二次創作小説(新・総合)
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.18 )
- 日時: 2013/06/03 20:04
- 名前: 風龍神奈 (ID: C1fQ.kq4)
- 参照: —(ダッシュ)が多いけど、気にしないで
第3話 氷炎使い(アイスファイアーダンサー)の存在と攫われた氷と炎の継承者
「私は…私達は——本当は未来にいる筈の、氷炎使い(アイスファイアーダンサー)何です。…とある理由があって、過去のこの地に飛んできたんです」
「…っ」
癒月の言葉を聞いて、雷門メンバー全員が息を呑んだ。
「本来、氷炎使いは、いつの世にも一人しかいません。ですが、師匠——先代氷炎使いだった方が、私達の潜在能力の高さに気付き、
炎と氷を、別々に分けて託したんです。でも…」
途中で言葉が止まってしまった癒月の代わりに、フェイが続けた。
「先代氷炎使いは、ある奴等に捕まってしまったんです。僕達が守る事になった、この——破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)の為に」
そう言って、フェイは癒月にそれを出すよう指示した。
癒月は胸元からペンダントのように紐に通されていた破壊死書を出す。
「これは、中に書かれている文を読むだけで、誰もが世界を滅亡させることが出来るモノです。さらに、これはゆっくりと邪気を吐き出します。…故に、僕達氷炎使いが守護し、浄化しなければならないんです」
「…それは、二人とも浄化出来るのか?」
神童が、気になっていた事を訊く。
「出来ることには出来るけど、癒月の方が浄化能力も高いし、上手なんです。——氷を受け継いだ為に。
僕は、浄化等があまり得意ではないぶん、攻撃や守護能力が高いんです。——炎を受け継いだから」
最後の言葉をあまり理解出来なかった神童だったが、答えてくれたのでとりあえず礼を言った。
「…ありがとう」
「…いえ」
そして今度は癒月が話し始めた。
「私達は、先代氷炎使い(アイスファイアーダンサー)を救いたかったのですが、今動けば折角身代わりとなってくれた先代の思いを踏み躙るような気がして、暫く息を潜める事にしたんです。そして、ある人の手を借りて、この地まで来たんです」
一度言葉を切ってから、癒月は言った。
「——これが、私達の正体です」
そう言ってから、癒月は破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)を胸元に直した。
「………」
全員、言葉が出なかった。
(…皆が知りたい事は、大体言った。奴等の事は言ってないけど…まぁ、分かるからいっか。…質問も大丈夫)
癒月が心の中でしっかりと覚悟を決めた時。
不意に霧野が声をかけた。
「癒月…、その事は…本当なのか?」
(来た…!)
質問だと思っていた癒月は、冷静を保ちながら答える。
「全て…本当です。——嘘偽りは一切ありません」
「なら、その…先代氷炎使いを捕らえた奴等…とは?」
(やっぱりこれも来たか…)
癒月は答えようとした。が。
代わりにフェイが答えた。
「奴等というのは、ある組織の事を指します。名前は——エルドラドSSC…通称EDSC。そいつらが、破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)を狙っています」
「…じゃあ、あの…聖煉闇焉(せいれんやえん)と言う少年もそこに?」
「いえ。闇焉は恐らく…別の勢力だと」
「そうか…。ありがとう」
フェイが礼を返した瞬間。
「——これくらいで、もういいよね?」
と、普段の癒月の口調とは全く違う、声音が響いた。
「氷炎使い(アイスファイアーダンサー)は、正体を知られてはいけない、能力を見せてはいけない、破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)の事を教えてはいけない、と教えられる。教えたら最後——記憶を消してその場を去るか、自決するかの二択を選ばなければならない。それくらい、氷炎使いは人に知られてはいけない。だから、私達もどちらかの方法をとらなければならない」
凍て付くような冷たい声音が、癒月の口から紡がれる。
雷門メンバーの背を、戦慄が駆け上がり、冷や汗が垂れる。
「さて、
——どっちがいいのかな?」
「っ!!」
癒月から感じた殺気が、雷門メンバー全てを震え上がらせた。
その様はまるで、獅子の群れに…否、死神の群れに囲まれ、ただ震えている人のようだった。
「…何てね。——冗談ですよ」
癒月から感じられた殺気が、一瞬にして引く。
「確かに、知られたらそうするよう、教えられましたけどね。…皆さんが、秘密にしていてくれれば、そんな事をする必要はないんです。—勿論、間諜がいなければの話ですがね」
そう言って、癒月は瞬く間に氷破刃(ひょうはじん)を作り出すと、とある方向に放った。その勢いで、癒月の髪が風に弄ばれる。
放たれた氷破刃は、神童達の上を通り越していくと、柱の影に回りこんで、何かを切る音を残して消えた。
「…そこにいるのは、どうせ、奴等の間諜でしょ。出てきなさい」
癒月が静かに告げる。
「…ちっ、バレちゃあしょうがねえ、出てきてやんよ」
と、右頬を氷破刃に切られ、少し血が滲んでいる、精悍な顔付きの少年が現れた。頭にバンダナを巻き、髪を逆立てている。
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.19 )
- 日時: 2013/06/02 22:20
- 名前: 風龍神奈 (ID: x2ogTROs)
「…いつから、此処にいると気付いた?」
少年が尋ねる。
「あの、謎の闇焉(やえん)とか言う少年が消えた時からよ。
——分かってて、話をしていたに決まっているだろう」
癒月の口調が、途中から変わった。これは、怒っている時の状態だ。
「お前が、奴等——EDSCの間諜だとは分かっている。目的は、俺達、氷炎使い(アイスファイアーダンサー)の居場所と、情報収集だな?」
「そうだ。俺が遂行しなければならない任務は、お前達の居場所を知らせる事だ」
癒月の問いに、少年が答える。
「…お前、名は?」
「——名前など、とうに捨てた。今は、暗(アン)としか呼ばれていない」
誰何(すいか)され、一瞬の間を置いて、少年——アンが答えた。
「…そうか。…では、アン」
「何だ?」
「さっさと、EDSCに報告しに行け」
「っ!!??」
「「「「「「「「「は!?」」」」」」」」」
癒月の言った言葉に、アンだけではなく、雷門メンバーも驚いた。
「別に、報告した所で、どうにもならん。…決して、俺達は捕まえられないからな」
癒月が、不敵に笑う。
「…なら、報告に行ってやる。——その言葉、覚えておけ…」
そう言って、アンは消えた。
「…ちっ、たくもう、さっさと報告にいきゃあいいのに」
「ゆ…癒月」
「ん?何フェ—」
「何じゃないよ! 何で喧嘩売ったの!? 馬鹿でしょ!!」
言葉を遮られた上に、フェイに馬鹿と言われた癒月は、堪忍袋の緒が切れたのか、一気にまくし立てた。
「馬鹿じゃないさ! 寧ろ、喧嘩売らないようにしたフェイの方が馬鹿でしょ!
大体、間諜まで送ってきてんのに、喧嘩買わなくてどうすんの!? 買わなかったら、意味がない!!」
「買わない方が得策って時もあるんだよ! 居場所バレたら、師匠だって救えないんだよ!!」
「分かってるよ、そんな事くらい!! だからこそ、そうしたんだよ!!」
「…だからこそ、そうした…?」
癒月の言葉の最後の意味が理解できなかったのか、フェイが反復した。
「だーかーら!! 居場所が分かってた方が、師匠も安心するし、奴等はその場所に攻め込んでくる。そしたら、奴等の建物は、もぬけの殻近くになるのよ! その方が、救い出しやすいでしょ!!」
癒月が、そうした理由を話した。
それを聞いて、フェイは理解したようだった。
「…ああ、成程」
「成程じゃないー!! もう、どうしてフェイはいつもそうなのよ!」
「…僕だって、いつもそういう時じゃな—」
「…そこまでにしたらどうだ? 二人とも」
フェイの言葉を遮って、神童が言った。
というか、二人は今まで他の人達がいたのを忘れていた。
「「……あっ……。ごめんなさい」」
二人ぴったり同時に謝る。
「…ったく、二人とも、これ以上、喧嘩しないように」
「「はい」」
返事までぴったりだった。
「ごめん、フェイ。何も悪くないのに…」
「いや、僕の方こそ悪かった。ごめん」
それぞれきちんと謝った二人を見た、神童は、くるりと振り返ると、雷門メンバーに告げた。
「…全員、ジャージに着替えてミーティング室に集合! これからの事について話し合うぞ!」
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
◆ ◆ ◆
「…あんなに、関わるなと言ったのになぁ…」
薄暗い部屋の中で雷門中の様子を確認していた、聖煉闇焉(せいれんやえん)は呟いた。
「関わりやがって…。…このまんまじゃ、破滅するぜ。
そう思うよな? チェリーと封季」
闇焉の横で、金髪碧眼の少年、チェリー・フォン・マクレミガンは答えた。
「別に、私はそう思わないが…」
闇焉を挟んで右側に立つ、白髪を首辺りでショートカットヘアーにし、真紅色の瞳を持つ少年、霊皇咲 封季(れいおうさき ふうり)が答える。
「俺も別にそう思わねえ」
「何だ、俺だけかよ。……そうだ…」
ある事を思いついた闇焉は、二人に後を任せると、消えた。
◆ ◆ ◆