二次創作小説(新・総合)

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.9 )
日時: 2017/04/09 21:55
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




7・闇の骸と十の庭師



白玉楼

ここは冥界に位置する白玉楼。裁きを待つ死者の魂が住まう所で基本的には静かであり、春には桜が舞い散り冬には雪が積もるという風情溢れる空間なのだ。冥界なので死なない限りここへは来られないが、星の夢の時空間転移プログラムの副作用により結界の境界が曖昧になってしまい、ひょんなことから迷いこむこともあるという。
ここの主である西行寺幽々子はゆらゆらと揺れる結界の境界を見据えていた。桜の花びらと共に桃色の髪が儚くそよぐ。

幽々子「結界が揺らいでいる……紫に何かあったのこそれとも現世に何かがあったのか………妖夢、調べていらっしゃい。」
妖夢「わかりました。………しかし幽々子様、そのような心配は無用かと。」

魂魄妖夢、彼女は白玉楼の庭師である。『半人半霊』と言われており人という存在でありながら霊と話したり切ったりできる。2本の刀の使い手であり立派な刀の使い手であった祖父を目指して修行中の身だ。彼女の目が鋭く空を見やると、黒い雲のようなものが辺りを包み、そこから異形の者が姿を現した。それは闇をまとったドクロの王、ネクロディアスだった。

ディアス「ここが冥界か………我らが住むには少し明るすぎるが………まあ良い、どうせ後で暗くすればよい話だ。」
妖夢「悪霊の類いの者の様ですね……ここに何の様ですか?」
ディアス「なに、大したことではない……計画の邪魔をされぬよう、未来の障害を消しておけとの話だ。」
幽々子「なるほど……あなたがここへ来たことと結界が揺らいだことは無関係じゃなさそうね。」
妖夢「今ならまだ猶予をあげます、お引き取りください。さもなければ、私はあなたを切らなければならなくなります故。」
ディアス「とんだご挨拶だな………いいだろう、切れるかどうか、試してみろ。」

ネクロディアスはそう言うと空から部下を呼び出した。ドクロをかぶった闇の塊が妖夢を狙う。

妖夢「それがあなたの答えだというのなら……私は使命を果たすまで、幽々子様はそこで見ていて下さい。」

妖夢は刀を抜き襲い来るドクロン達を切った。円を描くように舞い一線にて貫く、流れるような身のこなしによりドクロン達はあっという間に全滅した。しかしネクロディアスは顔色ひとつ変えない。きっとこのくらいは想定内なのだろう。

妖夢「さぁ、次はあなたの番ですよ。」
ディアス「ほう、なかなかやるな。どれ……お手並み拝見といこう。」

手を天にかかげそこから降ってきた杖を手にする。それを確認すると同時に妖夢は相手に向かって駆け出した。しかし降り下ろした刀は頑丈な手によって防がれる。

ディアス「甘い!その程度で私を切れると思うな!」
妖夢「ぐっ!?」

押し退けられ飛ばされる妖夢、しかし空中で体勢を整え再び刃を相手に向ける。そしてネクロディアスは杖に禍々しい力をため始めた。杖の先のオーブがバチバチと黒い電気を放っている。

ディアス「終わりにしてやろう……食らえ!」
妖夢「ぬぅっ……………」

放たれた魔力が妖夢にぶつかる。なんとか刀で防ごうとするも、勢いに耐えきれずもろに食らってしまった。そして煙が落ち着いた時、彼女は周りを見て絶句した。

妖夢1号「あれ……どうして私が……?」
妖夢2号「それに体も小さくなって……」
妖夢3号「私……もしかして分裂してる……?」

そこにいたのは10人の少し小さな妖夢だった。どうやらあの魔法は物を分ける魔法のようだ。刀を持つ手が震えており、どうやら力まで分裂されているらしい。

ディアス「フフフ……どうだ、今楽にしてやろう。」
妖夢1号「なんとか……なんとかしないと……」
幽々子「…………」

ネクロディアスがとどめをさそうとした瞬間、ひらひらと蝶がネクロディアスを包み込んだ。気を取られているとそれは光り輝き爆発した。

幽々子「逃げなさい妖夢、今のあなた達では敵わないわ。」
妖夢1号「しかしそれでは……」
幽々子「大丈夫、私を信じなさい。」
妖夢1号「………絶対、無事でいてくださいね!」

妖夢達は起き上がると同時に駆け出し白玉楼を後にした。ネクロディアスは光を払い幽々子に目をつけた。

ディアス「余計なことを………」
幽々子「次は私の番よ、あなたはもう死んでるみたいだから私の能力は通用しないだろうし、本気で相手しないとね………」

幽々子は背後に紫の扇のようなオーラを展開させた。そこから光る蝶が矢のように降り注ぎ、ネクロディアスも対抗して闇の雷をぶつけた。黒く輝く光が白玉楼を包み込む。幽々子が目の前の敵に集中していると背後から突然鋭い痛みが走った。胸には白いトゲが貫通し血が溢れており、幽々子はフラフラとよろめいた。幽々子を刺したそれはドクロン族の中でも特にエリートのドクロスのトゲだった。

幽々子「まさか……亡霊の体を貫くなんて………」
ディアス「我らも霊のようなもの……光を嫌い闇に消える一族だ。お前も我らと共に来てもらうぞ。」




幽々子「妖夢………ごめんね………私………」




言い切る間もなく幽々子は気絶した。ネクロディアスはぐったりとした幽々子を抱え、白玉楼の制圧を宣言した。

ディアス「………これで役割は果たしたぞ、ハルトマンよ。」






『白玉楼、制圧』