二次創作小説(新・総合)

Re: クエスト任務開始 ( No.12 )
日時: 2023/05/29 21:33
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)

第10話「変わらない恋人」

【草摩本家 客室】

「…。久し振りだね、透」
「はい。ご無沙汰してます、槏人あきとさん!」

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あの雨の日、僕は他の十二支たちから離れてしまう気がしたんだ。
中でも先に『あの呪い』が解けてしまったのは紅野くれの、次に紅葉と続いてしまったんだ。
夾も由希も…、撥春はつはるたちも…あの頃に誓った約束を忘れていた。
お父様の時代から今まで守って来たこの呪われた絆は、何があっても断ち切っては行けない気がしたんだ。

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スッ………

「あ、槏人さん……?」
「あの時の傷。まだ痛い?」
「……。はい、少し…少し痛いです……」

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そうだよね……、あの雨の日……透を傷付けたのは…此処にいる僕なんだ…。
だから柴呉しぐれたちのいる別荘に初めて顔を出した時、僕は透を傷付けるような警告をしてしまったんだ。
その日までに夾や由希たちの呪いを解かないと、本当に危ないと悟ったのは透本人だ。
柴呉 利律…楽羅かぐら……、それぞれには呪われた姿があったことも隠していた。

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「透…。本当に…、本当にごめん……」
「槏人さん……」
「………。例の呪われた絆を守っていたのは、遠い記憶の頃からだったんですね…」
「ああ。その当時の神様が……、俺たちを招待したんだよ。由希や綾女たちは十二支の中に入っていたけど、俺は入っていなかったんだ…」

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もういい……、もう…いいんだ…夾……。
僕も透も……、今はこんなに幸せなんだ。
だから夾……、お前はお前のやり方で透を導いて欲しいんだ。
あんな事を繰り返さなくて済むように、『ちゃんとした人間』としてのやり方で透を守ってくれ。
それが今の当主である、僕のたった1つの願いなんだ。
今後は『ただの僕』として、少しは透のように……女らしく生きて行く事を…この場で誓うよ。

11話に続きます。