二次創作小説(新・総合)

Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋(募集中) ( No.171 )
日時: 2018/04/06 18:07
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

クラマ
「ヘルラージュさん、こドラ...そしてクウェウリさん、これで三人目か...」

福ちゃん
「こドラちゃんの時みたいに満身創痍になるかもしれないから...油断できないわね」

たくっちスノー
「大事なものを失う辛さを味会わせるために殺す...か、とんだ逆恨みだよ」

龍我
「ああ...」

たくっちスノー
「大体、つるぎさんはあいつの話だと寿命で亡くなってるじゃないか!自分の都合で不老不死になっておいて、剣が死ぬのが嫌なんて...ワガママが過ぎるよ!!」

たくっちスノー
「あいつのせいで...僕のような意味のないマガイモノが沢山作られたんだ!!」

福ちゃん
「...」

たくっちスノー
「おっと、ごめん私情挟んで...元はと言えば僕がこの世界に来たことが原因なのに...さぁ依頼依頼!」

クラマ
「お、おう...」

いつものようにたくっちスノーが手紙を取ったその時、マガイモノ屋にノックの音が

たくっちスノー
「どうぞ」

ジュリア
「失礼する」

福ちゃん
「ジュリアさん!」

龍我
「確か...ハグレ警察!」

ジュリア
「たくっちスノーは...いるな」

たくっちスノー
「自分に何か?」

ジュリア
「ああ...マガイモノの客が来ているんだ」

たくっちスノー
「何、マガイモノの...どこにいるの?」

ジュリア
「ついてきてくれ」

たくっちスノー
「はい」

たくっちスノーはジュリアと一緒に外へ...

龍我
「どうする?追いかけるか?」

福ちゃん
「ダメよ、私達は仕事しないと」

クラマ
「そうそう...今日はこれにしませんかい」

龍我
「おお!」

...

ジュリアはたくっちスノーをこたつ喫茶へと連れていく

ジュリア
「マガイモノの王を連れてきたよ、客人」

マガイモノ
「.....」

マガイモノは全身を鋼の鎧で包んだ騎士のような

たくっちスノー
「こいつは...」

ジュリア
「いや、ビャッコガンナーとやらの前例から君が作ったのではないかと思ってな...話を聞こうにも何も喋らないもので」

たくっちスノー
「...ああ!思い出した!」

ジュリア
「おっ、やっぱりマガイモノなのか?」

たくっちスノー
「いや...マガイモノかと言われると微妙な所ですが...」

たくっちスノー
「中の人を見れば分かるはずですよ...中身を出さなくて良いから、兜を開いてくれないかな?」

たくっちスノーが騎士に問いかけると、騎士は手を使わずに兜を外す


ジュリア
「これは...!!」

鎧を持ち上げたのは...ぶよぶよとした物体


たくっちスノー
「ええ...こいつはスライムなんです!」

Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋(募集中) ( No.172 )
日時: 2018/04/06 22:37
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

あれはまだ自分が代理局長になる前の事です

自分はこの世界の草原で...一匹のスライムと出会いました

そのスライムは不思議な奴で...帝都から行進してくる鉄の鎧に身を包んだナイトに憧れていたんだ

でもその願いはスライム自身の手では叶えられなかった...何故なら、彼は酸性のスライムで触れた鉄類を溶かしてしまうから


...で、自分は当時マガイモノを着る研究をしていて、田所から協力者としてこのモンスターを勧めてくれた

鎧を着て騎士になりたいスライム、強力な鎧を作りたい自分。

思いは繋がった


そして...何日ぐらいかして、遂に完成したんだ...酸性スライムでも溶けない強靭な鎧が!

スライムはそれを着けると大層喜んだ、マガイモノ王国の奴等も気が利いてな...騎士学校に勧めてやったそうだ


それが今目の前にいるこいつ...アイアンヴェノムさ!

...

ジュリア
「そんなことが...喋れないのもスライム故に仕方ないことか」

たくっちスノー
「そうだね...お前も元気だったか?」

アイアンヴェノム
「.....」コクコク

たくっちスノー
「ははは、そうかそうか!まったくうちのマガイモノ達は立派で何よりだよ!」

たくっちスノー
「僕と違ってね」ボソッ


アイアンヴェノム
「...?」

たくっちスノー
「なんでもなんでも、独り言よ...で、なんで自分を呼んだの?依頼?」

ジュリア
「おいおい、依頼だったら他の皆も呼んでいるだろう...ちょっとした頼み事だ」

たくっちスノー
「頼み?」

ジュリア
「ああ...こいつにある仕事に付き合わせたくてな」

たくっちスノー
「仕事?」

ジュリア
「ああ、近々、傭兵達を集めて紅水晶の山とやらを調べに向かう計画があるそうなんだ」

たくっちスノー
「へぇ...それにアイアンヴェノムを行かせたいと?」

ジュリア
「話が早くて助かるよ」

たくっちスノー
「本人的にはどうなんですか?」

アイアンヴェノム
「....!」グッ

ジュリア
「やる気は感じられる」

たくっちスノー
「そうか...彼がやりたがっているなら別に良いんじゃないの?わざわざ自分に聞く必要は...」

ジュリア
「しかし、君は彼の父親みたいなものだろう?」

たくっちスノー
「自分が作ったのは鎧だけ、中身は野良スライムだよ...」


たくっちスノー
「僕は父親と呼べるほど子供に優しくなれない」ボソッ

ジュリア
「.....」


たくっちスノー
「ごめんごめん独り言が多くて...自分は尊敬する!よくここまでになった!自分も誇らしいよ!」

アイアンヴェノム
「!」




たくっちスノー
「ははは...」

Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋(募集中) ( No.173 )
日時: 2018/04/07 07:20
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

たくっちスノー
「皆...あれ、いない」

マガイモノ屋には誰も残っていなかった...しかし、置き手紙が


【待ちきれないから仕事の依頼に行ってくる、留守番頼むぞ!万丈龍我】

たくっちスノー
「まったくあいつめ...」


特に依頼も来ていなかったので、たくっちスノーは本当にやることがなかった


たくっちスノー
「.....資料に判子押さないと調子出ないな、参謀から貰ってこようかな」

...

たくっちスノー
「そういうわけなんで参謀、数枚かやらせていただけませんか」

ローズマリー
「何がそういうわけだよ...ダメだよ!どれも王国の大事な資料だし」

たくっちスノー
「ああ、それなら仕方ないね...」

ローズマリー
「.....」

たくっちスノー
「じゃあね、参謀...あー仕方ない!万丈来るまでおとなしく留守番しますか!」

ローズマリー
「.....」

...

マガイモノ屋の皆が帰ってきたのは翌日のことだった

たくっちスノー
「あ、お帰り」

福ちゃん
「すいません遅くなって...ちょっと今回のは厄介でして」

龍我
「うるせぇからぶっとばしてきたんだよ」

クラマ
「下手すりゃ三日は滞在しそうになっちまったよ...」

たくっちスノー
「そいつはお疲れ」

クラマ
「俺達がいない間にサボったりとかしてないよな?」

たくっちスノー
「もしそうだとしたら?」

龍我
「お前なぁ...」

たくっちスノー
「ちゃんとマガイモノ屋に残って留守番してたからいいじゃない!」

福ちゃん
「まぁそうだけど...」

たくっちスノー
「さて、何の仕事をするー?」

クラマ
「あ、聞いて良いっすか?昨日の呼ばれた奴ってどんな用件で?」

たくっちスノー
「マガイモノのナイトを一緒に仕事に連れていきたいだってさ、自分はそいつが生きたいなら好きにすればと言ったけど、父親みたいな存在じゃないかって」

クラマ
「なるほどなぁ....」


たくっちスノー
「別に自分は関係ないよ、ただ作っただけに過ぎない、頑張ったのは彼らだ」

たくっちスノー
「...気にならないわけじゃないけどね」

龍我
「なら着いていけばいいじゃねぇか」

たくっちスノー
「とんでもない!自分達は仕事しないと...」

福ちゃん
「たくっちスノーさんって、意外と仕事一筋な方なのね」

たくっちスノー
「そうでもないよ、誰かいるときはそいつにちょっかい掛けたりはする」

福ちゃん
「一人だと...?」

たくっちスノー
「.....ん」

福ちゃん
「明日、その仕事を見に行かないかしら?」

たくっちスノー
「いや、いい...着いていくほど彼は自分と付き合いもない」

たくっちスノー
「ほら、仕事だよ仕事!僕たちはやるべきことをやらないと!ねっ!」


福ちゃん
「たくっちスノーさん...」

Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋(募集中) ( No.174 )
日時: 2018/04/07 08:41
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

その夜...ジュリアとアイアンヴェノムが紅水晶の山へと出発したと報告が入った

たくっちスノー
「...」

福ちゃん
「大丈夫よ、ジュリアさんが付いていますから」

たくっちスノー
「まあな...」

龍我
「しっかし今日は依頼が来ねぇなぁ」

福ちゃん
「平和だという証拠よ、喜ばなくちゃ」

たくっちスノー
「そうだよ?久しぶりにやりたいことやれるんだよ皆?」

クラマ
「俺や福の神様はそうはいかねぇっすけどね、神としての色々な...」

たくっちスノー
「そっちは大変だなぁ...」

龍我
「お前だってメイドウィン、つまり世界の神だろ」

たくっちスノー
「いや...メイドウィンは基本的に見守るのみで仕事はないんだよ」

福ちゃん
「へぇ...」

シーン...

たくっちスノー
「ねぇ、ぶっちゃけてもいい?」

福ちゃん
「どうぞ」

たくっちスノー
「ありがとう...あのさ、自分ね....」


たくっちスノー
「局長になる前は一体どんな生活を送ってきたのか思い出せないんだ」

たくっちスノー
「僕さ...こういう暇なとき、何していたんだろう?」

たくっちスノー
「毎日毎日、監理局で資料に判を押して...たまにメル姉と冒険行って、マガイモノ王国のどうこうを考えて」

たくっちスノー
「でも監理局じゃなくなったから、それらは皆やらなくてよくなった」

たくっちスノー
「えーとまぁ、要するに暇なんだ」

福ちゃん
「.....」

たくっちスノー
「平和が一番、それは分かってるのに...何かひと騒動おきて仕事をが出来るのを期待してしまう」


たくっちスノー
「僕って、悪い人ですね....ふふふ」


龍我
「...おう」

たくっちスノー
「皆はやりたいことがあるでしょ?僕がここに残るから」

龍我
「え?おい...」

たくっちスノー
「依頼が来たら無くさないようにしなくちゃダメでしょ?だから...」


福ちゃん
「たくっちスノーさん」




「貴方、自分からやりたい事は無いの?」


「え?無いけど?」


「.....そう、行きましょう、皆」


...

マガイモノ屋から離れ、遺跡へと歩く三人...

龍我
「あいつがあんな奴だったなんてなぁ...」

クラマ
「ま、3歳っすからね...あまり娯楽を知らなくても無理がない」

福ちゃん
「.....ねぇクラマ君、もし私が突然貴方をクビにしたら、どうする?」

クラマ
「え!?そ、そりゃ困るっすよ...この先何をすればいいか分らないっすから」

福ちゃん
「今のたくっちスノーさんはそんな状態なのよ...私達は何も出来ないわ」

龍我
「でもよ...仕事が来るまでボーッとしてるのも不気味だよな...」

クラマ
「確かに...どうにかならねぇかなぁ」

...そんな話し声を、誰かが聞いていた


...

マガイモノ屋は再び静かになる

たくっちスノーはソファーに座りながら依頼が来るのをずっと待ち続けていた

たくっちスノー
(何をすれば良いんだろう)

たくっちスノー
(何、一人なんて前にもあったじゃないか...そう、生まれたばかりの頃とか...)

たくっちスノー
(...生まれたばかり、か。)

コンコン

たくっちスノー
「どうぞ。」



かなちゃん
「たくっちスノーさん、デートしません?」

たくっちスノー
「えっ?」

Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋(募集中) ( No.175 )
日時: 2018/04/07 09:39
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

大明神はたくっちスノーと手を繋ぎ森を散歩する

かなちゃん
「ふふふっ」

たくっちスノー
「大明神様.....?」

かなちゃん
「どうしました?楽しくないんですか?」

たくっちスノー
「いや...どういう風の吹き回しですか?貴方が自分を誘うなんて...」

かなちゃん
「いえ、退屈そうでしたので」

たくっちスノー
「否定はしませんけど...」

かなちゃん
「なら良いじゃないですか別に」

たくっちスノー
「うん...ねぇ、他に聞いてもいいですか?」

かなちゃん
「はい」

たくっちスノー
「貴方から見て、昔の自分...今もですけど、どういった風に見えてました?」

かなちゃん
「はっきり言って昔の貴方はキライでしたよ」

たくっちスノー
「それは知ってます、嫌われるようなことしかしてきませんでしたから」

かなちゃん
「.....何故、あんなことを?」

たくっちスノー
「自分もあまり思い出せなかったんだけど...名無しの怪物が生き返ったとき、リニュ前が出来損ないと言われて...」

たくっちスノー
「前にもこんなことを言われた気がしたんです」

かなちゃん
「はぁ...要するにコンプレックスのような物だったんですかね...完璧な生き物を作ることに拘ったのも」

たくっちスノー
「そうかもね...でも今は不思議と腹は立たないよ、出来損ないなのは事実なんだし、怒ってもそれは覆せない」

かなちゃん
「他のメイドウィンさんも言ってましたが、貴方...卑屈になりましたねぇ」

たくっちスノー
「現実を見たと言ってもらいたいね」

たくっちスノー
「僕はこれまでやった事が許してもらえるなんて微塵も思いませんよ」

たくっちスノー
「なので...その...えっと」

かなちゃん
「ここの森は妖精も立ち寄らないので、誰も聞いたりはしませんよ」

たくっちスノー
「そっか、それはよかった!」


たくっちスノー
「もし、近い将来僕の存在意義が無くなったら...殺してください、貴方だけなんです、僕を恨み、僕を消す思いと力を持った貴方にしか...出来ないことなんです」


かなちゃん
「...なんでデート中にそんな事を言うんですか?」

たくっちスノー
「二人っきりになれるのなんて今ぐらいかなと思いまして」

かなちゃん
「.....」

たくっちスノー
「お願いします」

かなちゃん
「お断りします」

たくっちスノー
「なんで?」

かなちゃん
「そんなの了承出来るわけないじゃないですか...良いですか、私が嫌いなのはあくまで昔の貴方です」

かなちゃん
「今とは...事情が違うんですよ」


たくっちスノー
「...そっかぁ、僕は本当に出来損ないだな」

たくっちスノー
「僕は黒影剣になる為に生まれたのに...ははは...」

ふらついてどこかに歩きそうなたくっちスノーを、大明神が止める

かなちゃん
「こら!...まだ、デート中ですよ?」

たくっちスノー
「僕と居たって楽しくないですよ?」

かなちゃん
「それでもいいんです」

たくっちスノー
「変ですね」

かなちゃん
「変なのは貴方ですよ...」




「貴方、私の事を『かなちゃん様』って呼んでくれなくなったじゃないですか...」

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たくっちスノー。

本来生まれる必要は無かった、悲劇の子

しかし...だからといって、容易くその生涯を終えていいはずがない

同僚として...?初恋の相手として...?

どういった理由かは私にも分からない

でも、私は願う、あの子の幸せを。

不幸と足掻きしか存在しないたくっちスノーに...せめて、生き物らしい生き方をしてほしい。