二次創作小説(新・総合)

chapter1 ノエロコリ ( No.17 )
日時: 2023/01/20 00:04
名前: アルズ (ID: 9s66RooU)

へたり込んだまま、時が過ぎた。

「大丈夫~~? 立てる?」

と、戸田君が手を貸して立たせてくれた。
ありがとう、と有難くその手を借りて立ち上がる。
それ以外の言葉はここにはなかった。

みんながみんな、じっとりと、疑心暗鬼の目で全員を見つめていたのだ。




「ね、ねえ! このままここにいてもしょうがないんじゃないかな!?」



と発破をかけてみた。
みんな私の方を見た。
疑いの目がはれないまま、私を見つめるみんなの目は不安と疑心暗鬼がうっすらと残っていた。

「ですけれど…、どうにもなりませんよ…。
私たち…何をすれば…。」
「ここを調べようよ! ここで過ごせって言われてるんだから、過ごせるだけのスペースとか、食料とかあるはずだもん!
詩乃ちゃんが言いたいのってそういうことだよね!?」
「う、うん…。
天宮さんの言う通り、みんなで手分けして、探してみようよ。出られる鍵とか、そうでなくても休めるスペースとか絶対あるはずだもん! 諦めるには早いよ!」

というとみんなの目は活気づいてきた。

「…手分け、か…。俺、パス…一人で探したい…。」
「月村~そんなんじゃ駄目だよ~!
俺が組んで一緒に探すから親睦深めよ~!? 」
「僕もいいですか? 月村さん放っておけなさそうので。」
「…いらない…。一人でいい…こないで…。」


早速あっちは3人で組むみたい。
…月村君が引っ張られて行ってしまってるけど…。


「うーるま!さぁ僕と一緒に行こうぜー!」
「…うざい。ひっつくな。唾が飛ぶ。」
「辛辣~。」

あっちはあっちで安定だなぁ…。 二人とも、そのまま出て行っちゃった…。

「梓音ちゃーん! 鈴奈ちゃーん! よかったら一緒に行動、どう?」
「私は構いませんよ。」
「いいけど、邪なこと考えてないでしょうね。」
「ぜーんぜん! 両手に花だなーって思っただけだぜ!」
「…。」

梶浦君は相変わらず…といったところかな。 でも、あんなことがあったのにあんな明るくなれるのはすごいなぁ…。

「私も頑張らないと…!」
「何が?」
「ひょわっ!?」

いつの間にか後ろには柚月君がいた。
音もなく近づいたのか、わからないけど…とりあえずびっくりしたのには変わりない。 心臓、まだドキドキ言っている…。

「あぁ、ごめん。驚かすつもりはなかったんだ。
…よければ一緒にこの学園回らない?」
「いい…けど、他の人とはいいの?」
「ボクはキミがいいから声をかけたんだ。
…だめ、かな?」
「う、ううん! 全然! 私でよければ一緒に行くよ!」

こうして私は柚月君と共にこの校舎を周ることになった。
残りの人たちもそれぞれ他の人と一緒に行くことに決めたみたい。

「じゃあ、集合場所…どうしようか。
体育館?は集まるには適さないよね…。」
「周った所に絶対いい場所あるからそこ見つけたら誰かが伝達して…っていうのは!?」
「めんどくねー? 第一誰がどこにいるのかわかんないしすれ違ったりするだろー?」
「実は電子生徒手帳に面白い機能があってな。」

とレイラさんはポチポチと電子生徒手帳を操作し、とある機能を私たちに見せた。

「『メール機能』。これがあった。
これ一斉送信もできるし、何かあった時の緊急連絡に使えるんじゃないかな?」
「ほーう。確かに面白い機能だ。」
「これならどこにいても情報を伝達できるね~。ナイス~!」
「じゃあいい場所見つけたらそれに連絡するってことで! 各自探索開始!」


『おーーーーー!』








かくして私たちは、学園内を探索という形で一度は調子を取り戻した。











私と柚月君は皆と同じタイミングで廊下に出た。

「この模擬刀、かっこいいね。」

なんて、おちゃらけて柚月君は足を止める。

「うーん…確かに刀ってロマンあると思うけど…。
欲しいの?」
「まさか! 泊まる場所まだわからないのに、持って帰るわけにはいかないよ!」
「泊まる場所わかったら持って帰る気だったんだね…。」

輝く模擬刀を彼は輝かしい目で見つめている。
男の子ってこういうの好きだよなあ…。と思った瞬間だった。



「ごめんね。足止めらせて。 じゃあ探検しようか。」
「大丈夫だよ。 どこから行こうか?」
「歩けば探検になるよ。 だから“ここの把握”という目標を忘れずに、歩いてみようよ。」
「確かに…。 そうだね。そうしようか。」

と、会話を進めながら私たちは歩み始める。







教室、『KEEPOUT』という文字が書かれたテープが張られた保健室と書かれた扉。
緑色のライトに照らされ、不気味さが一層増した学園に、私たちはまたも圧巻してしまう。
こうして道を進んでいけば、赤い大きな扉があり、そこには天宮さん、葉奈君、諏訪野さんがそこにいた。

「あ、柚月君に文月さん…。」
「どうしたの二人ともー。って探検だよね! どう?集まれそうな場所見つけた?」
「こんな短時間で見つけれるわけないだろ。というか、もし見つけてたらメールが来るはずだ。」
「そういえばそうだね! 先急いじゃった。」

えへへ。と可愛らしい笑顔で天宮さんは笑った。
皆の様子を見ると微笑ましく思うがその前に…。

「えっと、この扉って何なのかな…?
他の教室にあった名札…?みたいなのないし…。」
「…私も思ってました。 けれど、押しても引いても開かないんですよね…。」
「アレに聞いたら『今のオマエラには関係ない部屋です!』って言ってたし、ここは放置でいいか。って話してたとこなんだ。」
「アレ…? あぁ、モノクマの事…。」

葉奈君はモノクマに対して敵対心を持ってるみたい。
と言っても、みんな敵対心持ってるようなもんだけど…。

「そういえばあっちに階段あったんだけど、塞がれてて上がれないんだよね!」
「あっち…?」

と言いつつ、指をさしている方を見るとシャッターが閉じられている階段が見えた。

「なんでシャッターが閉じられているんだろうね?」
「…なんでだろうな。」

…謎が深まるばかりだ。








三人と別れてまた道なりを歩く。

「あ、見て文月さん。倉庫あるよ。」

柚月君が指さすところには『倉庫』と書かれた扉があった。

「本当だ。
…入ってみようか。」
「うん。そうだね。」

そう言って私たちは入ってみる。
中にはすでに人がおり、確認してみると、牧里さんと梶浦君、野々坂さんがいた。
三人は棚の中を漁っており、ドアの音を確認するために私たちを見た。

「詩乃ちゃんに柚月じゃん! どうしたんだ?」
「探検でここに入ってみたんだ。 なにかいいのあった?」
「様々な日用品などがありましたよ。…ここ、埃臭いので早く出たいのですが…。」
「だったら外出て休んでていいよ! くしゃみとか鼻水とか出たら大変じゃん!」
「何もしないわけにもいかないのですが…。お言葉に甘えさせていただきますね。
それでは失礼いたします。」

そう言って牧里さんは一足先に倉庫から出た。
確かに鼻の利く牧里さんからしたらここは辛い環境だろうな…。

「そういやこれ見てくれよ! ジャージ!
ということは運動できるところあるんじゃね?!」
「本当に身体動かすの好きだね。 気持ちはわかるけどさ…。」

様々な色のジャージを見せびらかす梶浦君の目は輝いており、相当運動がしたいと見える。
一方で野々坂さん。あきれた態度を取ってはいるけれど、その目は輝いているのが見える。
二人とも、運動が好きなんだなって思った。 この二人、仲良くなれそうだなぁ。

「文月さんにやけてどうしたの?」
「ううん! 二人とも仲いいなぁって思っただけだよ。
身体動かすの好きだから似通うところがあるのかな?」
「あー、そうかも。梶浦も私も身体動かしたりするの好きだもんね。」
「鈴奈ちゃんバトミントン選手だしな! どう?この後一緒にスポーツしないか? パルクール教えるからさ。」
「しーなーい! 梓音待たせてるんだから身体と思考動かす!」
「はいはい~。 まぁ、頭動かすの苦手なんだけどなぁ。」
「実は私も。」

やっぱり二人とも似通っているところがあるなぁ。
二人を見ているとこの異様な光景にも慣れてしまう。

「じゃあ私たちそろそろ行くね。 二人とも頑張ってね!」
「おう! お前達も気を付けろよ!」
「うん。頑張って収穫見つけるね。」

そう言って私たちは廊下へと出る。
扉の横には牧里さんが待っていた。

「あら。二人はまだ中に?」
「うん。色々見てるみたいだよ。」
「そうですか…。私単独で動いて何か探してみようと思ったのですが…。」
「ひとまず一声かけてみたら?」
「そうですね…。 そうさせてもらいましょう。
それではお二方、また後程。」

と言って彼女は一旦倉庫へと戻っていった。

「じゃあボク達も行こうか。」
「うん。」

そうして私たちはまた歩みを進めるのであった。









次に訪れたのは『寄宿舎』。
白く、清潔感の漂うこの空間に少し安心感があった。
この空間を歩んでいると、『食堂』と書かれた看板が掛けられている部屋を見つけた。
早速入ってみると、先に出て行った漆間君と豊馬さんがいた。

「あ、二人とも来たんだー!
向こうのキッチンみて! 霜降り肉あるよ!」
「し、霜降り肉!?」
「…初めて見た。」
「だ、だろうね…。」

あのローテンションの漆間君も興奮しているように見える…。 恐るべし霜降り肉…。
私も食べたことないなぁ…。

「天宮君に頼んだらめっちゃおいしいお肉料理できそう!
後で頼んでみよ~!」
「お菓子作りできるってことは料理も得意だろうしなぁ…。ちょっとよだれでてきた。」
「…汚い。」
「ひどいなぁ。」

漆間君、豊馬さんだけじゃなくて他の人にも辛辣なんだなぁ。
そう思いながら周りを見渡す。

16人座れそうな椅子と大きなテーブル、もしかしたらここに集まるのが適切なのではないだろうか?

「柚月君! ここを集合場所にしない?!」
「…あぁ。確かにここは適切だね。
そうなればみんなに知らせないと。」
「何々~? 何の話~?」
「集合場所、どこにしようかって話になってね。そこで探索していい場所見つけたらそこにしないかって話になったの。
食堂、いい感じに椅子とテーブルあるし、いいかなーって思って。」
「確かにー! じゃあみんなに知らせよ!」

と、豊馬さんは電子生徒手帳を取り出した。

「…豊馬さん、メール機能について知ってたの?」
「んあ?
…あぁ、漆間君と歩いてた時に色々いじってたら見つけたんだよね~。」
「さすがITオペレーター…。」

異様に早いスピードで電子生徒手帳をタイピングしていく彼女はすぐに「送信完了!」と言ってその画面を見せびらかす。
確かにそこには『寄宿舎に食堂発見! そこに集合して近況報告しよう!』というメッセージと共に『送信しました』という文字が出ていた。

「いやぁ~。便利だねぇ。」
「…これでみんな来ると思うから。
オレ達はここで果物摘まんでるから、お前たちは行くといい。」
「動く気…ないんだ…。」
「…めんどくさい。」
「漆間君行かないから僕もいかなーい!」
「…こないで。」
「辛辣!」

というわけで、二人とも一足先に食堂で待つことになったようだ。
二人と別れて私たちは食堂を出て他の場所を探索することにした。








次に訪れたのは…


「せ、銭湯…!?」

そう。銭湯だ。大浴場。大規模な学園というだけあってこんな施設があるだなんて驚きだ。
柚月君と私は好奇心に負けて入ってみると、すでに一ノ瀬君と小深山さんとレイラさんがいた。

「あ、二人とも。メール見た?」
「うん。豊馬さんと一緒にいたから、メール送信してるところも見たよ。」
「よかった! しかし食堂かあ! 俺達はここ気になりすぎてあることに気が付かなかったからなぁ…。」
「確かに大浴場あるってなったら気になっちゃうよね。」
「ちなみに混浴だ。」
「えぇ…。そこは男女別じゃないんだ…。」

ここの創設者はなんで混浴にしたんだろ…。邪な気持ちでもあったのかな…?

「水着あれば一緒に入れそうだな!」
「いや、身体洗う時どうするんだ。」
「…確かに!
じゃあみんなで入ることはできないなぁ。仲良く入れるとよかったんだけど…。」
「プールだったら話は別だったかもね…。」

一ノ瀬君はみんなと仲良くすることを重視してるみたいですこしホッとする。
だってずっと疑心暗鬼じゃ、みんなの心が疲れてしまうから。
というより、仲良くさせようとしている? 一ノ瀬君って意外とガンガン来るように見えてみんなの事よく考えてるよなぁ。
っといけないいけない。あんまり詮索しないでほしいって言われているんだった。

「…寄宿舎って書いてある通り、泊まる部屋に風呂あればここ利用する機会あんまりないだろうなぁ。」

と話題を変えて先ほどの考えを払拭する。

「ああ、さっき見かけたぞ。見てきたらどうだ?」
「そうなんだ。見てきてないし見てこなきゃ。」
「すでに他の子たちが見てるから色々聞くといいかもねー」
「わかった!
じゃあまた食堂で会おうね!」

と、私たちは銭湯から出て泊まる部屋、寮に向かうことにした。








「あ、文月に柚月だ~。 やっほ~。」
「戸田君。さっきぶり。
月村君と泉君は?」
「中の検証中~。」
「…中?」

と疑問に思ってると二人が出てきた。
扉には二人の名前が書かれた看板があり、そこが二人の部屋だと言っているようだった。

「おや、お二方。ここの様子を見に来たんですか?」
「そうだよ。 二人とも何してたの?」
「…防音の確認…。」
「防音?」
「なんかね、モノクマが言うには『中は完全防音になってる』って言うから確かめてたんだ~。
それで、どうだったの?」
「メールでのやりとりをしつつ確認しましたが、何も聞こえませんでしたね。」
「…同じく。大声出せないから壁ドンしてたけど…全然何も聞こえてないみたい…。」
「え、あなたそんなことしてたんですか。」

完全防音か…。何かあってもすぐに駆け付けられないなぁ…。
そう思ってしまうと自己嫌悪で顔をしかめてしまう。
まるで誰かが殺人などを犯す可能性があるみたいな考え…したくない…。

「大丈夫?」

柚月君はそれを感じ取ったのかそれを心配してくる。

「ううん。大丈夫だよ。
ちょっと嫌な考えしちゃっただけだよ。」
「なら休もう? あんなことあったから疲れてるのかもしれない。」
「うーん…。
そうしようかな。一通り見まわったし…。」
「わかった。
じゃあ、ボク文月さん先に食堂に連れてくるからみんな見終わったら来てね。」
「わかった~。」

私たちは三人と別れて食堂へと向かう。
あまり迷惑はかけたくはないんだけど…仕方ないのかな…。
そう思いながら私たちは歩みを進めて食堂へとたどり着いたのだった。