二次創作小説(新・総合)
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.38 )
- 日時: 2024/01/28 16:56
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
今回の物語の舞台は千将高校。芳賀九瓏の母校で、長い校歴があること以外は特に特色の無い高校である。一応、近年は甲子園常連校になりつつあるようだが、甲子園で目立った成績を収めたことはまだない。
今日も今日とて、1日の授業を終え、放課の時間になる。
野球部員一同は更衣室に移動し、ユニフォームに着替えた後、校庭のグラウンドの一角に挨拶をして練習を始める。いつもの光景だ。
だが、私達が普段目にしない部分では、もう1つの日常が送られているのであった……
「……という訳で、以上が部員の練習中に私達が行う業務になります。何か質問はありましたか?」
「レンはもう仕事に慣れたから大丈夫だけど…… 阪奈さんは大丈夫ですか?」
「うん、一通りは大丈夫! 確認を取りたい時は直ぐに話すから、その時はお願いね! ……でも、皆凄いんだね。まねーじゃー、っていうのも大変な仕事なんだね」
「その通りです。私達は直接野球をするわけではありませんが、野球に対する熱意は他の部員達と同様、強く持っています。ですから、こうした裏方の仕事などを手伝う形で、彼らがより野球に注力出来るよう努めているのです」
グラウンドの角際で確認をとっていたのは3人の女の子。
1人は四角いメガネをかけた如何にも理知的なマネージャー、真祢田 紗穂。
1人はピンク色の長髪の上部をツインテールにした今はまだ気弱な後輩マネージャー、片桐 恋。
そしてもう1人は…… 何故かこちらの世界に遊びに来ていた狩野阪奈であった。
曜「けど驚きましたよ。まさかキャプテンがあの異界から女の子を連れてくるなんて」
拳一「それなー。てっきり九瓏の奴はそういう色恋みたいな話には無縁だとばかり思ってたんだけど……」
大心「しかもいきなりマネージャー志望らしいじゃないか。随分と気に入られてるようだな!」
九瓏「……俺はこれでも止めたんだよ; だが、アイツは一度やると言ったらなかなか止まらないからな…… 矢部じい監督への説得が思ったよりすんなり進んで良かったぜ…………;」
ランニングを終えたメンバーは次に体操へと移る。その際、現在に至るまでの顛末を部員達にせがまれていたのだ。
まぁ実際何があったのかというと…………
─────────────
「私も学校行きたい!!」
「「「いや本当に唐突だな(ね)(ですね)!!!???」」」
阪奈「私も皆みたいにがっこーせいかつ?っての、やってみたいの!」
雷那「そう簡単に言うけどねぇ……;」
迅「転入にはどうしたって試験とか書類とか、こう……複雑なやり取りが必要になるわけですよ」
九瓏「こっちの言語や常識も十分理解が出来てない阪奈をいきなり高校に通わせる……ってのは、流石に無理ある話だよな……」
阪奈「えーっ!? じゃ、じゃあさ! せめてこう、がっこーせいかつを近くで見れるような事って出来ないの!?」
九瓏「そんな事言われたってな…………」
迅「………………? いや、待ってください。九瓏、貴方たしか野球部でしたよね?」
九瓏「? それが今なんの関係になるって……」
迅「いえ、野球部でしたら『OB』でしたり『外部誘致のマネージャーやらコーチ』だとかで理由づけしてあげれば、一応部活内くらいなら同伴させれるのでは、と思いましてね……」
雷那「うっわ、迅天才じゃん」
九瓏「はァ!? 俺が受け持てってんのかよ!?」
阪奈「えー! 良いじゃん九瓏! 本っ当にお願い! 野球のルールとかちゃんと覚えてお手伝いとかもするから!!」
─────────────
……という話があって、強制的にこちらの世界に押しつけられたのであった。
尚、その後、千将高校野球部監督の矢部じい監督(大きな丸眼鏡&サンタを疑いたくなるもじゃもじゃおヒゲが特徴の監督。矢部明雄との関連性は筆者もよく分かってない)を説得させる必要があったのだが、何故か二つ返事で了承された。これもまぁ著者パワーってことで1つ許していただきたい。
政秀「聞いた話によれば、阪奈という子はこの世界の人間ではないから常識に疎いと言っていたな。であれば、常に誰かが付き添う必要もあるのだろうが……」
つばさ「そこは大丈夫ですよ! 紗穂先輩や恋ちゃんが付いていれば問題ないはずです!」
一馬「……? おい、九瓏。あの3人に誰かが付き纏ってるみたいだが……」
九瓏「? …………いや待て、アイツは…………!」
体操も一段落し、次はキャッチボールに移ろうという時に、一馬がある事に気がついた。
先程まで練習用具を用意していたマネージャー3人のもとに、見慣れない服……というかユニフォームを来た男が1人話しかけていたのだ。恐らく他校の野球部員であるのは間違いない。
通常であれば、練習の偵察であったり練習試合の申し込みなど、そこまで気にする要素ではない。……が、今回は訳が違った。
仏原「おやおや……? あの薄水色を基調としたユニフォームにイケメンオーラ漂う爽やかな雰囲気…… 正しく、女性ウケNo.1かつ大半の部員が女好きで知られる『天空中央高校』の生徒ではありませんかな!?」
柳生「なっ!? そ、そのようなは、破廉恥な野球部が存在するというのか!? そ、そもそも、そのような野球部が我が校に何の用など……! と、とにかく話を付けなくては……!!」
石触「うーん……柳生サンが行っても、あんまり説得は出来ないんじゃないかなぁ? 柳生サンとて女の子だし、返ってナンパされちゃうかもだよぉ? ……それに、珍しく九瓏クンが鬼の形相で向こうに駆け出していっちゃったからねぃ……☆」
──『天空中央高校』。
それは、学業、スポーツ、各種部活動、あらゆる分野においてトップレベルの成績を納める、全国でも有数の名門校である。当然ながら野球部やサッカー部も超一流で、一月前の夏の甲子園ではベスト4まで勝ち上がっている事で知られている。おまけに、その半数が容姿までピカイチのイケメンという、文字通りのイケメンパラダイスである。……しかし同時に、天空中央高校の大体の男子生徒が女好きとしても有名である(問題発言)。
そんな天空中央高校の生徒が、わざわざ他校まで足を運ぶ時。そういう時は決まって目的は1つである。
「……という事情なんだ。だからどうだい? 僕達と一緒に、新しいエンジェル・ロード、人生の道を過ごそうじゃないか!」
恋「は、はわわっ……// そ、そうは言われても……」
阪奈「……? えんじぇる・ろーどって……何?」
紗穂「……貴方の仰る言葉の意味が分かりません。聞いた話によれば、既に天空中央高校には数多くの女子のファンが居るとの事。何故今になって、私達を勧誘するのか。理解に苦しみます」
……そう、『ナンパ』である。
何やら不穏な始まり……? 感想はまだ
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.39 )
- 日時: 2024/01/28 16:57
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
「……っ! そうだそうだ。僕とした事が焦りすぎてしまったね。知らなくても無理はないさ。エンジェルナイン計画は最近立案された極秘事項なんだ。だから……そうだね、僕と一緒にお茶をしないかい? そこで改めて詳しい話をしようじゃないか」
恋「え、えぇっと…… 気にはなるんですが、その……」
紗穂「現在は野球部の練習の真っ最中です。彼らをおいてティータイムを始めれる程、私は不義理な人間ではありません。どうぞお引き取りを」
阪奈「私、色々分からない事だらけだから九瓏が居ないと嫌なの! そもそも、あなたなんでここに来たの!?」
「……九瓏、ね。実際そうさ。九瓏のテリトリー「だから」目をつけた。彼相手なら、最悪事後報告でも許してくれるだろうからね。さぁ、行こう。大丈夫、先の道なんて分からない事だらけだろうけど、僕の方が丁寧に、優しく光の道を導いてあげられる。急がないと、皆を過度に心配させてしまう……!」
「えっ、ちょっと…………!!」
ハンターとしての性なのか。怯える恋と粛々と異を唱える紗穂を庇うかのように、阪奈は2人の前に立っていた。が、同時に阪奈はとある事を思い出していた。
──九瓏や雷那達の世界は、阪奈の世界とは大きく異なる。
野生にモンスターなどは存在せず、日常に危険が潜んでいるわけでもないので、皆揃って武器を持っていない。ましてや、安易に人を傷つけてはいけない。
阪奈は『ハンター』である事も相まって、余計に一挙手一投足に気をつけなければならなかった。
……だが、このようなナンパに対する有効打を、生憎阪奈は持ち得ていなかった。
(いつもだったらここで私が撃退しておしまい、だけど……今はそれじゃダメ。でも、このままじゃ……!)
今まで不祥事紛いの出来事は全て己の腕で解決してきた阪奈にとって、最大の武器を封じられた今の状況は、ある意味、初めて精神的な意味で追い詰められ始めた【危機】だった。
(お願い…………! 誰か……………………!!)
「 千 将 の マ ネ ー ジ ャ ー を 勝 手 に ナ ン パ し て ん じ ゃ ね ぇ ぇ ぇ ぇ ! ! ! 」
\ ば し こ ぉ ぉ ぉ ぉ ん ! ! ! ! /
「ぎゃあああああああああああ!?!?」
────刹那。
今まで聞いた事もないような芳賀九瓏の怒号と、渾身の飛び膝蹴りの一撃が、グラウンドに木霊した。
どさっ
思いっきり吹っ飛ばされた天空中央高校の生徒が、音を立てて倒れ込む。
……或いはこの時、『別の何か』が落ちたのかもしれない。
九瓏「……ったく。他校の生徒にも積極的にナンパとはな。校風に流されて堕ちたもんだな、『柊一郎』」
あの一騒動が治まった後、千将野球部と柊一郎という天空中央高校の男は、もはやただの業務的倉庫と化してしまった部室に場所を移していた。
柊一郎「アッハハ……; まぁ、あの現場を目撃されたとあっては、返す言葉もないけどね」
紗穂「……お言葉ながら失礼します。先程の雪村さんの発言、そしてお二人が直ぐに他愛もない会話を始めた点を踏まえますと……貴方達はどういった関係性で?」
室内の雰囲気は一触即発……が想定されていたのだが、2人とも争う気概は一向にない。一体どういう事なのかを尋ねてみると……
九瓏「ん、あぁそうか。お前らにはまだ言ってなかったな。紹介する。雪村 柊一郎。……俺の中学の頃の同級生だ」
柊一郎「改めて、初めまして。さっきはこちらとしても道を踏み外した誘い方だったよ。本当にごめんね?」
なんと2人は、中学の頃の同級生だという。たしかに、それだけなら2人の腐れ縁具合にも納得である。
……だが、この事実を前に驚いた人物が居た。
仏原「……ンン? お待ちくだされ、九瓏殿。たしか九瓏殿が中学時代に在籍されていたのは先王中学校…… 中総体で幻の優勝を遂げたといわれる有名かつ問題校だったのでは……?」
先王中学校。
2年前、全国中学校体育大会(略して中総体)の野球部門において、事実上の優勝を果たした学校である。しかしその後、とある不正が発覚したらしく優勝は取り消されたとニュースになった。
九瓏と柊一郎は、そんな問題真っ只中な世代だったのだが、この事について部員は今の今まで一切知ろうともしてこなかった。
柊一郎「……そっか。やっぱり、皆も知ってたんだね」
九瓏「……悪ぃが、その事については触れないでやってくれ。後遺症とかがあるわけじゃねぇんだが……お前らには信じてもらいづれぇ話なんだ」
九瓏からの説得もあり、結局それ以上の詳しい話を伺う事は憚られた。この詳細について語るのは、まだ暫く先のことになるだろう。
それはともかく、話は柊一郎の方に戻る。
九瓏「で、だ。紗穂から聞いた話によれば、本校にだって女子マネージャーが多くいそうなもんだが、最近は他校のマネージャーを各地から引き抜こうとしてるらしいな。…………何があったんだ??」
柊一郎「アッハハ…… やっぱり変に思うよね? 僕も当初はそう思ってたさ。けど、こっちとしては案外笑えない事態になっちゃってね…… 話だけでも聞いていってほしいんだ」
かつての九瓏の仲間、雪村柊一郎はそう言うと、今回の出来事についての発端を明かしはじめた……
九瓏、怒りの一撃
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.40 )
- 日時: 2024/01/28 17:03
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
──とある日の天空中央高校。
一月前の夏の甲子園ではベスト4まで勝ち上がるなど、高い成績を治めてきた名門校であることは間違いない。
次こそは全国優勝の目標を掲げ、雪村も含めたスター級の選手を揃えて準備万端、の筈だったのだが…………
ひょいっ
ただのキャッチボールだというのに、制球が定まっていないのか、ボールは相手のミットから大きく外れた方向へ飛んでしまった。
モブA「っとと! おい、虹谷! どこ投げてんだよ!」
虹谷「あっはは、すまない。……どうにも今日は調子が乗らないんだ。ちょっとティータイムにしようか?」
そう言って早々に練習を切り上げようとする、長い金髪を結った劇画的な眉毛が目立つイケメンなこの男、虹谷 誠。
現・天空中央高校の絶対的エースで、七色の変化球を操る凄腕のピッチャーである。……のだが、どうにもこのところ、その真価を発揮出来ないでいるようだ。
カツーン
パツーン
神成「……んー。このバット、どうにも音色がイマイチだな……」
モブB「なぁ、神成。そんなやる気のないバッティングは投げてる側にも失礼だぞ?」
神成「うるせえ、肩慣らしだよ肩慣らし。いいから文句言わずに投げろ」
バッティング練習の最中。球を打つ「音」に着目する紫髪の男が1人。彼の名は神成 尊。
高名な指揮者の息子で、本来は音楽の道を突き進む予定だったらしいが、運命の交錯なのか今は野球にのめり込んでいる。だが、どうにも最近は音の調子が良くないとのこと。
カーンッ
ポロッ
東雲「おやおや、今日のキミはずいぶんと気まぐれなんですね。倦怠期、ってやつなんですかね」
モブC「お前なぁ…… その、ボールを女の子扱いするやつ、やめないか……?」
ノック練習中にも変な反応をしている男が1人。メガネをかけたエレガントそうなこの男の名は東雲 翔也。
彼もまた女の子からの注目を浴びる存在なのだが、本命は他でもない『白球そのもの』。完全に野球ボールに恋をしている、多分見た目が一番ヤバイ男である。
柊一郎(……おっかしいなぁ。夏の甲子園までは皆万全の状態でプレイしてた筈なのに、最近どうも皆道に迷ってる…… 特にこれといった原因は思い当たらないんだけど…… 怪我? 病気? それともメンタルに何か……?)
「お困りのようですね、柊一郎」
虹谷、神成、東雲の3名は、今の天空中央高校を率いる大事な主力選手達。彼らの不調はチーム全体にも影響を与えかねない。柊一郎はこの現状を憂いていた。勿論、危機感を持った者は他にも居た。
柊一郎「あっ、米田の兄さん」
米田「フフ、兄さん呼びはよしてください。別に私がリーダーを張っているわけではないでしょう?」
そう言って柊一郎の隣に立つ、長髪で右目を隠した長身の優雅そうな男。名前を米田 吾朗と呼んだ。
柊一郎「それもそっか。ごめん」
吾朗「恐らく、あの3人の不調についての話でしょう? 旭監督は根性論でどうにかしたかったようですが……大方通じないでしょうね。それは柊一郎も分かるでしょう?」
柊一郎「うん。僕らの思考回路も、どちらかといえば虹谷君達よりだからね……」
どうしても天空中央高校に入学する生徒は、秀才であると同時にそれまでモテていた形跡がある者が多くを占めていた。
先王中学校で一番モテていた雪村や、現在進行形で夢女製造機などと揶揄される完璧系王子様の米田も例に漏れることは無く、虹谷達の考えることは悲しいくらいに理解出来てしまった。
そんな次の日の事。
今日もなかなかやる気が起きない虹谷達。そんな中……
「キャー! 虹谷くーん、頑張ってー!」
……ふと、女の子の声が聞こえた。
それもその筈。野球部は超一流の名門クラスなのだから、どうしたって応援するファンは多いものである。ましてや女子からの声がかかるというのはめっぽう多い事だった。
虹谷「はははは! 応援ありがとう、レディ達! では見せてあげよう。ボクのあざやかな変化球を!」
……次の瞬間だった。
それまで全く覇気を見せてこなかった虹谷の送球は、天上から雲を突き抜けて飛来するかの如く、急激なキレを魅せて下降した。
柊一郎「っ!?!? ……ハハッ。流石だね、虹谷君」
虹谷「ふっ、レディの応援がボクに無限の力をくれるのさ」
柊一郎「よく言うよ。じゃあアレかい? 女の子がいつでも君の傍にいれば最強だとでも?」
虹谷「女子を、いつも…………?」
そこまで言いかけた虹谷は、まるで天啓を得たかのように目を開かせた。
虹谷「そうか、まさにそうだ! なぜボクは今まで気づかなかったんだ……!」
柊一郎「えっ? ……ちょっ、虹谷君、何処行くの!? ……なんか嫌な予感がするんだけど…………」
……柊一郎の嫌な予感が的中するのに、大して時間はかからなかった。
練習終了後、虹谷からの緊急ミーティングにより、部員は全員グラウンドの一角に集められていた。
虹谷「今回皆に集まってもらったのは他でもない。ボクたち野球部の今後の方針についてのお話だ」
虹谷「今もボクたちはこうして、高校野球界の頂点を目指し練習に励んでいる。……けどキミたちも気づいてるはずだ。今のままでは何か足りないと」
虹谷「それが何なのかを考えた結果、ボクはある結論に至った。それは……」
「「「「 それは………………っ!? 」」」」
ズ バ リ 、『 女 子 』 だ っ ! !
柊一郎「……………………えっ?」
虹谷「厳しく激しい練習の日々ッ! そんなボクらに力を与えてくれるのは、女子のあざやかな声援以外にないッ! そこで、校内から有志を募って、大々的にマネージャーを増やすんだ!」
虹谷「これぞ名づけて……【 エ ン ジ ェ ル ナ イ ン 計 画 】!!」
柊一郎「い、幾らなんでもバカ過ぎる計画だろ……;」
神成「そうだな。前からバカだとは思っていたが、最高にバカだな、お前」
柊一郎「そ、そうだよ! 神成君からも言ってあげてよ……!」
神成「イイ計画じゃねーか! 乗ったぜ!!」
柊一郎「 」
東雲「僕も賛成です。応援する女の子がいればいるほど、あのコと僕の仲も燃え上がりますよ……!」
柊一郎「 」
吾朗「バカな計画、とは私も思います。ですが、常に多方面から女の子に言い寄られる位なら、エンジェルナイン計画としてひとまとめにしてもらえた方が、私として助かるんですよね……;」
柊一郎「 」
な ん と い う こ と で し ょ う
校風が生んだ悲劇というべきか、柊一郎の想像とは裏原に、米田も含めた全員がエンジェルナイン計画に賛同してしまったのである。
旭監督に相談しても、自分で部員の心を動かせない以上、暫くは虹谷のやりたい様にやらせるとの事。果てには、現後輩マネージャーの月影ひかりさんまで積極性を示しており、エンジェルナイン計画の実施は秒読み状態となってしまった。
なんじゃこりゃ…………
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.41 )
- 日時: 2024/01/28 17:08
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
だが、それだけであればエンジェルナイン計画は校内で実施され、九瓏達のもとに訪れる事は無かったはずだ。
実はこの計画には、ある落とし穴があった…………
柊一郎「はぁ…… エンジェルナイン計画とはいうけど、何から始めればいいのか……」
「うふふ、なに悩んでるのかなー?」
柊一郎「…………えっ、この声って…………」
柊一郎が後ろを振り返ると、そこには虹谷とよく似た金色の長い髪を結った、おっとりとした長身の女性が立っていた。
「じゃーんっ! 彩理さん登場ーっ!」
柊一郎「彩理さんじゃないですか! 体の方はもう大丈夫なんですか?」
彩理「うん、平気平気。もうすっかり回復したから。さーて、休んだ分も取り返さなきゃ! しっかりみんなを支えないと!」
虹谷「ね、姉さん! 休んでないとダメじゃないか!」
彩理「あっ、誠! 誠のこともちゃんとサポートするから期待しててね!」
虹谷「そんなこと言って。張り切りすぎると、またケガするよ」
彩理「もーっ、そんな事ない! いいから早く自分の練習に戻る!」
柊一郎(流石の虹谷君でも、双子の姉には頭が上がらないんだよね~)
虹谷誠の双子の姉、虹谷 彩理。
体調を崩しがちな面があるものの、愛らしい性格と献身的な姿勢で皆から慕われている。虹谷自身も、彩理さんの前でだけは真っ当な弟を演じ続けているのだ。
だが、彩理さんのマネージャー業復帰に伴い、エンジェルナイン計画を大幅に修正する必要が出たらしい…………
──────────────────
九瓏「……つまり、アレか? その虹谷のお姉さんに怪しまれないように、校内からのスカウトではなく、校外からマネージャーを募ることにしよう、と…………」
柊一郎「まぁ、そういう事になるね」
柊一郎からのとんでもない経緯を聞いた九瓏達は、すぐにどうこうも言い出せるはずもなく、やがて黙り込んでしまった。
九瓏「……とにかく、俺から言える事は。これは最終的にマネージャーの意志が尊重されるべきだ。俺達ただの部員がとやかくと割り込めるような話じゃあねぇ。 ……その上で聞く。紗穂、お前は柊一郎の要望に対して、率直にどう思った?」
紗穂「……そう、ですね。私自身がどうしたい、という感情は全くありません。ですが、客観的な視点で話を進めるのならば、この示談にはメリットとデメリットがあります」
紗穂「メリットは、相手校の情報をより仕入れる事ができる事。他の学校からもマネージャーを募る気でいるのなら、尚のことでしょう。デメリットは、単純にチームのマネージャーが減ってしまう事です。現在分割して担当している仕事の負担が増えてしまうのは、痛手であると同時に皆さんの時間も奪いかねないからです」
九瓏「……この期に及んで、よく主観じゃなく客観的に話が出来るな; 尊敬に値するぞ……」
紗穂「それほどの事ではありません。…………まぁ、何処かの誰かさんが、今日から新しいマネージャーを用意してきたので、1人くらいなら最悪マネージャーを派遣しても大丈夫な状態ではありますが」
九瓏「うぐっ; その点は悪かったって……」
九瓏「……まぁ、お前らにも一応話は聞いておくか。恋、それに阪奈。2人としては、この案についてなにか思うところはないか?」
頼れるマネージャー、紗穂の意見を踏まえた上で、今度は恋と阪奈に話題を振ってみる。
恋の方は終始挙動不審になっており、まともな意見をすぐに聞き出せる様子ではなかった。
一方、阪奈の方はというと、ひとしきり考えに考えて内容がまとまったのか、少し時間を経た後に急に目を見開いて、こちらにこんな提案を持ちかけてきた……
阪奈「はい! 私いい案思いついちゃった! 2人ともマネージャーに居てほしいなら、『その思いをちゃんと私達に伝えてほしい』の!!」
「「 ……………………はい?? 」」
紗穂「……なるほど。両者とも、誠心誠意を込めた『告白』をする事で、自分達の元に居てほしいように【説得】する、という事ですね」
つばさ「うわぁ……! なんだかとてもロマンティックな感じですね!」
柳生「うむ。まねーじゃーとてちーむの一員。引き止めたければ、心で、力ずくで抑え込まねばなるまい!」
恋「み、皆さんもそれでいいなら、レンも頑張ります……!」
これまた阪奈から飛び出したとんでもない案に、女の子達は大賛成。しかし当然ながら、九瓏達や柊一郎からしてみれば溜まったものではない。だが、今回の要望は他でもないマネージャーが主導を握っている。選手達は、彼女らの意向に従う他なかった…………
────────────────
迅「という訳で、緊急で始まりました『あのコを引き止めろ! 告白選手権』!!」
『ウワァーーーーーーーーーーーッ!!!!』
選手一同『 』
迅「という事で、司会を務めさせていただきます、舞ヶ原高校2年、緋桐迅と」
雷那「解説を務める、乙女心が分からない奏坂学園高等部2年、夕立雷那よ」
「「宜しくお願いしまーす」」
雷那「ルールは至って単純。参加選手は1人1回告白を行い、マネージャー達に部に存続してもらいたい意向を伝えてもらうわ。最終的な決定権はマネージャー3名に委ねられてるから、後ろのギャラリーの人達は本当にただの賑やかしよ、注意してちょうだい」
イロドリミドリ組&オンゲキ組『わぁーーー!!』
迅「それでは次に、参加選手の発表です。今回は千将高校から8名、チャレンジャーの天空中央高校から1名の参加となります。一見不利そうに思われますが、マネージャーを引き抜こうとしてる訳ですからね、その位のハンデはあっていいだろうという事でした。あと、天空中央生はとにかくモテるとのお話も伺っております。その辺の実力も要チェックですね。また、女性部員の皆様は今回参加は控えるとの事です。「そういうのが見たいわけではない」との事でしたが……どういう事なんでしょうね?」
……ええー、イロドリ組やオンゲキ組がいきなり生えてきたことからもお察しのように、現在一同はC-Refに場所を移しております。
マネージャー達の大暴走に二つ返事でOKを出したバ管理人の手により、色々と(無駄に)大掛かりな企画へと変貌を遂げてしまったのだ。誰がここまでやれと言った。
な ん だ こ れ
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.42 )
- 日時: 2024/01/28 17:14
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
そんなこんなで始まった告白選手権。エントリーNo.は以下の順で進行することになった。
勝俣拳一 → 特間曜 → 石触宴舞 →
比嘉政秀 → 仏原拓男 → 羽田大心 →
雪村柊一郎 → 黒沼一馬 → 芳賀九瓏
以下、ここからは告白の内容をダイジェストでお送りしよう。(大問題発言)
……えっ、この一連のやり取りがやりたかったから筆を取ったのではないのかって? モテようともしない筆者が恋する男子の思惑を九種九牌、十人十色で書き分けれると思いましたか? つまりそういう事です(読者放棄)。
拳一「えっと…… どうか、お願いします! 俺達が甲子園優勝の目的を果たすには、皆さんの力が必要なんですっ!」
芹菜「うんうん! やっぱり素直さは大事だよね!」
あーりん「そうは言うけど、それだけなら他の人にだって出来るでしょ? もっと、自分達の存在を特別だと思わせてくれなきゃ……」
曜「日本一のチームになる! そんな思いを強く感じさせてくれたマネージャーさん達の思いに、僕達は支えられてきました! だから今度は、僕達が誠意を見せる番です! お願いします、僕達に日本一の姿を届けさせてください!」
あかり「えへへ! 後輩だけど素直で立派だね!」
梨緒「ふっ、フン! その位カッコよくなきゃ、女の子はときめかないわよ!」
石触「ほっほーぅ☆ 選手が厳しくて辛い時にマネージャーの皆が声をかけてくれるよね? ならボクたちも、マネージャーが辛い時はサーカスで笑顔にしてあげるよぉ♪」
千夏「うっわぁーー! ピエロさんもいるんだね! すっごいすっごーい!」
つむぎ「サーカスなんて初めて見ます……! ……なっ、き、期待なんて、してませんからねっ!」
政秀「俺達は決して、個々の才能が光る集団ではない。だが、それでも栄光を勝ち取る為には、選手の努力だけでは為しえないと考えている。……君達の力が必要なのだ。甲子園を勝ち抜く為にも『勝利の方程式』を立証してほしい!」
葵「『勝利の方程式』かぁ…… 本格的にチームの事を考えているんだね」
柚子「むー。柚子、そういう頭の固いことわ~か~ら~な~い~!!」
仏原「デュフフフw、いよいよ小生の出番でありますな。今こそ、灰色の脳細胞が輝く時……!」
仏原「ンン、小生達の絶対的な輝かしき未来にマネージャー諸姉の力は必要不可欠! さすれば、0と1が導く先なる世界へ、どうk「難しすぎるし長すぎるから却下(by七々瀬)」グフッ!「告白をする以上、理論性より感情性を優先すべきです(byちゃん凪)」ゴハッ!?「そのようなひねくれた言の葉では、民衆どころか女の子1人の心さえつき動かせぬぞ?(by茜)」ぎにゃあああ!? そ、そんな馬鹿なぁぁぁ!?!?」
九瓏「…………; まぁ、拓男にはハナから期待していなかったのだが;」
迅「だからといってやり過ぎじゃないですかね……;」
雷那「乙女心をよく知らないアタシでも分かる。ああいうのはガチで嫌われるタイプの告白よ。……てか、告白と受け取っていいの、アレ?」
大心「……っと。さて、次は俺の出番だな!」
前半を見事にすっ飛ばしてきて、6番手はキャッチャー、羽田大心。恵まれた体格でチームを引っ張る体育会系の人物、なのだが……
大心「すまないMC! 告白の仕方はメッセージ以外でも大丈夫なのだろうか!?」
迅「えっ? 勿論大丈夫ですけど……何かあるんですか?」
大心「いや何、新しいポエムが完成したのでな! それを披露する良い機会だと思ったんだ!」
拳一「……えっ。今大心、ポエムって言った?」
政秀「おい、マズイぞ! あいつのポエムを多数の人に聞かれたとあっては……!」
……なんと大心、『ポエマー』であることが発覚(えっ
特に仲の良い拳一と政秀が何やら慌ててるようだが…… 彼らの心配をよそに、大心は渾身のポエムを詠みあげる!
星降る石畳を踏んで君はゆく。
1歩半だけ先を、怒ったように忙しなく。
もろびとこぞる市場の中を、
その細い脚で縫うように淀みなく、
騒ぐ人波をかきわけて。
( 中 略 )
時折、ちらちらと振り返る視線に、
気づかないふりをして後を追う。
気づいたことがわかったら、
その途端にこの聖なる1歩半が
ぐんと伸びて消えてしまうからだ。
聖夜の月明かりを受けて君はゆく。
1歩半だけ先を、誰よりも優しく慎重に。
「………………さーん。羽田大心さーん?」
大心「むっ? あぁ、すまない。それで、告白の方はこれで大丈夫だったか?」
迅「それがですね……
先程のポエム、『あまりにも火力が高すぎたせいでギャラリーの過半数が悶えてしまった』ので、あなたを【殿堂入り】にしますっ!!」
大心「 何 故 だ っ ! ? 」
雷那「いやっ…… アレはね……本当に良くない。いたいけな女の子の理想の男性像ムーヴが脳裏にガッと焼き付けられるのよ…… やりやがったわね……;」
※ なぜ大心のポエムがここまでの高火力になってしまったのか。『聖なる一歩半』で検索してみてください。あるジャンルで答えが判明する事でしょう。
柊一郎「さて…… いよいよチャレンジャーの僕の出番だね? 勿論考えてきたとも。仮にも、数多のレディの心を掴んでみせた天空中央高校の一生徒。僕の精一杯の告白を届けてみせよう!」
7番手はいよいよ挑戦者、雪村柊一郎。中学時代は九瓏よりもモテたらしいが、果たしてその実力は……?
柊一郎「僕達が歩む頂点への道のりは、誰から見ても厳しく激しいものだろう。その道を誰よりも支えてほしいのは! マネージャーという抽象的な存在ではない!」
柊一郎「他ならぬ『君自身』に、僕の将来の道を支えてもらいたいんだ!!」
恋「────────────っ」
紗穂「…………なるほど。まさか「個人単位」での直球勝負に持ちかけてくるとは。……これは、想像以上の一手だった様ですね」
一馬「……で、8番手が俺か。……やれやれ。とんでもない告白の後に回されたな」
真性の告白の後に回されてしまったエース、黒沼一馬。どうやら彼も策を講じてきたらしく……?
一馬「ポエムが告白としてまかり通るってんなら……「歌」だって十分な告白になるよな? 俺は歌わせてもらう」
一馬「『米田の兄さん』。アンタの歌、歌わせてもらうぜ」
BGM: 2 4 時 間 シ ン デ レ ラ
素直に I LOVE YOU ! 届けよう
きっと YOU LOVE ME ! 伝わるさ
キミに似合うガラスの 靴を探そう
2人で Step & Go ! いつまでも
深夜12時を すぎたって
ボクらの恋魔法 - ラブ・マジック - は 解けはしない
華「こっ、これって! 90年代アイドルソングを完全踏襲した、真○JINGIの!?」
美苗「えっ……; 華ちゃん、これ知ってるの……?」
※ 一見ラブソングのように聞こえますが、本質は…… 詳しくは調べてみてください。
告白選手権、白熱の大熱戦!!!
- 愛をと○もどせ!告白選手権 ( No.43 )
- 日時: 2024/01/28 17:19
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
さて。いよいよ最終盤。大トリを務めることになってしまったのはこの男、芳賀九瓏。
九瓏(幸か不幸か、俺が最後だったからな。今までの傾向をじっくりと考察する事が出来た……)
九瓏(俺達はこの戦いを「マネージャーの取り合い」と考えてきた訳だったが…… 柊一郎からの視点を完全に見誤っていた。)
九瓏(アイツからしてみれば【誰か1人でもスカウト出来れば御の字】なんだ。……だから、対象を個人に絞って告白に持ちかけた。恐らく現時点でも、誰かは柊一郎を応援したがる事だろう)
九瓏(となった場合、俺に出来る事は何か。……まぁ、真っ正面から柊一郎に対抗する、ってのが最適解だとは思う。だが、汎用的じゃ柊一郎相手には勝ち目が薄い。誰かに焦点を当てなければ……)
九瓏(俺は他人の感情ってのには比較的疎いからな…… こういう時は、最も焦点を当てやすい奴に注力した方が手っ取り早い。であれば…………)
……最終確認を終えた九瓏の目に、迷いの陰りはひとつとしてなかった。
九瓏「芳賀九瓏として告白させてくれ。
野球を続けること。それ自体が重責だってのに、千将高校の主将として、これからも俺はチーム全体を強くする為に引っ張っていく必要がある。その為には、部員、監督、マネージャー、もっと沢山の力を借りなきゃいけない。
そこで、本気の頼みがある。
どれほど不利な状況だろうが、決して諦めない不屈の闘志。
その闘志を、あらゆる形を以て皆に届ける献身さ。
そして、辛さ、苦しみ、悲しみ、あらゆる負の感情を乗り越えて、もう一度光を掴ませてくれる、屈託のない眩しい笑顔。
……その全てに、俺は惹かれたんだ。
だからどうか、こんな俺と。俺達と。
限りある未来を、一緒に進んでほしい。」
────時が止まっていた。
部員も、好敵手も、司会も、観客も。
九瓏の純粋かつ重みのある告白に、誰もが息を飲んでいた。
──ただ、1人を除いて。
「……はい。こちらこそ、喜んで!」
──瞬間。別の意味で時が止まった。
「……………………………………えっ?」
不意に飛び出た鶴の一声。恐る恐る九瓏が後ろを振り返ると、そこには…………
──完全に頬を紅く染めた、天使のようなアイドルが穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
九瓏「いや、あの、ちょっと待ってくれ、阪奈……? 確かに俺は告白はした。けど、何も今返さなくったって……」
阪奈「何を言ってるの、芳賀九瓏クン?」
安らかな顔色を一つも変えずに、阪奈はこちらへ歩み寄る。まるで、最初から全て自分の掌の上で事が進んでいたかのように。
阪奈「だってさ。変に思わなかった? どうして普段は実力行使しかしてこないような私が、皆に思いの丈を打ち明けてほしいって願ったと思う?」
阪奈「どうしてただ1つの告白さえもらえればそれで良かったのに、君達みんなの告白も欲したと思う?」
阪奈「どうしてそこまでして、『九瓏の本気の告白』を欲しがったと思う?」
終始、変わらない最高のスマイルで九瓏に問いかける阪奈。
一見、ただの彼女の問いかけのように思われるが、九瓏の額には冷や汗が垂れはじめ、阪奈の真っ直ぐな笑顔、その奥底にある「絶対的なナニか」が、九瓏を捕らえて離さなかった。
雷那「阪奈…… アンタまさか…………!?」
阪奈「その答えはただ1つ」
迅「初めから、『この展開』を待ち望んでたのか……!?」
「……ねっ、九瓏。私、狩野阪奈は……
『あなたを本当の意味で好きになった』の」
九瓏「…………っ。い、いや、だったら待て。俺達がそれまで争ってきた意味は? 俺達の……マネージャー達の意志はどうなる!?」
阪奈「勿論、ぜんぶ「ホンモノ」だよ? マネージャーみんなの思いも。雪村くんや他の皆が伝えたメッセージも」
阪奈「……でも、私が本当に欲しかったものは、最初からひとつだけなの。初めて逢ったその時から「ステージ上の私」を誰よりも応援してくれて、今まで厄介事は全部一人で片付ける事が出来た「本来の私」を初めて護ってくれた人。自分の事については極力隠したがる素振りがあるから、一番の本心を他の本心で覆ってあげれるように」
阪奈「──そうすれば、『九瓏の本当の告白』を受け取れるのは私だけ。…………でしょっ?」
────ああ、「また」だ。
またこうやって、俺の「現実」が突き破られた。
今まで突き破られた現実は、どれもまだ修正が効くものだった。
……けど、今回突き破られてしまった「現実」は、それまでのものとは全く異なる。
……全く。俺はとんでもない逸材に出逢い……恐らく、恋をしてしまったのだろう。
…………全て。俺を取り巻く全ての事象は、やがて現実へと収束してしまうというのに。
……だが、もし。もし願いが叶うのであれば。
……俺は「次男」だ。この2人の恋路が……何者にも遮られることなく、続きますように────
九瓏「……分かったよ。完敗だ。……男に二言は無い。これからも、お前を護らせてくれ」
阪奈「────っ。エヘヘ……/// くろうーーーーーーーーーーーっ!!!!」
……直後。決して逃れられない無限の抱擁を九瓏は受けたのであった…………
──────────────────
九瓏「……いや、本当。うちのバカが最後まで済まなかったorz」
柊一郎「いや、いいよ。僕も当初の目的は達成出来たからさ」
紗穂「ええ。恋の事、宜しくお願いします。何か問題が起きようものなら、その時は私達が厳正に対処致します。……ところで、最後に聞いておきたかったのですが」
紗穂「……なぜ、恋は雪村さんにベッタリなのですか? あなたが他の方にそのような素振りを見せた記憶は無かったのですが……;」
恋「むー! それは単純な事ですよ、『紗穂さん』。『先輩』は今まで空っぽだった私に、やっと生きる意味を与えてくれたんですから! だからレンは、これから一生をかけて先輩に尽くすんです!」
紗穂「えっ………………」
九瓏「……ハァ、成程な。それがお前の最も輝くスタイルだってんなら……俺達は止めねぇよ。柊一郎、……頼んだぞ」
柊一郎「……うん。大丈夫。僕が責任を持って、彼女を守るよ」
斯くして、柊一郎はようやく千将高校を離れ、元の場所へと帰っていった。この際、C-Refへの誘致をした事に伴い、後日、天空中央高校とも接続が果たされた。今後、片桐恋が天空中央高校を訪れる際は、この扉を経由することになるだろう。
阪奈が彼女になった。
筋力ポイントが24上がった。
敏捷ポイントが24上がった。
技術ポイントが48上がった。
精神ポイントが72上がった。
窮地○のコツをかなりつかんだ。
かつてのライバルと再開したのは、これで1人目だ。
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まずは改めまして、新年あけましておめでとうございます。(もう2月になるぞ)
今回は芳賀九瓏のパワプロルートでお送りしました。今後もパワプロルートはこのように進行するので、もはや多重クロスオーバー育成風小説でございます。多ク育までは揃ってしまいました。
今後の展望としては、もう1つ程物語を挟ませてもらった後、そろそろ大掛かりな企画もやっていけたらと思います。
その際、流石にそろそろメンバーの軽い自己紹介も必要だなと思いました。今回の物語で大量にキャラ付けが付与されたので…… 誰がオリキャラで誰がちゃんと元ネタあるかも気になるでしょうから;
今回は短めですが、あとがきはここまで。
それでは感想をどうぞ!!