二次創作小説(新・総合)

Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.33 )
日時: 2013/06/07 21:28
名前: 風龍神奈 (ID: QiHeJRe.)

「どうしたんですか? 神童先輩」
「…皆、心して聞いてくれ。
 ——癒月とフェイが、いなくなった」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「いなくなったって…」
「どういう事だよ!!」
 雷門イレブンだけでなく、マネージャーである葵や水鳥達も驚いていた。
「…詳しい事は、分からない。何せ、途中から皆、倒れてしまっていたんだからな…。恐らく、その間に、何者かが、癒月とフェイを連れ去ったのだろう」
「連れ去ったって……っ!! まさか…!」
「どうした? 天馬」
 何かに気付いた天馬に、神童が問う。
「まさかと思いますけど…あの、闇焉(やえん)という少年が、連れ去ったんじゃないんですか? 奴は、癒月達の敵だ、って言ってましたし…」
「…確かに、可能性はあるな」
「だがよう、それだとしたら、どうすんだ? どうやって、癒月達を救うんだ?」
 今度は水鳥が問うた。
 神童が答える前に、葵が答える。
「それなら、方法がありますよ。こういう時のために、皆にGPS装置を取り付けていたんで」
 皆が一斉に葵に注目した途端、葵は微笑んだ。

 ◆     ◆     ◆

「あ、フェイ! 何で此処に!?」
「静かに、閃華(せんか)」
 封季(ふうり)達に連れられ、やってきた部屋にいた、エメラルド色のロングストレートに、薄緑色の瞳を持つ少女——風雅崎 閃華(ふうがさき せんか)はフェイがいたのを見て、声を上げた。
 それを、封季に窘(たしな)められる。
「…え、癒月…?」
 その傍らにいた、蒼い髪と瞳を持った少女——雪雨 海音(ゆきさめ かいん)が、癒月を見つけて、静かに声を上げる。
「え…何で閃華もいるの?」「何で、海音がいるの…?」
 同時に訊く、フェイと癒月。
「………」
 それに沈黙を返す閃華と、
「…ゴメン、それは言えないんだ」
 と返す海音。
「…そっか…」
 癒月の瞳が若干悲しそうに光ったのに、海音は気付いたが、あえて気付いていないふりをした。
「…ところで、何で二人は此処に?」
「それは私が説明しよう」
 閃華の問いに答えようとした癒月だったが、チェリーに阻まれた。
「我らのキャプテンである、闇焉(やえん)が、二人を雷門中から攫ってきたのだ」
「えっ!?」「なっ!?」
 それぞれ違う反応を見せる二人。
「…そして、我らに、二人を見張っとくよう、指示した後、何処かへと行った」
「…ああ、そういう事ね」
「そういう事か」
 チェリーの説明で、分かったのか、頷く二人。
「つまり、癒月が持ってる、破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)の封印を解かせるために、癒月達をここで捕らえているんだね」
「まあ、そういう事になるな」
「…で、幽閉…とは響きが悪いけど、まぁ、見張っとく場所が、ここ——碧(あお)の間、ってことね」
「そういう事」
「「???」」
 いまいち何を話しているのか分かっていない癒月達に、海音が説明した。
「まぁ、簡単に言うと、癒月の持ってる破壊死書の封印を解かせる為に、癒月達を見張っておく場所が、ここ、碧の間だって事」
「ああ、成程」
「いや、感嘆しちゃ駄目だよ、癒月」
「いいのよ、別に。…だって、封印なんて、ある人しか解けない…」
 最後の言葉を誰にも聞こえないぐらいで言って、癒月はフェイを顧みた。
「それに——皆、助けに来てくれるしね。でしょ?」
 最後の言葉が、二重の意味を含んでいる事に、皆気付いていた。

 ◆     ◆     ◆

「皆さん、分かりましたよ!」
 そう言って、ミーティング室に飛び込んできたのは、葵。
 ワンダバ——本当の名は、クラーク・ワンダバット——に頼んで、場所を解析して貰ったのだ。
「場所は——未来!!」

Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.34 )
日時: 2013/06/05 22:25
名前: 風龍神奈 (ID: olAAS3wU)

「…は? 未来だと?」
 神童の呆れた様な声に、葵はきちんと答えた。
「本当です! 確かに、場所は未来を指してたんです!!」
「…だとしたら…、ワンダバに頼まないと…」
「その必要はありません! ワンダバは行く気満々です!」
「!!」
 その言葉を聞いて、神童と霧野が瞠目する。
「——なら、行くしかないな」
「ああ、それしかない」
 神童は一呼吸分置いてから、次いで言った。
「皆! 癒月とフェイを救出しに行くぞ!!」
「「「「「「「おおー!!」」」」」」」

 ◆     ◆     ◆

 海音が向かった部屋——紅(くれない)の間に、海音が探していた人物——聖煉闇焉(せいれんやえん)がいた。
「…ねぇ、闇焉」
「何だ?」
「…何で、二人とも攫ってきたの? 癒月だけで、良かったんじゃないの?」
「まぁ、その手もあったが…一番の理由は——お前等が、そいつ等と繋がってないか、調べる為だったんだよ」
「!!」
 海音が驚いたのを確認して、闇焉は嗤った。
「…何てな。冗談だよ。——お前等が、繋がっているわけがないだろう?」
 気味の悪い笑みを浮かべながら、闇焉が言う。
(今ものすっごく闇焉の顔面なぐりたい…)
 そう思った、海音であった。



「…二人とも、こっち。…ここの中は、抜け道になってるから、真っ直ぐ行けば、外に出られる。
 迷ったとしても、癒月の力があるから大丈夫」
 海音が闇焉と話していた頃、碧(あお)の間では、閃華(せんか)が癒月達に抜け道を教えていた。
「大丈夫だ。君達ならきっと迷わずに行ける」
「俺等が、暫く時間稼いでおくから、その内に、逃げろ」
 上の言葉はチェリーと封季(ふうり)の言葉。
「…ホント、ゴメンね、皆…」
「いいんだ。もとあと言えば、闇焉が悪い」
 自分達のリーダー(キャプテン)である闇焉を、若干愚弄するようにして言う封季。
「さ、早く逃げたまえ。——私は楽しみにしているからな」
 チェリーの言葉に頷くと、二人はその抜け道に入った。


「…結構、入り組んでるね」
「そう? 風鳴りが聞こえるから、私は迷わず進んでるけど」
「うん。かなり入り組んでる。…多分、癒月の力が無かったら、迷ってたと思う」
 抜け道の中を通りながら、フェイと癒月はそんな会話をしていた。
「…誰が、こんな抜け道作ったんだろうね」
「分からないけど、…きっと、闇焉だと思う」
「あいつが? …今度あったら叩きのめしてやる」
「はいはい、今はそういう事を言ってる暇はないよ。
 …うん、彼なら、出来ると思うんだよね」
「そっかぁ…。…! あっ、もう出るよ」
 癒月の言葉と共に、真正面から、光が差し込んでくる。
 出た場所は、未来世界の何処かのようだった。遠くにセントエルダ市街地が見える。
「どうやら…未来にいるようだね」
「そうみたいだね。……ん?」
「どうしたの?」
「ねぇ、あそこって…」
 癒月が指差した場所を見るフェイ。
「あそこは…」
「…だよね…。何でこんな所に出ちゃったんだろう…」
 癒月達の目線の先に、洞窟が見える。
 その洞窟は。
「——何で、私達が教えを受けていた場所に…」
 間違いなく、癒月達が氷炎使い(アイスファイアーダンサー)の教えを受けた、それだった。

 ◆     ◆     ◆

Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 オリキャラ募集中!! ( No.35 )
日時: 2013/06/06 22:30
名前: 風龍神奈 (ID: LN24WA4w)
参照: 癒月とフェイ、合流!!

「…未来に来たのはいいが、一体癒月達は何処に…」
 イナズマTMキャラバンを降りながら、神童は呟いた。
「葵、反応はどうなってるんだ?」
 一緒に降りたワンダバが、葵に訊いた。
「…ええと、切り立った岩場の前で止まって……いえ、先にあった洞窟に入りました!」
「それって、もしや、あそこにある洞窟では?」
 ワンダバが、指差す。
「…間違いなく、あそこの洞窟です」
「そうか。——皆、行くぞ!!」
 神童の声を合図に、皆は一斉に動いた。

 ◆     ◆     ◆

「…まったく、変わってないね…」
「うん。…僕達がいた頃とね…」
 癒月とフェイは、真正面にあった、洞窟——癒月とフェイが、氷炎使い(アイスファイアーダンサー)としての教えを受けた場所——の中にいた。
 洞窟の中は、いた頃と変わらず、そのまま放置されていた。
「…でもさ、おかしくない?」
「何が?」
「普通、色々な箇所が荒らされるじゃん。でも、此処は荒らされた跡がない。破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)についての書類とか、本があったはずなのに」
「!!」
 癒月の言葉に、フェイが瞠目する。
「それに…高値で売れそうなモノも沢山あるのに、一切荒らされた跡がない、人が立ち入った気配がない。
 ——変だと思わない?」
「…っ、まさか」
「うん、そのまさか。——私達が、此処に戻って来るのを、奴等は待っていたわけよ。だから、部屋を荒らさなかった」
 癒月の言葉は正鵠を得ている。
 そう思ったフェイは、すぐさま出ようとした。
「駄目だよ。——今出たら、確実に奴等に見つかる。…それに、外の入り口の方で、何かがいるしね。
 此処で隠れてた方がいいよ」
 そう言うと、癒月は小さく何かを唱えた。
 と、二人の姿がベールに包まれたようにして消える。
(…声を出さないでね。見つかるから)
(うん)
 目だけで会話しあうと、癒月とフェイは身を潜めた。

 ◆     ◆     ◆

「本当に、この洞窟の中にいるのか…?」
「います」
 葵がはっきりと答える。
「…じゃあ、行くメンバーを決めよう。この人数で行くと、大変な事になる」
 皆が頷いたのを確認して、神童はメンバーを言っていった。
「まずは俺。そして霧野、信助、剣城の4人だ。他は、此処で待機。異変があったら、直ちにこれで知らせるように」
 そう言って、神童が天馬に渡したのは、不思議な形をした石だった。
 首にかけれるように、ペンダントタイプになっている。
「これは通話が出来、映像送れる水晶——魔法水晶(マジッククリスタル)だ。…言っておくが、俺が名づけたんじゃないぞ」
 最後の言葉は別として、この魔法水晶は、通話が出来、映像も送れるという道具だ。大概、ペンダント型にされているが、たまに、イヤリングや腕時計型もあるようだ。
「後は頼んだぞ」
 そう言って、霧野達三人に声をかけ、洞窟の中に入っていった。

 洞窟の中はそんなに湿っていず、丁度よい湿度と気温だった。
 暫く歩くと、様々なモノが置かれている部屋にでた。
「此処は…」
 机の上に置かれていた紙束の一番上を読む。
「『破壊死書(カタストロフィヴィヴリオ)の浄化方法』…」
 霧野の言った言葉を聞いて、剣城は確信した。
「どうやら、此処は、氷炎使い(アイスファイアーダンサー)がいた場所のようですね」
「ああ、らしいな」
「でもさ、何でこんなところに——」
「…神童、先輩…? 何で此処に…」
「剣城に、信助、霧野先輩も何で…」
 そんな声が聞こえ、奥の方に背中を向けていた4人は振り返る。
 そこには、癒月とフェイがいた。
「二人とも、無事だったのか!」
「…ええ(てか何で私達の部屋に勝手に入っちゃてんの)」
 心の声が聞こえないように冷静を保ちながら言う癒月。