二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.111 )
日時: 2018/04/08 19:49
名前: テール (ID: LAu9zylb)


その日の夜・・・

朝にリゼから聞いた事をギルドのメンバーに伝え、
出会ったり見かけても戦闘はせずに神竜教の神官に通報するように促すティル。

スピカはシャンタスと共にその手配書を読んでいた。

「この人、悪い人なの?」
「見た目はいい人そうアル!」

手配書の顔写真を指さしながら、ネイラに尋ねる二人。
ネイラは、大袈裟に振る舞う。

「そうよ、出会ったら食べられちゃうかもしれないわねー!」
「こ、怖いの!」
「食べられちゃうネ!」
「はははっ、冗談よ冗談。」

二人の様子にネイラはおかしくてたまらないとばかりに笑う。
そして二人の頭を優しくなでた。



「冗談はいいとして、帝国側の人間がこの街に来て何をするんだ?」

レイは手配書を奪い取って、眺める。

「誰かを追っているとか?」
「随分暇なんだな。」

ティルの答えにレイは肩をすくめた。

「なんにせよ・・・皆、注意してね。」

と、ネイラが皆に伝えると、拠点の入り口のドアからノックの音が聞こえた。



「夜分遅くにすみません」

可憐な少女の声がドアの外から響く。
少年が立ち上がり、ドアを開けた。

「はじめまして、急ぎの用ですが・・・・
 あれ、あなた・・・ポケモンなの・・・・?」

ドアの外には、幼さを残す少女が立っていた。
少女は少年を見て、首をかしげる。

少女は紫のメッシュが入った青い髪のロングヘア、レースの入ったドレス、腰に巻くコルセットから、
身分が高い令嬢だと言う事がわかる。
青い瞳が澄んでいて透明感を感じる。

そこへ、ネイラとレイが近づく。

「お客様ですか?」
「あ、はい!ギルドに依頼を頼むのは初めてでして・・・」
「とりあえず中入れよ。」

レイは少女を中に入るように促した。









少女の名前は「エマ・ピュア・ローラ」。
ローラ領を治めるローラ卿の一人娘だという。
エマは聞いた限りではかなりのお転婆で、城を抜け出しては
遊びほうけていたらしい。

「別に遊びほうけてないです」
「あ、すまん。」

レイは無表情でメモを書きなおす。


そして、ローラ領の森を歩いていたところ、
狩りを行っていた青年と出会い、一目惚れをしてしまった。
そしてその後・・・青年と度々出会い、愛を囁き合ってたんだろうな。
マジで滅びれば

「さっきからちょっとなんなんですか!?」
「ごめんなさいね、この子、貴族が嫌いみたいで・・・」

ネイラはフォローを入れ、レイの代わりにメモをかく。
レイは不機嫌そうに左手で頬杖をつく。




しかしある日突然、使用人がエマと青年が密会を重ねていたことを指摘し、
ローラ卿に報告。
ローラ卿は、その件に憤怒し、青年の住んでいた集落を滅ぼすように命じた。


「今朝の新聞はそれかぁ」
「いや、これはこいつが悪いだろ」

ルドガーは感心し、レイは半ばイライラしながらエマを指さす。

「レイ、お客様よ。」

ティルは珍しく黙っていたが、レイを諭す。
レイは舌打ちし、足を組んだ。

「で、ここからが本題です。
 「ローグ」という人物を探していただけませんか?
 ここに仲間に会いにきているというお話を聞いたんです。」
「会ってどうすんだよ、恨まれてるかもしんないぞ」

エマの願い出をあくびしながらレイは指摘する。
エマは首を振って真剣な眼差しで皆を見る。

「恨まれたっていいです。
 彼にまた会えるんだったら・・・私・・・!」
「・・・・。」

レイは、また舌打ちをする。

「「ローグ」って、あの人かい?
 あの、「ダークネス・ザ」・・・・なんとかっていうギルドの・・・」

フォアが突然ギルドの名前を出す。

「4人以上いるのに「ザ・ダークネストリオ」っていう名前の傭兵ギルドね。
 確かにあそこ、「ローグ」って人物がリーダーを務めているわね。」
「4人以上いるのに?」
「4人以上いるのに。」

ネイラの説明にティルは目が点になってしまう。

「ネイラ、この方は真剣だ。どうするんだい?」

カグラはネイラに尋ねる。
ネイラは少し考えてから、頷いた。

「わかりました、エマさん。
 あなたの依頼、お引き受けましょう」
「あ、ありがとうございます!」

エマはパァっと明るい表情で皆に頭を下げた。

「とりあえず、明日から私とルドガーとフォアで「ザ・ダークネストリオ」を尋ねてみましょう。
 それでいいかしら?」

ルドガーとフォアは頷いた。

「いいよ。」
「うんうん、美しい女性が涙にぬれるのは忍びないからね。」

「みんな、そう言う事だから・・・
 今日は解散にしましょう、早く寝るのよ。」

皆ははーいと答え、部屋に戻る。
ネイラはエマに近づいて、「今夜は泊まっていって」と言い、
部屋へと案内した。