二次創作小説(新・総合)
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.181 )
- 日時: 2023/08/23 23:13
- 名前: 風龍神奈 (ID: Wz7AUOMy)
第25話 神楽ト氷炎使いを殺す者
破壊死書が眠る場所から、戦った所まで戻ると、そこには神楽と闇焉がいた。
「母さん…!?」
「あら。その様子だと破壊死書を封印できたみたいね」
ありがとう。そう続けられた言葉に違和感を感じた皆は、訝しげな視線を送る。
「そうね、皆知らないわね。――私の目的を」
教えてあげてもいいけど…その前に。
言いながら、彼女は癒月の方向へ片手を突き出した。
「癒月に目覚めて貰わないとね――」
刹那。
ビクン、と癒月の体が跳ねたと思うと瞼が上がり、青玉のような瞳が現れる。
「癒月っ!」
「…フェ…イ…?」
ぼやけた瞳がフェイで焦点を結び、気付いたのかそう言った。
「私…何を…」
「――貴女は破壊死書に乗っ取られていたのよ。覚えていないのかしら?」
彼女の台詞に重ねるように神楽が話し、癒月が神楽を見て一瞬怪訝そうな顔をするも、言われた事を思い出したのか、顔が青くなってくる。
震えそうになる体を叱咤して、何とかフェイから降りると、皆から少し離れる。
「癒月…?」
「ごめんなさい……私は…また……」
皆を巻き込んだ。
腕を体の前で交差して震えないようにする癒月に、霧野から違うという声が飛ぶ。
「今回は、癒月の所為じゃない。だから、気にしなくていい」
「…ううん…私だよ……本当はこの世に存在しない筈の私の…所為だから…」
「「「「は…?」」」」
彼女の後半の台詞に、皆に疑問が浮かんだ。
「――なぁんだ、知ってたのね」
そんな事を気にせずに、つまらないわと言いたげな声が飛んできた。
声の主である神楽を、一斉に見やる。
「教えたのはサクリファイスあたりかしらね。あれは、そういったもの見れるって言うし…。まぁ、詳しくは知らないようだし、教えてあげましょうか」
「…貴方は…」
記憶に覚えがない人物である神楽に、癒月がそう問うも。
「――今からの事を見ると思い出すわよ。何もかも」
答えると、指を鳴らした。
瞬間。
全員の脳内に映像が流れ始めたと同時に、意識がそれに吸い込まれていった。
◇ ◇ ◇
神楽が初代氷炎使いであり氷の継承者であった話はしただろう。その時に、とある出来事にて殺されたが、炎の継承者であるトレイターによって破壊死書を使って生き返った事も。
――彼女は、それによって自身が人間ではなくなった事を恨んでいたのだ。だが、彼女はそれに気付く事はなかった。心の奥にあるそれに。
知らぬまま、氷炎使いをやめた後に組織をつくり、氷炎使いと破壊死書について調べ続けていた。その間にも、少しずつ恨み憎しみが溜まっていった。
やがて、同じ組織の者と心を通わせ、子が宿り、臨月までふた月程という時。
長年溜まり続けた恨み憎しみ(それ)についに耐え切れなくなって、彼女の精神は崩壊しかけた。しかし、すんでの所で別人格を作り上げ、それに全部背負わせる事が出来た。
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.182 )
- 日時: 2023/08/23 23:13
- 名前: 風龍神奈 (ID: Wz7AUOMy)
だが――逆にその人格に全て負わせた事で、それが主導権を握る事になってしまったのだ。更に、恨みを全て受け止めた故に、負に染まった人格が。
その人格が願った事は、氷炎使いを消す事と、破壊死書の封印。
自身がこうなった原因である破壊死書を封印し、また一因でもある氷炎使いは皆、存在ごと消す。
本当は破壊死書も消したかったのだが、関係を調べる内にこの世界にとって重要なものであるという事が判明したので、消す事は諦めたが封印をする事で関わりを消そうとしたのだ。彼女は単に、世界を恨んでいるのではなく、破壊死書と氷炎使いというシステムを恨んでいるだけだから。
その為、後に生まれた子――闇焉を氷の継承者になれるようにしつつも、氷炎使いを殺す者としても育てた。
だが、ある出来事によって組織は散り散りになった。神楽自身も皆とはぐれ、未来から現代へと来て彷徨う内に一人の男性と出会った。
彼との束の間の幸せを得た時に、彼女はふと気付いた。
――全てを終わらせる者を生み出せばいいのでは
と。
自身の力と氷炎使いや破壊死書に関する事を与え、何れ氷炎使いとなり、最終的には破壊死書の封印をし、残った氷炎使いを消す為の、言わば道具。
これが、癒月が生まれる理由となったものであった。
計画が進み、やがて癒月を産むも、偶然で双子となり、兄である太陽に破壊死書の封印に関する事が渡ってしまっていた。仕方ないと彼に記憶の封印を施そうとした時に、人格が入れ替わってしまい、封印の事を伝えられた。その後すぐに奪い返したが、封印が施されてしまったので諦めて男性に託し、癒月を氷炎使いで関わりのあった月牙に預け、自身は姿を消した。
一方で、太陽を託された男性は、その後消えた神楽と癒月を気にしながらも、彼を育てた。何も聞かずに神楽の事を受け入れた彼は、何となく予感がしていたのだ。いつか、いなくなるのではと。それが当たり、自身の前から消えた事に悲しみは覚えたものの、二人の子の片方である太陽がいたおかげで、彼は寂しくはならなかった。
そして消えた神楽はと言うと、組織を復活させ、計画の為の準備を進めていた。しかし、その為にはまず癒月が成長し、氷炎使いのどちらかにか選ばれないといけない。事を進めるのはその後と決めると、その時が来るまではひそかに活動を続けていたのだ。
癒月が成長し、氷炎使い氷の継承者となった事で、マルサグーロも動き出した為、マルペメーソも計画を発動させ、活動を始めた。
そこから先は、作中の通りだ。
◇ ◇ ◇
「……ッ…」
自身が産まれた真意を知った癒月の表情は、かなり青褪めていた。
サクリファイスから道具として産まれたのは聞かされた。だが、目の前にいる人物が実の母親で、その斜め後ろに立っている闇焉が、異父兄だとは思わず、動揺を隠せない。
それに加えて、破壊死書から解放されたばかりで、意識がなかった所を無理矢理覚醒させられたのも相まって、癒月は倒れてしまう。
「癒月っ!?」
彼女が倒れた音で現実に戻ってきた皆は、驚くが神楽が密かに仕掛けた魔法で体が動かず、近寄る事ができない。
「あらあら。意識を失っちゃって。まぁ、色々負荷をかけたからでしょうけど。…でも、まだ氷炎使いを消すっていう目標は達成できてないから…使わせてもらうわよ」
計画の為に、癒月を連れ去ろうと近寄って手を伸ばす。
その、瞬間。
花吹雪が舞い上がったと思うと、彼女の姿がなかった。
「なっ…!?」
「――流石に、それをさせる訳にはいかないわね」
不意にいないはずの人物の声が届き、ざっと皆が見る。
そこには、癒月を抱えた、月牙がいた。
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.183 )
- 日時: 2023/08/27 23:33
- 名前: 風龍神奈 (ID: Wz7AUOMy)
「師匠…!?」
「月牙…っ!!」
驚きで呼ぶフェイに対し、怒りを滲ませながら呼ぶ神楽。
「何故邪魔をするの」
「義母として義娘を助けるのは当然でしょう? 貴女も分かるはずだけど」
「さぁ? 私は娘何て産んだ覚えはないわよ」
その言葉に一瞬月牙の表情が変わったが、すぐに打ち消す。
と、別の事を訊いた。
「貴女の願いに何故、癒月(この子)が必要なの? そこにいる氷炎使いを殺す者がいればいいのではないの?」
「何故って? 月牙、貴女も分かるでしょう? 貴方達月城家がいないからよ」
十一代目現氷炎使いから遡って八代目以前はそれぞれ聖域にいるからそれごと消せばいい。だが、九代目から十一代目までは聖域にいない。しかし、九代目からは月城家が養子とはいえ続いている。だからその為に癒月を使って、月城家を探す必要があるのだ。
「そんな事の為に…」
この子を使おうとするのか。
恨みに呑まれて心まで変わってしまった神楽に悲しみを覚えつつも、彼女を止めるためにフェイに癒月を預け、神楽の方へ振り返る。
実母であり初代氷炎使いでもある神楽と、義母であり十代目氷炎使い炎の継承者である月牙との戦いが始まる。
――かに思えた。
その瞬間を、月牙とフェイ達は、捉えていた。
――それまで微動だにしなかった闇焉が短刀を構えたと思うと、動いて神楽を突き刺した事を。
「「ッ!?」」
驚きに染まる皆の前で、神楽の体が崩れ落ちる。
「何で…何でだ!?」
糾弾する雨宮に、闇焉は違う、と否定し
「殺ったのは、氷炎使いの力だ。神楽を殺した訳じゃない」
そう答えた。すると。
彼女の髪から徐々に黒が消えていき、元の色が――癒月と同じ金色が現れてくる。
雨宮が駆け付けたと同時に瞼が上がり、彼を視界に捉える。
「…太…陽…?」
その声音が、あの時――封印の術を思い出した時と同じ事に気付いて、母さんと呼んだ。
「良かった…無事だったのね…」
弱った笑顔を見せながらも、自分の無事を喜んだ彼女に、先程までの状態とは正反対な事に戸惑いを覚えるが、記憶を見せられた通りその時の神楽は恨みに染まった人格が支配していたので、別何だと思う事でそれを消す。
「…ッ」
一方、フェイに抱かれていた癒月は、意識が戻ったのかぴくりと体が動き、目が開けられた。
「癒月っ」
「…フェイ…」
彼に気付いて名を呼ぶと、何かに気付いたのか神楽の方を見る。
意識を失う前に見た時と髪色が違い、自身と同じ色になってるのに困惑しつつも、雨宮がいる事に気付いて降ろしてもらうとゆっくりとだが彼女の元へ向かう。
暫く無言だった月牙も、癒月が心配であったのか一緒に向かった。
「……お母さん…?」
神楽の元へ来た癒月に気付いて此方を見た彼女に、声を震わせながらも訊いた。
「……もしかして……癒月…?」
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.184 )
- 日時: 2023/08/27 23:36
- 名前: 風龍神奈 (ID: Wz7AUOMy)
記憶を辿るのに時間がかかったのか、返事が来るのが遅かったものの、自分の名を呼んでくれた神楽に、涙が溢れてくる。
「はい…っ!」
望みは薄かったのだ。人格が入れ替わったとはいえ、その時はほぼ兄である雨宮に向けられていたから。自身は、覚えられていないんじゃないかと。元の人格ではない、負に染まった人格が計画して、道具として産まれた自分だから。
でも、実際は覚えててくれた。名を、呼んでくれた。
それだけで、癒月は救われたような気持ちになる。
「…情けないわね、神楽」
こんなに子供達を心配させて。
「ほんとね…母親失格だわ…」
微笑みながら答えた神楽だったが、彼女は一度死んだ身だ。それを、氷炎使いの力によって息を吹き返し今まで生きてきた。そして、その力は闇焉によって消された。
――つまり、彼女は力を失った事で、死ぬことになる
「母さん…?」
体の端から粒子になって消えていく神楽に、雨宮が驚く。
「ごめんね、太陽…私は本当はこの世にいない身。氷炎使いの力で命を繋いでいただけ。それを失ったから、消えるしかないの。…あの時、封印の術の事しか出来なくてごめんね…でも、愛してるわ…」
優しく雨宮の頬に触れると、涙がつぅと落ちた。
「母…さん…!!」
泣き始めた雨宮を名残惜しそうに見つめると、癒月の方を振り返り
「癒月…貴女がもう一人の人格によって産まれた道具なのは分かっていた…あの人格は最後まで貴女を娘として見なかったけど…私にとって、貴女は最愛の娘よ…ごめんね、何もしてあげられなくて…でも、貴女は道具ではない…一人の人間よ…だから、自由に生きなさい…愛してるわ…」
そう告げる。
「お母…さん…っ!!」
言葉を伝えられるとは思っていなくて、しかも、自分を分かっていて…もう一人の人格が産んだのに、娘と…最愛の娘だと言ってくれた母に、涙が止まらない。
「月牙…後は頼んだわ…」
「ええ。大丈夫よ、任せて。――さようなら、一番の友神楽」
毅然とした態度で受け取った月牙に安心して、瞼を閉じる。
同時に、神楽の体が最後の粒子となって消えた。
母に再会できたと思っていたのに、それが最後となるなんて、誰が予想しただろうか。
揃って静かに泣く双子に、周りはどう声をかければいいのか迷って動く事が出来ない。
だが、そんな中で動く者が一人。
「…人として、還せたか」
二人の許に、闇焉が来た。
「闇焉、貴方は何故あのような事を?」
涙を拭っている二人の為に、月牙が訊く。
「…神楽を、救う為と……」
後半を濁した彼に、じっと目線を向ける。
ややあって、観念したのか吐いた。
「……異父妹を、助けたかったからだ…」
「ッ!」
異父妹、という単語に癒月の肩が跳ねた。
いや、そんな。まさか。
「貴方…知ってたわね? 癒月と雨宮くんが、異父弟妹な事」
「見せられたんだ、神楽に。組織が散り散りになってから、また集結して再開した後、彼女に会ってから暫くして。驚いたよ…まさか、同じように道具として使われる予定だったとは思わなかったからな」
「…闇焉、お前も癒月と同じ…だったのか?」
暫く口を開いてなかった神童が、問うた。
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.185 )
- 日時: 2023/08/29 22:41
- 名前: 風龍神奈 ◆NmgNyaN6Ak (ID: Wz7AUOMy)
「同じと言うほど同じではないが。俺は、元々宿っていた時に神楽が闇に飲み込まれた事で、トラディメントと氷炎使いになれるように育てられた。だが、それも組織が散り散りになった事で暫くは意味がなかったが。…まぁ、結局必要とされたんだ」
「――闇焉、おれ達と出会う前、何をしていたんだ?」
今度は霧野が問う。
「知りたいのか、俺の過去を」
「…知りたい」
ふと、別な声が聞こえて、皆がその方向を見る。
いつの間にか、癒月と雨宮が立っていた。
「教えて欲しい。闇焉…義兄さんの事が知りたい」
「僕も同じだよ」
「…お前ら、俺が敵対していた事を忘れていないか? しかも、癒月には破壊死書を発動させた奴だぞ。憎い敵ではなかったのか?」
敵対していた事を忘れているのではという態度な皆に、呆れたように問いかけるも、忘れてはいないという返事がくる。
「確かに、そうだったけど。でも、それは役目があったからで、今は自由になったから。それに、貴方が義兄だと分かったから…しかも、私を助けたかったと…言ってくれたから、もうそんな気持ちはない」
答えた癒月に、暫し闇焉は黙り込んだ後。
「…仕様のない異父妹だ。――話してやるよ」
静かに、語り始めた。
◇ ◇ ◇
組織が散り散りになった際、闇焉は神楽とではなく別の職員と共に脱出した。そして、その職員と一緒に暮らしていた。当時は何となくぽいなとしか思っていなかったが、今では分かる。その人は、実の父親であったと。だが、彼は暮らし始めてから十年も経たない内に病で亡くなった。
そこから闇焉は一人で生きていく事になり、未来世界で放浪をしていた。放浪し始めてから一年ほど経ったある日、偶然神楽と再会した。最初は驚いたものの、トラディメントの力が必要だと彼女に請われた事で協力する事にした。長い間会っていなかったとは言え、実の母親であるので、無視する事は出来なかったし、父親を亡くしていた彼にとっては、唯一の家族であったのだ。だが、神楽だけが肉親だと思っていた彼は、彼女から計画を聞いた事で、自身に弟妹がいる事を知った。異父弟妹ではあるが、他にも肉親がいるのだと。
計画を進める前に神楽から姿を見せてもらった。そこには、金色の髪を持った少女。直感で、その子が計画に必要な者だと感じた。次いで別の場所が写り、オレンジ色の髪を持った少年がいた。さっきの妹と同じくらいに見える。どういう事だろうかと思っていると、双子よと神楽から言われた。まぁ、彼の方は偶然で産まれてしまったから、あまり似ていないのだけれどね。そんな事を言いながら、神楽は魔法鏡を消すと、何処かへと向かった。
初めて見た、双子で弟妹。父親は違うけれど、半分は同じ血が流れている。だが、母親の言い方からするに、必要とされているのは妹の方。…つまり、自分と似たような状況なのは、彼女の方だと。――道具として使われるのは。
だが、当時の彼はそこまで執着していなかった。とりあえず、神楽の計画を進めることを頭に置いていた。
闇焉が癒月達の前に姿を見せたのも、試合を挑んだりしたのも、癒月を成長させ、マルサグーロを動かす為であった。癒月が破壊死書に取り込まれた後に、再び姿を見せたのも、封印を後押しする為だ。しかしながら全ては、神楽の計画の為であり、氷炎使いを消す事と破壊死書を封印する事を達成する為であった。
それが、今までの話だ。
◇ ◇ ◇
「…だが俺はそこで、破壊死書に取り込まれたお前が期限が来ると飲み込まれる事に疑問を抱いた。神楽は自身の計画を達成する事ばかりを考えていたからか、気にもしていなかったようだがな。…だから俺は、破壊死書に施された術に解呪方法があると伝えたんだ。奴さえどうにかできれば、フェイと…太陽が、どうにかしてくれると思ったから」
「!」
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 【更新再開】 ( No.186 )
- 日時: 2023/08/31 23:05
- 名前: 風龍神奈 ◆NmgNyaN6Ak (ID: Wz7AUOMy)
名前を呼ばれて反応した雨宮を一瞥すると、フェイの方を見る。
「元はといえば…こっちが悪いのだが。――ありがとう、異父妹を救ってくれて」
「!?」
突然の感謝の言葉に、彼が驚く。
それを見て今まで見たことのない表情をしている癒月を見られたのは闇焉以外。
「いや、その…僕だって癒月を救いたかったし…お互い様だよ」
フェイの言葉に、そうかと答えると口の端を上げた。
「いい仲間を持ったんだな…弟妹は。良かった」
彼の言葉に二人は笑顔になり、他の皆もつられて笑顔になる。
全て終わったのだと、そんな雰囲気が漂う。
だが、これが終わりではなかったのだ――