二次創作小説(新・総合)

chapter0 プロローグ ( No.3 )
日時: 2022/12/30 14:56
名前: アルズ (ID: 9s66RooU)

「…上手くいくかな。」


なんてぼそりと呟いた。
だって上手くいくだなんて思いもよらなかったから。

クラスになじめる…のは得意だからいいとして。
この学校自体、ついていけるのかが不安で不安で。
でも私がこんなんじゃだめだよね。

パンパンと両頬を叩いて気合を入れて、目の前の、大きな大きな建物を見た。









―――――――――『私立 希望ヶ峰学園』―――――――――




そこは、あらゆる分野の一流高校生を集め育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園…。
そこは、何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園…らしい。

国の将来を担う“将来”を育て上げることを目的とした、まさに、“希望の学園”と呼ぶに、ふさわしい場所だ。




こんなすごい学園に入る方法は二つ――。


“現役の高校生であること”
“各分野において超一流であること”


新入生の募集は行っておらず、学校側にスカウトされた生徒のみが入学が許可される。
そんな超すごい学校に…私は立っていた。

私はパンフレットと、目の前と堂々と立っている大きな学園を交互に見る。
あまりの大きさに、少し萎縮してしまう。



「やっぱり場違い…かな。私みたいなのは。」


ふう、とため息をついて立ち往生する。
前に立ち進む勇気がまだ持てないのだ。
その勇気を会得するために、私は今一度、何度も何度も夢かと思ってみていたパンフレットを、もう一度見ていた。



『文月 詩乃様
あなたを“超高校級のカウンセラー”として入学を許可いたします。
詳しくは付属されているパンフレットに記載されていますのでよく確認なさってください。』

と。

何度見ても何度見てもその言葉はしっかりと夢ではないぞと刻み込まれている。

そうだ。私の自己紹介をしておこう。
と言っても…何を話せばいいのかわからないのだけれど…。



私は文月フヅキ 詩乃シノ。ごくごく普通の女子高生の筈…。
筈だったのだけれど、こうして招待されると普通の女子高生だなんて誰も信じてくれないだろう。
カウンセラーと胸を張って言えることをしたことはない。
精々、鬱になりかけていた子のケアを一生懸命した、とか。受験シーズンでイラついていた生徒のなだめ役を買って出て、その心の解消をした。とか。
他の子でもできるようなばかりのことをしたまでだ。
私は、人のためにやりたいことをやりたかっただけだ。
人間が大好きだから、マイナスに動いてしまっている人たちを、どうにかしたかっただけ。
ただそれだけだったのだ。

…とまあ、私の話はここまでかな?


「そろそろ、行かないといけないよね。
うーん…他の子とうまくやれるよね。大丈夫だよね。」

とぶつぶつと言う。

超高校級に選ばれる人間、というものに興味があって、もしかしたらこの話題を機に仲良くなれるかもと思い少し調べたのだ。
そこには、入れて当然。という程の凄腕の人たちが入ることが決まっていた。
そう、その分野においては平均値から飛びぬけていた知名度も実力も高い“超高校級”の方々ばかりである。




例えば、私も読んだことがあるあの『令和の文豪』、そう、三人に一人は読んでいる本の執筆をしている『超高校級の小説家』だったり――――――

例えば、様々なコンクールで金賞で受賞したほどで、いろんなパティシエやパティシエールが弟子入りするレベルの凄腕の『超高校級のパティシエール』だったり――――――

例えば、高校生ながらプロのパルクール団体に入っており、そのパルクール選手では崇められるほど実力者、優勝者の『超高校級のパルクール選手』だったり――――――




他にも、「科学者」「カードゲーマー」「調香師」「美容師」「ゲームマスター」「システムエンジニア」「オペレーター」「演劇部」「バトミントン選手」「園芸委員」「会計士」…と、並々ならぬメンバーがそろっている。
…カードゲーマーはわかるけどゲームマスターは良く調べてもわからなかった。本人に聞けたらいいな。




「もうそろそろ時間、かあ。」


現在の時間は7時ごろ。早めに家を出たというのもあって、少し眠気もある。
少し時間が経って、緊張がほぐれたのかもしれない。
探検でもして、入学式まで眠気を覚まそう。

そう思って、校門へと踏み出した。






「……………えっ。」







ぐるりと視界が渦巻のように回転しだした。
ゆっくりとゆっくりとくるくると回る視界に驚きながら戸惑っていると、








パタと







黒い意識に包まれた。
意識がなくなったのだと一瞬でわかった。





この時、気づけばよかった。
最悪のゲームが今始まることに。
倫理観なんて、捨て去るようなことになるだなんて。



思いにもよらなかった。