二次創作小説(新・総合)

Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 ( No.56 )
日時: 2013/06/12 20:04
名前: 風龍神奈 (ID: uv8uJrDZ)
参照: 癒月の葛藤ww

「…私達がフェーダにいた時よりか、やっぱり皆成長してる」
「そうだね。でも、僕達だって成長しているさ」
 癒月がEDSCのベンチの方を見ながら言った。
「まあ…ね………」
 それっきり言葉が続かない癒月に、フェイが訊いた。
「どうしたの、癒月?」
「…いや、ちょっと…何かが…おかしいんだよね…」
 空を仰ぎながら言う。
「何が?」
「——!!」
 だが、フェイの問いにには答えず、目線を元通りに戻した癒月は瞠目した。
「?」
「…ッ」
 何があったのか分からないまま、癒月は俯いた。
「…癒月…?」
「…ううん、何でもないよ。…あっ、ほら後半が始まるよ」
 癒月は明るく笑顔を作ると、フェイをコートに連れてった。

 ◆     ◆     ◆

「…なぁ、闇焉は何処に行った?」
 海音達が橙(だいだい)の間で癒月達の試合を見ていた時、ふと封李が尋ねた。
「…俺は知らねぇぞ」
 はねた髪とバンダナを付けている少年——火桜 音衣(ひざくら ねい)がそう言った。
「ぼくも知らない」
 と答えたのは、フェイそっくりの茶色の髪と黒目がちな少年——パピオン・フォン・マクレミガン。
「私は——知ってるわ」
 間を置いて答えたのは、黒色に白のメッシュが入ったロングストレートの髪にサファイア色の瞳を持つ少女——月空 実華(つきぞら みか)。このチームの参謀だ。
「何処に行ったんだ、あいつは。答えろ、実華」
「簡単な事。癒月さん達に会いに行ったのよ」
「なッ!」
 そう声を上げたのは海音だった。
「なにをしに行ったんだ、闇焉(やえん)は!!」
 思わず声を荒げる海音に、実華は言い放つ。
「何も。ただ会いに行く、としか聞いてないわ」
「ッ! …碧(あお)の間に行ってくる」
 何か言ったんだろ、と問おうとして、海音はその言葉を呑み込み、そう言い置くと部屋を出て行った。
「…ったく、からかうのも大概にしてくれ、実華」
「あら、ごめんなさい」
 嗜めるように言ったチェリーに、実華は笑いながら言った。
「…海音、大丈夫か…?」
「大丈夫かどうか不安なら、見に行けば良いでしょ、ネイ」
「わーかってるよ」
 そう言って、ネイは確認しに部屋を出て行く。
「——さて、闇焉は癒月に何を言ったのかな♪」
 閃華(せんか)が嬉しそうに言った。

 ◆     ◆     ◆

「さぁ、後半戦がスタート!!」

 ピイィィィ!!

 ホイッスルが鳴り響き、皆が動き出す中、癒月は一人、そこに佇立していた。
(どうしよう……でも……)
 知らず知らずの内に、拳を握り締める癒月。
(……どうすれば……)
「癒月! 何をしている!!」
 未だに佇立していた癒月を、叱責するように神童は言った。
「後半戦は始まっているんだぞ!」
「…すみません」
 癒月はそう謝ると、悩みながらも駆け上がっていった。
「癒月!!」
 と剣城からパスを受け取った癒月は、シュート技を決めようとして、だがさっきの事を思い出して雨宮へとパスした。
「?」
 癒月からパスを受け取った雨宮は、実の妹を訝しげな顔で見たが、それ以上追求する事もなく、ミキシマックスした。
「ミキシトランス、孔明!!」
 と、そこに紫の髪を持った雨宮が現れる。