二次創作小説(新・総合)

Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.26 )
日時: 2013/06/03 21:49
名前: 風龍神奈 (ID: C1fQ.kq4)

「…と言う事でいいんだよな? 癒月、フェイ」
「はい」「うん」
 雷門中サッカー部は、これからの事を話し合っていた。
 理由は、言わずもがな。
「…どうしようか…これからさき…。居場所は奴等にも、あいつ等にもバレてるからなぁ…」
 ぶつぶつと考えていた癒月は、不意に周りが静かなのに気付いて、辺りを見回した。
「っ!!」
 ミーティング室に集まっていた全員、あちこちで寝息を立てていた。あるのは——漂っているのは、何てことない花の香り。
(何で、皆……! っ、まさか…!!)
 癒月は気付いて結界を張ろうとしたが、一歩遅かった。
 瞬く間に花の香りが充満し、癒月の思惟を奪って行く。
「し…ま…った……——」
 
 寸前に、何者かの、人影を見たような気がした——。




「……っ」
 暫く間があって、霧野は目を覚ました。
 そしてつい先程までやっていたことを思い出して、慌てて周りを見回した。
 皆、様々な場所に倒れていたが、霧野と同じく、目を覚まし始めている者もいた。
 霧野は安堵した。が。
 次の瞬間、何とも言えない違和感に襲われた。
「…癒月、フェイ?」
 違和感に襲われた霧野は、これからの事を考えていた二人の名を呼ぶ。が、返事はない。
 違和感の正体が分かった霧野は、青ざめながらも立ち上がった。
「…霧野、どうした? 癒月とフェイが、どうかしたのか?」
 青ざめている霧野の許に、神童が怪訝そうな顔をして来る。
「…癒月と…フェイが…いない…!!」
 霧野の唇は、それ以上は紡がなかった。

 ◆     ◆     ◆

「おい、チェリーと封季(ふうり)。こいつらを見張っとけ」
 と、闇焉(やえん)は二人にそれぞれフェイと癒月を手渡した。
「なっ…!! 闇焉、何故フェイくんが…!?」
「闇焉、何をした?」
 闇焉からフェイと癒月を受け取ったチェリーと封季が、彼に問いかける。
「…簡単だった。皆、眠り花で眠っちまったから、その隙に攫ってきただけの事。
 ——俺は、そいつらの守ってる、破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)が欲しいだけだ。だが、それは封印されてるからな、そいつらに解かせるしかねえ。だから、お前等に見張っててもらう」
 そう言い置いて、闇焉は去った。
「……ぅ……っ」
 闇焉が去った後、不意にフェイが身じろぎをした。
 ややあって、フェイの瞼が開く。
 焦点が定まっていない瞳が宙を彷徨った後、チェリーの顔で止まった。
「…チェリー…?」
「! 分かるのかい…?」
 返答の代わりに、フェイに尋ねる。
 フェイは、こくりと頷いた。
 と同時に。
「………っ」
 癒月も、目を覚ました。
 フェイは駆け寄ろうとして、しかしチェリーに止められた。
「…今は、動かない方がいい。…ここは、闇焉の——私達の、アジトなのだから」
 そう言われて、フェイは大人しく指示に従った。
「…封季…?」
 癒月の瞳が封季の顔で止まる。
「ああ、俺だ。…大丈夫か?」
「うん…。…あ、チェリーも…? 何で…?」
「…その質問には、後でこっそりと答えてやるから——とりあえず、こっちに来い」
 封季は癒月を立たせると、チェリーとフェイにそう言い、とある場所へと連れて行った。

 ◆     ◆     ◆

「…癒月と、フェイが…いないだと…!?」
「ああ。…本当に、いないんだ」
 霧野の言葉を聞いて、神童の顔が青ざめていく。
 それに気づいた雷門イレブンが、周りに集まった。