二次創作小説(新・総合)

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.33 )
日時: 2017/07/23 22:16
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: a0p/ia.h)

frontstory >>32 >>20



30・十人の庭師と悪夢の里



プリズムリバーの洋館を去り、おみやげまで貰った妖夢。しかし、同じ妖夢でも少し性格が違うことがあるらしいと考えた。本来の性格が1号とすると
2号は優柔不断で性格は穏やか
3号は表現や手先が不器用だが勇敢
4号は臆病だが手先が器用
5号は怒りっぽいが即断力がある
6号は寡黙だが能力がすべてにおいて優秀
7号は勝ち気だが精神的なサポートが得意
8号はおっちょこちょいだが戦いのセンスは抜群
9号は戦いが下手だが落ち着いていて頭が切れる
10号は何もできず塞ぎがちだが潜在能力は1号よりも高い

互いの欠点が互いの長所を支えあいそれを1号がうまくまとめることで時には10人に分断される前の状態よりも圧倒的に早く物事を終わらせることができる。同じ自分なので好きなものも一緒で起きる時間も一緒。まるで鏡を見ているようで当初は驚いていたが廃洋館の一件以来個人個人の性格をも見抜いた。しかし顔がそっくりなので誰かわかるように額に数字を書いておいているのである。
人里に情報を集めに行く時もとにかく賑やかで妖夢1号は残りの9人を連れ歩くのに必死だった。まるで先生のようである。面倒見がよいところは従者の性なのだろうか。

妖夢1号「8号!ちゃんとついてきてますね!」
妖夢8号「大丈夫ですよ、9号と手を繋げば離れませんから!」
妖夢7号「10号はいざとなったらちゃんとできる子なんですから、そんなに塞ぎこまないで下さい、同じ妖夢じゃありませんか。」
妖夢10号「7号……すみません、いつもこんな調子で……」
妖夢3号「そうですよ!10号は器用貧乏ですから!」
妖夢6号「…………フォローになってません。」
妖夢4号「このまま何もなく人里に着けますよね……?」
妖夢5号「何かあったら私と1号でバシーン!と行くんで大丈夫ですよ。」
妖夢2号「9号、私とも手を繋ぎましょー。」
妖夢9号「いざというときに剣が抜けませんよ………」

と、いつもこんな感じではたから見れば遠足のようである。そっくりなので10人姉妹と思われていても仕方がないほどに。
ビクビクしている4号の心配とは裏腹に、ちゃんと何もなく人里に着いたようだ。






人里

近代的なビルが建ち並ぶ人里を見て妖夢達は驚いた。平屋が無く大通りでは人ではなく車が通っている。道を歩いている人もいるが何やらとても疲れているようで無機質な顔をしていた。

妖夢1号「ここって……本当に人里ですかね?」
妖夢9号「なんだか別の世界に来たみたいですね………」
妖夢2号「あの乗り物、遠いところに行くときは疲れなくて便利ですね。」
妖夢8号「困りましたね……いつも行ってる八百屋さんがわからなくなりそう……」
妖夢5号「とりあえず情報を集めましょうか。」

妖夢達は手分けして情報を集めに行った。ちょうど人里の中心に大きな広場があるのでそこで落ち合うことにした。何しろこの人里、元の人里とは倍近くの面積があり手分けでなければ日が暮れてしまうからである。とりあえず2人ずつで集めることにしたが、8号は絶対に迷うのでしっかり者の9号と組むことにした。






妖夢1号「あの……あまり元気が無いようですが、何かありましたか?」
村人「あぁ…………悪夢だよ。俺達は侵略者共に働かされてんだ。それでノルマ通りに行かなけりゃその日の夜は悪夢を見させられる。俺の娘が捕まっちまってるから抵抗しようにもどうにもならねえんだよ………」
妖夢10号「酷い………なんてことを…………」


村人「抵抗したら恐ろしい悪夢を見させられるらしくて……私の友達がそうだったわ、怪物に追われて食べられる夢よ………それからもう喋らなくなっちゃって。」
妖夢2号「それじゃあお昼寝できないじゃないですか!」
妖夢5号「2号、ツッコむところはそこじゃありません。」


村人「慧音先生も働かされてるらしくてな………侵略者のボスも先生もどこにもいないんだ。寺子屋も探してみたがいなかったからなぁ………」
妖夢8号「あの慧音先生まで………」
妖夢9号「悪夢の侵略者………油断はできませんね。」


各々情報を集めて戻ってきた。どうやらここは悪夢の侵略者『ナイトメア』によって支配されたらしく抵抗しようにも子供達を人質に取っているようでどうしようもできない。大きな工場に集められ仕事をするがノルマを達成できなかった人達はその日は悪夢を見させられるのだという。しかし慧音だけはどこにも姿が見えないらしい。

妖夢7号「これは大変ね………なんとかしないと皆さんの健康が心配です。」
妖夢2号「でもどこにいるのか見当もつきませんよ………」
妖夢1号「しばらくはしらみ潰しに探していくしかありませんね………」
妖夢4号「あ…………すみません、お腹が鳴ってしまいました…………」
妖夢3号「たくさん歩きましたからね………どうやらここには自動で料理が出てくるお店があるみたいですよ。しかも無料で。」
妖夢5号「じゃあ今回はここまでにしましょうか。『ほてる』という宿も取れましたし。」



こうして妖夢達の情報集めは終わった。この夜空の下では悪夢に苦しんで寝られない人がいる。それを止めることができるのは私達しかいない。何一つ情報が無くともあせらず確実に皆で頑張れば出来ぬものなどあんまりない。そう思いながら妖夢1号は眠りについた。