

「好き勝手言いやがって!後悔すんなよ!!」

彼は水を纏い、消化作業中の森へと入る。アクアジェットと、雨の効果、すいすいのお陰で先に行くのは余裕だった。



そして、火元にたどり着く。


見たこともないポケモンだ。
リースという者が言っていたことと一致している。
薄緑色の大きなポケモンがそこにおり、両端の竹から轟々と灼熱の炎を出していた。

「…やるよ。」
「「了解!!」」

そう言えば、そのポケモンはこちらを見て

「隱ー?溘%縺薙?縺ゥ縺薙↑縺ョ?溽ァ√r邇九?繧ゅ→縺ォ蟶ー繧峨○縺ヲ?」

僕達にはわからない言葉をしゃべったのだった。