二次創作小説(新・総合)

オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.9 )
日時: 2024/01/24 16:56
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「みんなぁーーー!! 今日も一緒に盛り上がってくれて、本当にありがとうーーーー!!」

\ウォォォォォォォォォ!!!!/




──初めてC-Refを訪れてから1週間がそろそろ経とうとした頃だろうか。

今日もまた阪奈は、アイドル活動を通して村の人達に元気を与え続けていた。


【辺境の村に、活発で可愛い自称アイドルの女の子がいる】

そんな噂が自然と村の外にも広まるようになったからか、村の内外を問わず彼女の歌声を聴きたくて人がやってくるという事態が日に日に増えてきたのである。

正式にアイドルデビューを名乗れないでいるにも関わらず、その知名度、人気は上昇傾向にあった。しかし、それは同時にとある不安を募らせるもので……





「あ、あの……旦ニャ様? アイドルとしての活動を推進してくのは、わたくしめとしましても喜ばしい事ではあるのは確かニャのですが……本業の方はどうされるのですニャ……?」


ゲリラライブを無事に成功させた後、日も暮れてきたので家に帰った阪奈に対し、ルームサービスのルミニャは恐る恐るこう尋ねてきた。

”まだ正式なアイドルではない”にも関わらず、阪奈は至って普通の生活を送っている。それが可能なのも、この本来の阪奈の【本業】のお陰だったりするのだが…… ここまで阪奈が、アイドル業務ではない本業の話をしたがらないのには、とある理由があった。



「もー、まだそんな事言ってるの? だってしょうがないじゃん。国の命令によって殆ど全部のモンスターが駆逐済みだって。それじゃあ必然的にハンターなんて御役御免じゃん。協会の方も出来る事が殆ど残ってないって話だし。だから私はこれでいいの! 絶対にアイドルになってやるんだから!!」



……そう。実は彼女の本業である仕事は、国の政策によってすっかり仕事業務を奪われてしまったのである。今や本職は、何も意味を為さない肩書きにまで成り下がっていた。


「で、ですが、せめて日頃から鍛錬でも積んでおくというのも……」
「アイドルに求められる体力ナメないでよね!? ハンター活動並に体動かすんだからねアレ!! もうアイドル活動が実質鍛錬(?)なんだから!」


主の事を考えるとつい不安になってしまうルミニャと、実際に自分がやってるのだから、自分のことはよーく分かってるつもりの阪奈。どちらが悪いというわけではないものの、一向に話が平行線になりそうな展開であった。


──と、そんな時。急にコンコンと玄関の方からノックする音が聞こえてきた。

「あれ、こんな時間に誰だろう……」



すぐさま阪奈が玄関の戸を開ける。するとそこに居たのは──頭には大きな赤いキャスケット、その上に極彩色の羽根があしらわれたラッパを乗せた……これまたルームサービス同様の猫であった。


「ニャ。はんなさん、おひさしぶりですニャ。いそぎのおとどけもの、とどけにきたのニャ」

「あっ、郵便屋さん! 速達なんて今時珍しいね~ わざわざ届けてくれてありがとね!」
「ニャ。ごひいきにニャ」



阪奈曰く郵便屋だというその猫は、一通の手紙を海雪に渡すと、軽く会釈した後にパタパタと走り去っていった。


阪奈の世界では、実は手紙に対してはルーズであることが多い。その為、速達なんて手段が用いられるのは滅多にない事だったりする。

ともすれば、気になるのはその手紙の中身。急いで封を切って中身を確認することにした。






──手紙を読み始めてから僅か数秒の事だった。

ただでさえ天真爛漫で元気ハツラツな阪奈なのだが、速達で届いた手紙を読むやいなや、普段の笑顔からさらに輝きを増した満面の笑みを浮かべていったのである。手紙を全て読み切ると、直ぐにドタバタと支度を始め出した。



「え、えぇっと…… 何かあったのですか、旦ニャ様……?」

そろそろ夜も更けるというのに準備を進める阪奈に対し、恐る恐る問いかけるルミニャ。当然ながら、阪奈は手を止める筈もなく……


「ごめんルミニャ! 急用が出来たからこれからちょっと家空けるね! 留守番は頼んだよー!」



そう言い残すと、アイドル衣装に急遽着替え終わって準備を済ませたのであろう阪奈は、急いで廊下の真ん中にある扉から外に出ていってしまった……


「ニャ……行ってしまわれましたニャ…… 毎回これだから旦ニャ様はそそっかしいのですニャ。もはや仕方ないというものでもあるニャけども……」


寂しくなった部屋で1匹。ルームサービスのルミニャは呆れながら阪奈を見送っていた。……しかし、彼女は忘れていた。







阪奈が外出する為に駆け込んだあの廊下。

──実はあそこにはそもそも扉なんてものは存在すらしていなかった、という事実に……



───────────────────



『──俺達、今度は甲子園で全員集まろう』


九瓏の頭の中には、いつかの約束がまるで昨日のことのように映し出されていた。今度こそは、自らの意思で戦い抜き、勝ち上がり、頂点を目指す──







「……ーう、くろーう? おきろー?」
「………………?? ったい誰が……」










「 九 瓏 ー ー ! ! 起 き ろ ぉ ー ー ー ! ! 」

「どぅおわああああああああああ!?!? いきなり起こすんじゃねぇよ!!」


急に横から聞こえてきた声で、九瓏はようやく我に返った。どうやらいつの間にか眠ってしまい、また過去の事を思い出していたらしい。


「いきなり起こすなと言われても、もう放課後でこれから練習だぞ? キャプテンがいなきゃチームも締まらないだろう!」
「そういうお前も授業中居眠りしかけてただろう。学生の本分を忘れてないだろうな……?」
「まぁまぁ; そこまで堅苦しくなくても別にいいと思うんだけど……」
「お前らにはいつも迷惑をかけてるな…… すまない、大心、政秀、拳一」



放課後始めに同じ野球部のクラスメイト3名に叩き起こされるこの光景は、もはや千将高校の名物と呼ばれるまでに常駐化していた。それでいいのか新キャプテン。
ここで一度、彼らの自己紹介をしておこう。

九瓏を呼び起こしてくれた、既に学生らしくない筋骨隆々の男が羽田はねだ 大心だいしん
大心に釘を刺しているが、一番のトレードマークがメガネ&目の隈という矛盾した男が比嘉ひが 政秀まさひで
一件活発そうな雰囲気だが、実際は逆にまとめ役であることが多い男が勝俣かつまた 拳一けんいち

3人とも元々野球が好きで続けていたのだが、その才能は正しく平凡そのものだった。そんな折、九瓏の見事なまでのプレイングに感動し、それに触発されたかのように彼と打ち解けていったのであった。




「あっ、やっと皆さん来たんですね」
「……またか。キャプテンの自覚が足りないんじゃないのか」
「ドゥフフフw、皆揃って血の気が多いようですなぁ。それでは拙僧らも、練習を始めようではありませんか」


練習準備を終えてグラウンドに着いた頃には、既に他のメンバーも準備が出来ていたようだった。
中でも九瓏が特に気にかけていたのは以下の3名。

野球部員とはあまり思えない、整った顔立ちにメガネという1年下の後輩、特間とくま よう
部員内でも屈指の硬派、カタギじゃないとか揶揄される男、黒沼くろぬま 一馬かずま
言語がどうにもインターネットに汚染されている四角メガネの男、仏原ほとはら 拓男たくお


そんな男達をメンバーとしているのが、九瓏が率いる「千将高校野球部」である。


「……っし。始めるか!!」

『 お 願 い し ま す ! ! ! 』








「ぐぁぁぁ………… 疲れた…………」

日もすっかり暮れた頃。今日の練習を終えた九瓏は、1人帰り道を歩いていた。

部活を精力的に行っていれば当然ながら疲労が蓄積されるものなので当たり前ではあるのだが、九瓏に限ってはそれだけの都合ではなかったりする。



……と、そんな時。

九瓏は腰ポケットから微かな振動を感じ取った。恐らく広告か連絡のメールや通知でも届いたのだろう。
大方の予想をつけながらも、九瓏はポケットからスマートフォンを取り出した。案の定バイブレーションの正体はメール受信だったのだが……その件名を確認した九瓏は、思わず顔を渋らせていた。

それもその筈。件名には……あの妙ちきりんな世界”C-Ref”の文字があったのだから。
こんな文字列を使用するのは紛れもなくあの変人しかいないだろう。



九瓏「……ったく、結局あの話は本当だったって事かよ。…………けどなぁ」


そこまで言って九瓏は思案する。

実のことを言うと、九瓏のスケジュールとしては今晩の予定は特に埋められてなかった。今回の招集内容はオリエンテーションについてとの話は既に聞いていたので、差程時間も掛からないであろう事は想定ができた。
……何より、他のメンバー全員が出席して自分だけが欠席となる事態だけは1番避けたかった。



「ハァ……しょうがない。今回だけだからな……」


覚悟を決めた九瓏は、急ぎ家に戻る。その場でメールを開いてもよかったのだが、その間にこんな夜道で自分がどんな醜態を晒してしまうのかがよく分からなかった為、万が一の安全の為にも帰宅を優先させたのだった。

そして、家に戻るや否やC-Refからのメールを開き……やっぱり、その場に倒れ込むように消え去ってしまっていた。

オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.10 )
日時: 2023/06/18 15:52
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

二学期に入って間もない舞ヶ原高校。
今日も迅は、普段通りの授業日程を終えて帰路につこうとしていた。


あの日、C-Refから戻ってきた後に投稿した楽曲も、過去にリリースした3曲と同程度の評価を貰えていた。

しかし、幾ら自分の思う満足がいく曲が出来たとしても、どうにも迅には、自分が手がけた曲たちに対して自信を持つことが出来ないでいた。


「…………ハァ。そりゃあ無理だよなぁ。実績、魅力、宣伝力、音楽性。全てにおいて完全上位互換がいるってのに夢を見るなんて……」




ここで1つ話をしておこう。

実は緋桐迅という男、大の音楽好きであることはご存知の通りだと思われるが、舞高主催で開催される音楽イベントにも毎度参加していたりする。故に、校内でも取り分け人気の高いグループについての話なども、彼はよく理解していた。


特に今、筆跡するに値するグループは以下の3バンドだろう。

昨年度、迅が入学した当初から人気を集めだした現在は6人組のガールズバンド『イロドリミドリ』、今年から結成されたものの同じく人気を博し始めている『HaNaMiNa』、そして現在の舞ヶ原高校生徒会メンバー3名によって構成された『舞ヶ原シンセ研究会』──通称S.S.L.。


先の2グループはガールズロックバンドという事もあり然程影響があるわけではなかったのだが、彼に深刻かつ複雑な影響を与えていたのがシンセ研であった。

このグループはその名の通り、シンセやDTMなどを駆使した電子音楽を中心に展開しており、ハードコア系列をホームグラウンドとする迅とは音楽領域がダダ被りであった。

さらにこの問題を厄介にしていたのは、その構成メンバー。

世界レベルの腕前を誇る(当人は誇る気0)電子音楽プロデューサー、桔梗ききょう 小夜曲せれなーで
圧倒的パフォーマンスで学園を湧かせる超攻撃的ラッパー、藤堂とうどう 陽南袴ひなこ
そんな2人をまとめあげるシンセ担当生徒会長、芒崎のげざき かなで


……到底、自分一人で敵うような相手ではないのは、火を見るより明らかだった。





「まっ、そもそも個人活動の時点で同じ土俵にすら立ててないようなもんだしな。帰って作曲の続きでもするか。………………ん?」


不意に足を止める。腰ポケットから感じた振動を察するに、また何かのメールでも届いたのだろう。迅は脳死で内容を確認するつもりだったのだが……その宛先には「C-Ref」という例の奇妙な地名が記載されていたのを、彼は見逃さなかった。


「おっ、ようやくですか。……こうしちゃいられねぇなぁ!!」


事態を知った後はそれはそれは早かった。急ぎで家に帰った後、自室にあったノートPCを手に持ち、届いたメールを閲覧する。その瞬間、意識が遠ざかっていくのを、今度は確かに感じていた。
持ち忘れの心配はない。自身のこれまでの全てはこの中に詰まっていた。


「舞高生代表。たった1人の挑戦だ。気を引き締めねぇとな」


自分の音楽は世間にどう伝わっているのか。その答えを自分で確かめる良い機会になる事は間違いなかった。





──────────────────



「……とうとう来たみたいね。1週間もかかるとは思ってなかったけど」


時を同じく。スマホから受信メールを確認した雷那は、ぶっきらぼうな物言いで反応を示したものの、その表情には確かに笑みが零れていた。


雷那は基本的に、あまり面倒事には首を突っ込まない性分だった。

だが、あの時同じ境遇に陥った見知らぬ3名の自己紹介の中に、実は個人的に興味を持った話が含まれていた。

全員揃って自分と同学年だというのに、自身と同じく作曲活動を趣味に持つ男や、自分なんかよりもよっぽど純粋に、本気でアイドルを目指している子がいたのだ。


今の自分が持つオンゲキへの姿勢、そして自分がオンゲキを続ける理由。

それらを今一度見つめ直し、改める機会が、彼らとの接触の中で見いだせるのではないのだろうか。


いつしか、彼女のC-Refに対する見解は、面倒事という否定的な思いよりも、自分自身が生まれ変わる1つのチャンスになりうるという期待、希望的観測の思いの方が上回っていた。





そんなこんなで前もって覚悟を決めていたからか、準備に時間がかかる事はほぼ無かった。自分の音楽が詰め込まれたノートPC、自分を象徴する黄色と黒で雷をあしらった愛用のライトボウガン(!?)、そしてサバゲーする気満々のオンゲキ用の衣装「シュータードレス」。既に万全を期していた。


「……さて、それじゃあ行きますか。アタシの存在証明を、アイツらにぶつけてやんだから」


意を決した雷那は、迷うことなく受信メールを開く。瞬間、その身体は意識を手放してしまった。……だがもう、何の心配もいらない。

雷那の鋭い眼光は、真っ直ぐ前を、未来を見つめていた。







──さて。こうして奇妙な運命に導かれた4人は、再び謎の異世界【C-Ref】にて再会することになった。
C-Refの管理人HALは、一体オリエンテーリングで何を話し、何を紹介させるのか。

物語は、また一歩動き出そうとしていた。

オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.11 )
日時: 2023/06/18 17:33
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

5…… 4…… 3…… 2…… 1……









「さぁさぁ皆さん、お待たせ致しました! 『FMカオス』のお時間だぁぁぁっ!!!」


\ウワァーーーーーーーーッ!!!!/


(((( ^ω^) ????????????











…………あの、本当にすみません。まずは一言いいですか?



オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 何 処 い っ た し




奇妙なイメージのある新設異世界C-Ref。本来であれば、代表者4名は今日、オリエンテーションの説明を受ける為にここにやって来た筈だった。

……だが、いざC-Refに接続したかと思えば、目覚めた時点で既に放送室にてご丁寧に椅子に座らされており、管理人HALの策謀によりオリエンテーションではなくラジオ放送を始めると聞かされたのである。これで困惑するなという方が無理な話であった。



煉「……あの、すみません。なんで我々ラジオ放送に出演させられてるんです……?」
海雪「私達、確かオリエンテーリングを受ける為に今回呼ばれた、んだったよね……?」
HAL「あぁ、そのお話ですね。当然ながら理由はありますよ? まぁ結構私情を挟んでいるのですが……」
嵐「オイバ管理人」



……えぇ、という訳で。この場で何故オリエンテーションがラジオ放送に切り替わってしまったかについての弁解のお時間をいただきたいと思います。


まず、今回の更新では主人公4人、及び彼らを取り巻く世界についての紹介を他主人公3名、及び読者に知ってもらう回にするという大前提条件がございました。
しかし、それを実現させようとしてまず最初に思い浮かんでしまったのが……いわゆるPowerPoint方式だったのです。
当然ながら小説という形態でパワポの表現をしようものなら尋常ではない難易度になる為、オリエンテーション案そのものを見直すことにしました。
主人公の自己紹介としてどのステータスを手始めに明かそうかと思案していたところ、その工程や開放される基礎値などが、いずれも小説カキコらしい原点に立ち返るようなものであることに気づきました。
原点といえば、私がカキコに現れた当初に始まった文化があったよな?と思い、最近の他作者様の小説を幾つか拝見させていただきましたが、やはりラジオ文化は廃れてしまっていたように私は感じました。
故に、当時の流れをもう一度今の自分らしく再現したいという願いもあって、このような形式を取らせていただきました。



「……というのが、今回の事の顛末です」
「地の文の説明をサラッと繋げようとするな!」



著者の長々としたお気持ち表明も終わったところで、いよいよオリエンテーリング要素を兼ねた第0回のラジオ放送【FMカオス】が始まった。



「さて、と。まずは今後のMCを務めてもらうことになる4人の自己紹介をしてもらいましょうか。誰か我先にと名乗りを挙げてくれる人は……まぁ居ないだろうと踏んでいたので、こちらで事前に準備をしておきました」
「いや、なら今の話の流れ必要だった??」

「という訳で……まずは狩野阪奈さん。あなたから自己紹介をお願い致します」
「えっ、私から!? いざラジオで話そうと思うと緊張するなぁ……」


最初に著者から指名を受けたのは阪奈。アイドルを目指すというのならこれしきの事は出来ないといけないのだろうが、流石にラジオを通した自己アピールは初めてだからか緊張もあるようだ。

阪奈は頬を数回はたいて、張り詰めた表情をほぐしていく。気合いも入ったのか、本気度が窺える顔つきになっていた。



「……んっ!もう大丈夫! それで、自己紹介では何を紹介すればいいの?」
「そうですね…… 自分についての自己紹介と『自分の住む地域についての自己紹介』もあると非常にありがたいでしょうか」
「オッケー! それじゃあ始めるね!」


紹介内容を確認した後、阪奈は意を決して自己紹介に臨む。決意に満ちた笑顔満点の彼女を見て、居合わせた者達はアイドルとは何たるかを思い知らされた。



「どうもー!皆さん初めまして! 私、狩野阪奈って言います! アイドル目指して頑張ってるので、どうかご声援宜しくお願いしまーすっ!」


おおーっ、と感嘆の声を思わず洩らしてしまう一同。しかし、当然ながらまだ話は終わってはいない。続いて自分の住む地域についての紹介に入るはずだったのだが……阪奈はなかなか次の言葉を出せずにいた。


「……? おい、大丈夫か? そんなに自分の地域について話したくないのか?」
「えっ? あぁ、いや、そういうのじゃないんだけどね? なんて言えば良いのかな……」


心配になった九瓏が声をかけてあげたが、阪奈は何も呆然としていた訳ではなかったようだ。ただ、やはり何か引っかかる部分があるようで……


「……えっとね? 実は私のいる所ってさ、特徴的なところが一応あるにはあるんだけど……最近、世界そのものに大きな変化が起きようとしてるみたいで、その特徴が無くなっちゃうんじゃないかって不安になっててね……」

「……成程。つまり、この場で口にしたとしても、次の瞬間にはその特徴は変わってしまいかねない程、今の阪奈の地域は不安定な情勢なのでしょうか……?」
「……うん。だから私も【本来の仕事】を置いといて、アイドルになる事を目指し始めたんだ。道のりはまだまだ険しいけど、絶対に夢を掴んでみせるんだから!」

(……? 阪奈の本来の仕事って、一体……?)


変革期を迎えようとしている地域からやって来たアイドル志望の女の子、狩野阪奈。
彼女を取り巻く環境は目まぐるしく変わりゆくものだが、その心に宿した信念は曲がることも折れることもなくそこに在り続けるだろう。



彼女の自己紹介が終わり、皆から拍手が送られる。……と、ここで著者からこんな話が持ち出された。


「ご紹介ありがとうございました。……ところで阪奈さん。あなた、アイドル志望との事ですから、ライブなどはやったことあるんですよね?」
「? 勿論やった事あるよ! まぁ、自分のオリジナル曲はまだ1曲もないんだけどね……;」
「なるほど、そうでしたか。……申し訳ないのですが、カバー曲でも構いませんので、何か1曲披露してはくれませんか?」
「え"っ!? 今この場で!? ホントに良いんですか!? でもステージは……」
「ステージなら、簡易的なものですが右手に用意しましたよ」


著者から持ちかけられたのは、ここにいるメンバー、ひいてはラジオ放送を通じた人達に1曲自分の歌声を届けてはくれないか?というお願いだった。
ラジオ席の右手側には、確かに簡素な作りではあるがステージが用意されていた。……初めから用意されていたものかどうかは置いといて。

当然阪奈はいきなりの待遇に驚きを隠せないでいたのだが、この提案に他の主人公達はというと……


「へぇ、良いんじゃない? 正直、阪奈がアイドル志望だってまだ信じきれてないところもあったからさ」
「それは少々言い過ぎでは……? まぁ、アイドルを自称されてるのであれば、その歌声はやはり気になりますけどね」
「お前らなぁ……; もう少し気遣ってやったらどうなんだよ……?」


……明らかに乗り気でしたね、ハイ。



という事で急遽始まった阪奈の自己紹介特別ライブ。自身にとっては非常に貴重な体験、全力を以て臨む他なかった。そんな彼女が選んだ曲はというと…………?







BGM:トラベルナ


この曲は、モンスターハンターXにおけるエンディング楽曲、及びメインテーマソングである。

歴代のモンハン楽曲と比べると、基本的に讃歌や壮大な音楽が主軸に置かれがちなモンハンシリーズの中でも、この曲だけ明らかに異質だと思われる程にポップな曲調であるのが特徴である。確かにアイドルソングと言われても違和感はあまりないものであった。
……えっ? じゃあなんで阪奈の世界にそんなモンハンなんて荒々しい文化の歌があるのかですって? もうお察し下さい()




「みんなぁーーーっ!! 今日はこんな機会をくれて、本当にありがとうーーーっ!!」


元気にアイドルソングを歌いきった阪奈に、賞賛の拍手が送られた。ラジオ越しだと音声しか届かないわけだが、直に見ていた主人公組は阪奈の圧倒的なパフォーマンス力にただただ息を飲むしかなかった。


「いやぁ…… もしかしたら私達、とんでもない人と出逢ったのかもしれませんね。正直私、普段はアイドルソングなんてあまり聴かないタイプの人なんですが、すっかり彼女の歌声に魅了されてしまいましたよ。そうは思いませんか、くr……」
「…………にゃんにゃん♪」
「……これはもう手遅れね; すっかり彼女に堕とされたみたい」



かくして、トップバッター阪奈の自己紹介はド派手に終了した。

オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.12 )
日時: 2023/06/19 14:59
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「いやはや、こんな無茶ぶりに応えてくださり本当にありがとうございます……! さて、それでは次に芳賀九瓏君に自己紹介をお願いしたいのですが……九瓏君、大丈夫でしたか?」
「…………? にゃ……っ!? じゃなかったじゃなかった!! えぇと、俺が次の自己紹介だな!? さっさと済ませよう、な!?」
((無理に話進めようとしてるな、コレ;))
(………………?) ←よく分かっていない



さて、次の自己紹介は九瓏だったのだが……さては先程の海雪のトラベルナにまだ引っ張られてるな……?
※ここで先程説明し忘れてたのですが、何故九瓏がにゃんにゃん♪となってしまったのかというのは……実際にトラベルナを聴いてみてください。そして可愛さに癒されてみてください。それで全てが分かります。





「……ウウン。えーっと……どうも、初めまして。芳賀九瓏という。千将高校2年、現在は野球部の主将を務めている。ポジションは二塁手。どうぞ宜しく」


ここまで自分の紹介して、一旦呼吸を整える。そして自分の住む地域についての話に移る……のだが。


「この際ハッキリ言ってしまうと、地域については特に思い当たる話もない。なので、千将高校についての話をしようと思う。とはいえ、正直母校についても、歴史が長い高校であるという話以外は大した情報もないがな。強いていうなら野球部が多少実績を残してるって位だろう。今年の夏にも甲子園大会に出場したしな」

「えっ、甲子園出てたんです!? それ結構凄いことでは……?」
「まぁアタシも、名前くらいなら聞いた事はあるかな」
「? こーしえんって何? やきゅうの何かなの?」



流石に同じ地球、日本で生活してる迅と雷那は野球をご存知だった模様。特に同じ男同士である迅は、甲子園出場の凄さなども分かってくれている辺り、九瓏の心労が一気にどっと軽くなったのは間違いない。


「まぁ大方その通りだ。俺達のように学校に通ってる学生達の中で、最も強い野球部を決める大会が甲子園大会だからな」
「へぇー。もしかして、その甲子園大会に参加するまでにも、何度も相手と戦わなきゃいけないの?」
「正しくその通りだ。そうやって各県の代表になる事で、初めて甲子園大会への出場校になれる。甲子園大会は、そんな各県の代表達の中で頂点を決める戦いだからな」
「甲子園ってのも大変なんだね。じゃあさ、今度はその野球ってのを教えてよ!!」



自分達の世界の風習はどれも新鮮なものらしく、阪奈は続いて野球にも興味を示した。

皆の積極的な反応、質問を受け、九瓏は内心嬉しく思っていた。しかしこの本質的な質問、実は結構難しいもので……



「……参ったな。これは野球に限らずどのスポーツでもそうなんだが、スポーツの説明やルール解説ってのはとにかく複雑で、パパッと教えられるものじゃねぇんだよな……; どうしたもんか……」


野球を口頭で説明することの難しさをよく知っている九瓏としては、このラジオ放送という場でどう話せばいいのか悩んでいた。そして彼の頭の中には未だに阪奈の歌声が残っており、あの衝撃と感動が九瓏の思考力を多少ながらに奪っていた。(オイ)

……しかしその歌声が、九瓏にまさかの機転をもたらした。



「……ん?待てよ? すまない管理人、俺のスマホに入ってる音源をラジオなんかで流しても問題なかったか?」
「? 特段問題はありませんよ? 結局小説上の異世界でのラジオ放送ですからね、著作権もへったくれもありませんから」
「それを貴方が言ってはお終いでは???」



九瓏からの要請により、スマホに入ってる音楽を広範囲に流す準備が進められた。一体これを使ってどうやって野球の説明をしようというのだろうか……

そんな事を考えていると、早速九瓏が音楽をかけたようだ。何やらカッコ良さそうなギター曲かに思われるが……?






野球!
……野球!!
…………や"き"ゅ"う"!!!
………………ヤッキューーン!!!!







BGM:野 球 の 遊 び 方 そ し て そ の 歴 史 ~ 決 定 版 ~









(訳)
野球とは2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して勝敗を競いあうゲームである。
相手のチームより多くの得点を記録して、勝つことを目的としているのだ!
狙えホームラン! そこだストライク!

プレイボール!


~~~~~~


一回に表と裏があり
互いにせめぎあう
それを繰り返すこと9回の後
Oh デッド or アライブ

BASS BALL!

攻撃側はバットをプンプンプン!
守備側はボールをギャーン!
あとはお前次第
インターネットで調べてくれ
(インターネットで「野球のルール」と検索してみよう)


~~~~~~




な ん と い う こ と で し ょ う



九瓏はあろうことか、自分のスマホにて取得した野球関連の楽曲を以て野球の紹介としようとしたのである。(爆弾投下)

しかも余計に笑いを誘っているのは、そもそもこの楽曲自体である。
本曲は、BEMANI系列でかつて行われた過去イベント『熱闘!BEMANIスタジアム』初出の曲であり、作曲者は熱烈なファンも多いことで有名なあさき氏である。名前の長さやそれっぽさからお米タルこと『お米の美味しい炊き方、そしてお米を食べることによるその効果。』に似ているように思われるが、この曲も例に漏れずネタ曲なのである。(地雷設置)

あさき氏のネタ曲特有の急に変わる声質を始めとして、スターティングメンバーが全員あさき氏、サビから野球のテレビ中継で観戦する一般家庭の歌になっている、挙句の果てには野球の説明をする筈が途中で放り投げてしまい、後の説明をインターネットに任せてしまうという暴挙っぷりである。(爆発融合)

マジでなんで、というかよくこの曲を選んだな九瓏。カキコ界じゃお米タル以外のあさき曲が話題になったの、あまり見たことなかったからな……;



ちなみに、九瓏の必死の説明(熱唱)ぶりに他の人達の反応はというと……


『……うん。一先ず、九瓏が歌上手いってことはよく分かったかな』

「出てくる感想それかよ!? まぁありがとな!」





──────────────────



「いやぁ、皆さんの息がどんどん合うようになっており、私としても非常に喜ばしい限りです。それでは3番手は、緋桐迅君にお願いしても宜しいでしょうか?」
「おっ、俺が先ですか。分かりました。手短になってしまいますが、ご容赦願います」



九瓏も結果としては随分と濃い自己紹介になってしまった訳だが、はたして迅はどうなるのだろうか?





「という訳で、皆さん改めて初めまして。舞ヶ原音楽大学附属舞ヶ原高等学校2年、緋桐迅といいます。音楽大附属高校ってところから分かると思うんですが、音楽が特に好きです。宜しくお願いします」


ここまでは読者諸君もお分かりの通りの自己紹介。そしてここからは自分の住む地域についての自己紹介……だったのだが。



「そう、ですね。私も自分の住む地域にこれといった特徴が無かったので、母校についてのお話させてもらってもいいですか?」

「はいはい! さっきの九瓏の話にも学校ってあったけど! 私、学校っていうのよく知らないから、もっと詳しく教えてほしい!」
「アタシも異議なし。正直、迅の住んでる学校ってのには、ちょっとアタシも興味あったからさ」
「阪奈はまだしも、雷那も積極的なのか。意外だな…… 俺も構わない。学校の話を振ったのはそもそも俺だしな」
「皆さん、本当に有り難うございます……!」



取り扱うジャンルを大きく変更した事に伴い、メンバーの住む地域の大きな違いというのがすっかり無くなってしまった為、もういっそ母校の特徴や歴史について語ることとなった。


「さて。改めまして母校についての話をする前に、まずは阪奈の為にも学校というものについて話しておきますか」

「端的に言うならば、学校とは『学ぶ場所』ですね。主に数学などの計算や歴史を知ること、自然現象の理解だったり他の国の言語を理解する事などが当てはまりますかね」

「私達は生徒という立場でこれらの事項を学びます。それは同時に、私達生徒にこれらの知識を教える人物がいなくては成り立ちません。そのような人達を「先生」と呼びます」


まずは、学校という存在もよく分かってないであろう阪奈の為に、学校についての簡単な説明を始めた。
そのあまりにも滑らかな説明に、むしろお前が先生なんじゃないかとツッコみたくなったのを、雷那は抑えた。逆に九瓏は、既に眠たそうにしていた。


「はいはい! 何個か質問があるんだけど聞いていいかな!?」
「えぇ。自分の分かる範囲でなら答えますよ」


簡単な情報だけでも、既に阪奈にとっては新鮮な事だった。早速幾つか気になった事があるらしく、迅に食いつくように質問を始めた。


「えっと、じゃあまず最初に。先生って、それらの知識を全部知ってるの? 私の世界には学校っていうのは無かったんだけど、戦い方とかを教えてくれる「教官」がいたんだ! どんな武器でも丁寧に使い方を教えてくれる凄い人だったんだ!」
「えっ、戦い方……? ……っと、そうじゃなかったですね。先生はなんでも知ってるのかと言われると、実際はそうでもないですね。そもそも、年や教科に応じて理解力に違いがあるので、1つの学校に何人もの先生がいるし、学校に応じて教えてくれる内容そのものも変わったりしますね」

「へぇー。じゃあ次の質問いくね。学校って学ぶこと以外にも何か出来たりしないの?」
「全然ありますよ。ただ話を聞いてるだけじゃつまらなくて頭にも入らないから、身体を動かす時間や休憩時間があります。また、学校には結構長居するので食事の時間がありますし、私達は学校を使わせてもらってる立場なので掃除の時間もあります。他にも、特定の運動や活動を精力的に行いたいが為に『部活動』に勤しんでる人もいます。九瓏の野球部などがこれに当てはまりますね」



阪奈は学校についてまだまだ聞きたいことがあったようだが、自分の学校の『特色』を伝えるには今話を区切るのが丁度いいと判断した迅によって、一旦遮られる形となった。

オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.13 )
日時: 2023/06/19 21:46
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「さて。ここまでが学校についての基礎的な話だった訳ですが、ここからが私の母校「舞ヶ原高校」の特徴に纏わる話です」

「私の通う学校は音楽大附属高ですからね、音楽関係のイベントが多く開催されているという特徴があります。──各種行事で優秀な成績を修めた人達には謎の評価点が入る、なんて噂が立つくらいにはね」


音楽関連の行事がある、という部分までは確かに納得がいく話だ。しかし、校風故に生まれてしまった七不思議じみた噂についてまでは流石に予想外だったようで、九瓏と雷那も呆気に取られていた。


「まぁ私はそのような話は信じてなかったので、行事に参加した事は一度もなかったんですけどね。……ただ、もし自分がイベントに参加していたら流していたであろう自作の楽曲とかはあるんですよ」

「なんなら、今この場に……ね」



意味深げな笑顔をしながら発した迅の言葉に、阪奈は目を輝かせて興奮し、著者は自らパフォーマンスを志願してきた迅の覚悟の強さを前に冷や汗を垂らしていた。





















「ねぇ、迅。アンタが良ければなんだけどさ…… その企画、アタシも交ぜてくれない?」



瞬間、C-Refの時が止まったかのように思えた。



────この女、今何て言った?

あまりにも突拍子のない話が持ちかけられたからか、場にいた全員の開いた口が塞がらなかった。


「……別に構いませんよ。私のライブに参加したいと話すという事は……貴女の地域にもあるんでしょう? 音楽をベースとする「何か」が」
「えぇ。お察しの通りよ」



あまりにも高次元なやり取りを前に、著者を以てしても進行役を放棄せざるをえなかった。
しかし、当の本人らはそんなのお構い無し。合同企画を提示するからには、そちらの身の上についても語ってもらわねばとばかりに、流れるように雷那の自己紹介へと移ることとなった。




「……という事で。急遽そのまま、アタシの事についても自己紹介させてもらうわ。アタシは夕立雷那。奏坂学園高等部の2年生。あっ、そうそう。奏坂は女子校なんだよね。これ話しとかないと、後で厄介なことになりそうだし」


淡々と基礎的な部分の自己紹介を進めていく雷那。
……ん? 今ちょっと重要な話したな?

そう。実は奏坂学園は女子校(公式)である。
一方、舞ヶ原高校の方は……本作では共学の設定で行かせてもらう。アニメ化した時にモブすら女子しか居なかったので女子校説もあるらしいが、公式からの言及は現状まだ無いし、過去作や過去の言動から鑑みて著者はどういう展開が好みなのかをご理解頂きたい。
あっ、千将高校は当然ながら共学です。



「で、ここからが地域の特色なんだけど。アタシの地域じゃ『オンゲキ』ってのが人気なの。アンタ達は聞いた事ってあった?」

「私はまぁ分からないとして」
「俺も知らねぇな」
「俺も初めて聞きました。それが音楽とどう関係が……?」

「オンゲキってのは、スポーツと音楽を融合させた次世代型競技と言われてるわ。まっ、アタシから言わせてみれば最新式の 「弾幕音ゲー」 ……ってとこかしら」


弾幕音ゲーという単語に一同は分かるような分からないような複雑な表情をしていた。まぁ読者の皆さんにより分かりやすく話すとするなら、東方やりながらポップンやSB69をプレーするようなものだと思ってください。何ゲーですかねこれ。


「結局、言葉で説明するよりも実際に見てもらった方が早いのよね。そこで、管理人にお願いしたい事があるんだけど……」
「より本格的なステージの設営、でしょう? 準備はしてありましたよ。今回は自主練習用の模擬テスト形式で良かったですか?」
「へぇ、そこまで把握してくれてたとは。流石に世界の管理人名乗るだけはあるって訳ね」



こうした状況になる事を既に見透かされていたのか、事前にオンゲキ用の仮設バトルステージが奥の部屋に作っていたのだという。改めて著者のやりたい放題ぶりというかご都合主義を感じてしまうが、それは一度置いとく事にしよう。

雷那は1度、オンゲキ専用の衣装に着替える為に先に現場に向かうと言って部屋を出てしまった。


「って事は、あれですか? 雷那は「俺が作曲した曲」を使ってオンゲキの模擬プレーをしたいと?」
「まぁそうなるよな。……やっぱり不都合とかあるのか?」
「とんでもない! むしろ俺の作る曲は普通の「歌」じゃありませんからね。音ゲー形式で聴くとなると、もしかしたら更なる衝撃になるかも」

「そうか? なら俺も期待するぞ。初見の曲で作られる「弾幕音ゲー」ってのは結構ハードル高い筈だから、雷那の腕前を見るにも良い機会だろ。そういや弾幕やノーツはどうする気でいたんだ?」
「そこはご心配なく。今AIに彼の音楽データを読み込ませておりまして、そのデータを基に譜面をザッと作ってもらってました。後で私が所々修正すれば十分な試作になるでしょう」
「何にせよ楽しみだね!!」







雷那が部屋を出てから10分。準備が出来たとの事なので、早速一同はバトルステージに移行した。


眼前には電子的なバトルフィールド。奥側の方から各種ノーツが流れてくるのだろうというのが理解出来る。その両斜め上部の方には何かを撃ち出す機械のようなものもあり、これが弾幕を生成するものだというのは分かりやすかった。

そんなフィールド上のど真ん中に雷那は立っていた。のだが…………



「ん。待たせたわね。早速始めよっか」
「お、思ってたより、本格的な装備なんだね……;」
「正直サバゲー装備は予想してなかったわ;」







オンゲキ専用の衣装「シュータードレス」。

彼女が身にまとっていたものは、黄色地に茶色や黒が織り交ざった、隠れる気0の迷彩柄防護服であった。おまけに真っ黒な防弾チョッキも上に着込んでおり、場所が場所ならサバゲーでもしに来たんじゃないかというツッコミっぷりである。しいて擁護出来る点があるとするなら、首元にサバゲーと一切関係の無いDJ要素のヘッドホンを掛けている位だろう。分かりづらいわ。



「いや。アタシも最初は勘違いしててさ。弾幕避ける音ゲーって聞いてサバゲーみたいな重装備の方が良いのかな?って思ってこの衣装にしちゃったのよ。他の皆は大体アタシより軽装だから」
「はぇー。お、反対側にDJブースがあるって事は、俺は向こうで音鳴らせば良かったです?」
「Yes. それでは両名、どうぞ宜しくお願いします」





準備を終えた雷那が合図を送ると同時。迅がたった1曲の為のライブを始めた。


今回彼が選んだ曲は、先週書き上げたばかりの新曲だった。ジャンルはハードスタイル。著者が適当に作ったコードの曲よりも少しBPMが遅く、大体158。

元々のメロディは仕上がっていたのだが、ハードスタイルの代名詞であるキックがどうにも弱く、世に出すには惜しかったそう。そこに"C-Ref"の衝撃を上手いこと組み合わせた結果生まれたのが本曲だった。


雷那の方も、完全初見の楽曲及び譜面だというのに、涼しい顔でノーツを撃ち抜いていった。

降り注ぐ弾幕を軽快なステップで躱しながら、中速故に高密度と化したノーツの数々を丁寧に撃ち抜く。道中で降ってくる黄色い特殊な弾幕は「BELL」と呼ばれており、こちらは回収する事でスコア上昇やライフ回復に充てられた。


大音量で鳴り響く重低音のリズムに、自然と雷那の瞳が輝きだし、動きの躍動感がより鮮烈になる。
そんな彼女のパフォーマンスに、大衆は、ひいては音楽をかき鳴らしてるDJですら、目を奪われてしまうのであった。

大熱狂に包まれた2分半は、かくしてあっという間に過ぎていった。





「ほんっっっっっとうにすっごくカッコよかったよ! 私もあんな強い音楽に身を任せて、キラッキラに踊りたいって思ったもん!!」
「……正直、両者とも想定以上の出来栄えだった。大した腕だよ、お前ら……!」

「いやぁもう本当、今の自分に出来る精一杯は出せたと思います! サビの部分とか完全に雷那に釘付けになってしまいましたが……」
「ハァ……ハァ…… ……あのさ、迅。まずは一言良い?」



全力を出し切った2人に賞賛の声をいち早く送った阪奈と九瓏。思いの丈を語った迅に対し、雷那は迅に少し話があるようだった。



「…………アンタ、アタシを殺す気???」

「 な ん で さ ! ? 」

「なんでもクソも無いわよ! アタシはね、アンタが曲書いてるって話を前に聞いてはいたけど、どうせ軽快なリズムの曲とかだろうと思ったからこの提案を持ち寄ったのよ! なのに本格的なハードスタイル!? 冗談じゃないわ! デモプレイでここまで本気出したの初めてよ!!」
「わ、悪かった! そこは悪かったって!」



それまでの彼女からは想像もつかないような物凄い剣幕に、思わず迅は身体を後ろに反らしていた。


































…………ったく。人の気持ちも知らないで。

アタシが他人の曲でオンゲキするなんて今回が初だったってのに、アレだけ最高にテンションブチ上がる曲なんて用意して。

初めてのDJだからぎこちなかったんだろうけど、目を輝かせて、音にノって、アタシを真っ直ぐ見つめてくれて。



「……本当に殺されそうだっての、バーカ」


……この顔の赤さは、バカみたいに盛り上がった熱気のせいだ。ただそれだけだ。……出来れば、それだけであってほしい。

………………少なくとも、今は。










──かくして、本作主人公4名の少し掘り下げた自己紹介編は幕を降ろした。

だが、まだラジオ放送が終わった訳ではない。まだまだ彼らの事についての深堀りは続くようだった。



「……はい。ここでひとつ区切りに適したタイミングなので、一旦CMを挟みますね。後編は……いつになるのでしょうか?」





──────────────────



次回がオリエンテーションラジオ後編となるのですが、ここで数年前に一時期流行っていた、あのラジオ質問の募集を開始させていただきます。

やり方は非常に簡単! ラジオネーム(以下RNと記載します)と質問内容さえ書いてくださればOKです。勿論RNはコードネームみたいな感じで大丈夫ですよー。

ちなみに隠し情報として……今回のラジオ質問コーナーは主人公4人の深堀りを主な目的としておりますので、それに類した質問だと採用率が上がるかもしれません。
※尚、質問自体はいずれ必ず消化はさせていただきますが、即座に質問に応えれる訳でもなく、一旦選考から外れてしまうケースもございます。くれぐれもご理解の程を宜しくお願い致します。


色々な意味で長々と本当にすみませんでした。
更新当時はモンハンサンブレイク発売当初だったのですが、リメイク時はモンハンサンブレイクの最終DLCが配信されておりましたとさ(爆弾発言)

オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.14 )
日時: 2023/06/19 21:46
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

HAL「さて、長くお待たせ致しました。それでは後半のコーナーへ参りましょう。題して【Question For Four Area】!!」


\ウワァァァァァァァァァァァァァァ!!!!/



CMも明けたので早速後半の企画へと移る著者。流石に前半の自己紹介パートで打ち解けたのか、4人の主人公達もすっかり自然体で臨んでくれていた。


「さて。このコーナーでは、皆さんが疑問に思っていること、気になっていることを直接4人に聞いてみましょう、という訳ですね」
「……要は、ただの質疑応答って事でいいのよね? でも、そんな事今更する意味なんてあるわけ?」


すっかりこちらのムーブに染まってしまった雷那だったが、着眼点の鋭さは生粋のものらしい。著者は少し意表を突かれたような表情をするも、直ぐに戻して話の続きをした。


「……っとと、すみません。もうその質問が出てくるとは思わなかったものですから。ですがこうは思いませんか? ……別に答えが幾つあったっていいじゃないですか」



──質問の答えはメンバーによって変わる。

そんな当たり前の事を言った所で何になるんだと思われるのも無理ない。
だが、それを実際に理解するには……やってみない事には始まらないだろう。故にこの企画が必要なのだと、著者はそう睨んでいた。




「それでは最初の質問に参りましょう。……あぁ、そうだ。言い忘れておりましたが、今回は初回というのもありまして、質問は2つしか届いておりません。沢山の質問に一気に答えなければならないという事はございませんのでご安心ください」
「む、そうだったのか。そいつは気が助かる……」

「はい。ですので、MC練習も兼ねて、ここは緋桐迅に質問文を読んでいただきたいのですが……」
「えっ、あぁ、私ですか? いえ、別に構いませんかども……」


今後のラジオ放送も視野に入れてなのか、質問レターを迅に渡す。慣れない手つきながらも、迅は早速質問文を読み上げた。







「えーtンックフフw ……失礼。では始めますね? RN『萩わらの○ピー』さんからのご質問。【おめぇらは出逢ったばっかだし、聞いてほしい話とか逆に聞かれたくねぇ話とかもあるんじゃねぇのか? だからよ、何が嫌いかって話もそうだし、何が好きかで自分を語れよ!!】……だそうです」



……何やら質問文が開幕早々おふざけ全開な気がするが、ここは1度スルーさせていただこう。阪奈は全く思い当たりがなく頭に?を浮かべており、迅と雷那も一瞬笑いが込み上がったような気がするがスルーさせていただく。九瓏がテーブルに突っ伏して必死に笑いを堪えてるように見えるが全力でスルーする。



「……まぁ要は、単純に好き嫌いの話をしろって事ですよね? 今後の会話の参考にするためにも」
「に、なるわね。正直この質問は、個人の感情で幾らでも変わるようなもんだし」


しかしお互い、そんな基礎的な事だって当然ながら知らないのである。最初の質問にしては無難な選択であるのは間違いないだろう。



「はいはい!じゃあ私から先に答えるね! 私はね、食べる事が好き! 肉とか魚とか野菜とか乳製品とかチーズとか団子とか! 食べなきゃ人間やってられないからね! あとペットも好きなんだ! アイルーとかプーギーとかムーファとか…… とにかくいっぱいのペットとふれあった事があるの! 皆もう可愛くて!!」


最初に答えたのはやはりというか阪奈だった。流石はアイドル志望というべきか、その目には一点の曇すらなく、本当に純粋な本心で語っている事が窺えた。


「随分食べ盛りなんだな。アイドルってのは体重を気にするもんだと思ってたんだが……」
「そこは大丈夫! 激ヤセというか脂肪燃焼というか……その辺の要領はバッチリだから!」
「ペット、ですか…… 俺あんまり近寄れないんですよね; 怖いというかなんというか」
「まぁ気持ちは分からなくもないわ。でも、近くで触れてたりすると可愛い仕草を見せてくれるんだよね」



「で、嫌いなものだよね? うーん……」

「……実を言うとさ。私、ペイントが苦手なんだよね。苦手というか……もう通り越してトラウマだよね」
「えっ、ペイントで?」
「別に聞かない話というわけでもないですけど…… しかしまたなんで?」


アイドルの本分は忘れてないらしい(本人談)ので、次は苦手なものの話に。ペイントが苦手な理由を聞かれると……


「うん。これは私がアイドル始める前の話なんだけどね? ちょっと仕事の都合上で家にペイントの匂いがするものを常備しておく必要があってね。……最近はその仕事が激減したり技術の進歩のお陰で、そのアイテムをやっとの思いで捨てれたってのに、未だに家中ペイントの匂いが染みついてて…………orz」
「「「あぁ…………; それは納得だわ」」」


……どうやらペイントボール量産の弊害が、こんな形で現れていたらしい()





「さて、じゃあ次は俺が語りますか。俺はとにかく音楽が好き、って事はもうお察しでしょうけど。同時に、走ることなんかが好きなんですよね。俺って基本的に運動ダメなんだけど、持久力だけは並以上はあったんで」


続いては迅のターン。意外にも走る事が好きという話に、一同は正直何と返したらいいのか分からなかった。まぁ話広げづらい話題なのは確かだ。


「んで、逆に苦手なもんなんだけど……どうにも俺にはドラマは相性合わないみたいで。ドロッドロの人間関係とか? 虐めの現場、実態とか? あぁ、もう無理。何一つ理解を示せない」


口ぶりでは飄々と、しかし態度では淡々と、だがその内容自体を聞くと……存外冗談が通じない発言に、全員あまり強い言葉では返せなかった。


「……要はアレ? ドラマとかをただのフィクションって受け取れないような感じ?」
「あーーっ、まぁそういう難しい話ってのはあまり聞きたくないよね。にしては、拒否反応相当強い気もするけど……」
「腑抜けてんなぁ、お前」

「まぁそういう事です。冗談で済ませられないタイプみたいなもんですね。あと九瓏覚えとけよ?」


九瓏が迅を思いっきり揶揄ったところで、今度は雷那が口を開いた。





「じゃあアタシからも話しとこうかしら。好きなものはエナジードリンクとFPS(First-Person Shooter)。夜間にコレをキメるのが最高にハイって奴になれるのよ……!」


オンゲキという次世代型音ゲーを楽しんでる雷那らしい好みである、というのはまぁ分かる。だが、文面だけを見てしまうとやはり……


「「「……ソレ、人として大丈夫???」」」
「分かってるわよ!! 思いっきり人の道踏み外してる事くらい!!」

「現に、アタシの嫌いなものってのは「他人」だしね。まぁ、ああいったタイプのゲームってのは、変にプライド高かったりキモいくらい面倒臭い人種くらいしか上達しようとしないし残らないからね。……あぁ、勿論アンタ達は別よ? もう他人なんて間柄じゃないでしょ?」


クールでぶっきらぼうだけど、心には確かに熱いものを持っている。成程、確かに雷那はFPSを好きになる傾向の精神なのだろう。
同時に、FPSプレイヤーの負の側面を全面的に受けてしまったせいで、この比較的無頓着で他人に不干渉な性格になってしまったというのは、悲しいくらいに説得力がありすぎた。





「結局俺が最後か。まぁいい。好きなものは鍛錬だ。野球だろうが何だろうが、己を高めておいて損することなどひとつとしてないからな。逆に好まないのは……勉強、だな。アレの何がいいのか全く分からん」


最後の回答は九瓏。ストイックな性格だからか鍛錬などという男らしい単語が出てきた事に、特に海雪から興味を惹かれた。
……ところで、後ろの言葉についてなのだが。


「やっぱり九瓏も分かる!? アイドルには鍛錬は絶対必要だよ! 何かあった時に身を護れるようにするのは絶対条件だもんね!」
「……アタシ、阪奈が住んでる地域がどんどん心配になってきたんだけど;」
「それは俺も思いました; それより九瓏。あなた勉強が苦手って言ってましたが……」

「……どうした、迅」
「……試しに聞きますね? 『2x²+9x+4を因数分解するとどうなりますか?』」





「因数分解って何だよ。勝手に分解すんなよ。自然のままにしておけよ……orz」

「こ、これは…………;」
「……………………;」
「?」 ←やっぱりよく分かってない



【悲報】芳賀九瓏、バカ確定

オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.15 )
日時: 2023/06/19 21:54
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「……さて。まぁこの質問で聞きたかった事は皆さん分聞けたので、これで良しとしましょう。さぁ、質問はもう1つあります。今度は……狩野阪奈に読んでもらいましょう」
「あっ、はーい! 分かりました!!」



衝撃の事実が判明してしまったところで、著者は話を進める事にした。

話に流されるまま、海雪は著者からもらった2つ目の質問レターを読み始めた。



「えーっと、RN『相席屋台』さんからの質問で【皆さんの手料理の腕前を、実際に作って教えてください。クセがすごい料理を期待しとるんじゃ!】……だって」

「「「ブッフォアwwwwwwwwww」」」




……どう見ても○○食堂のパロディである。○鳥のノ○のパクリである。
よりによって唯一何も知らない阪奈がこの文面を口にしてしまったせいで、リスナーは全滅してしまった……


……しかし、ここで先程の質問文を思い出していく内に、辺りに重い雰囲気がのしかかりだしているのを一同は感じていた。さて、質問文をもう一度端的に思い出していただこう。















──質問主は、4人に【手作り料理を作ってほしい】と依頼してきたのである。(爆弾投下)





要は簡易的なお料理企画である。

読者の皆様からすれば、小説カキコでは最早お馴染みの企画だと思われるだろう。かくいう著者も、これでも過去には一応、料理対決企画を完遂させた経験がある(もう8年くらいは前の話になるが)。



……しかし、今回は阿鼻叫喚の事態とはなってない。

当然だろう。何せここにいる主人公4人には、そんな血塗られた()記憶などある筈もない。
だがそれでも空気が重苦しいのは、様々な都合上でこの料理企画に全員が前向きな検討を出来ないでいたのが原因である。


















──身も蓋もない話をすると、拒否権など端から無かった訳だが。



しかし、ここで雷那がある事に咄嗟に気づく。



「……っ! ちょっと待って、管理人。料理作れって話をされた訳だけどさ……調理部屋なんて何処にあるわけ……?」


この言葉に全員が閃く。
言われてみればその通りだ。この部屋はラジオの収録部屋。そんな全く異なる空間で急遽料理を作れと言われても無理なものは無理である。論破条件としては確かに十分だろう。


……ここが"C-Ref"でさえなければの話だったが。







「? 何を言ってるんです? 調理部屋なら【 向 に あ る 】じゃないですか」

『……………………はァ????』



思わず一斉に疑念の声を挙げる一同。そんな訳ないやろ……と思いつつも、窓から収録部屋の反対側を覗いてみると……








──確かにそこには、4人が一斉に使っても問題ない面積のキッチンが広がっていた。



:(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'):



……最早逃げ場無し。

のっぺりした笑顔の管理人の視界から逃げられるはずもなく、4人は泣く泣く調理を余儀なくされたのであった。


──────────────────────


……さて、ラジオ番組とは何だったのだろうかという程の時間が過ぎようとしていた。

厳密には20分くらいの時間が経っていた訳だが、それにしたってラジオでやっていいものではないだろう。

とはいえ、何も皆がそれ程の時間をかけた訳ではなかった。




実は阪奈と九瓏に関しては開始から5分と経たない内に戻ってきてしまったのである。本当に料理を作ったか怪しくなるように思えるし、実を言うと2人はまだ料理を作っていない。しかし、何を作るかまでは決めた上、その料理は直ぐにでも作れる都合上、先に戻ってきたのだと言う。

次に戻ってきたのは雷那。追加で10分程の時間を掛けていた模様。取り敢えず自分が1番自信を持てる料理を用意したと言っていたので、もしかしたら期待していいかもしれない。

最後まで掛かったのは迅。累計して20分程の時間を費やした。本当はまだ完成してないとの事だったが、冷やしさえすれば完成との話だったので、冷凍中に他の皆の試食を始めようという事だった。




……さて。という事で、これから皆が作った料理の試食タイムに入る訳だが。ここに来て著者があるものを取り出してきた。



「はい。皆さんにはこれから気軽で構いませんので審査員になって頂きます」

「えっ、審査員……;」
「ちょっと待ってくださいよ。んな話聞いてませんよ!?」

「まぁまぁ落ち着いて。所詮今回は4人しかいないしデモンストレーションには良い機会でしょう。あなた達はいずれこういう事もやらないとでしょうから、今の内に覚えて頂かないとなんです」



有無を言わせずに話を進める著者。彼が4人に渡してきたのは……ご想像の通り、評価用紙だった。
勿論、緊急で作られたものだったからか簡素なものではあったのだが……




《評価》
☆5:文句無しのプロ級の料理。店出したって唐突に言われても驚かないレベル。
☆4:レシピに忠実且つ自分なりの考えが持たれた旨い料理。
☆3:普通にちゃんと作られた料理。合格ラインはこことされる。
☆2:努力は伝わるが擁護できないミスが多々ある。だがまだまだ十分改善は見込める。
☆1:頑張っているのは十分伝わった。急ぐことはないので地道に1歩ずつ精進してほしい。
…0:申………い……、…前……ッ…………立……い…が……。
贖…:……食………何……………………な……称…………宜……。断…………非…………………、……命…以… 死 … … … … 。




((((…………????????????))))


全員揃って頭を抱えたのは間違いないだろう。

基礎的な評価事項は何も問題なかったのだが、問題は下2つだ。急いで乱雑に消したせいだろうが、明らかに何かしらの項目があった事が見て取れる。文脈も最早読み取れるものではなかったが、よりにもよって残った文字が残った文字なだけに、どういう内容が込められていたのかが薄らと理解出来てしまうのが悲しかった。



次回、いよいよ問題の試食ターン。

オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.16 )
日時: 2023/06/19 23:02
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「では、どなたの料理からいただく事にしますか?」


黙っていても埒があかないこの展開。無理にでも話を進めるのであれば、それは著者が1番適任と呼べるだろう。
そしてこの展開においても……やはり先陣を切るのはこの女だった。



「……はい。私から始めるよ」


意を決して立候補した阪奈相手に、九瓏が確認の質問を投げかける。


「……良いのか? 何なら俺が先頭だって代われる訳だが……」
「ううん。そういう訳にもいかないの。だって……」


そこまで言うと、阪奈は視線を変える。改めて向き直したのは──雷那に向かってだった。


「雷那って確かさ……肉料理を作ったんだよね?」
「えっ? まぁ、確かにそうだけど……」

「だったら尚のこと私が最初じゃなきゃ。迅の料理は必然的に最後になるんだけど、私が用意することにした料理も肉料理なの。連番で勝負させられたら私の立つ瀬が無くなっちゃうんだもん」



そう言って阪奈は再びキッチンに行ってしまった。

正直な話、肉料理が即席で出来るというのはあまり現実的なものではなかった。また、先程著者は、この部屋で煙を炊くのは大丈夫なのかを阪奈に問われており、あまり推奨されない旨を伝えると、渋々とキッチンに戻っていったのであった。一体何を作るつもりなのだろうか……

隣の部屋からは何処となく陽気な音楽がこっそりと聴こえてくる。阪奈らしいと言えばらしいのだが、なぜだか不気味に思えてきた…… 次の瞬間。







 上 手 に 焼 け ま し た ぁ ー ー ー ー っ ! !


『ぶっふぅっwwwwwwwwwwww』



唐突に阪奈の大音量が隣部屋から響いてきたのである()

全員揃って元ネタを知ってたこともあり、思わず全員吹き出す始末。またしてもシリアスがお帰られになられたようだった。


……さて。今の一言で、読者諸君は阪奈が何を作っていたのかをお察しいただけた事だろう。

今、5人の目の前に置かれていた料理は……





──肉汁が溢れて止まない【こんがり肉】だった。


「いんやぁ……これ絶対旨い奴じゃないですか!」
「……これ料理か?って突っ込みたいが……実物を初めて見て興奮が抑えられねぇ……!」
「確実に男は好むような飯ね…… アンタの世界、本当にこれがデフォなの……?」
「失礼なッ!ハンターにとっては必需品とも呼べるソウルフードだよ! この料理失くして私の世界は語れないよっ!」


まぁ自分達の料理を作ってほしいという話だったので、今回は良しとする事で話は一致した。
そしていざ食べてみると……


「油が……ッ! 脂が最ッ高に乗ってやがる……ッ!」
「これ丸々1つ食べるだけでお腹満たされません……? まだ他のものも食べないとでしたよね……?」
「……驚いた。今まで食べたことのあるどの肉とも、歯ごたえも脂分も違うんだけど。これ、どの肉を使用してるの?」
「お肉のこと? これはねー【アプトノス】って種族の草食竜のお肉を使ってるんだ!やっぱり皆は食べ親しんでないのかな?」



絶賛であった事は確かだろう。しかし、今後の料理の事を考えると、直ぐに完食しようとするのは反って危ないと判断された為、ここは一時中断して先に評価へ。


総括させていただくと、素材や味、焼く時間等を込で考えても高い評価であったのは間違いない。……が、やはり料理かと言われると何とも言えない立場だった為、今回は☆4と総評された。






「うし。さっきの阪奈の発言を考えれば、次は俺の番てことでいいよな?」


覚悟を決めた九瓏が、二番手に躍り出た。
初手から阪奈がシンプルに強力な一手を出してきた訳だが、九瓏はどの料理で勝負することにしたのか。

……と、意気込んだはいいものの。実は九瓏の料理はとうのとっくに完成していた。



キッチンにあった皿を1枚拝借した後、懐から余りにもミニマムな弁当箱を取り出す。その中に詰め込まれていた丸薬状のものを皿に乗せたかと思えば……








「……これが俺の代表飯、【兵糧丸ひょうろうがん】だ」

『……………………えっ?』




……これで驚くな、という方が無理な話だろう。

見た目はただの丸薬。明らかに作られてから時間も経っており、またしてもというか、お世辞にも料理とは呼べそうにないものがそこにあった。



「……えっと、その」
「……これ、何?」


当然ながら、兵糧丸の事を知らない皆は頭が混乱していた。まぁそりゃそうでしょうね。そこで九瓏がなるべく丁寧に説明を始める。


「あー、まぁそうなるよな。取り敢えず最初に聞くが……お前ら、保存食って知ってるか……?」

「……? それってカ○リーメイ○とかのこと?」
「あっ、私は知ってるよ! モスジャーキーなんかがそうだよね?」
「……要は、干物や漬物などの事を指すのでしょう? 何なら兵糧丸自体、俺は知ってるし……」

「……まぁ、皆が言ってるもので大体合ってるんだろう。ていうか迅も知ってるなら説得してくれよ!」


とにかく、兵糧丸は保存食の1つなのである。であれば、ぽっと出で出したとしても伝統的な料理としては十分まかり通るのでは?と考えたそうだ。しかしよく迅は兵糧丸知ってたな……


「歴史書とかを趣味で読んだことがあってな。そこで保存食の話がされてたから覚えてたのよ。兵糧丸はその手段の1つとして、兵士達にも愛用されてたんだとか」



という事で、わだかまりはまだ無くならないものの、時間も圧してるので早速実食。味はというと……




「……普通に食べれるわね」
「きな粉とゴマが思ってたよりイける味にさせてるね」
「成程。これなら戦時中でもお手軽に頂ける訳ですね。……しかし、何故九瓏がそんなものを作らなきゃいけなかったんだ?」
「うぇっ!? いや、その、これはだな……親からの受け売りだ。作れておいて損はない、ってな。ハハ……」



……最早乾いた笑みしか残せない九瓏を背に、各々は感想を書き連ねた。

その余りもの見た目のインパクト性、保存食という評価に悩む代物、しかし最低限保証はされていた味わいから逆算して、総評は☆3とされた。






「さて。じゃあ次はアタシでいいんだよね? 準備は出来てるから、さっさと始めましょ」


3人目は雷那。正直ここまで料理……?と呼ばれると少々自信をなくしてしまうものばかりが並んでいた為、今度こそまともな料理をご所望だった。

足早に移動して雷那が用意した料理。持ってこられたお皿の上には……







海藻サラダがセットで盛られた、中濃ソースがかかったチキンカツが並んでいた!!



「うっわぁーーーーーーーっ!!」
「おいおい……ここまで本格的な料理は聞いてねぇぞ……!?」
「……マジで言ってます? こんな美味しそうな料理、本当に食べていいの?」
「何変なこと言ってんのよ。早く食べよ? もうとっくに冷め始めてんだから……」


逸る気持ちを抑えられないまま、一行は直ぐに料理に手を出す。その味はというと……



「っハハ…… 完ッ璧な料理じゃねぇか……!」
「この鶏肉凄いね……! 下味も十分、衣の焼き加減もサクサクで相性バッチリ! 海藻サラダも海藻の塩加減を味付けの主軸にしてるのが分かるよ!」
「……冗談って事で話させてください。雷那、また次も料理作ってくれませんか?」
「……そこまでのレベルで美味しかった? いやまぁ、うん。……ありがと////」



鶏肉に小麦粉、卵、パン粉をまぶして衣をつけてジャストな時間でこんがりと焼き仕上げ。通常では他の野菜を盛り合わせに使用するが、雷那の好みの都合上で作られた特製海藻サラダ。これらから作られる夕立雷那のこだわり付きずぼら飯は、今、この場を以て顕現した。



料理の評価が文句無しの☆5だったのは、言うまでもない。

オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.17 )
日時: 2024/01/25 17:34
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「……さて。もう逃げようもないんでね。流石にそろそろ凍って出来上がったと思うのですが……」


ようやく最後の迅の番。冷やすだとか凍らせるという単語が多かった事から察せられるに、他の人とは明らかに別ジャンルの料理が想定されていたが、出てきたものはというと……








金属製バケットにドカッと入ったまんまのシャーベット状の凍ったものだった。

これってまさか……



「アイスだぁーーーーーーっ!!」
「へぇ、よく出来てるじゃねぇか」



そう。迅が作っていたのはアイスだったのだ! しかし何故アイスというチョイスを……?


「お恥ずかしながら、調理実習以外でまともに料理手伝うこともなくってさ……; 何なら出来るだろうって考えて、とりあえずで挑戦してみたんです。あまり味には自信ないですがね……」



…………思ってたより自棄やけだったらしい。
その意気も分かったところで早速試食に移る。その味はというと……



「……ん?」
「……あれ、なんか普通のアイスと違うような……」
「やっぱし思ったようなアイスの味じゃねぇなぁ……orz ……けど、何が原因なんだろうな? 最低限の手順だけでも間違えないよう、慎重にやったんだけど……」
「やっぱこうなっちゃうのよね……;」



口に入れた瞬間サッと溶けていくひんやりとした感触……いや、その感覚はアイスと呼ぶには余りにも一瞬すぎた。おまけに口どけに関しても、味わい自体は問題ないのに何処か違和感がある。

一体全体どういうことか分からない一行だったが、ただ1人、雷那だけは心当たりがあったようで……?




「……そもそも。アイスクリームなんて20分+αで出来る程、簡単なスイーツじゃないわよ」
「…………えっ?」


「皆が1口食べて感じただろう違和感は多分2つある筈なのよ。1つは凍り具合。このアイス、口に入れてから溶けるまでがやけに早かったと思わない?」
「それは確かに思ったけど……もっと冷やす必要があったの?」
「ただ冷やすだけじゃ効率が悪いでしょうね。多少手間はかかるけど、30分おきくらいに1度冷凍庫から出して全体をかき混ぜたりして、冷やし具合を全体的に満遍なく拡げるのが理想なんて言われてるわ」


「もう1つは口あたり。皆も食べてる時に直ぐに違いに気づいたはずよ」
「あぁ。なんていうか、舌がザラついたんだよな。アイスっぽくないっていうか……」
「この原因として考えられるのは、アイスのかき混ぜが足りなかったり、冷凍の最中で発生した大粒の氷の結晶だったりね。これらの問題を解決する為にも、先程の冷凍中のかき混ぜというのが非常に有効になってくるのよ」


「て事は…… 俺、全体的にしくじってた…………ってコト!?」
「まぁ、そうなるわね; けど仕方ないわよ。ラジオの途中で緊急で料理作れと言われちゃ、本来時間のかかる料理を作ろうとすれば、不備がどうしても発生するものよ。……それに、参考までに言わせてもらうと。アタシがここまでアイスの失敗に詳しいのは、過去に自分もおんなじポカやらかした事があるから。料理の道……特にお菓子作りに関しては、本当に覚悟しといた方が良いわよ」



スイーツ作りは通常の料理作りよりも修羅の道。などとはよく言われるが、今回改めてその敷居の高さを目の当たりにせざるを得なかった……

皆思うところはあったのか、今回の迅のアイスへの総評は☆2で固まった。



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「いやはや、皆さん大変お疲れ様でした。どうです? お互いの事も、今回でよく分かってきたんじゃないでしょうか?」


ラジオもそろそろお開きの時。管理人はMCの卵4人に確認を投げかけていた。


「えっ? まぁ……だいぶは分かったんじゃないの?」
「……ですね。より愉快な人達だと思えるようになりましたよ」
「お前らな……; まぁ俺も見えてはきた感じだな」
「すっごい楽しかったよ!!」

「……そうですか。それなら良かった」


皆からの答えを聞いて安堵したのも束の間。管理人は穏やかな表情のまま──しかし目つきだけは真剣になり──こちらを見やった。









「それでは最後に──今後の皆さんの行く末についての【オリエンテーション】を始めようじゃあないですか」



──刹那。彼らを取り巻く空気が変わった。


和やかな空気が一瞬で静寂に変わるその様を、著者は1人、内心で震え続けながら話を進めた。



「冒頭でもお話をしましたように、私の目的は皆さんの世界観を飛び越えた交流に御座います。その為にも、皆さんにはこれからある1つの'宿題'を第1課題としてこなしてもらいます」
「……宿題ってなに?」
「学校で出されるやらなきゃいけない事、まぁミッションみたいなもんですよ」


「補足説明有り難うございます。では宿題の内容を単刀直入に言いましょう。皆さんにはこれから、『この"C-Ref"にどなたかを招待してもらいたい』のです」


「……相変わらず無茶言うわよね、アンタ」
「要は、今後の交流のためにメンバー増やしたいから、どんどん友達を招待してくれよなってとこか」
「そうなります」





次回以降のメンバー追加についてのお願いをした後、ラジオ放送は終了。主人公達は無事、元の世界へと戻っていったのであった。



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さて。最後にここからは、このお話におけるエピローグ、並びにこの先の物語の為の次回予告(?)をお話しよう。



1. 迅と雷那、2人の合作


ラジオ放送終了直後、折角だからと連絡先を交換した4人。……いや、厳密にはスマホを持ってない阪奈を除いた3人だったのだが。

その次の日から、迅と雷那はお互いに連絡を取り合うようになっていた。

いきなり仲が進展しすぎではないか?と勘違いされかねないが、実態は合作活動についての相談だった。


RAINA:今アタシ、こんな楽曲作ってんだよね
    ~~~~~~~.mp3
HGR - III:聴いてきた。俺ピアノ旋律混ぜてみたかったんだけど、どう思うよ?
RAINA:難しいこと言うねアンタも。まぁやってみる?


あのコラボデビューの一件以来、お互いをすっかり認め合った2人は、今後の作曲・オンゲキ活動をより良いものにする為に『合作協定』を結んだのである。

住んでる学校も地域も違えども、お互いの目的の為に協力し合えるというのは、正しくこの小説で魅せていきたい点の1つであった。



──そんな宣材を、著者が活かさない筈がなかったのだ。



実は著者、ラジオ放送の一端、言ってしまえば迅のDJライブ&雷那のオンゲキMVを無断で動画サイトに転載していたのである(爆弾投下) 後で2人にド突かれても知らんぞ??

こうして転載された動画なのだが……
あろう事か、迅の音楽性と雷那のパフォーマンスが高い評価を受けたのか、小さなバズりを巻き起こす事態となってしまった(小規模爆発)

当然ながら、この2人に何の被害もない筈がなく……





「さ~てと。偶にはなんか動画でも見っかな~。……アレ、しろにゃーから連絡だ。何々? 『この動画の人ってもしかして?』お? アタシらの名がまたしても世間に轟いたってか?」

「……いや、違うな。DJライブとMVってとこか? 随分良い音掻き鳴らしてるみたいだけど…… いや、てかこのDJやってるコイツ…… 緋桐迅、だよな? うちのクラスの。普段何の活動もしてねーつまんねー奴だと思ってたけど、珍しい一面もちゃんと持ってんのな。……明日、いっちょシメますか!」



「ふっふっふっ。さて、今日もサバゲーの練度を上げる為に、動画でイメージを……む? 何か賑やかな動画があるな。サバゲーの衣装で何をして……なっ!? これは我らの誇るオンゲキではないか!? という事はあの女……私が見込んだサバゲー後輩の雷那か!?」

「ぐぬぬ……一体いつの間にこのようなものを…… なんならいつものオンゲキよりもどこか生き生きしてないか……? …………!! そうかそうか……他でもない生徒会長、そしてサバゲーの大先輩であるのがこの私だ。ならば実力行使、直々に尋問してやろうではないか! わーっはっはっは!!」



…………この一騒動が、次回巻き起こる。





2. 九瓏の過去、夢 (全文LINE式でお送りします)


PLAY:【悲報】俺の野球人生、終了

CLAW:結局駄目だったのか?

PLAY:いや、実を言うと部自体は存続した。ただ……あれはもう女子野球部だよ; どうすればいいんだよ……

Shuイチロー:何を言ってるんだい? 女子野球部なんてそんな夢のような……僕の部員がその話を聞いたら全員飛びつくだろうね!

黒城:毎回思うが、お前らそんなに下心強いのになんで野球も強えーんだよ、ふざけんな。夏甲子園ベスト4とかどうなってんだよ

轟巫女:まだ女遊び、続けてルの? ……ウザッ

PLAY:唐突に飛んでくる痛い一言

轟巫女:こっちは今ヤ炭鉱夫……いや、炭鉱婦なのヨ。大変ったらアリャしない

CLAW:……つくづく俺達の高校野球、変な方向に飛躍してないか? 海を渡ったり炭鉱夫するなど、流石に聞いた事ないが……大丈夫か?

轟巫女:事実、こうでもしなきゃ皆に追いつけなイ

王従者:何を騒いでると思い見に来たが……そうか、部活動自体は大丈夫なようだな

PLAY:出たね優勝校

轟巫女:もはや貫禄があル

ヒロミ:あんたらの名声は、海にいる俺にも届いてたぜ!

王従者:全ては我が王が為した事。俺はそれに尽力したにすぎない

月:……俺の渾身の一撃を采配でブロックしてゲッツーにした事、忘れてないからな

黒城:強豪軍団が軒並み揃い踏みか。改めてヤバいなこのグループ

吸血種:ごめん!ずっと練習してたから返信遅れた!

Shuイチロー:練習お疲れさん。……あれ? 今23:00だよね? 正気?

吸血種:夜の方が効率いいから仕方ないよ

CLAW:いるしつているか。甲子園は昼開催だぞ

ヒロミ:何かで見たなその構文

黒城:DE〇TH N〇TEだろ

月:……お前ら、よく分かるよな

王従者:雑談はもう十分したろう。今日は解散だ

轟巫女:大丈夫。皆あの日の夢ハまだ覚えてるカラ





『──俺達、今度は甲子園で全員集まろう』



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はい。ここまでがオリエンテーション、即ち準備編となります。本格的な日常物語が次回以降始まる、という訳ですね。

……はい、皆さんも思っている事でしょう。

前回更新から空いた期間は、なんとまさかの8ヶ月半。モンハンRISE サンブレイクなんざとっくに発売したと思ったらアプデがとうとう出揃っちゃいましたよ、ええ。

究極の遅筆だという話はしておりましたが、まさか開幕早々この始末とは自分も思っておりませんでした。そりゃあ愛想尽かされちゃいますよね……

とはいえ、ようやくリメイク案も出揃いましたし、ここまで進められたので対抗策もようやっと始めれます。

ここからは、私HALも皆様の執筆を稀に読ませていただいては感想を書いてこうと思います。

基本は1人でやってくると思いますが、たまに主役のオリキャラ達を招くやもしれません。その際は、なんかやってんなHALの奴、と軽く流していただけると嬉しいです。


次回からはいよいよ本気の日常小説です。その序章中の序章にあたる次回作の前振りをリメイクがてら書きました。

次回更新が何時になるかは例の如く不明ではある訳ですが、これにて後書きは一旦閉めさせていただきたいと思います。



それでは感想をどうぞ!!!