二次創作小説(新・総合)
- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2023/03/09 19:19
- 名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)
……『世界』というのは、宇宙全域、及びそこに存在する集落を意味する。
……そしてその『世界』というのは一つだけではないと、青い服装(パーカー)の青年は言っていた。
『異世界』。こちらから見ても、存在する理も、在り方も、技術も、住人も、同じだったり異なっていたりする。
そもそも、世界と言うのも、『並行世界』を含めて物凄い数あるようで、とりあえず0が80億以上はあると思っておいた方が良いらしい。
……そして、異なる『世界』の事は直接は認識することは出来ない。その代わり、書籍やゲーム等で語り継がれる。私たちが住む世界もその1つで、多くの世界に知られている世界の1つだともいう。
……ただし、時に、世界の境界線を越えて異世界の住人同士が邂逅することがあるという。
……それが『クロスオーバー』。異なる物語が、境界線を越えて混じり合う事を指す。
『もしもこのキャラクター達が出会いを果たしたら』、『このキャラクターとこのキャラクターが戦ったら』、等……ストーリーや分野などの要素が混じり合う。
……数多の物語が交差することとなる物語。原作を尊重しつつ、普通ならば出会わないはずの存在達が出会う事で描かれる。
そう言ったものが好きな人たちにとっては非常に夢があるのだろうと、『クロスオーバー』の意味を知った時に、私は少しだけそう思った。
余談だが、あの青年が言うには、クロスオーバーで成り立つ世界もあるらしい。
悪の組織を倒す等の理由で作られた、数多のロボット技術が存在している世界
『ゆらぎ』と言う現象を巡って様々な世界を巻き込む戦いが起こった、物質界、幻想界、魍魎界、魔界、神界と、5つの異世界で形成されている世界
いくつかの世界の記憶や情報を『聖典』として語り継いでいるファンタジー世界
数多の作品を大集合させるために存在しているような、戦いの祭典が開かれる世界
……等と言ったような世界も意外と沢山あるのだとか。
……話を戻すと、そもそも、何故この文章を書いているのかと言えば、約3か月前のあの事件がきっかけだった。
大乱闘が開催されている世界で起きた、『灯火の星事件』以降発生し始めた『時空融合現象』……異なる2つの世界が混ざりはじめる異常現象だという。
異世界同士の融合は、歴史改変どころか世界の消滅を意味するらしく、そう言ったものは、融合の原因となったものを取り除き、意地でも止めなければならないらしい。
時空融合現象は定期的に発生しているらしく、今になるまででも100件を軽く超えている。……つまりは、200を超える世界が融合しそうになったということになる。
……ほとんど……というより、今までの9割9分9厘は、知名度も低いものばかりであり、そしてすぐに解決できる程度のものだった。
尚、困難を極めていたこともあったらしいが、時空の管理を職務としている組織の介入で何とかなっているとのこと。
……とはいえ、根本的な解決には至っていないため、様々な世界で時空融合現象がしつこく発生している。
元凶を探すにも、全く手掛かりもつかめない。やがて、そのまま、その約3か月前に、私たちが住む世界も巻き込まれることになる。
……そして、同時に……ーー
…約3か月前。
《幻想郷:人里》
幻想郷。妖怪や神等、外の世界から忘れ去られた存在が暮らす、結界で隔てられている山奥の里。
「……この前の時は大分手間がかかったが……今回はすぐに見つかったな。」
少女「……!!」
……一体全体、何が起こったのか。その少女は、およそ5秒の間に起こったことを、何度も頭の中で繰り返し再生していた。
突如として、外の世界の物と近い建造物が幻想郷各所に出現……いや、正確に言うとするのならば『合わさった』と言うべきか。
とにかく徐々に発生してきているこの謎の現象。更には、人なのかも妖怪なのかも全く分からない存在の目撃情報が多数。
……その上、どう言うわけか全く情報がつかめず、博麗神社の巫女『博麗霊夢』どころか、賢者たちさえもかなり手を焼いていた。
……そしてそんなある日。鈴奈庵から借りたままだった本を返しに行こうとした時だった。
離れた位置にいても、明らかに伝わる奇妙な気配……例えるのなら、おそらく『殺気』。幻想郷の人間を襲う事は禁じられているにもかかわらず、あからさまな殺気を向けて、一匹の野良妖怪が私に襲い掛かろうとした。
……そして同時に、横から、何者かがその野良妖怪を派手に蹴飛ばした。
人間だった。目に見えないくらいの速さで移動し、野良妖怪を蹴飛ばしたその『何者か』は、人間の男だった。
視界に映った時のその姿は、水色の目をした、橙色の目隠れ髪の男。服装も白く薄い上着と黒いズボン。見た限り、人里の人間ではなかった。
橙髪の男「にしても、怪しい動きをしてた奴を蹴っ飛ばしたらトジル魂があっさり見つかっちまうってなると、何か少し拍子抜けしちまうな。」
蹴とばされた野良妖怪は、奇妙な、宝石のような丸い物体を2つ落とした。……それを、男は拾い上げたかと思うと、足元に落として思いっきり踏みつぶした。
彼は何をやったのか。少女は、男が野良妖怪を蹴飛ばした瞬間の衝撃と風圧を受けて、腰を抜かした上に失神した使用人を起こそうとしながら、男の挙動を見ていた。
橙髪の男「さーて。その内元に戻るんだろうし、さっさと帰るか。
……って言いたかった所なんだがな。」
少女「えっ……これって……!?」
その時、数え切れないほどの野良妖怪が、不可解な殺気を向けながらその男の前に立ちはだかっていた。
この時点でかなりおかしい。妖怪たちは、人里に入ること自体はまだしも、少なくとも人里内にいる人間を襲わないように決められていた。
なのに、あの妖怪たちは、『そんなこと知ったこっちゃない』と言いそうな表情で、誰でも分かるくらいの殺気を向けている。捕食本能でもなく、特定の人物に対する恨みから生まれた怨念と言うわけでもない……何というか、『兵器』と言う言葉が物凄く当てはまるような……
そうこう考えていると、野良妖怪たちがこちらに突っ込んできた。
橙髪の男「ったく、お構いなしってわけだか。
…おい作者!大体の事は片付いてんだろさっさと出てこいアホ!!」
男は後ろを向いてそう言った発言をした。その途端、空間が割れるかのようにひびが入り、割れた。
そして、それによって出来た穴の中からは、コインのような弾幕が、妖怪に全て命中した。
……その後すぐに、中から誰かが出て来た。今度は、青い衣服(たしか外の世界にあるパーカー)を着ている青年だった。何やら独特な形の銃器を持っている。
青パーカーの青年「…どっちも気性の荒い事だ。お前の方はともかくだが」
橙髪の男「悪かったな気性が荒くて(棒)。
……ところで、あの妖怪どものあからさまな殺気はどーなってんだ?あれって、時空融合現象が原因なんじゃなかったのか?」
青パーカーの青年「それで間違って無いさ。ただ、あの様子だと多分影響をもろに受けすぎたんだろうな。お前がトジル魂を破壊したから段々元通りになって来てるし、ぶっ叩いておけば元に戻るさ。」
橙髪の男「それなら話は早ェ。ちゃちゃっと終わらせようぜ。」
青パーカーの青年「言われなくとも。幸い、マスターハンドとMZD達のお陰で、八雲紫や妖怪の山の勢力の方は説得できたし、俺も良い感じにやっときまーー」
……野良妖怪たちが2人に向かって、避けられるとは思えない量の大量の弾幕を放つ。
青パーカーの青年「……って、人が喋ってる最中でしょうが!!」
そこで青パーカーの青年が取り出したのは、赤い色のカメラ。烏天狗が持っているものとはまた別の作り。
何故このタイミングでそんなものを出したのか。少女は、こちらから見れば訳の分からない状況の中そう疑問に思ったが……
青パーカーの青年「……(能力……)」
……カメラのシャッターを切った瞬間、物凄い数の弾幕がすべて消滅した。
少女「(消えた……!!)」
青パーカーの青年「一手間加えて……次はこう!!」
もう一度シャッターが押されると、一定の範囲、恐らくカメラに収まった所にいた野良妖怪達に突如閃光のような弾が当たり、ダメージが入る。
青パーカーの青年「そんでもって……」
今度は長細いもの……おそらく『シャーペン』を取り出した。
青パーカーの青年「……せぇいっ!!!」
剣のように筆先が伸び、先程のカメラで動きを止められた野良妖怪達を一刀両断。
少女「(強い……!!)」
段々この状況に慣れて来たのか、失神中の使用人を離れた位置に寄せる。その後に、この状況を見ていた少女は、少しだけ、感心していた。
…あの青年が使っている道具……見たところ、マジックアイテムではなさそうだった。
あの古道具屋の店主のように、道具の名前と用途が判るわけではないので確証はないが、少女がそう思う根拠はあった。
…よく見てみると、彼の手元から放たれた魔力らしき力が、道具に注がれて特殊な能力を発揮している。
そうなると、さっきまでのカメラやペンの力は、あの青年自身の能力ということになるのだ。
橙髪の男「何かやけに張り切ってんな。」
青パーカーの青年「当然。こういう系の出たしって言うのは、ノリよくやるのが良いのさ。」
橙髪の男「……聞いたのは俺の方だけど、そういう生々しい発言はすんなよ……」
青パーカーの青年「ゴメン。……まあとりあえず、残りを片付けようぜ。」
橙髪の男「まあそうだなーーおっと!!」
すると、2人に殴りかかろうとしてきたのは、鬼だった。野良妖怪達の中に混じっていたらしい。
少女「(鬼!?)」
鬼は元々好戦的な妖怪ではあるが、何故か、他の野良妖怪達と同様に、不可解な殺気をむき出しにしている。
少女「(と言うか、それ以上に……!!)」
そして、その鬼の攻撃を、橙髪の男は素手で、右手で受け止めていた。
橙髪の男「鬼か……大半が地底に住み着いてるらしいが、ああ言うのまで影響を受けるなんてな。
……ま、殺気むき出しの雑なパンチなんざ、何とでもなるわけだが。……とはいえ、ちょいともう少し手伝ってもらうか。」
……橙髪の男は、鬼の攻撃を受け止めながら、(衣服の腰元に付けていたとみられる)赤白の球状の物体を2つ、手に取った。
それを上空に投げたかと思えば、2つの球体の中から、それぞれ、妖怪とも違う不思議な生き物が出て来た。
橙髪の男「ドドゲザン、『アイアンヘッド』!クレベースは『つららおとし』だ!」
武将の様な見た目の、大きな刀のような頭部を持つ生物が、頭突きのような攻撃をし、横から鬼を突き飛ばす。
そこで、大きな氷の台のような四足歩行の生物が吠えると、鬼の頭上に、何本ものつららが落とされ、鬼に直撃した。
橙髪の男「よしサンキューな!……しゃぁらぁぁぁぁっ!!」
……そして、橙髪の男がトドメと言わんばかりに、鬼を思いっきり蹴飛ばした。蹴とばされた鬼は、遠くまで吹っ飛び、転がり落ちた。
……その後、2体の生物は、橙髪の男が持っていた球体の中に戻って行った。
青パーカーの青年「いいとこ持ってっちゃってさ。……ま、とりあえずこれで片付いたから別に良いけどさ。
……さて、そろそろ時間か。」
……青パーカーの青年がそう言っていたら、次第に、幻想郷のあちこちに光が発生する。いずれも、外の世界の物のような建物や、正体の分からない生物が多数確認された場所ばかり。
橙髪の男「……んで、こっからどうする気なんだ?」
青パーカーの青年「いい機会だし、幻想郷の各勢力とコンタクトを取ってみるさ。摩多羅隠岐奈とは割とすぐに話が付いたし、そのツテで……
とりあえず、良さげなのは紅魔館や永遠亭……地霊殿も……ワンチャン行けるか……?
まあそう言うわけだから、一旦失礼するよ。お前はとりあえずカービィと合流しといてくれ。」
そのまま、青パーカーの青年はその場を去って行った。
橙髪の男「……あの時と言い今回と言い……何か地味に人使い荒いな作者のヤツ……ま、とりあえず、確かにカービィに連絡入れとかねーと。霧の湖だとかに行ってたんだっけなー……
……そんで、お前は……」
少女「……!!」
何が何だか分からない状況が続いていたため、さっきからずっと、言葉をほぼ発していない少女。橙髪の男は、さっきから少女が一部始終を見ていた事に気づいていたかのように、後ろを向いて、壁際に隠れていた少女をチラッと見つめていた。
橙髪の男「……さっきから何困惑しながら見てたんだよ。…いや、理由はなんとなくわかるがさ。
……まーなんつーか……案外肝が据わってると見たよ。ちょっと興味が出た。…とりあえず、名前くらいは聞きたいんだが、いいか?」
少女「名前……」
……少女は、壁際から出て、橙髪の男に姿を見せる。
若草色の着物の上に、花柄の黄色い中振袖の着物を重ね着し、その上に赤い袴という服装。花の髪飾りを付けた、紫色のセミロング。……その少女は、自らの名前を名乗った。
少女「……私は、『稗田阿求』。
……この『幻想郷』にある記録を、幻想郷縁起に書き記す役割を持つ『御阿礼の子』。その九代目です。」
橙髪の男「へぇ……風格からして、もしやと思ったが……結構重要な役割持ってんのな。
……じゃ、俺の方も名乗っておくか。」
……橙髪の男は、『元に戻りつつある2つの世界』を背景に、右目を隠していた髪をかき上げて、こう名乗った。
橙髪の男「俺の名前は『祷大地』。
出身地は……まあ、今回幻想郷と同様に巻き込まれた、『ポップンワールド』って世界の方の東京都……。って言えばいいか。」
……『稗田阿求』と言う名の少女と、『祷大地』と言う名の男。
この2人が邂逅し、ここから、幾多の世界を巻き込む異変『時空融合現象』を巡る、出会いもカオスも多くありそうな、新たな物語が……
……今、始まるのだった。
『ウルトラワールドでの日常Reboot』
始動。