二次創作小説(新・総合)

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.63 )
日時: 2018/01/21 10:38
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>62



46・魔理沙式捕鯨戦術



地底湖

地底湖のヌシ、大きな鯨のファッティホエールは魔理沙の何倍も大きい。セーラー服を来てパイプをふかしたファッティホエールは物珍しげに魔理沙達を見つめる。魔理沙とドロッチェはあまりの大きさに怯んでしまう。

魔理沙「でっけぇ魚だ………」
ドロッチェ「いや、こいつは鯨だ。海の生き物だが厳密には魚ではない。」
魔理沙「なぁ、私腹減ったぜ。こいつ釣り上げてステーキにできないかな。」
ドロッチェ「待て。確かにここは涼しいし腹は減ったが……ここは地底湖だ。なおかつあの鯨は大きすぎる。刺激しないように通りすぎよう。」
魔理沙「…まぁ、生き埋めにされるよりかはマシだけどさ。」

ファッティホエールの目の前をゆっくりと歩く魔理沙達。大きな目線が痛いくらいに身体に突き刺さるが魔理沙は気にせず先へ進もうとする。するとどこからか声が聞こえた。声というか特殊な超音波のような声であり、直接頭に響いてくる。







『待てぃお前ら、この先へ進む気か。ならワシの相手をせぇ。』







声を発しているのは紛れもなくファッティホエールだった。

ドロッチェ「鯨は特殊な超音波を出してコミュニケーションを取るというが……お前の声か?」
ホエール『それ以外に誰がおる?ネズミや人間なぞにこんな芸当はできるまい。』
魔理沙「お前、いつからここにいるんだ?」
ホエール『わからん。海を泳ぎ疲れ休もうと入江に入ったはいいが、閉じ込められてしまってな。いやぁ、陸に生きる動物を見たのはいつ以来か……ましてや人間なんかなおさらだ。』
魔理沙「寂しいんだな、お前も。」
ホエール『くんくん……なんじゃお主、変な匂いに包まれておるぞ。』
魔理沙「そりゃ、私はこことは違う世界から来たんだ。でもそんなに臭くはないと思うぜ?」
ホエール『ほぅ……他の世界から……それはそれは、慣れぬ世界は辛かろう。』
魔理沙「へっ、鯨に心配されるいわれはねぇよ。それよりもういいか?私達は急いでいるんだ。」
ホエール『なに、まだまだつきあってもらうぞ。そうだ。お前達、ワシを陸に上げてみろ。』
魔理沙「何言ってんだよ!できるわけねぇだろ!」
ホエール「なら、この先へ行くのは諦めぇ。ハッハッハッハ……」
ドロッチェ「なんということだ………」

ファッティホエールの大きさは相当なものだ。恐らくそれなりの重さがあるだろう。それを陸に上げるのには無茶がある。全員の力を合わせてもファッティホエールを陸に上げることは不可能に近い。ドロッチェはひとまず団の中で最も大きく力持ちのストロンに話を持ちかける。

ドロッチェ「ストロン、できるか?」
ストロン「たぶん無理だよぉ〜……お腹すいちゃって力出ないし、そもそも引き上げるロープが無いとねぇ〜……」
ドロッチェ「そうか……」
魔理沙「…………お?そうだ、いいことを思いついたぜ。上げるのが無理なら向こうから上がってもらえばいいんだ。」
ドロッチェ「どういうことだ?」

魔理沙はニヒヒと不敵な笑みを浮かべると、持っていた八卦炉をいじくりだした。

魔理沙「北風と太陽って話知ってるか?」
ドロッチェ「北風と太陽が旅人の服を脱がそうとする話だろ?」
魔理沙「そうだぜ、で、どっちが勝った?」
ドロッチェ「太陽………おい、まさか………」

合点がいったドロッチェは魔理沙のやろうとすることを考えて驚いた。まさか湖を加熱してファッティホエールを陸に上げようというのか。地底湖はファッティホエールが悠々と泳ぎ回れるほどの深さと広さを誇る。海ほど広くはないにしろこんな水量を加熱するには相当な装置がいるはずだ。魔理沙はそれを手のひらサイズの小さな機械でやるつもりなのだ。

ドロッチェ「できるのか?」
魔理沙「もちろん、私のパワーを甘く見るなよ!マスター……スパーク!!!」

魔理沙は八卦炉から凄まじいほどの光線を放った。その光の輝きは湖の奥まで照らし、その光の熱量は湖の底にまで熱を届ける。湖の強度、水の温まり方を計算した魔理沙はじょじょにマスタースパークの威力を上げる。そして数時間後、静けさを保っていた地底湖はグツグツの状態となっていた。





ホエール『あっちいいいぃぃぃぃぃ!!』





熱に耐えられずファッティホエールは思いっきり跳ね陸に上がった。その衝撃は凄まじく天井の鍾乳石がいくつか落下してきたのだ。

魔理沙「やったぜ。」
ドロッチェ「まさか本当にやってのけるとはな……」
ホエール『地底湖を茹でるとは……異世界の考え方は違うのぅ……』
魔理沙「ほら、もういいだろ?」
ホエール『よかろう、先へ進むがいい。ワシは楽しかったぞ。』
魔理沙「お、おい。まだ熱いぜ?入っちゃだめだ。」
ホエール『鯨の脂肪を甘く見るなよ、さぁ行けい。』

そう言うとファッティホエールはズリズリと体を引きずりながら温かい地底湖に戻っていった。









水晶の畑

地底湖の先には大きな水晶で埋め尽くされた空間が広がっていた。床にも水晶壁にも水晶、さらには天井にも水晶がある。ドロッチェがランタンに火をつけるとその光は水晶にも伝わり空間全体が明るく包まれる。ドロッチェ達は水晶の輝きに包まれながらも歩いていく。

魔理沙「水晶のバーゲンセールだなこりゃあ。しかもずいぶん良質じゃないか、何個か持ってこうかな……」
ドロッチェ「まぁ文句は言われないだろうが……おお、早速宝箱だ。」

ドロッチェは小さな池に落ちていた宝箱を拾う。

魔理沙「今度は私にやらせてくれ!」
ドロッチェ「ああ。」

ドロッチェは魔理沙にピッキング装置を貸す。しかしどけだけ時間がかかっても宝箱が開くことはなかった。

ドロッチェ「大丈夫か?」
魔理沙「うぅ〜イライラするぜ……こんなに時間がかかってるんだから相当なお宝じゃないと怨むからな!」

するとガチャッという音が響き、魔理沙は宝箱を開けた。そして中に入っていたのはピカピカに輝く10円玉だった。

魔理沙「んがあぁぁ!!こんなに頑張って結局10円玉かよ!はぁ……疲れた………」