二次創作小説(新・総合)
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.61 )
- 日時: 2018/01/03 18:43
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
frontstory >>23 >>32-36 >>50
おまけ
移動店舗香霖堂
3・人里の夜明け
人里
霖之助が次に訪れた場所は多くの人間が住む人里だった。ナイトメアの悪夢によって支配下に置かれていた人里だったが妖夢達の働きによりナイトメアは人里を放棄、結果として人里は奪還できたのである。霖之助が驚いていたのは人里の風景である。平屋が並ぶいつもの町並みとは違い、立ち並ぶビル群、整備された道路、そしてそこを走る自動車。霖之助にとってはそこはまるで別世界の一部を切り取ったような世界となっていた。住人も作業着じみた服を着ているし、ところどころ体調が悪そうな顔をしている。
霖之助「いったい、この人里で何があったんだ…河童の技術を遥かに凌駕している……これは思わぬ掘り出し物がありそうだ。」
霖之助は浮いた服装で人里に入っていった。
霖之助「失礼、ちょっといいですか?」
老婆「あら、お客さん?ちょっと待っててね。」
ひとまず霖之助はビルの1回に住んでいる老婆を尋ねた。見たこともない機械を使って鉢植えに水をあげている。老婆はスイッチを切って霖之助を中に入れた。中には他にも見たことのない機械が日用品のようにそこに置かれていた。
老婆「さぁさ、そこに座って。」
霖之助「ありがとうございます。おや、奥で眠っているのはお孫さんですかな……?」
霖之助は居間で寝ている少女を見た。そしてよく見たあとに絶句した。なんとレミリアと顔立ちがそっくりなのである。おそらくその子とレミリアを並べたら誰もが双子だと思わなかった。
老婆「やっと帰ってきたんですよ……長い間悪夢に捕らわれててねぇ……」
霖之助「悪夢に、ですか………」
老婆「ええ。子ども達が侵略者に捕まり、人質として若い人達が働かされたんですよ……それはもう大変な日々でした。しかし誰かが侵略者を追い払ったお陰で子ども達が解放されたんです。でも、なかなか目を覚まさなくて……」
霖之助「そうですか……実は私、行商人をしているんです。」
老婆「あら、だから訪ねられたんですね。」
霖之助「ええ、しかし、あいにくガラクタばかりなんでこれくらいしか無いんですよ。」
霖之助はさとりからもらった不思議なしおりを手渡した。しおりをしっかりと握った老婆は目を閉じて思いでに浸っている。そして目を開けると霖之助に深々と礼をした。
老婆「ありがとうございます行商人さん。これ、不思議なものですねぇ。」
霖之助「ええ、何もかもが変わっていくこの世の中、変わらないのは思いでだけですから。」
老婆「ああ、レミリアちゃんも元気かしら……あ、ちょっと待っててください。」
老婆はタンスからお香を取り出した。なんだかやすらぐ香りが広がっている。
老婆「この子がよく眠れるように作ったお香です。これくらいのものしかなくてごめんなさいね。」
霖之助「そんな、とんでもない!では、失礼します。」
霖之助はそのまま人里を後にした。悪夢から解放された人里はまだその傷痕を残していながらも少しずつよい方向へ向かっている。まるで長い長い悪夢から覚めたように、人里の夜明けが広まっていた。
霖之助「悪夢まで使えるなんて……侵略者はいったい何者なんだ……?」
霖之助はお香を手にしながらも次の売り場へむけて歩いていった。通った道には安らぎの残り香がただよっていた。