二次創作小説(新・総合)

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.20 )
日時: 2017/05/15 21:01
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




18・悪夢に包まれた里



人里

幻想郷の中にある人里、そこにはまだ侵略者の手は伸びていなかった。しかし周りから響く震動や悲鳴は住人の不安は募っていくばかりだった。
そこで人里の自警団は対策を考えようと慧音が教師をやっている寺子屋に集まった。

男性A「ただでさえ妖怪達が蔓延っていて大変なのに……どうすれば………」
男性B「俺も確認しにいったけど……明らかに人間じゃなかった。それに見たこともない機械を使ってた……このままじゃここも………」
慧音「皆、落ち着いてくれ。子供の手本となる我々がこれじゃどうしようもない。ひとまず生徒達は自宅待機ということにしているが………」
女性A「小鈴さんや阿求さんのお店にも行きましたが、関する資料がぜんぜん無かったんです。」
慧音「そうか………それでは対処のしようがないな……」

自警団の人々は未知の驚異になすすべが無かった。人里の子供達は恐怖の日の連続で悪夢を見るようになってしまったという。そういう子供達は慧音の訪問により不安を解消させようとしているが、それでも体調を崩してしまうらしい。子供だけでなく自警団以外の大人も悪夢を見るようになってしまったという報告も受けている。

慧音「悪夢、か…………」
女性A「はい……見たこともない化け物が襲ってくるんだって………朝ご飯も食べてなくて………」
男性B「俺んとこもそうだった。あれから部屋にこもりっきりでよ………」
慧音「皆一斉に悪夢を見る………というのは、なんだか妙だな。」
女性A「やはり………どうすることも………」



『大丈夫だ。すぐにお前達も………』



どこからともなく聞こえてくる声に慧音達は辺りを見回した。すると教室の電気が突然切れ、空が黒い雲で覆われてしまった。完全に暗くなってしまった教室に突然大きな化け物が現れた。それは子供達が言っていた夢の中に出てくる化け物の特徴と一致していたのだ。

慧音「な、なんだお前は!?………さてはお前が悪夢を………」
ナイトメア「悪夢を見せたのは私だ。しかし恐怖を募らせたのは私ではない。ここに手を出さなかったのは恐怖心を植えつけ悪夢を見せて衰弱化させるのが目的だったのだが………どうやらお前達は心が強いようだな…………」
男性B「このやろう……悪夢から開放しろ!」

男性が近くにあったホウキでナイトメアを殴る。しかし実体が無いのかいくら殴ってもまるで手応えを感じなかった。

ナイトメア「無駄だ、悪夢に恐れている者が私に勝てるはずが無い。」
男性B「なんだと………?」
ナイトメア「それに、お前達は私に屈することになる。見ろ。」

ナイトメアは異次元から子供達を呼び出した。子供達は苦痛の表情でうなされている。

慧音「なっ………!?」
ナイトメア「子供だけではない、お前達を除く全ての住人が既に私の手の中だ。このまま悪夢を更に強くして精神を壊すこともできるのだぞ。」
女性A「………何が目的なんですか?」
ナイトメア「我々の力となってもらおう……」
慧音「力?」
ナイトメア「『奴隷として働かせるようにしろ』としか言われていないのでな………いずれわかることだ。」
男性A「奴隷!?そんな………」
慧音「………………わかった。」

慧音がそう言った瞬間、その場にいた全員が振り向いた。いつもなら抵抗しそうな慧音が真っ先に折れたのだ。慧音は手を固く握り、うつむきながら震えていた。それを見ていた自警団員は慧音に声をかけるのをやめた。

慧音「だから………子供達にはこれ以上悪夢を見せるのをやめてくれ………」
ナイトメア「………いいだろう。では……この門へ。」
男性B「お、おい慧音先生!」
慧音「………子供達のためだ……………わかってくれ………頼む………」

威勢のいいいつもの慧音の姿はそこにはなく、声は絞り出したかのようにか細かった。全員が従う意思を見せたのを知ったナイトメアは暗い歪みを作り出した。そこを通ってしまってはもう後には戻れない、しかし慧音達に拒否権は無かった。子供達に苦しい思いをさせるわけにはいかない。慧音はずっと口ずさみながら団員を引き連れ門の中部屋に入っていった。

ナイトメア「私が悪夢を見せるのをやめようと、子供達は悪夢を見続けるだろう。恐怖に打ち克つ心をまだ持たない子供はずっと恐怖を背負い続ける。それが大人だろうと度重なる恐怖が続けば自ずと心は砕け散る。さぁ、どこまで耐えていられるかな………フハハハハ…………」

その日から人里は悪夢と轟音に包まれた。






『人里、制圧』