二次創作小説(新・総合)

chapter1 ノエロコリ ( No.21 )
日時: 2023/01/21 11:07
名前: アルズ (ID: 9s66RooU)

『キーンコーンカーンコーン…』


『希望ヶ峰学園学園長からお知らせいたします!
オマエラ、朝の7時ですよ! 本日も学生の本分を忘れぬよう努めましょう!』




アナウンスが鳴り響き、目が覚めた。
まさか毎朝これがなるのかな…?
そう思うと憂鬱になるが、早寝早起きは良いことである。
そう思い、私は支度をしていた。





ピンポーン…





「…?」


呼び鈴が支度をしていた手を止まらせる。
急いでマフラーを首に巻いて、扉を開けた。

「あ、文月さん。おはよう。」

そこには柚月君がいた。

「おはよう柚月君。
…どうかしたの?」
「実は毎日の生存確認のために“朝食会”をやろうと思って…。
みんなでご飯食べると楽しいし美味しいでしょ?
一石二鳥になるし、みんなに呼び掛けてたんだ。」
「それは良い考えだね!
…それで、みんななんて?」
「みんな大丈夫だって。 天宮さんは今厨房に立ってくれてるし…。
あぁ、月村クンは少し遠慮してたぐらいかな…。」
「月村君は照れ屋さんなだけだよ。だから誘ってくれてうれしいと思うよ?」

と言っても…憶測なんだけれどもね…。

という心の声をしまい、飲み込む。
実際、私の言った言葉で柚月君は自信を取り戻した顔で

「ならよかったよ!
少し強引だったのかもって不安だったんだよね…。 そう言ってくれて自信がついた。
ありがとう!」

と、そう笑顔で言ってくれた。

「そう思ってくれてよかった。
そうだ。私で何人目? 残りの子はいない?」
「うん。文月さんで最後だよ。
だから一緒に食堂に行こう。」
「そうだね。一緒に行こう!」

そして私たちは食堂へと共に足を進めるのであった。








「おはよう。みんな!」

そう笑顔で挨拶をすれば各々「おはよう」と挨拶をしてくれる。
少し眠そうな者、朝だというのに元気な者。十人十色だ。

「眠いよ~~…。 もう少し遅くてもいいんじゃないかなぁ…。」
「せっかくの交流を深める会なのですから、朝ごはん食べてから寝てくださいね。
部屋以外では寝れないのですから。」
「わかった~…。」
「俺もねみぃから飯食ったら寝るかな…。」
「…オレも…。」



「うーん…みんな眠そうだね?」
「朝慣れてないんだろう? 仕方ないさ。
朝7時…早い方だと思うし…。」
「早寝早起きは良いことだぞ! みんな目を覚ますんだ!」
「わかったわかった…。」

各々がそう会話をしていると、料理が乗っているお盆を持った天宮さんが厨房から出てくる。

「そうだよー! せっかくのみんなとの朝食楽しまなきゃ損だよ!」
「あ、手伝うよ!
苺の料理手伝えればいいんだけど…。 16人分の料理作るの大変でしょ?」
「大丈夫! みんなの料理作るの楽しいし、慣れてるから!
デザートもあるよ!」
「本当?! 天宮さんのデザート楽しみだなぁ!」

各自手伝いながら、『超高校級のパティシエール』の作るデザートを心待ちにする。
今日の朝食は良い焼き加減の秋刀魚。ほうれん草のおひたしに、豆腐の味噌汁。そして白米。
傍にはデザートに小さなチョコレートがかかったカップケーキが置かれている。
食欲があまり沸かない早朝…。けれどもこのおいしそうな匂いとおいしそうな視覚でお腹が鳴りそうだった。

「いい匂いですね。カップケーキも美味しそうです。」
「簡単に作ったものだからあれだけど…。味には自信あるよ!
さ、食べて食べて!」
「じゃあ早速…いただきます!」


『いただきます!』



秋刀魚、柔らかい…!
あまり魚を食べるのは得意じゃないのだけど、これなら多少下手でもきれいに食べれるかも…!
温かくて美味しい秋刀魚を食べながらご飯を食べる。
白米も昨日と同じいい炊き加減で、ホクホクしていて美味しい。秋刀魚とよく合う。
そしておひたし。これもまた美味しい…!
いい感じに芯が残ってるし、柔らかく、鰹節がこのおひたしのおいしさを引き立ててくれる。
味噌汁も出汁からとってるのだろう。風味が良く、どんどん飲みたくなる。



みんな様々な食べ方するなぁ、と思いながらキョロキョロと周りを見る。

「どうしたんだ?」
「葉奈君、すごい綺麗に食べるね。」
「ん…? あぁ、そうか?」
「うん。骨だけ綺麗に残ってるもん。 私、骨取るの苦手で…。」
「お前もきれいに食べれてると思うけどな。」
「そう? なら人前で食べても恥ずかしくないね…!」

そう言いながら秋刀魚を食べる。
身が多少骨に付いてしまっているのはもう気にしない…!
そう思いながらみんなと会話しながら朝食会が終わっていくのだった。




…え? カップケーキ?
この世の言葉では表せることができないほど美味しかった。
これが『超高校級のパティシエール』の作るお菓子…しかも、簡単に作ったというものだから末恐ろしいものだ。
















「はぁ~~…。 どうしようかなぁ。」

朝食会が終わり、私は部屋へと戻っていた。
ベッドに腰掛け、天井を仰ぎ見ながらポツリとそう呟いていたのだ。




ふ、と私にとある考えが下りてくる。



「そうだ! みんなとお話ししよう!」


そう。誰かとお話しする。
交流を深めてこそ、『コロシアイ』というこの状況を打破できるかもしれない。
そう思い立った私は早速、部屋から飛び出したのだった。








「あ、月村君。」

部屋から出て、食堂へ向かうと月村君がお茶を嗜んでいた。

「…なんだ?」
「一緒にお話し、どうかなって。お隣いい?」
「…。」

無言で彼はお茶を飲む。
無言は肯定と捉えよう。私は隣に座り、彼を見ながら話をする。

「月村君は…人と話すの苦手なんだよね?」
「…そう、だな。」
「無理させてごめんね。 交流会とか色々引っ張り出させて…。
でも…月村君って、ちゃんと来てくれるし、もしかして人と接すること自体は嬉しかったりするのかな?」
「…そんなことはない。」

もごもごと彼はお茶を飲みながら否定してくる。
そして、飲み終えた後彼はこういった。

「なんでお前は、そう…人の心を透かしてくるんだ…。」
「…なんで?」
「…いや。なんでもない。
文月は、どうして俺なんかに構うんだ?」
「どうして、かあ。 仲良くなりたいって言うのが一番なんだけど…。」
「けど?」

うーん、と悩みながら恐らく、と答えのわからない言葉を口に出す。

「月村君が、寂しそうだから…かなぁ。」
「…。」

彼は心底驚いた。というように目を見開く。
冷めてしまったお茶を彼は見つめながら、口を開いた。

「そんなに…そんな風に見えるのか?」
「憶測、だけどね…!
私にはそう見えたかな。
…みんないい人たちだし、こんな状況だけど、月村君にとってのお友達できると思うよ。
あ! 戸田君とかどう? ゲーム仲間としていいお友達になれるかも!」
「…そうだな。」

と、彼は「ふっ」と笑った。

「早速話したらどうかな? 戸田君おっとりしてるし、話しかけやすいと思うの。
…もし、話しかけにくいんだったら私から通して…」
「いや、いい。」

と、彼はお茶の入っていたカップを持ちながら席を立つ。

「…少し、頑張ってみる。」

そう言って彼は厨房へと姿を消した。
これは…彼と少し仲良くなれたってことでいいのかな?

そう思いながら、私はにこにこしながら少しの間、食堂で過ごした。