二次創作小説(新・総合)
- Re: 最期の陰謀が導く学園生活【只今、戦士たちの愉快な日々コラボ】 ( No.58 )
- 日時: 2022/06/18 08:38
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: KqRHiSU0)
最終日。立ちはだかるリーダー。
一方その頃、アイク、バッツ、ユウはレイと校長先生を助けるべく図書室に向かっていた。校長先生なら校長室にいるだろうと言うアイクとバッツだが、ユウが図書室に居ると頑なに譲ろうとしないため図書室に向かうことになった。
『ドォン!ガラガラドドドド!』
すると図書室のドア越しから聞こえるほどの激しい衝撃音が鳴り響いている。
「なっ、レイ達が苦戦してそうだ。早く中へ……」
「ちょっと待って」
中に入ろうとするバッツとアイクをユウは止める。そしてゆっくりとドアに耳を傾ける。
「一体どうしたんだよ…」
バッツは疑問に思いながらもその様子を見る。ユウは数秒ドアに耳を当てた後ゆっくりと振り返った。
「間違いない。レイと校長先生がドンパチやってる。」
「「なっ?!」」
ユウは確信したようにコクリとうなづいた。
ユウもレイと校長先生との付き合いは長い。このような事など何回も見てきた。だからこそ、分かる、ユウにしか出来ない判断である。
「校長先生と、レイが?一体全体どうしたって言うんだ」
アイクが冷や汗をかきながら言う。バッツもユウもうーんと唸る。
『明日で終わり…か。良いのか悪いのか。』
バレンタインの日。校長先生にチョコを渡した時に言っていた校長先生の言葉に引っかかりを覚えた。当初はこの日々が終わり、また奴隷のように働かされるが、元の世界に戻れるから良いのか悪いのか分からない。そうユウは解釈していた。
しかし、今の出来事を考えると『最終日に亀ロボが大暴れするが、帰れるので良いのか悪いのか分からない』とも解釈を取れる。ということは、だ。仮にこの解釈を正とするなら"校長先生はこの事態になることを知っていた"という訳になる。
ダミは『レイや校長先生、マリオが居たら危ないけど、この中で2人は戦闘に参加出来ないよう仕向けさせて貰った。』と言っていた。ということは、だ。
「元々ダミと校長先生は繋がっていて、レイが戦闘に参戦するのを校長先生が防いでいる?」
ユウがボソリと言った。その言葉を2人が聞き逃すはずもなかった。
「何故そういうことになるんだ。」
「というか、なんで校長先生はダミに加担してるんだ?」
何にも分からない状況で急に結論を聞かされたアイクとバッツは同時にユウに疑問を投げかける。ユウは涼しい顔をしてこの結果になった考察を話した。
「……ということ。それと、校長先生がダミに協力してるのは脅されているから。校長先生がダミに協力してるのは……話すと長くなる。」
「なるべく手短に頼む」
アイクは真剣な顔でユウに言う。ユウはどう説明するか数秒考えた後にこういった。
「まず、ダミ……本名プラタナス・ナーヴァは死んでいる。」
「は?!えっ、じゃあ俺たちが見てきたダミは?! 」
ユウが衝撃の言葉を発するとバッツが混乱したようにユウに疑問をぶつける。バッツは極度の怖がり。今まで見てきたダミは幽霊なのではないかと気が気出なかった。そして、その幽霊によって作られたこの次元自体を恐怖の対象にするようになった。
「B.プラタナス。まあ、簡単に言えばダミの性格を丸コピしたアンドロイドだ。そのアンドロイドはコソコソとある計画を企てているんだが、今は関係ない。そして、重要なのはここからだ」
「"ある計画"が恐ろしく聞こえるんだが」
「大丈夫。ダミにしては珍しいまともな計画だから。それにこれは私たちの問題だから今は関係ない。」
今までダミがまともな事などしたことがなかったため、アイクは冷たい顔でユウに言ったがユウは軽く流した。
「で、重要なのは、故人であるダミと校長先生は兄弟だったんだ。」
「「えっ?!」」
「そして、校長先生はダミがアンドロイドとして活動していることを知らない。だからこそ、死んだはずの弟が急に現れて驚きと同時に、弟に味方したいと思ったんじゃないかな?」
ユウが長々と話す。バッツとアイクは情報量が多く頭がギャパオーバー寸前であった。その様子を見たユウはケラケラと面白そうに笑った。
「まあ、校長先生はダミに対して味方している。とだけ覚えてくれればいいよ。」
「あの冷徹な校長先生がそんな感情に振り回されるようには見えない。」
ユウの一言で複雑だったダミとの関係性等は飲み込み、アイクはまたユウに疑問をぶつける。
「まあ、確かにね。けどあの人。私達の中で1番感情に振り回されるタイプだから……それより、作戦会議だ。」
ユウは遠くを見つめるような虚ろな目で図書室のドアを見た。しかし、途中で切り替える。
「レイと校長先生が戦って、レイに勝って貰って、その後協力してもらうのはどう?」
バッツは早速案を出す。アイクも『それはいいな』と頷くがユウは首を横にふるう。
「校長先生は言わば化け物だ。人間だけどね。レイが数発のパンチであの亀ロボの片腕をちぎれるなら、校長先生は1発のパンチで片腕をちぎる。
それぐらいの戦力差でレイが勝てるかは絶望的だね。というか、レイはもう満身創痍なのかもしれない。」
その例えはレイと校長先生の戦力差をバッツとアイクに印象づけ、絶望させた。ならどうすればいいのだろうか。その前にレイと校長先生を連れていくべきなのか。
「どうすりゃいいんだっ」
バッツは髪をクシャッと握るとそう声を搾った。アイクも同じ意見であった。そんな中、軽く早い、人とは思えない速さの人物が近づいてきた。
「ユウ、バッツ、アイク! 」
「「「シュウ?!」」」
その人物はシュウであった。『何故ここにいるのか』『ベル探しはどうなった』様々な疑問が浮かんでいたがユウにとってはチャンスでもあった。
「なんでここにいるんだシュウ! ベル探しはどうした! 」
「それが色々あって……」
「分かった。後でそれは聞こう。それより、名案があるよ。」
しどろもどろなシュウに怒りに近い感情でアイクは怒鳴りつける。しかし、ユウはこれを好機と受け取ったようだ。
「名案って?」
バッツがユウに聞く。よくぞ聴いてくれましたと言わんばかりにたっぷり含んだ口調で言った。
「さっき校長先生は『私達のなかで1番感情に振り回されるタイプ』と言ったろう? それを利用するんだ。」
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右、左、下、左、次は上だろうか?いや違う腹だ!
そう思った刹那にみぞおちにパンチが繰り出される。レイは乾いた声にならない声を出すと吹っ飛んだ。
これで吹っ飛ばされるのは何回目だろうか。最初は校長1人ならばどうにかなると思った。思っていた。相棒であるポケモンZが参戦してきたのだ。中盤。俺は若干優位をとっていた。『いける!』そう思った瞬間。はかいこうせんが飛んできたのだ。そこには校長の相棒。ポリゴンZがいた。並のポケモンなら相棒が居れば対処出来るのだが、生憎ゲッコウガはこの世界に来られていない。その上、校長のポケモンZは並のポケモンじゃない。例をあげるのならはかいこうせんを反動なしで連発出来るところだ。
そのおかげでレイは移動場所が限られるようになりジワジワと追い詰められている。これは、負けるどころかここで土に還る事になる。さぁ、どうするか。
そうレイは頭をフル回転させていた。しかしどの方法をとっても負ける。万事休すか…その瞬間、図書室唯一のドアが開いた。
シュウ「えっ、僕がっ?!」
アイク「いいから。行け。」
シュウ「おわっ!」
シュウが図書室に入るとバタンと扉が閉まる。そこでシーンと沈黙が続いた。しかし、三つ巴状態でなく、レイも校長もシュウに意識を持っていかれている。どちらかと言うと心配していた。
取り敢えずレイはシュウが無事で胸を撫で下ろしたが、何故ここにいるのか。疑問であった。
「きっ、聞いてっ! 」
するとシュウが突発的に口を開く。レイと校長はもちろん聞きます。と言うように体をシュウに向けた。
「マリオ、ゼルダ、リゼ、レオナ先生が死力を尽くしてクッパロボから皆を守ってる!」
シュウがそう言うと、不思議と2人の脳内に汗水、血を流しながらも必死でみんなの為に戦う4人の姿が見えた。
「タツナ、ミソウ、クロコダイン、時リン、ピカチュウ、ポップ先生が、ベルを探してる!必死でピーチ姫を救おうとしてる!」
次は7人が白いマネキンのような謎の物体と戦っている様子が見えた。これはどういうことだろうか、2人は自然と脳内に皆の勇士が頭に流れてくる。
『その調子だよバッツ君』
『無理言うなよ今ユウが考えた魔法を使うって……こんな無茶な事ねぇぜ。』
バッツとユウの話し声がドア越しから聞こえてくる。あぁ、そういうことか。これは校長に情で訴える作戦をしているのだ。そう校長もレイも分かった。しかし、リーダーもピラミッドの一角、施設のリーダーである。こんな程度では1ミリもなびかない。
「お願い……2人共。助……けて」
するとシュウが膝から崩れ落ちて組み合わせた手を頭の上に掲げる。ただ、それだけの事だった。単なるお願いだ。ただの願いだ。所詮祈りだ。しかし、そのシュウの姿があの『2代目レイ』にそっくりであった。あの1人で皆を救い、1人で指揮をとり、1人で戦い続けて、キラキラの笑顔をしていたあの、2代目レイにそっくりだったのだ。例え2代目レイでなくとも、そっくり過ぎて本人でないのかと疑うほどのシュウのお願いは、校長の心を揺さぶるのに十分であった。
「……ポリゴンZ戻れ。」
「ジジジッ?! 」
しかし、ポケモンZは校長のようにチョロくはなく、必死で校長のことを止めていた。レイとドア越しから聞いていたユウはポケモンZだけでも殺してしまおうか。そう思っていた。しかし、校長が口を開いた。
「……もう一生。レイの願いなんて聞けないからな。」
校長のどこか寂しそうな顔にポケモンZはただそれを見つめることしか出来なかった。数秒たった後、自分からポケモンZはモンスターボールへ戻った。
「校長……」
レイは協力してくれると分かると名前をボソッと読んだ。
「先生をつけろ先生を。さあ、まずはピーチの居場所を教える。ベルの場所は知らないがな。おい。コソコソしてないで出てこい。」
いつもの流れのような会話をレイとした後、校長先生は図書室のドアに向かって呼びかけた。そこにはバツが悪そうなユウ、バッツ、アイクが居た。
「……バレてたんですか」
「最初から分かっていた。」
アイクがボソリと呟くと校長は当たり前だとでも言うように言った。バッツとアイクは顔を見合わせる。
「やっぱり私たちの会話聞いてたんですね。けど、相変わらず私とシュウとレイには甘いですよねっ」
ユウはニヤニヤしながら校長にいうが、校長は表情筋ピクリとも動かさずに図書室を出る。ユウの発言にはノーコメントのようだ。シュウ、レイ、バッツ、アイクもそれに続いた。
その間にシュウは何故ここにいるのかの経緯を話していた。シュウの『嫌な予感』を正しいのかと疑問に思うアイクとバッツ、レイであったが、シュウは2代目レイの双子で潜在能力は世界一を誇るということを知っているユウと校長先生は完全にそれを信用した。
すると、屋上へ向かう階段の踊り場で校長先生は止まった。
「校長先生。ここに何があるんですか」
アイクが冷たく校長先生に言う。しかし校長先生は微動だにせず、踊り場に設置されていた掃除用ロッカーを開けた。
『ッ?! 』
「ムー!ンムー!」
そこには手足を縛られ、喋れないようにタオルで口を塞がれていたセーラー服のピーチ姫がいた。それをバッツとアイクは優しく解いていく。
「亀ロボの額にいたピーチ姫は時間稼ぎのための罠だ。本物はここに押し込んだ……という訳だ。」
「うっわぁダミらしく性格わるぅー」
校長先生が静かにいうとユウが苦い顔をした。どうやら『ダミ』という人物は相当性格が悪いようだ。2人の会話を聞いてバッツ、アイク、ピーチはそう思った。
アイクとバッツがピーチの口の縄を解いた後……
「どういうつもりですの校長先生! 私をここに閉じ込めておいてっ! 」
どうやらピーチ姫を閉じ込めたのは校長先生であったようだ。ここに時リンがいたら憤激するだろう。アイクとバッツはここに時リンが居ないことに胸をなでおろした。
「すまん。話すと長くなるのだが……」
校長先生は事の顛末を説明した。ピーチ姫は賢く、途中の話に突っ込んだり意見せず、静かに聞いていた。
「……事情は分かりました。それより校長先生チョロすぎではありません?」
「また閉じ込められたいのか」
「いえなんでもありませんわオホホホホ」
ピーチ姫は校長先生の圧にかけられ、話を流してしまった。そして仕切り直しのようにピーチが口を開く。
「では、次はベル探し……という訳ですね。」
ピーチ姫がそう言うと皆はどこにあるのか、と考え始めた。
レイ「まず鉄の亀の中が有力候補だよね。もしかしたら既に見つけてるかもしれないね。」
バッツ「いや、さっき校長先生とレイに映像を見せたが、あの通りベルは見つけられずに何か白いものと戦闘をしてるから見つけてはないと思う。」
校長先生「キメラ正規品を模したアンドロイドか……ダミはおっかないことをするな。」
ユウ「正規品を模した?!」
ピーチ「な、なんですの?急に緊迫した雰囲気になって」
シュウ「話すと長くなるから端折るけど、簡単に言うと校長先生と同じぐらい強い物をダミが模して作ったものだよ。」
アイク「模した……って所が気になるが、校長先生と同等の強さだったらポップ先生達が危ないんじゃないのか」
バッツ「そうだね……ベル探しも兼ねて参戦した方がいいかも。」
校長先生「よし、決まったな次は亀ロボ内に入ってベル探しとポップ達の手助けだ。」
話がまとまり始めた頃、シュウは途中で違和感を覚えた。まるでベルがクッパロボの中にある前提で話が進んでいく。いや、ダミが言っていたのだからベルはクッパロボ内にあるのだろう。そう自己完結をしようとした時だった。シュウの頭が突然フラッシュバックする。
『君たちは"どこか"に隠されているベルを鳴らしてもらう。そうすることで、元の世界に戻れるよ。』
『どこか』に隠されているベル……
そうだ。元々クッパロボ内にベルがあるなんて言ってなかった。ただ、皆は流れを読んでクッパロボ内にベルがあると勘違いしてしまったのである。そして、それもダミの計算内だとしたら……
「皆ッ! ベルはクッパロボ内には無い!! 」
皆が歩を進めようとしたとき、槍のように鋭いシュウの声が響いた。それに一同は足を止める。
「……どういうことだい。シュウ」
レイが神妙な顔つきでシュウに問う。シュウは今まで思っていたことをそのまま口にした。皆は驚き、そして一周まわって冷静になった。
「ということは……だ。クッパロボ内と絞られていたのがこの次元のどこかと難易度が上がったわけか。」
アイクがいうとその場がシーンとする。この次元はどこまで広がっているか分からない。もしかしたら地球ぐらい広いかもしれない。そこら辺にある家の中にちょこんとあるかもしれない。どちらにせよ、もうすぐ日が落ちるのに見つけられるはずがない。
「……ベルは校長室にある」
校長先生がふと口を開いた。一同は振り返る。どういうことだと、皆はその疑問を瞳に乗せていた。
「推測の域を出ないが……まあ、ダミは見た通り愉快犯だ。完全な無理ゲー等用意しない。必ずどこかに引っ掛けがあり、改善策が用意されている。俺とレイを戦わせたのは図書室だ。それも俺が図書室にずっといるという俺の性格を見抜いた結果仕組んだ事だ。なら、校長室は必要とされない。そこを突いたて……と思う。」
校長先生が歯切れが悪く言う。しかし、この話は十分有り得る話であった。ダミは愉快犯であり、絶望するような無理のような問題は投げかけて来なかった。逆に発言の節々にヒントがあったほどだ。
「分かった。校長室に行こう。かと言ってポップ先生達もほっとけねぇ。正規品……?って初日に皆を気絶させたレイを圧倒するほど強い校長先生と同等の強さ何だろ?そいつが複数体も居た。心配でしかたねぇ。」
バッツが俯きながら言う。皆も同じ気持ちであった。どちらを優先するか、ベルか、仲間か。そんな問題は簡単であった。
「なら分かれましょう。校長室へ行くチームと仲間の援助チーム。」
ピーチ姫が両手をグーにして腕を振るう。丁度校長先生も同じことを考えていたようだ。
「そうだな。校長室までの道のりで何か妨害があればそこにベルがある証拠だ。妨害がない場合は他の道を探してくれ。
そしてチーム分けだが、俺とピーチで援軍に行く。残りは校長室に向かってくれ。」
「待って校長先生! 正規品って校長先生と同等の強さなんだよね?! 校長先生とピーチ姫で大丈夫……なの?! 」
「安心しろ正規品といっても失敗作ギリギリの奴らを"模した"ものだ。それに、俺1人じゃないからな。」
その時、校長先生はかつてユウが恋した『ドク』のように優しい表情を浮かべた。いつもと雰囲気の違う校長先生に皆は戸惑いつつ、信頼が厚くなった。
「分かった。俺らで校長室のベルを取りに行く!ピーチ姫をよろしく頼みます校長先生!」
「あぁ。バッツ。任せろ。」
その会話を最後に、2チームはわかれた。
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《ダミ》
あー気づかれちゃったかぁ。やっぱりドクの目は誤魔化せないか。それに、ユウも結構頭が回る。シュウはこれぐらい分かって当然だね。
さあ、クライマックスだ