二次創作小説(新・総合)

Re: クエスト任務開始 ( No.11 )
日時: 2023/05/29 08:23
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)

第9話「久方振りの再会」

【草摩本家】

「…。レナ、あんたは分かっているんだな。おにぎりが透の大好物だと」
「透さん。あなたに出会うまで色んなことがあった見たいですから…」

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確かに、表向きは一国の女王という肩書きである彼女の言うことに否定はしない。
逆にアイツを問い詰めちまったのは、俺なんだ。
天候が悪いあの日、俺の想いはアイツに届く事はないと思っていたけど。
あの頃のアイツと同じ位に、レナもまた…気持ちの整理が付いていないだろうからな。

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「おい、夾…」
「何だよ、馬鹿鼠!」
「久しぶりの再会だからと言って、あまりレナ姫を怖がらせるなよ?」
「うっせぇ。そんなヘマを……、俺がするか!」

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いや、あの頃は必死だった。
透の奴が当時の次期当主になる槏人あきとに一歩踏み出そうとした時、崖崩れが起きた。
先に駆け付けたのは馬鹿鼠こと、由希だ。
例の崖崩れによって、透がぐったりしている姿を見た時……俺はコイツの気持ちを考えようとしていなかった。
その後透は病院に搬送されたが、俺は見舞いに行くのが怖くて…1人で逃げ出したくなった事もある。

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スー……(障子が開く音)

「夾…。迎え、来てるぞ…」
「何っ?! こんな俺に迎えだと、一体誰なんだ?」
「多分透。あの車の音は……、はとりの車だ…」
「………ッ!!!」
「どうして、分かるんですか?」
「この音…。僕は見間違えたりしないから、それに…僕にとっても……懐かしい気配でもあるから」
『………………』

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いつもの癖で走ってしまったが、そこにいたのは……透本人だった。
少しだけ離れていただけなのに、俺はこいつに会いたくて仕方なかった。
中々来ることがない本家に立ち寄ったのも、初めて本家に来たレナに透の事を教えるつもりだったからな。
あの崖崩れの時……、すぐに駆け付けなくてごめんな…。

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ギュッ……

「きょ、夾くん……」
「ごめん。今は、このままでいてくれ……」
「はい。私も今は……、夾くんに甘えたいです……」
「………。嫉妬する位、仲良しなんですね…」
「ああ。僕にとって透は……、聖母のような存在だから……」
「……。確かに、聖母って言ったら……当の聖母的存在の『彼女』も今の本田さんみたいに負けてないんじゃないか?」
『あっ………』

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確かにマァムって武闘家娘も、透と同じポジションなのは否定出来ないな。
透は俺の腕の中でキョトンとしているが、こっちの話だと俺から言い聞かせる。
こうやって抱き締めても、俺は変身しない。
透に出会い……、少しずつこいつと過ごしてからは…俺も変わり始めたからな。
だがあの日は、馬鹿由希に釘を刺されなかったら……今の俺は変わらなかったかも知れないな。

10話に続きます。