二次創作小説(新・総合)

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.41 )
日時: 2017/08/26 20:54
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




4・無垢なる暴君



不思議なタマゴは星空から落ちた星のように儚く光っている。カービィと同じくらいの大きさのタマゴだ。

レミリア「タマゴが、光ってる………?」
パチュリー「なんでタマゴがこんなところに……もしかして、竜の?」
メタナイト「まずいな………それが本当なら親が黙ってないだろう。」
美鈴「じゃあ……幻想郷が湖に沈むってことですか!?」
咲夜「まだそうと決まったわけじゃないわ。ひとまず孵してみましょうか。」
メルラン「え……?食べないの……?」
ルナサ「光ってるタマゴなんて食べたらお腹壊すわよ。」






しかし、そこにある兵士がやってきた。

兵士「お前らが紅魔館を奪還した先住民どもか!警告する、そのタマゴは危険だ!地面に置いてすぐそこから離れなさい!」
レミリア「いきなり何言ってるのよ!」
兵士「そのタマゴはドラゴンのタマゴだ、我々が特殊改造を施して造ったものだ。お前らに勝てる相手ではない!さぁ、それを渡せ!でなければお前らの世界は海に沈むぞ!」
咲夜「お嬢様、いかがいたしましょう?」
レミリア「目上の人に対する言い方ってものを知らないようね……それにさんざんキカイ化しておいてその上脅迫?……愚かしいにもほどがあるわ!」
兵士「警告はしたぞ……では見せてやろう!プロダクトNo.O-3425『タイダリアス』!」

兵士の声と共にタマゴの輝きが増す。そしてその殻を破り天を突き破るほどの黒い竜が姿を表した。竜の荒々しさや神々しさ、人工物の無骨さや飾り気の無さを組み合わせた人造竜の放つ威圧感は今までに感じたことがないものだった。兵士はリモコンを使い竜を従えようとしているようだ。

兵士「さぁ、反逆者を食らうがいい!」

しかし、竜は生みの親である兵士を食べようとしている。

兵士「お、おいやめろ……よせ………よせ!ぎゃああぁぁぁ!!」
咲夜「うそ…………」
メタナイト「おそらく無理矢理孵化させた為に理性がうまく働いていないのだろう。あの竜はまだ赤子同然だ、善も悪もわからない。だが自分が竜であり強大な存在であることを学んだようだ。これほど厄介な相手はないぞ……」
美鈴「まさか伝説の竜に会えるとは………感激です!」
パチュリー「あなた幻想郷が沈んだあとでも同じ事が言える?」
リリカ「わ、私達戦えないから隠れてるね……」
ルナサ「力が無くてごめんなさい……」
メルラン「みんな、がんばって!」

タイダリアスは湖に飛び込んだ。すると渦巻きを作りながら湖の水位が上昇していく。どうやらタイダリアスは水を操る程度の能力を持っているようだ。

レミリア「やるわよみんな!幻想郷が沈む前に!」
全員「「おー!!」」



タイダリアスは水しぶきをあげ飛びだしレミリアを飲み込まんと突進してきた。難なくかわしグングニルを突き刺したが鎧のような鱗に弾かれてしまった。長い胴体を翻し突進攻撃を繰り返すも全く当たらない。すると今度は湖の水で大きな水泡と水槍を作った。水泡はゆっくりと、水槍は一直線に進んでくる。水泡の中は渦を巻いていて泳いで出ることはできず、水槍は水でできているといえど地面を軽く穿つ威力をもつ。

メタナイト「あの泡と槍が厄介だ………カービィ!アイスモードで凍らせるんだ!」
カービィ「ぽよ!」
美鈴「となると相応の氷塊ができるはず………ここは私の出番ですね!」

ロボボアーマーのファンが冷たい風を送り出すと、水泡と水槍は凍りつき地面に落ちてきた。するとできた氷の塊を美鈴が思いっきり蹴り返しタイダリアスの顔に当てた。タイダリアスは一瞬怯んだがまだ倒れはしなかった。むしろ体に赤い線が通るほど怒り狂い攻撃が激化する。
怒り狂ったタイダリアスは水のブレスを吐き辺りを凪ぎ払う。そして湖の水が渦を巻き高く舞い上がり、増やし、大きな波を作り上げた。それは幻想郷の全てを押し流すには申し分ない水量だった。

パチュリー「まずいわね………こあ、カービィ!全力で凍らせるわよ!」
小悪魔「わかりました!」
カービィ「ぽよぽよ!」
パチュリー「合体魔法……グレイシャーストーム!!」

カービィの冷気をパチュリーの風魔法で増大させ、小悪魔の補助的魔力でさらに効果は増していく。全ての生を殺す氷河期をもたらすかのごとく荒れ狂う吹雪の嵐は波が押し通る前に凍らせた。レミリア達はなんとかこらえたがタイダリアスは浮いていた上に体も大きい。冷気の嵐にもまれ疲弊しきっていた。湖も凍りつき水泡も水槍も作れない。そんなことは知ったことかと何度も突進やブレスを繰り返す。親もおらず何もわからない、兵器として造られた命を持って暴れ狂うその姿は哀れな運命に抗っているようにも見えた。

レミリア「哀れな子ね…………せめて安らかに逝けるようにしてあげるわ。」
メタナイト「竜は追い詰められた時こそ本領を発揮する。気をつけなければ。」
咲夜「確かに……何か様子が変ですわ。」

タイダリアスの赤い線が白くなっていき、狂暴さが更に増していく。強烈な寒さに耐える為か体中のエネルギーをフル回転しているようだ。そしてすぐに無くなるエネルギーを確保する為にレミリア達を食べようとしている。

美鈴「つまり、耐えしのげばそのうちエネルギーが無くなって………」
咲夜「死ぬ……ということですね。」
メタナイト「ああ……だがこれは至難の業だ。なにしろ向こうは生死をかけた戦いだ、そう簡単に耐えさせてはくれないだろう。」
レミリア「それでもやらなきゃならないのよ、この世界の為にも!」


命をかけた竜は全ての存在を凌駕する。しかしやらなければならないのだ、脆く儚いこの世界を守る為に。