二次創作小説(新・総合)
- Re: 【plott×俺クロ】憑かれた私とましろ恋愛相談所! ( No.1 )
- 日時: 2023/02/01 20:36
- 名前: むう ◆CUadtRRWc6 (ID: viErlMEE)
【ミッション001:ターゲットと接触せよ!】
「こちらY。前方にターゲットを確認。速やかにマニュアル1を実行します」
『了解。こちらU。今なんとかAを連れ出してそっちへ向かってる」
『ちょ、引っ張らないで宇木氏……。やめて、失気ってるからぁ……肌荒れしてるからぁぁ』
市街地から少し離れた路地奥。
私―麗白憂は右耳に装着したヘッドホンに手を添える。
時々ノイズが混じっていて聞き取りにくいけれど、相手とはまだちゃんと通信は繋がっている。
そのことを確認して前を向く。
目の前を一人の女の人が歩いていた。年齢は20代前半ほど。長い茶髪の髪はアイロンで綺麗に伸ばされており、恰好は白いブラウスにピンクのスカート。
今回の捜査対象者だ。
「えーっと、依頼者の水谷さんは彼女のことが好き。でも、自分が奥手で話しかけれないから、私たちが彼女―原さんの跡を追って、趣味でも好きな物でもなんでもいいから掴んでほしい、と」
恋愛専門の探偵所とはいえ、これじゃあまるでこっちがストーカー。
男のたるもの、時には勇気を出して話しかけるのも大事だよ。
……なんて、依頼された手前断るわけにもいかず。
こうして貴重な日曜日をお仕事に当てている。
「んじゃあ今から原さんに声かけるね……って、わ!」
袖に落ちた水滴に私は悲鳴をあげる。
さっきまで晴れていた空が雲で覆われて、小雨が降ってきたんだ。
降水確率は0%だったはずなのに。
(あーもう、亜麻のバカ! あいつまた……)
事の原因を私は知っている。めんどくさいことに、この町の天候はとあるメンバーの情緒によって大きく左右されるのです。
あ、詳しいことはまた後で。
「ちょっと亜麻~?」
『な、なに憂氏……。あ、やめて宇木氏、服のびるって。あー!!』
イヤホンの向こうから、甲高い悲鳴が聞こえた。
あーあ、まぁたやってる。
「めっちゃ降って来てんだけどぉ。雰囲気ぶち壊しだよ。折り畳み傘、私持ってないよ」
『だ、だってだって僕、人ごみマジリームー……。みんな草生やしてそうで怖い……』
飛んだ偏見!
そしたら今頃ここは、緑に覆われた超絶エコシティになるよ。
『すまん憂。傘は流石に無理だわ。手からはみ出る』
「はぁ……。わかった。あとでなにかおごってね」
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私はこの街で、恋する人の悩みを解決する相談所を経営している。
ただしバイト仲間のせいで、未だに達成した依頼はゼロ件。
これは、ことごとくツいていない従業員が、とぼしい恋愛知識と己の能力を駆使して相手をくっつける……お話、です! たぶん!
- Re: 【plott×俺クロ】憑かれた私とましろ恋愛相談所! ( No.2 )
- 日時: 2023/02/01 20:28
- 名前: むう ◆CUadtRRWc6 (ID: viErlMEE)
【ミッション001-02】
さて、ここらでメンバーの紹介をしていこう。
ましろ恋愛相談所の従業員は私を含め3人のみ。
まず一人目、傘がどうたらかんたら言っていた、少し乱暴な口調の男の子。
『憂。今からマニュアルを読み上げるから、その通りに行動しろよ』
「わかってるって」
『ほんとかー? 最初の第一声はズバリ?』
「〈あなたは神を信じますか?〉でしょ」
『んなわけねぇだろ! 〈忙しいところ申し訳ありません〉だよ!」
彼の名前は宇木。きりっとした目つきと整った顔立ちで、周りからは冷たい印象を持たれているけど、実際はその逆。
真面目で仲間想い。口調さえ直せば女の子からモテモテだろうに。
生まれつき「リサイクル」という異能力を持っていて、ある物質を別のものに変えることができる。ただし手のひらに収まるもの限定なのと、能力名がダサいのとで、自分の力に対して苦手意識があるみたい。
『憂氏……。僕はなにをすればいいんだっけ……』
「取りあえず日照率上げてくれないかな」
『あーね。それって僕がテンションHighになればいいってこと?」
「逆になんで口調と行動が連動しないの?」
『知らんよ……』
甘ったるいボソボソ声の主は亜麻。
数前年前に死んだ、天候を司るナントカって妖怪の魂があつまって生まれた幽霊で、天気を操作する能力を持つ。
ただしこれには欠点があり、自身の気持ちがそのまま気象状況に反映される。大雑把に言うと、楽しいことを考えれば天気は晴れるし、悲観していれば雨が降る。
「人に視えないんだから、もっと堂々としたら?」
原さんの元へ向かいながらたずねると、亜麻の声がとたんにか細くなる。
『……日向で生きていたい人生だったよ』
「悲しくなるからその表現ヤメテ」