二次創作小説(新・総合)
- Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋 ( No.186 )
- 日時: 2018/04/08 07:51
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
ある日のこと、天狗神クラマは不思議な夢を見た
クラマ
「なんだ、ここは...」
そこは、辺り一面がボロボロになった廃墟の世界
空は曇り模様で、厚い雲は太陽さえも映さない
そんな空白の世界で、風が弱く吹いていた
クラマ
「皆は、どこだ...福の神様?万丈?たくっちスノー?」
クラマ
「...マガイモノ屋、ボロッちい所だったか?」
クラマは飾ってあった写真を覗く、福の神がクラマに引っ付いて、その横に龍我、隅っこにたくっちスノーが軽く写っている物だ
クラマ
「こんなの、撮ったか?」
クラマ
「...ハグレ王国、寄ってみるか」
...
ハグレ王国は、おかしい程に静まり返っていた
人の気配が、微塵も感じられないくらいに
クラマ
「...拠点は?」
...
クラマ
「誰も、いない...」
あんなに騒がしかった王国も、拠点も...
クラマ
「おいおい...夜逃げでもしたっていうのか?」
クラマ
「いや、この国に限って夜逃げはありえねぇか...なら、別のところも...」
...
クラマ
「はぁはぁ...いない!!いない!!」
クラマ
「ケモフサ村も、妖精王国も、帝都にも生きている人間もハグレもどこにもいねぇ!!」
クラマ
「そ...それどころか、モンスターの気配すら感じねぇ...」
クラマ
「まさか、世界に俺一人だけか!!?」
「いいえ、一人じゃないわ」
福ちゃん
「二人よ」
クラマ
「ふ、福の神様...!?」
福ちゃん
「クラマ君」
クラマ
「こ、これはどういう事なんですか!?」
福ちゃん
「知りたい?」
クラマ
「はい...まだ、どうにも状況が理解できなくて」
福ちゃん
「そうね...貴方はまだ若いし、理解できなくても無理はないわね」
福ちゃん
「着いてきなさい、皆の所に行くわ」
クラマ
「えっ...はい!」
...
福ちゃん
「クラマ君、これから問題を出すわ」
クラマ
「問題...ですか」
福ちゃん
「神はどういった時に死ぬか、分かる?」
クラマ
「...どうしたんですか、急に」
福ちゃん
「答えて」
クラマ
「分かりませんよ、そんなの」
福ちゃん
「そうね...そうよね」
クラマ
「福の神様は知ってるんですか?」
福ちゃん
「ええ...見てきたものの」
クラマ
「やっぱりそうですか...」
福ちゃん
「付いたわよ、皆のところに」
クラマ
「皆って...えっ...これは...」
福の神が連れてきた所...それは...
クラマ
「薄々感付いてはいた...でも、改めて突き付けられると...」
クラマ
「冗談、キツいぞ...」
そこには、無数の墓が並ぶ
- Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋 ( No.187 )
- 日時: 2018/04/08 08:52
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
福ちゃん
「あの一番大きな墓はデーリッチちゃんよ」
福ちゃん
「その隣に作られたものがローズマリー参謀の墓」
福ちゃん
「他にも...ハグレ王国の皆の墓がここにあるわ」
福ちゃん
「生きているのは、私達神だけ」
クラマ
「...アンデットも、死ぬのかよ?」
福ちゃん
「あの人は、妹が亡くなった後に後を追うように屍に戻ったわ」
クラマ
「そうですかい...」
クラマは沢山の墓を見ていく...そこに刻まれた名は皆、覚えがあるものだった
クラマ
「...流行り病でも広まったのか?」
福ちゃん
「いいえ...寿命よ」
クラマ
「寿命で...」
福ちゃん
「ええ、人間にも悪魔にも妖精にも、そして...マガイモノにも寿命は存在するの」
福ちゃん
「生き物はいつか終わるのよ」
クラマ
「待ってください、マガイモノにも...でも、たくっちスノーはマガイモノは不死身って...」
福ちゃん
「確かに彼らはどんなに傷付いても体が再生する...でもだからこそ寿命で死ぬことを望んでいたのよ」
福ちゃん
「それが叶った、ということね」
クラマ
「.....では、俺達の寿命はいつなんですか?」
福ちゃん
「いつなのかしらねぇ...ふふっ」
クラマ
「福の神様...?」
福ちゃん
「さて、次の所に行くわよ」
クラマ
「今度はどちらに?」
福ちゃん
「世界樹かしらね」
...
クラマ
「これが...あの世界樹ですか!!?」
世界樹はすっかり枯れ果て...過去に見てきたものとは全くの別物となっていた
福ちゃん
「ええ、これがあの世界樹よ」
クラマ
「これ...世界樹の神はどうなって...」
福ちゃん
「...」
クラマ
「待ってくださいよ、福の神様!」
...
福ちゃん
「今度はクラマ君も来ましたよ、ティーティー様...」
福ちゃん
「なーんて、もう分かってます...もう誰も紅茶を飲む人はいないことは」
クラマ
「嘘だろ...!?」
ティーティーの部屋は...何もなかった
家具も、誰かが居た痕跡も...
ティーティーの浸かっていた紅茶もなく、カップは『空っぽ』だった
福ちゃん
「クラマ君、さっきの問題の答えを言うわ」
クラマ
「さっきのって...神はどういった時に死ぬ、とかいう...」
福ちゃん
「誰にも必要にされなくなったとき、神は死ぬの」
福ちゃん
「死ぬと言うよりは、消える、に近いのかしらね?」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「王国の皆だけじゃない、人間が、モンスターが...次々と滅んでいく」
福ちゃん
「その度に、必要とされなくなった神様も消えていくのよ」
クラマ
「そんな...」
- Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋 ( No.188 )
- 日時: 2018/04/08 10:13
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
クラマ
「神様は...どれくらい生きてるんですか?」
福ちゃん
「私と、クラマ君だけよ」
クラマ
「たった...それだけですか...!?」
福ちゃん
「そうよ、もうポッコちゃんもティーティー様も生きてはいない」
福ちゃん
「生き物は私達だけ」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「帰りましょう、あの子達のハグレ王国へ」
クラマ
「...ええ」
...
福ちゃん
「...ふふふっ、マガイモノ屋も二人だけになったのね」
クラマ
「福の神様...」
福ちゃん
「ねぇ、神の私達がこんな話をするのも何だけど、クラマ君は天国や地獄って信じている?」
クラマ
「えっ、あるんじゃないんですか?」
福ちゃん
「神が魂を管理したりしているけど、その神が死んだ今、魂はどうなるか誰にも分からない」
福ちゃん
「神が死んだらどうなるのかしらね?」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「クラマ君」
「もし、私が死にたいって言ったら...笑う?」
クラマ
「.....えっ」
福ちゃん
「神は刃物で斬られても毒を盛られても死なない存在」
福ちゃん
「自分の命に自分でケリを付けることも出来ないの」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「私は福の神、その名の通り人々に幸福を与える存在」
福ちゃん
「でも、何もないこんな世界で誰が幸せを求めているの?」
福ちゃん
「寂しいよ...私は、もう...」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「...やだ、私クラマ君に情けない姿見せちゃって...」
クラマ
「いえ...お気になさらずに」
クラマは考えた、自分に価値はあるのか
天狗神クラマ、風を吹かせる空の神。
...風は必要なのか?求めているのか?
そんな考えが頭の中に広がっていくと、どんどん風は弱くなっていく
クラマ
「.....」
福ちゃん
「クラマ君!?貴方、体が...」
クラマ
「体...?あっ」
クラマが体を見ると...段々薄く、透けていくのが分かった
クラマは、すぐに状況を察した
クラマ
「俺、消えるのか...」
福ちゃん
「嘘でしょ...駄目!消えないでクラマ君!!」
福の神は消えかかっているクラマの体を抱き締めた
福ちゃん
「お願い...行かないで...私を置いてかないで!!」
クラマ
「福の神様...」
福ちゃん
「嫌...消えないで...」
「.....」
誰からも必要とされなくなった時、神は死ぬ
クラマは消える直前に理解した
福の神は幸せを求める人が必要とする存在
福の神自身が...幸せを求めていることに気付きながら、福の神の泣き叫びを聞きながら...クラマの意識は薄れた
- Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋 ( No.189 )
- 日時: 2018/04/08 11:23
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
クラマ
「はっ!!」
ここでクラマは目を覚ます...しばらくして、今までの光景が夢ということに気付く
クラマ
「くそっ...嫌な夢見た」
...
福ちゃん
「あらクラマ君、おはよう」
クラマ
「おはようございます、福の神様...あの二人は?」
福ちゃん
「たくっちスノーさんはいつものようにマガイモノ屋に、万丈さんは幻徳さんと一緒に」
クラマ
「そうですか...」
福ちゃん
「...どうしたのクラマ君、元気がないみたいだけど」
クラマ
「いえ、なんでもありません...」
福ちゃん
「そう...?」
クラマ
「福の神様。」
福ちゃん
「何?」
クラマ
「俺は、貴方を絶対に独りぼっちにはさせませんからね」
福ちゃん
「えっ...やだもう、突然何?」
クラマ
「意味を知る必要はありません...」ギュッ
福ちゃん
「きゃっ!こらっ、クラマ君!」ベシッ
軽く抱きついてくるクラマに福の神が平手打ちした
クラマ
「あっ、つい...」
福ちゃん
「何がつい...なのもう!」
クラマ
「...すいません」
福ちゃん
「マガイモノ屋に行きましょう、お説教はその後です!」
...
たくっちスノー
「ああ、おはよう二人...む、福の神様、何をそうプリプリしてらっしゃるのですか」
福ちゃん
「ちょっとね...クラマ君が急に抱きついてきたものだから」
クラマ
「.....」
たくっちスノー
「...ふーん、君も見たんだ?」
福ちゃん
「え?」
クラマ
「君もって...まさかお前も?」
たくっちスノー
「ああ...世界滅亡の寸前を見たんだよね?君も...」
クラマ
「そうだな...」
福ちゃん
「ええっ!?」
たくっちスノー
「その様子だと、福の神様は見てないんだね」
クラマ
「いや、あんな光景見なくて逆にラッキーだよ」
福ちゃん
「...詳しく話して」
クラマ
「はい」
...クラマは夢でみた光景を覚えている限り話した
複数の墓場、消えていく神、最期には独りぼっちで取り残される福の神...
福ちゃん
「.....」
クラマ
「あの夢は一体なんなんだ?」
たくっちスノー
「時空の乱れが大きいと時々ああいう夢を見るそうなんだ...特にこの世界は色んな人物がハグレとして召喚されているから、尚更ね」
たくっちスノー
「自分もうっかり仮眠してたらあの夢をうっすらと...」
福ちゃん
「何だか嫌な予感がするわね...」
たくっちスノー
「...ああ、自分が思ったより早く、名無しの怪物との決着を迎えるのかもしれない」
クラマ
「自分の父親と相手にすることになるんだぞ?」
たくっちスノー
「父親?僕は生まれたんじゃない、作られたんだ、親なんていないようなものだよ」
福ちゃん
「...」
そんなとき、大明神がスマートフォンを持ってマガイモノ屋に駆けてくる
かなちゃん
「たくっちスノーさんに電話ですよ」
たくっちスノー
「誰から?」
かなちゃん
「夢見屋さんからです」
たくっちスノー
「ムニャウか...もしもし?」
ムニャウ
【もしもしにゃむ、お前が言っていたこと調べれたにゃむよ】
たくっちスノー
「やっとか...」
ムニャウ
【こっちだって苦労したにゃむ】
たくっちスノー
「分かってる、報酬は弾むから...で、どうなの?」
- Re: ざくアクZ2!偉大なる神とマガイモノ屋 ( No.190 )
- 日時: 2018/04/08 11:52
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
ムニャウ
【黒影剣の魂を探せと突然言われたときは何のこっちゃと思ったが...どうにか見つかって良かったにゃむ】
たくっちスノー
「ごめんね無茶ぶりして」
ムニャウ
【まぁ、珍しい名前だったからすぐに見つかったにゃむが...女性であってたにゃむね?】
たくっちスノー
「ああ...念のため聞くが、悪霊ではないな?」
ムニャウ
【悪霊化はしていないにゃむ】
たくっちスノー
「良かった...追加のお願いだけど、ほんのしばらくの間だけ、剣さんをこの世界に連れてきてくれないかな?」
ムニャウ
【まったくいつもお前は面倒事を...ま、見知らぬ世界に勝手に送られるよりはマシにゃむね、準備が出来たらまたメールで連絡するにゃむ】
たくっちスノー
「本当にすまんね...」
ムニャウ
【ああそうそう、イリスの奴にこれを伝えておいてほしいにゃむ】
たくっちスノー
「え、何?」
ムニャウ
【二度と夢見屋にハンバーガーを送りつけてくるな】
プツッ
たくっちスノー
「...語尾を忘れるくらいキレてたなぁ」
かなちゃん
「何を頼んでたんですか?」
たくっちスノー
「原作幻徳が逮捕された後ぐらいにね...黄泉国の門が直ったそうなんだ」
福ちゃん
「へぇ、あれがね...」
たくっちスノー
「それで手の空いたムニャウに頼んだんだ、黒影剣も死んだのなら黄泉国に居るはずだから探して欲しいって」
クラマ
「なるほど...」
たくっちスノー
「...黒影剣、一体どんな人なんだろう」
...一方、万丈とデーリッチ一行は幻徳や戦兎と話していた
ローズマリー
「ヤエちゃんの件では本当にありがとうございました」
幻徳
「こちらも奴には色々やられたものでな...対マガイモノ兵器の製造に取り掛かっていたところで丁度良かった」
戦兎
「こうやって顔を見て話すのは初めてになるね、俺は天才物理学者の桐生戦兎だ!」
龍我
「変わんねぇなぁお前も」
戦兎
「お前もな...うちの筋肉バカが迷惑かけてないですか?」
龍我
「かけるわけねーだろ!」
ローズマリー
「我々としても彼は色々と役に立っているよ」
戦兎
「なら、いいけど...」
デーリッチ
「...ん?物理学者?じゃあ時空規模のプロジェクトを考えたのって...」
戦兎
「俺さ!皆の夢と希望を創造する...名付けてグローバル・ニュービルドプロジェクト!」
デーリッチ
「おー、スゴいでちね...」
幻徳
「お前達も時空規模のプロジェクトを始めたようだな...あの映像は俺の世界でも貴重な娯楽として大いに役立っている」
デーリッチ
「おおー!やったでちね、ローズマリー!」
戦兎
「それでさ、せっかく同じ規模のプロジェクトやってるんだし、協力しないって話をしたくて...」
ローズマリー
「私としては構いませんが、デーリッチは...?」
デーリッチ
「もちろん大歓迎でち!一緒に仲良く頑張っていこうでち!」
戦兎
「ああ、こちらこそ!」
幻徳
「即答か」
ローズマリー
「デーリッチは元々...立場の悪いハグレ達に居場所を創るために国を作り、どんな人でも笑って楽しめるようにと祭りを始めた」
幻徳
「俺達のプロジェクトを、あの子供は誰よりも早くやっていたということか」
戦兎
「あの子、将来大物になりますよ」
ローズマリー
「私から見れば既に大物ですよ」
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つ るぎちゃ...
どこに...
こえ、きこえ...つるぎちゃ...