二次創作小説(新・総合)
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.45 )
- 日時: 2017/09/17 00:04
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
frontstory >>44
37・枯れた妖精の星
リップルスター
王宮を見るリボンの目は震えていた。今まで過ごしてきた王宮が今や瓦礫の山である。早苗と雛は声をかけることができずただそばにいることしかできなかった。肩を揺らしすすり泣くリボンの泣き声はだんだん大きくなってしまい、早苗はリボンの肩に手を乗せた。するとリボンは早苗に抱きつきまた泣いた。早苗は優しくリボンの頭を撫でるとしばらく経つうちに眠ってしまったようだ。
早苗「辛かったでしょうね……」
雛「見知らぬ世界で一人ぼっちで、大きな脅威に追われて……私達も同じくらいの経験をしたけど、この子には辛すぎることだものね……」
『あの………』
奥から大きな女性が現れた。メガネをかけており王冠を被っている。背中に羽が生えていることからこの星の女王なのだろう。
早苗「あ、あの、あなたは………?」
女王「私はリップルスターの女王です。あなた達はここでは見ない顔のようですが、どうして……」
早苗と雛はここまでの状況を説明した。
女王「なるほど…リボンは頑張って助けてくれる方を探してたのですね………来てくださり本当にありがとうございます。服がボロボロですね、よろしければ近くに湖がありますのでそこで水浴びをしてみてはいかがでしょう?代わりの着替えも用意させますね。」
早苗「女王様以外にも住人はいるんですか?」
女王「リボンが隙を作ってくれたおかげで被害は最小限に済みました。本当に、あの子には感謝しなくては……」
水浴びをした後、早苗と雛は代わりの妖精の服に着替えた。全身を優しく包み込むような肌触りの生地とほんのり香る花の香りがなんとも気持ちいい。王宮に戻ると女王は住人に復興の指揮をとっていた。その中には目を真っ赤にしたリボンもいる。
早苗「リボンちゃん……大丈夫ですか?」
リボン「はい、もう大丈夫です。……申し訳ありません、あなた方も辛い思いをされているのに……」
雛「気にすることはないわ、今はできることをやっちゃいましょ!」
女王「まずは一刻も早く王宮を建て直さなくては……活動の中心となる場所ですから。」
早苗「ふっふーん!それなら私にお任せを!この奇跡の力で、どーんと直してみせます!」
早苗は離れているよう指示し、呪文を唱える。すると瓦礫の山が持ち上がり、時間を遡るようにして王宮が再建、復興していく。そうして王宮が元通りの状態になると早苗は呪文をやめヘトヘトになって座り込んだ。
リボン「さ、早苗さん………すごいです………」
早苗「これが……奇跡の………力よ………」
雛「あなたもよくやるわねぇ……」
リボン「雛さんにも何か能力が?」
雛「私の能力?私は無力な方がいいのよ、いろいろとね。」
(ここには不運に抗い希望に満ちた人が大勢いる。希望の中での私はきっと無力だけれど、それが原動力となっている皆の邪魔はできないわ。)
リボン「?」
早苗と雛の協力もあり、リップルスターの復興は予想以上に進んだ。枯れ果て荒れ果てたリップルスターの平原には少しばかりの草木が宿り、建物も少しずつ元通りになってきている。その手伝いをしている早苗の目にはもう自責の念はすっかり無くなっていた。むしろやる気と自信に満ちた目をするようになった。おそらく『やりがい』というものを感じるようになったのだろう。それは雛にも同様であった。
リップルスターの植物は頼もしいもので、花の種は数日するうちに花になり荒野だった星に彩りが戻った。あと1週間ほどで植えた花の種は全て咲くらしい。
早苗「妖精の国の植物ってずいぶんと力強いんですね。」
雛「そこに最後まで諦めなかった不屈の精神を持つ妖精さんがいるじゃない。」
早苗「もっとか弱い存在だと思ってましたからね、ビックリです。」
女王「お二人のおかげで植物達も喜んでいますわ。さて……今日はもう遅いですし、休みましょうか。明日にもやることはありますから。」
早苗「何かありましたら遠慮せずに頼って下さいね!」
雛「そうね、早く元の生活に戻してあげられるようにしましょう。」
1日を通して行われた復興作業はこうして幕を閉じた。最後まで自分のやるべきことをやりとげたリボン、自責の念に耐えやりがいを見つけた早苗、2人は希望に満ち溢れていた。
そして、それを見ていた目玉がひとつ。
リムラ「リップルスター、着々と復興が進んでいるようです。」
リムル「ミラクルマター様、いかがいたしましょう?」
ミラクル「希望を絶望に染め上げてこそ我らは成り立つ………あいつが異世界の者を連れてきたことは計算外だったが、まあいい………準備ができ次第、襲撃を仕掛けろ。」
マホロア「そんなことしてまで女の子を泣かせたいだなんて、君ってよっぽどゲスいんだネェ。」
ミラクル「絶望こそ我らの糧………闇の軍勢である我らに希望など不要………そして鏡の前でもう一度同じ事を言ってみろ。」