二次創作小説(新・総合)

Re: 勇者達のワクワク冒険活動記録譚 ( No.47 )
日時: 2024/11/01 07:22
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)

第26話「久々の2人」


【飛空艇 大食堂】


・透視点


「おっ。またお菓子の腕が上がったんじゃないのか? 透」
草摩 透「はいっ。中々上達しない私に、とても親切な方が教えて下さいました♪」


そう思いながらも、大好きな夾君の為に意地でも笑顔を作ろうと最後まで思っていました。
今この場にいるのは、私と彼の2人だけ。
他の皆さんは恐らく、『今後の闘い』に向けての重要な会議をしている気がします。
大事なお話と言うのもありますから、今は邪魔をしてはいけない。
だけど……、例の話し合いが此処まで長くなるのは……私としてはとても心配です。


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『ガタッ』


「ごめんなさい。少しだけ…外の空気を……吸ってきます……」
草摩 夾「……? 透?」
草摩 透「大丈夫です。何も……、何も心配しないで下さい……!」
草摩 夾「…………ッ!!! おいっ。待てよ透!!」


またです……、いつも私は肝心な時に涙を堪えてしまいます。
本当は『この世界』にいる皆さんのお役に立ちたい、そう思って私ははとりさんに事情を話して許可を頂いたばかりなのに。
此処まで頑張って来れたのも、私の想いが強かったから…だから私は胸を張ってはとりさんに相談しました。
はとりさんにははとりさんにしか出来ないこともありますし、紅葉君や他の草摩の方たちにだってやらなきゃいけないことがあります。


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【飛空艇 停留所】


透「…………。こんな時に……、こんな時に私は……皆さんのお役に立ててないなんて……!!」


だからあの時、私は必死で大好きな彼から離れたんです。
たまには1人で泣きたいから、今までそれを必死で我慢していたのに……。
周りは静かな風とかで何も聞こえない筈なのに、その背後からはいつだって優しい気配をする人がいます。
こんな情けない姿を見せたくなくて、面と向かって振り返ったばかりだとしても。
この気配の持ち主はいつも、私をちゃんと探してくれると期待してしまいました……!!


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(BGM設定:FF8よりLove Grows)


『ガバッ………』


「………………」
透「き………、きょう………君………?」
夾「馬鹿野郎……。そう言う事なら、俺にちゃんと言えと何回も言ってるだろ……!!!」
透「…………ッ!!!」
夾「お前が……。透が俺の見えない所で静かに泣くのも……俺だって耐えられないんだからな………!!!」
透「………ッ!!! 怖かった……んです……、自分の思っている事を正直に話してしまったら……他の皆さんや夾君までも失ってしまいそうで……!!」
夾「………。透……、お前は本当に忘れっぽいんだな……」
透「えっ………?」
夾「あの時さ……。何らかの理由で大怪我をしたお前をこんな風に追いかけて行ったことが何度かあっただろ?」
透「はい……。最初に見つけてくれたのは………、由希君でしたけど………」
夾「あん時さ。お前が退院するまで俺は…、恐れてたんだよ……」
透「………? えっ……?!」
夾「お前が……、透がこれからも俺と一緒にいてくれるかどうかも……少々不安だったからな……///////」


そう言う不器用さも、彼らしくて私は大好きなんですよね。
私たちがこうして立っていられるのも、夾君と色んな場所を諦めずに進んで来たからかも知れません。
いつも私の側には夾君がいて、夾君の隣には私じゃないと駄目だと何度も聞かせられました。
無事に退院した『あの日』だって本当は……、夾君を必死で受け入れる筈……だったんです。
だけど入院する前のある日、彼自身の口から幻滅だと言われたのがとても……とても衝撃的でした……。
せめて……。せめて『この世界』にいる間だけでも、お互いがお互いを幻滅しないように……少しずつ精進して行かないといけませんね。

27話に続きます。