二次創作小説(新・総合)
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.37 )
- 日時: 2017/08/14 07:12
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
おまけ
移動店舗香霖堂
1・苦労人店主
香霖堂
ここは珍しい道具を取り扱う店、香霖堂。人里からは少し離れた場所にあるためなかなか客がこないらしい。しかしここも例外なくキカイ化されたのだが、ここの店主が最後まで抵抗したことにより爆破されてしまったのだ。なのでここに残っているのはかつて香霖堂だったものの残骸である。
そしてその残骸の山から眼鏡をかけた男が飛び出した。この男こそが香霖堂店主、森近霖之助だった。
霖之助「ぶはぁっ!はぁ……はぁ…………全く、いくらなんでもここを爆破するなんてやりすぎだ……とにかくまだ使えるものを探さないと………」
瓦礫をどかして使えるものを探す。しかし壺や陶器は粉々になり、機械類も破損により動かない。あるのはやかん、偶然残った空の薬ビン、動かないガラケーなどのガラクタ、そして古びた刀だけである。霖之助は悩みに悩み、そして考えた。
霖之助「せっかく異星人が侵略にきたんだ。こんなガラクタでも使えるかもしれないし、途中で珍しい道具が手にはいるかもしれない。そうと決まれば準備しなければ。」
すると霖之助はボロボロになった服を縫い合わせそれはそれは大きな鞄を作り上げた。シャツ、ドレス、ジャージ、ワンピースなどを合わせたハデなものだった。そしてその中に売り物を突っ込み歩く。
霖之助「おっと、これを忘れていたな。」
霖之助は落ちていた板に愛用の筆ペンに『移動店舗香霖堂』と書き首に引っ提げた。
紅魔館
ハルトマン社の支配を退けた紅魔館。しかしまだまだ工場っぽさはあちらこちらに残っており、カービィのロボボアーマーが無理矢理作った道の修繕はまだかかりそうだった。力仕事は美鈴と何人かの妖精メイドがやっているのだが、ぶっちゃけ美鈴だけのほうが捗りそうな気がしてきた。それにしてもあたり一面が知らないもので覆われている、あの機械の残骸はもともとは何に使うものなのだろう、と考えていると気づいたのか美鈴がやってきた。
美鈴「随分とハデな鞄ですが……行商人ですか?」
霖之助「まあね。店が(物理的に)潰れてしまってね、ガラクタをかき集めてこうして売り歩いているんだ。」
美鈴「はぁ………とりあえず中に入って下さい。かなり散らかってますけど。」
パチュリー「あら、来客とは珍しい。………今そんな柄の鞄が流行っているのかしら。」
霖之助「そんなことはないよ。有り合わせのもので作っただけさ。何か使えるものがあれば売ってあげるよ。」
そう言うと霖之助は鞄からガラクタを引っ張り出し、床に並べた。どれも珍しいことには珍しいが、使えたり役に立つかというとそうでもないものばかりだった。そんな中、パチュリーがひとつのガラクタに手をかける。
パチュリー「これは何かしら?」
霖之助「それはやかんだね。中に水を入れて下から火で炙るとお湯を作ることができるそうだよ。」
美鈴「いいですねー!……実はお嬢様御用達のティーセットが全滅してまして……」
パチュリー「私もお湯は作れるけど入れ物が無くて困ってたのよ。まだまだ野ざらしの状態だから温かい飲み物が飲めるのはありがたいわ、いただいてもいいかしら?」
霖之助「もちろん。」
霖之助は驚いた。まさかこんなガラクタが売れるとは思わなかった。やはり出かけて正解だったようである。しかしこの状況ではお金を出すことは難しいだろう。という事で霖之助は物々交換ということで応じた。
パチュリー「そうね………今はこれしかないのだけれど、それでもいいなら。」
パチュリーが渡したのはランプだった。薄暗い図書館の中でも本が読めるように使っていたものだったが、長く使ってきて油もれするようになったので使わなくなったのだという。
パチュリー「今は炎の賢者の石でなんとかなるのよ。それは直せばまだ使えると思うわ。」
霖之助「そうだね……直してみよう。」
霖之助は工具を取りだしランプを直した。すると見事に油もれは直っていた。ついでに持ち手のぐらつきなども直しておいた。
パチュリー「………ついでに炎の賢者の石のかけらを分けてあげるわ。燃料には困らないはずよ。」
霖之助「ありがたい!ずっと使い続けることができるランプか………これはいい買い物だ。」
美鈴「もう行かれるんですか?」
霖之助「行商人は足と時間が命だからね。ありがとうパチュリー、このランプは大事に使わせてもらうよ。」
パチュリー「ええ、またいつでもどうぞ。」
美鈴「さよならー!」
霖之助はふたたび歩き出した。やはりガラクタでも使い道はちゃんとある。キチンと手入れをしてやれば貰ってくれる人がいるかもしれない。願わくば僕の持っているものが全て売れることを夢見ながら、歩みを進めた。