二次創作小説(新・総合)

Re: ベリー創作物「裏の陰謀」「最期の足掻き」「神学」スピンオフ ( No.25 )
日時: 2022/05/16 23:27
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ShMn62up)

2日目。チョコレートを作りましょう。

「じゃあ、チョコレート!作るわよー!」

ピーチが掛け声を上げる。ここは学校の家庭科室。そこでリゼ、ユウ、ミソウ、シュウ、ピーチ、ゼルダはエプロンを装備し家庭科室にあったチョコレートの材料でチョコレートを作ろうとしていた。

「「おーっ!」」

ゼルダとユウ、ミソウはノリノリであった。しかし、同意してない者が2名。

「……バレンタインデーというものは分かりましたが、生憎私には渡す相手が……」

「いいのよっ!取り敢えず作っとけば!」

リゼが顔を歪ませるとゼルダがリゼの肩に手を置き、そう言った。リゼは逆らうのがめんどくさくなったのかもう流すことにした。

シュウ「ちょ、ちょっとまって?!僕男!男なんだけど!ボーイだよボーイ!」
ピーチ「ごめんなさいね。女の子の見た目してるからてっきり……」
シュウ「僕は男だ?!」

そんな鉄板な流れがあるも皆シュウを受け入れていた。シュウは1人だけ男という重みと、思春期特有のキャピキャピした女子と余り関わりたくない感で全く受け入れられなかった。
しかし、そんな気持ちにさせてくれるのはこの環境である。施設だと毎日生きるか死ぬかの死地で「思春期」なんて言葉も一切出ない環境だ。
シュウはこの時間が一生続けばいいのにと言う気持ちもあり、複雑であった。

「で、チョコレートはどうやって作るんだ。」

ミソウはどうやら食べたいだけのようだが、皆は気づかず、一見恋する乙女に見えてしまった。ピーチは調理用の小さいチョコが入ってる袋を取り出す。

「まずは何を作るかね。バレンタインデーのチョコは、ハート型のチョコが鉄板だけど、マフィン、生チョコ、トリュフとかいっぱいあるのよ?」

ゼルダは鼻を伸ばしながらそう言う。チョコレートに興味津々なミソウと、情報に興味津々なユウは「おぉ~!」と目を輝かせた。

ピーチ「今回皆はチョコレートってものを知らないみたいだし、シンプルなチョコにしましょう!」
ゼルダ「そうね。溶かして型に入れるだけで簡単だし!」

そしてピーチとゼルダはチョコの準備に取り掛かった。他メンバーは料理等全くしたことがない上に、まずまともなご飯は夕ご飯だけ。その夕ご飯も生ゴミのような不味さのため、料理とは全くの無縁であった。取り敢えず焼いときゃ食えるだろ精神ばかりである。

そうして女性陣(?)のチョコレート作りが始まった。

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〜シュウ、レイ宅〜

「っと言うわけで、チョコレートってどうやって作るんだい?」

一同『ズコーっ』

こちらは男性陣。女性陣のように1人男性が入っている等ない純粋な男性陣。
そこでレイ指揮の元、漢のバレンタインデーが始まった訳なのだが……もちろんレイも施設育ちでバレンタインデーの前にチョコレートすら食べたことない状態である。

時リン「チョコレートは…色々あるんだけど……」
マリオ「マフィンとか、生チョコとか色々あるよね。」
ピカチュウ「僕マフィン食べたい!」
レイ「じゃあそれにしよう。」

チョコレートは何にするか議論でまさかのピカチュウが食べたいものに決まってしまった。ピカチュウは「ヤッター!」とジャンプをしている。

「で、マフィンってどうやって作るんだい?」

一同『……』

もう一同はレイの無知っぷりに驚き通り越して呆れてしまっていた。レイは確かに優秀だ。戦闘面だけでは。しかし、施設という戦闘面だけ評価される環境での頂点に立ったが故に、いつも自分が周りを引っ張っていたため、今回もその役に自然と降り立った……というか皆を引きずり回しているが、彼は元々マイペースな性格だ。このままでは進行が続かない。

「…レイ。お前じゃ話にならない。その座を今すぐ他メンに譲れ。」

タツナがそれにいち早く気づき言った。しかし、レイのプライドだろうか、頑なに渡そうとしない。それもタツナは嫌ほど思い知らされている。ではどうするか。

「この中で料理。得意なやついるか?特にチョコレート作れるヤツ。」

タツナがそう勝手でた。一同は見合わすとマリオの手を取り、勝手に手を挙げさせた。

タツナ「おっ、マリオ料理うめぇの?」
マリオ「いや、まあ、ちょっと…は?」
クロコダイン「マリオ意外と料理美味いぜ!」
時リン「そうだね、僕達も少しは料理できるけど、マリオは格別だね。」
バッツ「俺もマリオに1票」
マリオ「そ、そんな……(照)」

どうやらマリオの料理はこのメンバーでひとつ頭抜けているようである。レイは居心地が悪くなったのか、皆の上に立っている所を降りる。というか、机の上に立ってるのは行儀が悪い。

「その話!聞かせてもらったっ!」

すると玄関の扉が開かれる。ここは学校の近くにあるちょっとしたアパート。そのため玄関からキッチンまでは筒抜けである。
そこにはチョコレートの材料を持ったポップが居た。

「ポップ先生?!」

アイクが驚きながら言う。一同も同じ気持ちである。ポップ先生はその視線が突き刺されながらも無視してアパートの中に入る。

「ポップ先生……不法侵入ですよw」

「いいじゃないかバッツ。チョコレート作りだろう?ならこのポップ先生が教えてやろうっ!」

そう言ってポップは材料を机にドンッと置いた。そこにはマフィンの材料が大量に置かれてあった。

「おぉ!ポップ先生ナイスだよ!」

時リンが親指を立ててグーを出す。ポップはへへへと照れながらサラッとマリオと同じ席、リーダーのように前へ出る。

「というか、ここ俺とシュウの家なのになんでセンセーがいるの?」

レイが不機嫌気味に言うとポップは少したじろぐが、その後ふふんと鼻を伸ばす。

「まあ、先生だからな。生徒の住んでる所ぐらい把握してるんだって。」

クロコダイン「おぉ!マフィンの材料が盛りだくさん!」
ピカチュウ「これで沢山作れるねっ!」
ポップ「俺の話を聞けいっ!」

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女性陣

「まずはチョコレートを粉々にするの。ほらこうやって」

するとゼルダが包丁で細かくチョコレートを刻み始める。ピーチも続く。リゼもシュウもそれに習って板チョコを刻み始める。

「これ…欲しい。」

「へぇ、このナイフ先、鋭いね……この技術を是非教えて欲しい…」

否、ミソウとユウだけはチョコレート作りに徹していなかった。それどころか包丁に興味津々であった。

「ちょっと!ミソウ!リウ!ちゃんとチョコレートきざんで!」

「きざめば良いんだな。」

そしてミソウが包丁をブンブンと降り始める。

「きざむって、人をきざむ訳じゃないよ?!」

シュウは慌ててミソウの包丁を止める。ミソウはつまんなさそうな顔をするとチョコレートをきざみはじめた。ユウもきざみはじめる……が

「あっ…」

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〜男性陣〜

「あっ……」

「どしたのレイ…ってえ?!」

時リンがレイが何か言ったのを聞き取るとレイの様子を見る…と、レイはチョコレートをきざむと言っておきながらチョコレートを一刀両断、そしてまな板をも一刀両断にしていた。

クロコダイン「ガハハハ!お前はどこまでも面白いやつだな!」
バッツ「笑いどころじゃないだろっ!」

「……この先が不安だ…」

ポップとマリオは顔を見合わせると苦い顔をした。今回はこの2人が苦労しそうである。

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〜女性陣〜

「次は湯煎でチョコレートを溶かすわよ……」

ゼルダはもうこの時点で疲れ切ってしまっていた。まずユウはまな板を一刀両断するわ、ミソウはチョコレートを細かく刻みすぎてチョコレートが見えなくなるわリゼは素手でチョコレートを小さくしていき体温でチョコレートがドロドロになり手がドロドロになってしまうわ。
散々だったのである。シュウ、ゼルダ、ピーチはもううんざりしていた。これがまだ料理の序の序だと思うと気が遠くなる。

「まず、お湯の上にチョコレートが入ったボールをセットするわ。あとはゴムベラでゆっくり溶かす!」

今回はやらかさないだろうと希望を宿わせながらピーチがチョコレートを溶かしていく。シュウとゼルダもそれに続いて溶かしていく。流石のミソウもリゼもユウもその工程は分かったようで皆の真似をした。

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〜男性陣〜

「タツナ?!何やってるんだい?!」

「えっ、チョコレート溶かすんだろ?」

時リンが驚くとタツナはキョトンとしながら手を止める。タツナはチョコレートを溶かすからとお湯に直接チョコレートを入れ始めたのだ。

「それじゃあチョコレートとお湯が混ざってしまうだろう?こうやるんだよ。」

ポップはタツナのボールを取り上げるとゆっくりとチョコレートを溶かし始めた。タツナ達は「おぉ〜」と関心の目で見ながらその様子を見る。
ここで1つ注意をしよう。【まだ湯煎の段階である】湯煎をするまでここまで濃いものだとは誰も思うまい。

「……んっ、えっしょ。」

レイは不器用ながらもチョコレートを溶かしていく。レイの顔はチョコレートまみれで、チョコレートも少しお湯が入ってしまっている。
まな板を一刀両断するような凄い迷惑より、こういうシンプルに料理が下手な方が教えるのは大変である。

マリオ、ポップ「「(まだ湯煎の段階なのか……)」」

そう2人は今更ながら絶望した。

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〜女性陣〜

「何とか型に流せたわね…」

ピーチがふぅと一息つきながら壁に寄りかかる。ゼルダもである。ようやくチョコレートを各々好きな型に溶かし入れ、冷蔵庫に入れたところである。ミソウとリゼは笑いはしない物の楽しそうにジャンプしている。ユウは今までの事をメモっている。流石情報屋である。

『ガラッ』

すると家庭科室の教室があいた。そこには保険教員と聞かされていたレオナが立っていた。

「レオナ…!あっ、今はレオナ先生だったわね。えっと、それ…は?」

ゼルダは戸惑いつつレオナに聞く。レオナは「ああ」と困りながらも「ソレ」を差し出した。レオナは肩にイノシシ、シカを背負い、袋の中にはニワトリが入っていた。

「レオナが仕留めた訳じゃないわよね…?」

「当たり前じゃない。こんな野蛮なことしないわ……」

レオナは頬に手を当てる。最期の足掻き一同はレオナ先生とは初対面だったため、何も言わない。強いて言えば保健教員が動物の死骸を持ってきたクレイジーな先生という印象に残ってしまった。

「これは校長先生が仕留めたものよ。校長先生が『散歩してたらなんか捕まえてた』って言って分けてもらったのだけれど…私には手に負えなくて……」

レオナ先生も苦労してるんだと皆は思った。しかし、ゼルダもピーチも料理の基礎は叩き込まれているが、獣の捌き方等知らない。ミソウ、リゼ、ユウに関しては毛を剥いで骨以外生で喰らい尽くすためそれをしようとしたがレオナとシュウに止められた。

「なんとか処理できる人が居ればいいんだけど……」

「あっ、僕出来ますよ。」

ピーチがうーんと唸ると、シュウが手を挙げた。思わぬ人物に皆はシュウに注目を集める。

「あっ、僕酪農家育ちだから…ポケモンとこの動物の違いは分からないけど、大体構造は同じだと思う。」

そう言うとシュウは慣れた手つきで動物の皮を剥ぎ始めた。リゼ、ユウ、ミソウはそれぐらいはできるため、羽を剥いだり皮を剥いだりし始めた。

ーーーーーーーーーーーーー

「「やっと終わった……」」

マリオとポップがそう言って背中を合わせながらヘロヘロと座り込む。ようやくマフィンを焼くことが出来たのだ。料理の「り」の字も知らないタツナとレイの世話の上に、他にも料理なんて知らないメンバーがいたため苦労したのだ。

アイク「お疲れ。大丈夫か?」
バッツ「今日はありがとな。2人共。」

そう皆は労いの言葉をかける。2人はそれを見てこの役割を引き受けて良かったと心の底から思った。

「ところで皆これは誰に渡すんだい?」

レイがマフィンのラッピングをしながら皆に聞く。それよりレイのラッピング量が異常である。

タツナ「俺はシュウとミソウ」
バッツ「俺は…元の世界に帰って渡そうかと…」
アイク「俺はゼルダ…かな。」
時リン「僕は…ピーチ姫……」
クロコダイン、ピカチュウ、ポップ
「居ない(死んだ目)」

「フッ。滑稽だね。」

レイはこれぞとばかしに渡す相手が居ない3人をバカにし出す。3人はその言葉にイラついた。

ピカチュウ「ならレイは相手いるの!」
クロコダイン「そうだそうだ!お前も俺らの仲間だろうがっ!」
ポップ「レイだけリア充とか許せんぞ!」

そういうとレイはラッピングの中でいちばん豪華なのを選び…

「俺の相手はシュウでぇーす。」

と煽り顔をしながら言った。するとその場がシーンと静まり返った。

クロコダイン「ガハハハハ!結局男じゃねぇか!」
ポップ「レイ。君も俺たちの仲間だ。」
ピカチュウ「そーだそーだぁ!」

その皆の体温にレイはキョトンとする。

「え、シュウに渡すんだよ?別におかしくないじゃないか?」

その言葉を聞いて4人はお互いの話が噛み違っていると分かった。そして1度冷静になる。

「?あぁ。レイはシュウの事恋愛対象として見てるんだよ。」

一同『…?!』

タツナが当たり前だと言うように言うとレイ以外一同は驚く。
同性愛。最近世間が認めるようになってきたもの。同性での結婚も認められてきたぐらいだ。デリケートな話題であるため一同は何も言えなかった。
そして、施設では女は弱い。それは体の構造上仕方がない。そのため同性で群れることが多いため、施設内では同性愛など当たり前なのだ。

「ま、まあ、良いんじゃないか!お前の恋が実ることを願うぜ!」

飲み込みが1番早かったのはクロコダインだ。そう言ってレイに肩組みをする。レイは嫌そうな、照れてそうな微妙な顔をする。
クロコダインのその言葉で一同も雰囲気が柔らかくなった。

アイク「まあ、頑張ればいいんじゃないか?」
マリオ「レイも可愛いところあるんだね……ふふっ」
バッツ「彼女がいる身として、全力でアドバイスしてやるぜ!」

その怒涛のレイの恋愛応援ラッシュにレイは巻き込まれてしまい、顔を真っ赤にして動くことが出来なかった。

「俺もシュウのこと好きなんだけどな。」

「言うのが遅いよタツナ君。」

その騒ぎの中タツナはボソッと呟くが、時リンは呆れ笑いながらタツナの頭を撫でた。

こうして男子陣営のチョコレート作りは幕を閉じたのである。

ーーーーーーーーーーーーー

「ーっとこうして、内臓を取って……」

シュウが手際よく獣を処理していく。皮を剥いだ後はシュウ以外全員管轄外のため、シュウが教える側に回った。

「あ、この内蔵は食べれるからね。あと、この鳥達は丸焼きと照り焼きと……できた!」

シュウが処理を終わるとそこにはさっきまで死骸とは思えなかった新鮮な料理の材料が揃っていた。

「ここからならゼルダとピーチも料理出来るんじゃない?」

「完璧だわ…!ありがとうシュウ!」

ゼルダが手を合わせると早速調理に動いた。しかし、それをシュウが止める。

「あっ。待って。僕にいい案が…」

そう言ってシュウは明日の予定を話し始めた。それはとてもいい案で、皆の最後にピッタリであった。

「それいいわね!私校長先生に許可もらってくるわ!」

そう言ってレオナは早々に家庭科室を出ていった。そしてゼルダとピーチ、シュウは肉の下処理を始めた。

「えっと……私たちは……」

「「「3人は手を出さないで。」」」

ユウが言うと3人は揃ってそう言った。3人は不満ながらも、料理が下手なことを痛感したため、大人しく帰って行った。

シュウ「まず、ローズマリーを入れて……」
ピーチ「タイムも入れたらどうかしら?」
シュウ「あ!それいいね!」
ゼルダ「じゃああとはニンニクとパセリを入れて……」

そうして、女性陣のチョコレート作りは幕を閉じた(?)

    〜二日目。終了〜