二次創作小説(新・総合)
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 ( No.70 )
- 日時: 2013/06/19 22:33
- 名前: 風龍神奈 (ID: BjWvuHd0)
第6話 魔物との戦い
「「うわっ!!」」
行き成り突進してきた魔物を、二人は躱した。
「っぶね!」
次いで、二人はくるりと着地する。
「…やっぱり、この魔物って…、『あれ』使わないといけないの…?」
「てか、使え。私の力だけじゃ太刀打ちできん」
(使いたくないんだけどなぁ…)
フェイは諦めたように魔物を見ると、小さく呟いた。
「——紅炎」
刹那。
魔物が白炎に包まれた。とてつもない熱気が、此方まで届く。
白き炎の中で、魔物はのた打ち回る。——否、ふりだった。
「なっ…!?」
瞬間、炎が弾けて飛んだ。
魔物は無傷だった。
「…ちっ、炎じゃきかねぇか…」
その様を見ていた水無月が、苦々しげに呟いた。
「なら…。——神立」
と、次の瞬間。
魔物の上に黒雲が出来たかと思うと、次いで雷と雨が一気にそれへと降り注いだ。
雷が魔物に当たる。と魔物は痙攣した。
「…雷は効くみたいだな。…フェイ、お前雷系使えるか?」
「あんまり得意じゃない…」
「そうか」
水無月は魔物を一瞥すると、不敵な笑みを浮かべた。
「じゃあ、お前はあいつの周りを炎で囲ってくれ。後は私が蹴りをつける」
「了解」
フェイは小さく何かを唱えた。
と魔物が炎に囲まれる。
「——鳴神召喚、紫電!!」
突如、天から紫色に輝く雷が無数に鳴り響き、降り注いだ。
魔物の姿が見えなくなる。炎も雷に掻き消される。
瞬間。
二人の視界が、一瞬だけ白色に包まれる。
「…………」
やがて、二人は目の前で交差した腕を下ろして、魔物を見た。
「…倒…したのか?」
「そう…なんじゃない?」
魔物はその場で倒れていた。
「…しっかしま、何故出てきたんだ? まだ封印は弱まっていない筈だが…」
「…もしかしたら、誰かが封印を弱めたかもしれないね」
「そんな事ができる人物がいるのか?」
「…少なくとも、一人はいる」
フェイは魔物の許へ行った。
「…うん、間違いなく死んでる」
フェイはそう確信して、戻ろうとした。
刹那。
魔物が行き成り起き上がった。だが、フェイは気付いていない。
そして魔物はそのまま突進した。
「! フェイ後ろ!!」
水無月の言葉で、後ろを向いたフェイは。
死んだ筈の魔物が此方に向かってくる姿を見た。
「っ!?」
そのまま身動きが出来ずに、硬直するフェイ。
目の前に、魔物が迫ってきた瞬間。
間髪で水無月が築いた障壁が、紙一重でフェイを守った。
魔物はそのまま弾き飛ばされて動かなくなる。
「……っ」
無言でその場にへたり込むフェイ。
彼の近くに、水無月は来た。
「おいおい、ちゃんとしろよ。…今、私の障壁が遅れていたら、お前死んでたぞ」
「…うん…」
魔物を見つめた儘、フェイは言った。
「…え…?」
次いで、素っ頓狂な声を上げた。
「? どうしたんだ、フェイ?」
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 ( No.71 )
- 日時: 2013/07/03 21:28
- 名前: 風龍神奈 (ID: lMBNWpUb)
- 参照: http://久々更新、すいません
「…あの魔物、作られたモノだよ」
「はっ!? …てかお前の話だとその誰かが封印を弱めたとかじゃなかったか?」
「…それは僕の推測。本当は、僕が言った誰かが作ったモノだった」
「…マジかよ」
水無月が、魔物を一瞥した。
「ん? って事は、お前が言ってる人物って、未来の奴か?」
「…未来以外にいるわけないじゃん、この世に恐怖と混沌を招く魔物を作り出す人なんて」
「だよな…」
「あれ? 何でフェイと水無月さん此処にいるの?」
「「っ!?」」
考え事をしていた時に誰かから声をかけられた二人は、思わず驚いて、振り返った。
十六夜樹(いざよいのき)の出入り口である洞窟の前に、天馬達雷門メンバーがいた。
「何で此処にいるの、天馬…!!」
「いや、何かハクビが何処かに向かっていくからさ、後をつけていたら、こんな所に出た」
「ハクビ…失態犯したな」
《申し訳ございません》
ハクビが頭を垂れる。
「…まぁ、お仕置きは覚悟しとけよ。…で、フェイ、どうすんだ?
——あいつら、徒人(ただびと)だろう?」
「うん。…だからこそ、此処に近付けさせたくなかったんだよ。特に、魔物には…」
「うわっ!! 何だあれ!」
「!?」
突然、天馬が叫んだので、二人は後ろを見た。
と、天馬が魔物に近づいていく。
「! 天馬、行っちゃ駄目だ!!」
だが、フェイの言葉が聞こえなかったのか、天馬はどんどん近づいていく。
「間に合うか…!」
フェイが呪文を紡ごうとした時。
天馬の前に、フードを被った何者かが現れた。
と、その者は天馬を突き倒した。
「っ!」
天馬が蹲っている間に何者かは魔物を抱えると、姿を消した。
「天馬!!」
何者かが消えた後に、フェイは駆け出して天馬の許に向かった。
「大丈夫!?」
「うん…痛くならない方向に倒してくれたから…」
フェイが手を差し出すと、天馬はそれに掴って立ち上がる。
「…ところでさ、この真ん中にある樹って、何?」
「………」
「? フェイ?」
「とにかく! まず皆部屋に戻って!!」
流石に苛立ちが募ったのか、フェイは雷門メンバー全員に伝わるように叫んだ。
「……ということ。分かった?」
霊奇棟の鳳の間で、フェイと水無月は雷門メンバーに十六夜樹(いざよいのき)について説明していた。
コクリ、と皆が頷く。
「…てかさ、何で僕が大半の説明したの? 管理者は水無月なんだからさ、説明すれば良いのに」
「お前の方が皆と仲がいいからだ」
「…そういうことですか」
水無月が真面目な顔で答えたので、フェイは苦笑しかけたが、ぐっと堪えて冷静に返した。
「そういえばさ、あの時その…十六夜樹の近くにあった黒い物って、何だったの? 俺見れなかったからよく分かんないんだけど…」
「「!!」」
天馬が訊きたかった事を訊くと、二人の表情が先ほどまでとはうって変わって、一気に驚きと焦りの顔になる。
「…あれは………」
途中で言葉が詰まってしまう。
あれもあれで、一から説明しないといけないのだから。
「——あれは、魔物だ」
言葉に窮しているフェイの隣で、水無月が言った。
「水無月!? どうして…」
「いいから、黙ってろ」
反論しようとしたフェイを、片手と言葉で静止しながら、水無月は説明を始めた。
「魔物ってのは、私等がいる世界とは別の異世界——魔界に住んでる生き物の事だ。そこに住んでいる生き物は魔物、魔人、悪魔等…。まぁ、それらをでっかく言えば『魔』という分類に入るんだが…それは置いとくとして。
——その『魔』達は、時折この世界人間界に降りて来る事がある」
「えっ!?」
と声を上げたのは天馬で、他の皆は黙りながらも内心驚いていた。
「だが、それも殆ど少ない。何故なら——魔界と人間界を繋ぐ地獄門(ヘルゲート)があるのは、一箇所しかないからだ」
「…まさか…それって…十六夜樹ではありませんよね…?」
- Re: イナクロ 〜炎と氷を受け継ぎし者〜 ( No.72 )
- 日時: 2013/07/01 22:35
- 名前: 風龍神奈 (ID: MnBE3vuR)
恐る恐る太陽が訊いた。
「当たりだ。この神社の聖域でもあり、パワースポットでもある十六夜樹(いざよいのき)は、地獄門(ヘルゲート)をその根元に孕んでいる。だが、十六夜樹は自らの力で浄化を行っていたんだ。…だから、私の先祖が此処に神社を建て、聖域とし、封印を行ったんだ。封印は成功し、それから代が変わる毎にやっていったんだが…そろそろ、十六夜樹の寿命が切れる」
「………」
事の重大さが分かってきたのか、一同は無言だった。
「まぁ、私の祖先の代以前からあるからな。樹齢はとうに何千年も超えてんだ。それで、寿命が終わらない方がおかしいっていうの。…そんな訳で、本来ならどうにかしないといけないんだが、どうやら、最後の力で二代目をつくったようでね、今度から、それが浄化をしないといけないんだろうが…まだ小さすぎる。高さはお前等に満たない」
「…それでも、浄化は出来ないんですか?」
太陽が訊いた。
「ああ。十六夜樹は元々大きかったが、浄化は、もっと大きくなって実を大量につけれる大きさにならんといかんからな」
「実…?」
微かに呟いた神童の言葉が聞こえたのか、水無月が答えた。
「十六夜樹の浄化方法は、満月の次の夜、自らの霊力を込めた実を大量に地面に落として浄化するんだ。それで、地獄門の周りや溢れ出た妖気を排除し、綺麗にするんだ。…だが、後継者が幼い今、暫くは封印と浄化を、私がしないといけない」
「………」
「まぁ、そんな訳で、浄化と封印を行っている間、無防備になるのでね、フェイに護衛を頼もうかと思ってたんだけど——どうやら、お客さんのようだ。——お前等のな」
水無月がそう言った瞬間、鳳の間の衾が勢いよく開き、闇焉が現れた。
「闇焉…! 何をしに…!!」
明らかに怒気を出しながら、フェイが訊いた。
「——招待状を、届けに来ただけだ」
さらりと言った闇焉。
「招待状? どういうことだい?」
今度は太陽が訊いた。
「俺のチーム、『ナイトメア』と試合が出来る招待状をな。——因みに、俺のチームとやって、勝てたらお前等のエースストライカーさんは返してやっても良いぜ」
「!! なんのつもりだい?」
一瞬驚いた太陽だったが、すぐ表情を元に戻し、問うた。
「何も。お前等のチームの実力が見たいだけだ。——場所、開始時刻はこれに載っている。…来なければ奴の命はないと思え」
闇焉はヒュッと何かを投げると、消えた。
それを、太陽が見事にキャッチする。
「……えっ…!?」
恐らく招待状であるそれを読んで、太陽が驚く。
それを皆は後ろから覗き込んだ。
「「「場所は…未来!?」」」
ぴったり合わさる一同の言葉。
「…時刻は、明日、午前9時…」
「…今は午後7時だから…」
「「「もういますぐ寝て明日早く起きないといけないじゃん!!」」」
またもぴったりと合わさった。
「…!!」
皆が口々に何かを言っている中、ひたすら招待状を読んでいた太陽は、写真が同封されているのに気付いた。
その写真を見て、
「!?」
太陽は表情を変えた。
「どうした? 太陽」
と、表情を変えた太陽に気付いて、近寄ってきた神童は、その写真を見て、そのまま固まる。
「…これは…っ」
太陽に続いて神童も固まったのを見て、雷門メンバーは二人の周りに集まり、写真をみた。
「…!! 癒月…!?」
その写真には——鳥籠の様な檻の様なものの中に囚われている癒月が映っていた。
「…成程、最後の言葉の意味はこれだったのか…!!」
「…意味が分からなくても、行かないと。…癒月を救うためには」
フェイが言った言葉に、一同は頷いた。