二次創作小説(新・総合)

Re: 新章開始【改訂版】プリキュアオールスターズ!if物 ( No.31 )
日時: 2018/07/13 18:23
名前: 広村伊智子 (ID: mNUslh/H)

4話
『自分を見せて!三人目の伝説プリキュア・キュアポップ!』



__小野家・2階の廊下__
「マジかよ・・・・」
「そんなことが・・・・」
 ルゥたんの話を聞いて、ふたりは固く閉じられたまあやの部屋をちらりと見た。
「プリキュアは、純粋な、誰かを大切に想う心が満たされたとき、初めてプリキュアになれるルゥ。まあやは、どうやら劣等感に邪魔されてなれなかったようルゥ・・・・ううん、それどころか__」
 ルゥたんは改めてあやとさあやを一瞥いちべつすると、重い声で言った。
「ほとんどの『イメージ』に制限がかけられてしまったようルゥ・・・・」
 ふたりが息を呑むのを感じながら、ルゥたんは、視線を落とし気味に続けた。
「リアルイメージは、とっても便利な分、使うものの心によっては、凶器にも変わってしまうルゥ。・・・・今のまあやは、危険だと判断されたんだと思うルゥ」
「そんな・・・・」「ひどい・・・・」
 順に、あや、さあやがつぶやいた。
「兎に角、今はまあやのことは放っておいたほうがいいルゥ・・・・」
「そうだね/だな」
 二人はそううなずき、ルゥたんとともに1階に下りようとした。
「・・・・本当に、手はそれしかないのかしら?」
「おばあちゃん!?」「あさ子さん!」「ホリゾン・・・・」
 ちなみに、ルゥたんがあさ子をそう呼んだのは、あさ子がキュアホリゾンであるためである。
「逆に外へ連れ出してみない?気分も晴れるかもよ」
「そういう手もあり、か・・・・」
 考え込むあやに、さあやが助言する。
「あや、昨年、七色が丘に遊びに行ってたよな。そこで知り合った子、いるだろ?」
「あ!みゆきちゃん!星空みゆきちゃんのこと?」
「そうそう!みゆきさんとは、今でも連絡取り合ってるか?」
「うん!時々電話するよ。でも、それがどうし__あっ!」
 何かに気づいたあやを、さあやはビッと指差し、言った。
「そう!みゆきさんと連絡を取って、七色が丘の気分が明るくなるような場所に連れて行ってもらうんだよ!」
「いいねッ!じゃ、今すぐ、みゆきちゃんに電話しなきゃなイメージだよぉ!」


__七色が丘・星空家のリビング__
 星空みゆきはひまだった。友人はそれぞれ用事があり、父は仕事。母も家事があってかまってくれそうもない。
 みゆきはもうじき公立中学の3年になるため、進級前といえども高校受験を頭に入れないといけない時期になってしまったのだが、この少女、勉強が大の苦手であるためシャーペンをとる気にさえ全くなれないのである。
 あまりのひまさに、お気に入りの童話の内の一つ、『ピーターパン』を繰り返し読んでいたら、固定電話が鳴った。
「この番号・・・・あやちゃん!?」
 みゆきは嬉々として受話器を取った。

 __もしもし、みゆきちゃん?
「あやちゃん!どうしたの?」
 __実は、えぇっと、とあることがおきてショックで立ち直れてない子がいて・・・・
「うん・・・・」
 __七色が丘の気分が明るくなるような場所、案内してくれないかな?
「あ、そういうことならもちろんやるよ!よかったー、ひまで仕方がなかったんだ!」
 __ありがとう!じゃあ、1時間後の、えっと・・・・
「10時、かな?大丈夫だよ!」
 __ありがと!・・・・ごめんね、近くに時計がなくって・・・・
「いいよ、いいよ!その時刻に、七色が丘中学の正門前にってことでいいかな?」
 __うん!本当にありがとうね!じゃあ、よろしくね!
「はーい!」

 みゆきは受話器を置き、母親にその旨を伝えに言った。


__小野家・まあやの部屋の前__
 まあやは、ずっとベッドで横になっていたが、ノックが聞こえたのでゆっくり起き上がり、ドアの鍵を外した。ドアを開けると、あやたちがいた。
 あやは、若干視線をさまよわせつつ言った。
「えっと・・・・遠足しない?」
「おいおい、あや、言い方が唐突過ぎるだろ!」
「ドアを開けた瞬間、『遠足しない?』とか言われたら、さすがにひくルゥ」
 その光景を見て、まあやは苦笑しながら、「大丈夫です。説明は要りませんよ、筒抜けでしたから。」といった。
「「「めちょっく!!」」」
 異世界から、とある少女のくしゃみが聞こえた気がした。
「あはは・・・・秘密の話はもっと声を抑えないと・・・・かく、折角企画してくれましたし、みゆきさんって方をがっかりさせてもいけないのでもちろん行きますよ!」
「「「やったぁ!」」」


__虹原にじはら駅前__
「とーうちゃーっく!」
「つくづく思うけど、外の世界って自由だな・・・・」
「ついこの間まであやの心の中にいましたからね」
「それにしてもいいところルゥ♪」
 改札を出ると、3人と1匹は口々に感想を言った。ふと、あやは腕時計を見ると、
「9時40分かぁ、普通に行けばまにあうね」
 そして、一同は歩き出した。ルゥたんがハミングする。
「おもいではー、うつくしすぎt」
「ちょっと待った!」
 ルゥたんは、「何ルゥ?」と、自分を抱きかかえているあやの顔を見た。
「それ、八神純子の『思い出は美しすぎて』のサビだよね?曲のセレクト古くない?」
 ちなみに、時代遅れな中3の作者はこの曲歌えます。・・・・とまぁそれは置いておいて、あやの質問を聞いたさあやとまあやもハッとして口々に訊いた。
「ルゥたんって何歳?」
「出身地はどこなんですか?」
「ちょ、ちょっと待つルゥ!質問に答えるからぁ!・・・・まず、ルゥたんは39年生きてるルゥ」
「「「ん?」」」
 3人は一斉に『野々村ポーズ』をした。
「この曲は1978年、ルゥたんの生まれる1年前にリリースされてるけど、いまもずっと人気の曲だし、お父さんがよく歌ってたからばっちり覚えてるルゥ」
「嘘ぉ・・・・」
「39歳、パパさんと同い年じゃねぇか・・・・」
 あやとさあやはまさに開いた口が塞がらない状態だったが、まあやは自分の質問が有耶無耶うやむやにされていることに気づいた。
「あの、ルゥたんの故郷は・・・・?」
 ごまかしが効かずに困ったからか、ルゥたんは視線を落としたあと低めの声でこう呟いた。
「・・・・『理想の世界』と『現実の世界』、その両方で『私』は__」
「えっ・・・・」
「あっ、な、なんでもないルゥ!まぁ、ルゥたんも実はよく分からなくってぇ・・・・」
「そう、なんですか・・・・」
 空気が異様になったためか、あやは慌てて、
「あっ、もうすぐ到着だよ!ほら、あの子がみゆきちゃん!」
 少し先に、濃い赤紫色のチョココロネを両サイドにつけたような髪形の、中3ほどの少女がいた。


__虹の子山・登山道__
「この虹原地区には、虹に関連する地名が多いけど、それは、ここ、虹の子山に伝説があるからなんだ!」
 空にかかる虹を見ながら、みゆきは語った。
 __光より始まりし伝説の力を持つ者、闇の11の生命を導かん。時過ぎて、11の生命、虹を渡りてこの地を踏み、新たな光の伝説とならん、と。
「「「「へぇぇー・・・・」」」」
「あれ?今、声が一つ分多かったような・・・・」
 もちろん、その一つ分多い声の主は、ルゥたんだ。
「そ、そんな訳ないよ!」
 あやが冷や汗をかきながらごまかすと、さあやとまあやも必死にごまかす。なお、さあやは、相手が年上のため、敬語である。
「こ、こだまじゃないですか?」
「と、兎も角、その伝説、現代語に訳してくれますか?」
 まあやのお願いに、みゆきはしばらく考え込むが、
「れいかちゃんに教えてもらったけど、忘れちゃった・・・・」
 と、舌を出しながら言った。
 じゃあ、なんで原文のほうを覚えていたんだろう?と、3人プラス1匹は不思議に思った。


__バーチャルイメージャー連合・理想郷 女王の間__
「リアルイメージャーじゃないプリキュア、ねぇ・・・・」
 リューカが考えていると、クライが申し出た。
「キュアマインドとキュアファニーは、『誰かを守りたい』という想いで覚醒しました。そして、キュアファニーが、いわゆる先輩プリキュアであるキュアマリンを守ろうとして覚醒したという事例があるため、現在、要注意人物である小野まあやと先輩プリキュアを接触させてはいけないかと」
「確かにそうね。ところでサッド、小野まあやの現在の行動はつかめた?」
「あ、すみません・・・・私、機械に弱いので、アングリに任せました」
「別に構わないわ。苦手なことさせちゃって、ごめんなさいね」
 その時だった。女王の間のドアが勢いよく開いたかと思うと、アングリがウサイン・ボルト顔負けの速さで入ってきた。
「女王様!大変だ・・・・小野家の3人と妖精とキュアハッピーが虹の子山に!」
「何ですって!?皆、緊急作戦会議よ!」
「「「はい!全てをバーチャルに!」」」


__虹の子山・山頂 展望台__
「「「わぁぁッ・・・・!」」」
「ね、すごいでしょ?」
 登山の疲れが吹き飛ぶほどの絶景が眼下に広がっていた。遠くの山に遅咲きの桜が8分咲きになっているのが確認できる。念のため再確認だが、今はあやたちの中2進級前の春休みだ。
  __つまんないルゥ・・・・
 因みにルゥたんは、さあやからお小言を頂戴したため、黙っていなければならなかった。

「まあやちゃん、どう?ウルトラハッピーになれそうな景色でしょ?」
「はい!」
「そぉ?よかったー!・・・・あれ?」


『みんちゃん、どうですか?ウルトラハッピーになれそうな景色でしょう?』
『うん!とぉっても!ありがとう、コウちゃん!』


「みゆきさん、どうしましたか?」
「あっ、ううんなんでもないよ・・・・そうだ!お昼ごはんは」
 __ドーン!!
 話を変えようとしたみゆきだが、突然の地鳴りに、それが遮られた。
「何!?」
 みゆきが震源の方を見ると、あやとさあやがみゆきに言った。
「バーチャルイメージャー連合だよ!」
「ここは私たちに任せてください!」
「えぇっ、任せるって」
「「見れば分かるよ/ります!」」
 二人が叫ぶと、木々の間からクライとケンオーが現れた。
「まさか2人は・・・・!」


「「リアルイメージ・リアルイメージ!」」
 2人の周囲に光の粒が浮くと、あやが言った。
「あたしたちはプリキュア!」

「心を開いて!キュアマインド!」
「笑顔いっぱい!キュアファニー!」


「やっぱり・・・・」
 みゆきが呟く。まあやは1人考えていた。
 __どうしてみゆきさんが?もしかして・・・・
 しかし、その考えはクライの声にかき消された。
「ケンオー!森の奥へ行きなさい!」
「ケケケケ!」
「! 追いかけるよ、ファニー!」
「待って、2人を残しちゃ危険じゃないか?」
「大丈夫!」
 マインドとファニーは、きょとんとしてみゆきを見る。みゆきは、パクトのような物を取り出すと、
「私もプリキュアなんだ!」
 まあやが一瞬表情を暗くしたが、3人は気づかない。
「そうなの!?」
「じゃあ、お願いしますね!」
 そして2人はケンオーを追いかけていった。

 __その直後。
「かかったわね!」
「ケケケケ!」
 その場に残っていたクライが、新たにケンオーを召喚したのだ。
 みゆきは、先ほどのアレ__スマイルパクト__を構えるが、ケンオーに手元を狙われ、弾き飛ばされてしまった。
「あぁっ!?」
 少し離れた草むらに飛ばされたパクトを見て、みゆきは一瞬絶望的な表情をした。
 それをよそに、クライは攻撃を始める。
「ケンオー!女王様の指示で、大怪我をさせてはいけないから、ほどほどに遊んでやりなさい!」
「ケケケケ!」
 ケンオーは、2人に拳を振るってくる。
「まあやちゃんッ!」
 咄嗟に、みゆきがまあやの手をひく。それを見たクライが言った。
「小野まあやって、リアルイメージャーなのに隣の人さえ守れないんだ」
 まあやの顔に動揺の色が浮かぶ。
「あなたのお友達は立派に人を守ったのにね。あっ、だから昨日プリキュアに覚醒できなかったんだ」
「わた、し、は・・・・」
「まあやちゃん!ダメ!」
 傷心のまあやを見て、クライは、精神攻撃大成功!とほくそ笑む。

 その時だった。
『ダメ!』
 まあやの頭の中に幼女の声が響いた。
『あなたがいなきゃ、ダメなの!』
 __誰・・・・?
 声はそれには答えなかった。
 __いるのですか?私を必要とする人が・・・・

 まあやはクライに向き直ると、
「今まで守れなかったのなら、『今から』守ればいいのでしょう?」
「は、はぁ?」
「まあやちゃん!」
 まあやは続ける。
「いつも同じ失敗を繰り返すほど人は馬鹿じゃありません!辛いことも苦しいことも、全て乗り越えて、人の心は育つのです!」
 まあやは、みゆきを見ながら言った。
「リアルイメージャーだとかじゃないとか、そういうの関係なしに、私を必要としている人がいるのなら、私はその想いに、想いで応える!」
「まあやちゃん・・・・」
「私は!みんなを幸せにし続けたい!・・・・そう、みゆきさんのように!!」
 まあやの心から、光が溢れ出す。
「そんな馬鹿な!人を想う気持ちからだなんて・・・・!」
 クライが悔しげにぼやく中、まあやは無意識に呟いていた。

「To be PreCure 及ビ Limited・Red 機能制限解除イタシマス」

「まあやちゃん、任せるよ」
 光が晴れると、みゆきがこう言うとともに、まあやにサムズアップした。
「はい!」


「リアルイメージ・リアルイメージ!」
 光の粒子がまあやの周りに浮く。
「私はプリキュア!」

 まあやの横髪の三つ編みが解け、後ろ髪が30センチほど伸び、長めのツーサイド三つ編みになる。髪飾りには、変身前につけていたピンクのリボンが充てられる。
 トップスは他の2人と似たようなもので、スカートは、5時代のレモネードの物に似ている。
 そして、胸にハート型のブローチが出現し、その下に涙型のブローチがぶら下がる。

 まあやはメルヘンチックなドアを開け、その先の落とし穴に落ちていく。

 まあやは体育ずわり姿勢のまま落ち、光のトランポリンで、ほんの少し跳ねる。
 エンジェルスマイルを見せるまあや。下から照らす光を浴びて、光源を見つめ、好奇心に溢れた顔になる。

 そして・・・・
「自分を見せて!キュアポップ!」


「私が・・・・」
 ポップが感激していると、みゆきが、おめでとう!と声をかけた。
「みゆきさん、私、がんばります!」

「リアルイメージ・リアルイメージ!ハピネスカスタネット!」
 ポップは黄色いカスタネットを召喚すると、
「プリキュア!ポッピングワールド!」
と叫んだ。すると、全方位対応型のバリアが出現し、
「ケケケ・・・・ケ!?」
ケンオーのアッパーを防いだ。
「まだまだいきます!」
 ポップはバリアのエネルギーを手のひらに集め、
「ハアッ!」
放った!
「ケー!?」
「やられたらやり返す!倍返しです!」
 __はん○わなおき?
 みゆきが心の中で突っ込んでいる間に、まあやはパクトを拾ってみゆきに渡す。
「ありがとう、ポップ!よおし、私も!」


 みゆきはパクトを開き、パフを取って、現れた装着部分にデコルをセットする。
『Ready?』
「プリキュア・スマイルチャージ!」
『Go!Go!Let's go Happy!』
 みゆきはパフでデコルをぽんぽんと軽くたたく。そのパフを体中にぽんぽんしていると次第に衣装が身に着けられる。
 そして、体をぐっと縮こまらせ、ぱっと開くと、髪型もロングツーサイド三つ編みに変わる。
 仕上げにパフを頬にあてると、スタッと地面に降り立ち、
「きらきら輝く未来の光!キュアハッピー!」


「おぉーっ!」
 大興奮のポップに苦笑しながら、ハッピーは「後は任せて!」と言った。
 ハッピーは遠くをチラリと見て場所を移動すると、
「気合だ気合だ気合だーっ!」
 __パァァッ!
「プリキュア!ハッピー・・・・シャワー!」
 __バシュウッ!
 __バシュウッ!(リプレイ)
 __バシュウゥゥゥッ!!(リプレイ)

「ケケケケ・・・・」
 ケンオーが浄化された後も、ハッピーシャワーは勢いを落とさず、森へ飛んでいく。そして遠くから、
「ケケケケ・・・・」
「えぇっ!?」「何だ!?」
という声が聞こえたあと、すぐに、マインドとファニーが出てきた。
「「えーっ!まあや、いつの間に!?」」
「はい、プリキュアになっちゃいました!で、さっきのはハッピーが・・・・」
「どーも、キュアハッピーことみゆきでーす!・・・・で、眼鏡の子?何のためにマインドたちを・・・・」
 お茶目に言ったハッピーだが、すぐにクライを見て訊いた。
「私たちの目的はただ一つ。『全てをバーチャルに』。それには、リアルイメージャーが邪魔なだけよ」
 そう言って、クライはワープしていった。


 4人は変身を解く。
「ねぇ、お昼ごはんなんだけど、友達の家がお好み焼き屋さんだから、食べに行かない?」
「行くー!」「「行きます!」」
「じゃ、下山しよっか!」
 そして、4人は登山道を下っていった。


ーーーー
【5話予告】

あやだよ!
やったー!新学期だ、2年生だ!
新学期って、新しい出会いがあるよね!
え?どんな出会いかって?
うふふ・・・・

次回!
『おはよう!3人は今日から2年生!』

リアルイメージ・リアルイメージ!
次回へ続け!


ーーーー

伊智子「6944文字!?
    危なかった・・・・これでもかなり下書き削ったんだよ・・・・。」