二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.119 )
- 日時: 2018/04/11 21:59
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
次の日・・・
ティル、少年、ネイラ、ルドガー、フォアは、
エマを連れて「ザ・ダークネストリオ」の借家の入り口まで来ていた。
「すみませーん。」
ネイラはドアをノックする。
「はーい・・・あ、昨日の。」
昨日の銀髪の少年が出てくる。
「ちょっとローグさんに会わせたい人がいるんです。」
ティルが少年の前に出てニコッと笑う。
「ちょっと待ってくださいね」
「待って、私もついていくわ」
「えぇ!?」
少年はティルの発言に驚く。
「どうせあっちは会わないの一点張りでしょ、
だったら私が直接説得するわ。」
「えぇ、でも・・・」
「あんたじゃ話になんないわよ!」
ティルに押されて、仕方なく頷き、中へ案内する少年。
「先生、ちょっとローグさんを捕まえてエマさんの前に突き出すから、待ってて。」
ティルは笑顔でそんなことを言い残して、中に入っていった。
「はあ・・・まずはマーリンの店でティルを待っておきましょう。
あなた、ここでティルを待っててくれる?」
ネイラは少年にそういうと、少年は頷いて、その場で三角座りをする
「ローグさん、「自由な風」の人が・・・」
「あなたがローグさん?」
ティルは少年を押しのけて前に出る。
ローグはティルを見るや、心底嫌そうな表情を浮かべた。
「あら、あんまり歓迎されてないのね。」
「用件はなんだ?」
「不愛想ね。」
ティルははあっと大きなため息をつく。
「単刀直入に言うわ、エマさんと会ってほしいの。」
「それはできない。」
「なんでよ!」
ローグはうんざりしたような顔で叫ぶ。
「お前には関係ないだろ!?」
ティルも負けじと声を張り上げた。
「そうやって逃げるの!?」
「うるさいな、おいアーマー!こいつをつまみ出せ!」
「あったまきた!」
ティルは突然、ローグの胸ぐらをつかむ。
「会って話をするだけでいいのよ!
エマさんがどんな思いでここまで来たと思ってんのよ!?」
「俺が今更どんな顔であいつに会えばいいんだ!?
俺は・・・・!」
「どんな顔でもいいからとりあえず謝罪でもなんでもすればいいじゃないのよ!」
ローグはうつむく。
「お前は何も知らないからそんなことが言えるんだ・・・
俺は、協定を破って密会して、あいつに迷惑をかけ、故郷を滅ぼしたんだ!
今更あいつに会って許しを請えとでも?」
「エマさんはそんなこと望んでるわけないじゃない。」
ティルは怒気迫る表情でローグを見る。
「純粋にあんたに会いたいからここまできてんのよ」
すると、ティルは腰から下げていた剣を鞘から抜く。
「どうしても会わないってんだったらあんたの手足を斬ってでも連れていくわよ。
斬られたくないなら仲間を連れてきなさいな、全員殺すから。」
ティルは獣のような目でローグを睨む。
流石のローグも、銀髪の少年アーマーも怯んでいた。
そこへ、外からエマの悲鳴が聞こえた。
「きゃあああぁぁぁぁーっ!!」
「!?」
ティルもローグも外を見る。
「エマッ!!」
ローグは気づけば走り出した。
ティルもローグについていく。
「ティル!」
外に出たティルとローグを迎えたのは、ネイラと少年であった。
「先生、何があったの?」
「突然、「氷竜ネライダ」が街の中に現れたの!」
「「氷竜ネライダ」が!?」
ティルは驚く。
「氷竜ネライダ」とは、「氷竜リオート」の眷属であり、
氷の息吹を吐き出すレーヴァテインと同等の飛竜である。
夏が近づくこの時期にこんなところまで降りてくるのは想定外であり、
街の人々はかなり困惑していた。
「エマはどこに!?」
「それが、ネライダが今足でエマさんを捕らえているのよ。」
「・・・・っ!!」
ローグはネライダの元まで走る。
「ちょ、ローグさん!?」
ティルはそれを追う。
ネライダは上空から街の人々を見下ろしていた。
「レーヴァテインより大きいじゃないの、あいつ!」
「エマ、今助ける!!」
ローグは壁を蹴り、腰から下げていた剣を抜いて、
ネライダの足を狙う。
「ローグ!だめよ、あなたは逃げて!」
「できるわけないだろ!」
エマを放そうとしないネライダは、ローグを鬱陶しそうに
翼の羽ばたきで吹き飛ばした。
「おわっ!?」
「ローグ!」
ティルはすかさず、屋根から吹き飛ばされるローグを受け止めた。
ティルはローグを下ろし、肩をたたく。
「しっかりなさい、あんたがエマを助けんのよ。」
「わかってる。・・・だがあの鱗・・・」
「私の持つこの剣で、あいつの体力を奪う。協力してあげる、依頼料高かったし。」
ティルはにかっと笑い、剣を鞘から抜いた。
銀色に輝くそれは、陽の光を反射して眩しい。
「やはり金か。」
「嘘、ホントはあんたの意地っ張りさが弟に似てんのよ。」
ティルはそういうと、地面を蹴り、猛スピードでネライダに突進する。
「はぁっ!」
ティルは剣でネライダの翼を斬る。
ネライダは悲鳴を上げるが、まだ飛べるようである。
羽ばたきを強め、ティルに向かって氷のブレスを吐いた。
「・・・!?あだだっ!」
凍てつくそれは、まるで肌を焼くような感覚がする。
霜が肌に張り付いて離さなかった。
「風邪ひいちゃうわよ、夏も近いのに!」
「だが、今の一撃で奴に隙ができた!」
ローグがそういうと、再びネライダの足を狙う。
「でやあっ!!」
ネライダは待っていたといわんばかりに、ローグに向かって足の爪でひっかこうと振り上げた。
「身体が大きいだけで大したことないわね、あんたも!」
ティルはそこへ、ネライダの翼に居合い切りで斬り込んだ。
ネライダはくぐもった悲鳴を上げて、エマを放した。
「きゃあーっ!」
「エマぁぁぁーっ!」
ローグは地上に落ちるエマを抱き寄せ、受け止めた。
そして、ダンッという大きな音を立てて、着地するローグ。
そのあとに、翼をやられたネライダが地面にたたきつけられた。
そして、残された力で起き上がろうと震えていた。
ティルはネイラに近づき、親指を立てる。
「よし、先生!秘奥義いくわよ!」
「えっ!?・・・・ええ!」
ティルとネイラは、ネライダに向かって武器を向ける。
「はあぁぁぁぁーっ!!」
二人は天空に手を掲げ、喉が張り裂けんばかりの声を上げる。
二人の足元には、巨大な魔法陣が描かれていき、青く光っていく。
『来たれっ!再誕を誘う、終局の雷!』
二人がそう叫ぶと、上空から黒い雲が発生し、周りが暗くなる。
『怒れ、創生の大地!』
すると、地面が轟き、地鳴りが響く。
二人は同時に掲げていた手をネライダに向けて叫んだ。
「リバース!」『クルセイダー!』
バリッと一瞬音が鳴ったかと思うと、
天空から超巨大な雷がネライダに向かって落ちた。
ネライダは悲鳴をあげることもなく、雷に打たれ、黒こげになった。
「先生、やる!」
「まったく、初めてでもなんとかなるもんね。」
二人は手と手をパンッと音を立てて叩き合った。
沈黙のあと、街の人々の称賛の嵐であった。
「あの二人、何者!?」
「すごいわ、あんな巨大な竜を一撃で・・・!」
「あの美人のねーちゃん、なんてんだろ?・・・ファンになってもいいかも!」
「あと、あの美人の嬢ちゃんを抱いてる兄ちゃんもなかなかだったな!」
「にーちゃん!ねーちゃん!さいこー!!」
「あ、あれ、ここ街の中だったっけ・・・」
「そ、そうよ。」
「また目立つ行動をしてしまった・・・」
ティルは顔を真っ赤にさせてうなだれた。
そこへ少年が近づいて、ティルの肩をたたく。
「はあ・・・明日からの仕事、きついなぁ・・・」
「ローグ、あなたに伝えたいことがあるの。」
エマはローグの手を取り、瞳を見つめる。
「私は成人を迎えるまで、次期領主として
あなたに恥ずかしくないような立派な人間になるわ。
・・・それまで、待っていただけませんか?」
「・・・・他に何か言うことがないのか?」
ローグはため息交じりに尋ねる。
「ほかに?」
「・・・俺のせいでいろいろ・・・その・・・迷惑かけたこととか」
「それは私もだよ、私のせいであなたは故郷を失って・・・
今日だって、私のせいであなたまで危険な目に合わせてしまったわ」
「それは・・・いや・・・」
ローグは何か言いかけたが、埒が明かないと額に手を当てる。
「私は今日は、お別れを言いに来たのよ。
もう勝手なわがままで誰かを振り回さないように、
誰かを傷つけたりしないような大人になるわ。
・・・・成人を迎えたら、あなたを絶対に迎えに来る。」
「・・・・約束する、お前が成人を迎えるまで、俺はお前を待ってるから。」
二人は再び手を取り合い、見つめ合った。
そこへマーリンとアリアドネがやってくる。
「あらん、良いカンジのおふたりさんね。」
「師匠!これがいわゆる身分を超えた恋愛なんでしょうか!?」
「二人とも、茶化さないの!」
ネイラはため息をついて二人を半目で見る。
「あらん、ごめんなさいねえ。
それよりもエマさん、お迎えよん」
マーリンがそういうと、街の入り口を指さす。
ローラ領の騎士や使用人が数人、エマを待っていたのである。
「・・・・はい。」
エマはそれだけ言うと、待っている騎士たちに近づいていった。
「エマ!」
ローグはそんなエマを呼び止めた。
エマは振り向く。
「これをやる!次会う時まで預かっていてくれ!」
ローグはそういうと、エマに向かって何かを投げた。
エマは慌ててそれを受け取る。
それは、銀色の月と星の形をしたチャームが重なり合うペンダントであった。
「はい!」
エマは涙を流しながら、大きな声で返事をした。