二次創作小説(新・総合)
- Re: 【復刻版】戦士たちの愉快な日々 ( No.44 )
- 日時: 2023/06/29 08:38
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
第31話「気が付けば、孤島」
【FF6の世界 シドの小屋】
(ダイSide)
『ザザーン……ザザザサァーーーン』
「……………」
あれからおれ……、どうしていたのかな。
世界が引き裂かれる少し前、おれは自我を失ってマァムたちと闘っていたのは薄々感じていた。
だけど、おれの『この手』でマァムやヒュンケルたちを絞めてしまいそうになった事もあった。
そんな時だ、おれの意識の中から聞いた事がない声が聞こえて来たのは。
はっきりとは思い出せないけど、特徴は白いスーツを着ている赤い髪の女の子がおれに話しかけて来たんだよね…。
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【回想:古代城 玉座の間】
「ぐっ!! だっ……、誰なんだ……ッ? どうして、どうしておれを止めようとするの?」
「………? ダイ……?」
『駄目だよダイ。君やゼルダ姫はこんな所で悪い奴なんかに支配されては行けないんだ』
「えっ………?」
『マァムが心配してたんだよ。何日も前からダイが何者かに取り憑かれているみたいに、かなり苦しんでいたって!』
『君はその彼女の親切を断ち切るつもり? 違うよねダイ! 君にはマァムを守り通したいってずっと僕たちに言ってた事じゃないか!!』
「まっ……、まさかっ!! あなたたち、もしかしてエリクト?!」
『そうだよマァム。僕らは他にも闇と化して苦しんでいる綺麗な茶髪の王女様を助けなきゃ行けないから、後は宜しく頼むね!』
『それから。何処かでスレッタにあったら、僕たちの伝言を伝えて置いて欲しいんだ!』
「……。いいわ、教えてちょうだい! あなたたちが伝えたい伝言を私たちが必ず伝えて置くわ!」
信じがたい出来事だけど、まさかおれに光の闘気を注入していたのが初めてあった彼女…エリクトだったなんてね。
例の『彼女たち』に寄って自我を取り戻さなかったら、おれはもう…クロノと同じ場所に行っていただろうなぁ。
出来ればあの時のお礼を、今すぐ伝えたいけど…今度はいつ会えるかな……。
何だろう……、段々と家の中が暖かくなって来たみたいだ……。
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【現在:シドの小屋】
「おぉ、ダイよ!」
「……………?」
「おぉ…ダイよ。やっと目が覚めたか?」
「……。ねえ博士、おれ……どの位眠っていたの?」
「1年じゃよ。もう助からんかと思っておったわい!」
「1年だって? つまりシド博士はその間ずっと、おれを介抱してくれていたの?」
「ああ……。でも……、わしももう。疲れて来た……」
じゃあおれが口を聞いたのは、エリクトと会話したのが最後だったんだね。
意識も何度か失いかけた時、強い光がおれに向けられていたんだ。
あの2つの光は……、忘れる訳がないよ。
1つは閃華烈光拳……、これはマァムが新しく覚えた必殺技だ。
そしてもう1つは……グランドクルス、つまり…おれの知らない所で繰り出したヒュンケルの技だ。
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『ガタッ』
「博士。あっちの海岸で1番美味しい魚を沢山拾って来たから、これを食べて元気になってね?」
「ありがとう…。ムシャムシャムシャ………」
「……。どっ………、どうかな……?」
「ゴホッ! だいぶ良くなって来たよ」
やっぱり、この1番早くて美味い魚の方がかなり好評みたいだね。
こういうの……、島にいた時は勇者ごっこしかやった事ないけど。
初めての魚獲りはかなり緊張したし、また素早い魚を心眼で見切って……10匹位は捕まえたなぁ。
これを博士に渡して食した後、「何だか生きる希望が湧いて来たよ!」に変わって来たんだ。
そうだ、今この小屋にはおれしかいない!
この人が完治するまでに、もっともっと早くて美味いと評判のある素早い魚を沢山仕入れなきゃ行けないんだ!
これは大チャンスだね、さっきの海岸から素早い魚が出現した気配を感じるぞ!
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『ガチャッ』
「ダイ。これで全部かな?」
「ノヴァ。君がどうして此処にいるの?」
「僕もよく分からないけど。気が付いたら……、君と同じ場所に流れ着いていたみたいなんだ」
「そうだったんだね…。積もる話は後だ、その美味くて素早い魚をシド博士に!」
「ああっ!!」
これらの奇跡もきっと、あの時自我を忘れかけていたおれを励ましてくれた赤い髪の女の子……エリクトたちの守護かも知れないね。
もう駄目だと思って覚悟していた時、夢の中で父さんに言われたんだ。
「ダイよ、お前が私たちの所に来るのはまだ早い」と……、確かにそうかも知れないね。
これ以上マァムに心配をかけてしまったら、堂々と『世界を救う勇者』だって胸を張って言えないよ!!
32話に続きます。