二次創作小説(新・総合)
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.19 )
- 日時: 2017/05/12 12:36
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: MgUgGnIS)
17・楽園が墜ちた日
天界
幻想郷の遥か彼方の上空、天人しか入ることが許されない楽園があった。毎日のように歌い、踊り、食べて暮らせるこの楽園の片隅では退屈そうに空を眺める天人がいた。その天人の周りに人はおらずそこだけ嫌に静かである。毛嫌いしているのか腫れ物を見るような目で見られているにも関わらずその天人は同じなかった。
ひとつ伸びをすると雲の隙間から赤い何かが近づいてくる。それは派手な衣を身にまとった竜宮の遣い、衣玖だった。
衣玖「総領娘様、お話がございます。」
天子「あら衣玖、どうしたの?」
衣玖「下界で起きていることについてです。」
衣玖は下界での侵略騒ぎのことを話した。それを聞いていた天子の目は輝いて見えた、おそらく自分もその中に入りたいと考えているのだろう。しかし相手は異世界の技術と闇の軍勢、規模が計り知れない上に紫やレミリア、妹紅など幻想郷でも屈指の力を持つ人々を打ち負かすことができる。そのことを話してもなお天子は考えを改めることはなかった。むしろ燃えているようにも思えた。
天子「異世界からの侵略者………ふふ、戦いがいがあるわ!」
衣玖「まったく………振り回される私の身にもなってくださいよ。すこし身勝手すぎますって。」
天子「だってここ毎日毎日飲んで踊っての繰り返しなんだもん、飽きてきちゃった。周りからの視線もなんか痛いしストレス発散よ!」
衣玖「はぁ………」
天子「それに………ちょうどいい相手も見つかったことだしね。」
天子の指差した先にはロボット兵を引き連れた黒い影が現れた。強大な霊力を放つその影と圧倒的な数のロボット兵を見た天人達は大慌て。我先にと逃げ惑う中天子はやっと退屈しのぎができると喜んだ。
天子「あら?あなたはいつぞやの巫女様じゃない。いったいなんでそんな所に?」
黒霊夢「ここを我らの領土とするためよ。太陽の光をたくさん受けられるここでなら太陽光発電が捗るらしいから。」
天人「へぇ………太陽の光で発電できるなんて世の中も変わってくわねぇ。なら当然、私を倒さなきゃいけないわけでしょ?」
黒霊夢「そうね、邪魔するなら容赦はしないわ。なぜそんなに嬉しそうなのかは知らないけど。」
天子「せっかく退屈しのぎができるんだもの、全力で抵抗してみせるわ!」
黒霊夢「まあいいわ………殲滅開始よ。」
霊夢の影の号令と共にロボット兵達は天人を捕らえる。空を埋め尽くすほどの大群にもはや死角など存在せず贅沢の限りを尽くしてきた天人達はなすすべもなく捕らえられてしまう。
そんな中天子と衣玖だけは最後まで抵抗し続けた。要石を投げ、雷を起こし、数は圧倒的に少ないが侮れない実力を持つ2人にロボット兵は戦いた。
天子「何よ、こんなんじゃ全然満足できないわ!」
衣玖「とっととお帰りいただきたいのですが。」
黒霊夢「さすが、腐っても天人ってことね。でもこれはどうかしら?」
黒霊夢は禍々しい霊力を弾幕に変えて放つ。雨のように降り注ぐ弾幕だが天子は緋想の剣を用いてそれを弾いた。しかしたくさんの弾幕をいっぺんにうけ天子は徐々に疲弊していった。
黒霊夢「どうしたの?まだまだこんなもんじゃないでしょ?ま、1度私に負けたあなたが影である私に勝てるわけがないわよねぇ。」
天子「まだ、よ………まだ、満足してないわ……」
天子が耐えていると突然黒い歪みが現れた。そこからはなにやら多面体に目がついたようなものがゴロゴロと漂いながら現れた。その多面体はさっさととどめをささずモタモタしている黒霊夢を見かねて出てきたようだ。ミラクルマターと呼ばれるその多面体はゆっくり浮遊しながら天子に近づく。その声はなんだか低く薄暗くところどころノイズがかかっていた。
ミラクル「遅い…………いつまでやっているつもりだ………」
黒霊夢「あらごめんなさい、満足させることに集中しすぎてたわ。」
ミラクル「………まぁいい………おい………ここからは俺が相手だ…………すぐに終わるさ………」
天子「ま、まだ敵がいるの?いいわ、やってあげる!」
ミラクルマターは体を岩石に変化させた。岩を作ってぶつけたり体当たりを仕掛ける中、重い一撃は確実に天子にダメージを与えていた。
天子「ぐっ………」
ミラクル「これでとどめだ………」
強大な岩石となったミラクルマターは天子めがけて突進してきた。しかし吹っ飛ばされたのは天子ではなく盾となった衣玖だった。衝撃が強かったのかかなり遠くまで吹っ飛び天界を支える雲を突き抜け落ちてしまった。
天子「衣玖!どうして………ぐあっ!?」
ミラクル「よそ見をするとは………なめられたものだ………連れていけ。…………まったく、高いのは気位だけか………天人どもよ。」
ミラクルマターの一撃を受けて気絶してしまった天子。他の天人は全員捕らえられてしまい、唯一の楽園だったこの天界もとうとう墜ちてしまったようだ。
黒霊夢「さすがは闇の中の奇跡………とらえどころがない相手なんて不気味でしかないわね。」
ミラクル「お前のその霊力は…………オリジナルのなせる技か。」
黒霊夢「こうして生まれたんだもの、オリジナルなんて軽く超えてやろうじゃないの。」
ミラクル「ならば…………もっと腕を磨き、心を黒く染めることだな………」
『天界、制圧』