二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 虹の護り人 ( No.3 )
- 日時: 2022/01/20 16:26
- 名前: 玻璃 ◆UaO7kZlnMA (ID: GolOdm17)
雨が降っていた。
白い糸をまいたかのごとく静かに森の中へ降り注ぎ、大地を潤していく。
その雨の中を一匹のポケモンが黙々と歩いていた。小柄な体躯。狐のような長い耳と襟巻き、愛くるしい顔つきが特徴のそれは進化ポケモンのイーブイである。ただ、彼女の全身は美しい白銀の色をしていた。通常のイーブイとは違う、色違いであった。
しばらく歩いたイーブイはもう無理だ、と限界に達し地面に倒れ込む。水たまりの水が跳ね、自慢の白い毛を汚すがそんなことはどうでも良かった。
(もう、歩けない)
立ち上がる気力を失ったイーブイは全身を雨に濡らしながら、水たまりで汚しながらひたすらじっとしていた。見た目こそ怪我をしていないが、イーブイはもう何日も飢餓状態であった。今まではだましだましやってきたが、それも玄海となり倒れたのだ。
鳴くことも、喚くこともできずじっとしていると不意に背後から草を掻き分ける音がした。
凶暴なポケモンか、あるいは。どちらにせよイーブイが取れる選択肢は、この場に留まることだけ。
ボンヤリとしていると、草むらを掻き分けしなやかな身体を持つ青いポケモンが姿を現した。
強靭でしなやかな身体は小さいながらも獣人のよう。拳には微かに青いオーラのようなものを纏っていた。
はもんポケモンのリオルである。
「どうしたの?」
リオルは植物の葉を傘のようにして持っていた。透明な緑を白い雨足が叩く。
溢れた白い雨がきれい、とイーブイがのんきに思っているとリオルは近づいてきた。警戒するイーブイだが、身体は重く言うことを聞かない。ぼんやりとリオルを見上げると、向こうは心配そうに覗き込んできた。
「そこに僕の家があるんだ。立てるかな?」
リオルは片手を差し出してきた。それを掴もうとイーブイは前足を伸ばそうとするが、僅かに持ち上がっただけだった。それを見たリオルは葉を近くに捨てると、自分が濡れるのも構わずイーブイを軽々と持ち上げる。
突然強い力に持ち上げられたイーブイは、驚いて目を丸くした。
「こう見えても、力には自信があるんだよ。……頑張れ、あともう少しで家だから」
その言葉に安堵したのか。イーブイはそのまま気を失った。
