二次創作小説(新・総合)

プロローグ ( No.1 )
日時: 2024/07/10 21:47
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

プロローグ



数か月前。時空融合現象が幻想郷で発生する前であり、ウルトラワールドとのつながりを持つ前の事。



《鈴奈庵》


小鈴『……阿求、何だか最近調子良さそうだね。』


鈴奈庵に訪れた阿求。……その姿を見た小鈴は、何だか阿求が生き生きしているように見えたようだ。……まるで、『何も患っていない健康な少女』のように。


阿求『……そう?確かに最近はずっと調子が良いけど。』


阿求はあんまり実感が湧いてないらしい。


小鈴『でもなんと言うべきか、最近はやけに軽々と動いてる感じが凄いもん。

……スタスタ進み過ぎて使用人が置いてけぼりになってる姿もしょっちゅう見かけるって近所のおじさんが言ってた。』


阿求『そ、そう言えばうっかりそういうことしてたわ……』

少しだけ苦笑いをする阿求。







小鈴「……」

そして現在。レジエレキら自身のポケモン達と本の整理をしながら、小鈴は当時の事を思い出す。


あの時から、阿求の様子及び容態は少しおかしかった。


里の人間と阿求の使用人は、小鈴を除き『異世界(及び外界)の存在と住人』の事を知らない。というか、面倒事を避けるために作者が記憶を操作している。だから覚えてないだけではあるのだが。

どの道それ故に、みんな現在の阿求の事を良く分かっていない。阿求自身も、異世界でしか派手な動きをしたことはない。

ただ様子が変な事自体は薄々気づいているため、『死期が近づいてるのかとうとうおかしくなった』とか、『怪しげな術で屋敷を出て何処かに行っているらしい』とか、事実だったりそうじゃなかったりな噂だけが流れていた。


レジエレキ「じじじ……?」


……レジエレキが、ぼーっとしている小鈴に声をかける。


小鈴「ん?……あ、ごめんごめん。」


一旦、小鈴は本の整理に集中することにした。



*****


一方。八雲紫が作り出すスキマの中にて。

紫「……おかしいわね。あの『おろさん』と言う青年を呼んだつもりだったのだけど。」

……立場上、幻想郷の管理者メイドウィンとなっている『八雲紫』。彼は式神を通して作者に来るように伝えたのだが、来たのは祷大地だった。

大地「悪いな。生憎、作者は忙しいんだよ。……無論、お前が今かなり気にしているであろう阿求の事でだ。作者を呼ぼうとしたのもそれ関係だろ?」

……気だるげな態度を取っている彼に用件をあっさり当てられ黙り込む紫。そして再び話し出す。

紫「……だったら、分かっているわよね――」

大地「阿求と関わるのは止めろ的な事を言いたいなら、作者曰く『不可能』だ。」

……が、遮られたどころか、言おうとしたことをまた大地に当てられる。

紫「ソレを分かって、どうして『不可能』なのかしら?それも『嫌』じゃなくて。」

大地を睨む紫。対し、大地は呆れ気味に話し出す。

大地「……分かってて言ってんのか?阿求の今の状態を考えると、幻想郷だけで解決するとか言えるソレじゃねぇ。そもそも、バスターズグランプリやハイカラスクエアの時の映像は作者が送ったはずだし、ソレ見てないわけじゃないだろ。」

……紫はまた黙り込んだ。……実際、バスターズグランプリ、そしてハイカラスクエアにて起こったことに関しては紫にも伝えられた。

人が変わったような言動、動き。そして、それが止まったと思えば本人には何の自覚も無い。

……能力による記憶力は何も変わってない。が、やはりそういう時の記憶は微塵も無いのだ。

それ以前にも色々なところはあった。言動が荒くなったのは引っ掻き回し過ぎたせいとして、本来ならば体も病弱なはずなのに体がやけに丈夫だったり、(L時空(LCχ)の個体ではあるが)異様なまでに幻想体に付きまとわれたり。

そして、ライダーシステムを使用した時、あまりにも順応が早かった事。作者はかなり違和感を抱いていた。


無論、そう言う話は作者から聞いて、紫自身も疑問・違和感を抱いていた。だが、紫もとい幻想郷側からすると、こう言った阿求の現状を保たせるわけにはいかない。

人里で、阿求に関する不穏なうわさが絶えないでいるという理由もある。そして……


紫「貴方こそわかっているわよね?阿礼乙女は本来、幻想郷の記憶を記すために在る存在。けど、貴方達が定期的に引っ掻き回しているせいで支障が出ているのも事実よ。

……最近、幻想郷縁起にうっかり貴方達別世界の存在を書きかけた事もあるみたいだし。」

大地「ああそれはどうも」

紫「……ふざけてるの?」

紫も紫で真剣に話そうとしたら、雑な発言で流された。

紫は少しキレたものの……

大地「そう言うんだったら、お前が頑なに現状を良しとしていない事の方がふざけてるように思えるんだが。俺からすればな。

……俺はともかく、作者だって阿求の今の状態を良いとは思って無い。だからこそ、阿求の中に眠る『何か』を解明しなければならないんだよ。

それは多分……いや、どう考えても幻想郷だけで解決できる話じゃない。下手なことしたら阿求が化け物になりました→幻想郷が大崩壊しました

なんてことになったら、洒落にならないだろ?」


紫「……」

実際異世界の事は把握しきれていない故か、何も言えずにすぐに黙る。


大地「まあ、そう言う事でもある。とりあえず俺は帰らせてもらう――」


紫「待ちなさい」


……紫は、大量のスキマ、その中から弾幕やら列車やらをスタンバイさせる。


大地「……ちょいちょい、仮にも普通の人間に弾幕放とうとするのはどうなんだ」


紫「そもそもの話、貴方みたいな人間に私の存在が知られると困るのよ。


……とはいえ、あの『おろさん』と言う存在を敵に回すのも面倒な手前、流石に殺めるつもりは無い。……だけどねぇっ!!!」


そして、弾幕の攻撃を大地に放つ。


大地「……駄アホが!!」


……大地は、弾幕目掛けて蹴りを入れた。



それと同時に物凄い音が鳴る。そして紫が放った全ての弾幕が、『粉々にされた』。


紫「……は?」


紫は、啞然とした。

かなりのスピードで走る列車。そして固形物ではないはずの無数の弾幕。それが、たった一蹴りで、『その蹴りの威力と同等の衝撃』が響き渡り、連鎖するように全て粉々にされた。

……それどころか、スキマすら砕かれて、弾幕諸共『ガラスの如く粉々になったもの』が、紫の足元に落ちていく。


大地「……お前さぁ、どういう事情があるのかは知らねぇが……



過去に囚われすぎだ。……まあ俺が言えた立場じゃないが。」


大地は、ただただ呆れながら、何と空間を蹴り割ってスキマから出て行った。


紫「勘弁してほしいわね……祷大地……貴方も十分化け物じみてるじゃない……」


紫は膝から崩れ落ち、ただただ、粉々になった弾幕とスキマがあちこちに落ちた空間で呆然とするしかなかった。



*****



……その頃。肝心の阿求はと言うと……


阿求「着いたわね……此処が、一連の時空融合現象の黒幕がいるって言う融合世界……」



作者からの情報を頼りに、黒幕が潜んでいるであろう融合しかけている世界へと辿り着く。

その世界にある街。そこでは、常時お祭りがおこなわれている賑やかな場所。


阿求「……で、この街の名前は……『オミコシティ』。何の世界と融合してるかはまだ分かんないけど……



まずは、情報収集と行こうかしら。」


そして、阿求は街に向かって走って行った。





「ほー、なるほどなるほど。アレが噂の稗田阿求やな。

正直、あのしょうもない男がやってるこの時空融合とかに興味はあらへんが……それはそうとして、それなりに楽しませてもらうで。」



……その背後、木の上でその様子を見ていた、妙な男の姿に気づかないまま。



時空融合現象完結編




『UWでの日常SP~偽りの仮面とQの秘密~』




開演。