二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.129 )
日時: 2018/04/14 20:55
名前: テール (ID: LAu9zylb)



次の日・・・


「・・・・・昨日も言ったけどな・・・」
「はい?」
「おれの横で寝るのはやめろ。」

プリムラは今日もレイの隣でレイと共に寝転がっていた。

我々機械人形マギアナに睡眠という概念は存在しません。」
「・・・・!」

レイはプリムラの言葉に驚き、起き上がる。

「じゃあ、夜はずっと何してんだよ?」
「マスターが起きるまで、マスターを見ています。」

プリムラは起き上がって淡々と答えた。

「・・・・・でも、さ。」

レイは顔を真っ赤にさせてベッドから降りて、
壁にかけていたマントを着込む。

「起きた時に顔が近いと、・・・・照れる・・・・からっ!」
「はあ、申し訳ありません。」

プリムラはベッドから降りて頭を下げる。

「本日は一日晴れますよ。朝霧が出ています。」
「今日は、遺跡探索隊の護衛だ、一緒に来るか?」

レイは依頼書をプリムラに渡した。

「はい。レイとご一緒なら、どこまでも。」

プリムラは目を細めて答えた。










「じゃじゃ馬ー、準備できたかー?」

レイはティルを大声で呼ぶ。
二階から大声の返事が返ってきた。

「ちょっと待ってー!まだ髪のセットがー!」
「早くしろよ!」
「うっさいわねー、黙って待ってなさいよ!!」

大声での喧嘩が始まり、それを聞いていたネイラが怒鳴った。

「あなたたち、ご近所迷惑だからやめなさい!!」




そして、ティルが降りてくる。
いつものヘアスタイル、いつもの服装。
いつも通りの恰好であった。
そして、少年も続けて降りて来た。

「ホント、そんなに時間がかかるなら、髪なんか切っちまえよ。」
「そうしたいのはやまやまなんだけどさ・・・」

ティルは困ったような顔で笑う。

「・・・?」

少年は首を傾げた。

「とりあえず、今日は遺跡探索隊の護衛よ。
 ちょーっと退屈かもしんないけど、頑張ろうね。」

ティルは少年の頭を撫でた。

「俺も同行するよ。」

そこへ、ルドガーがやってくる。

「ルドガーも?」
「ああ、その遺跡探索隊にメウィルが同行するって聞いたから、
 昨日の話の続きでも、と思ってね。」

ルドガーはそういいながら、弁当箱を持つ。

「遠足じゃねえんだから・・・」
「ま、昨日のお礼ってやつだよ。」

ルドガーは笑った。

















そして昼下がり、目的地の遺跡・・・
大陸の最西端にある、「ワンダ遺跡」。

この遺跡は機械人形オートマタの生産工場であったらしいが、
爆発事故により、工場は吹き飛んで、その後そのまま放置された。
それが風化により、木々などの植物が生え放題となったものである。
だが、歴史的遺物には変わりがなく、
風化しても未だに貴重な遺産が手つかずにあるのだ。

メウィルの説明に、目が点になるルドガーとティル。

「ここはまさにプリムラの故郷ともいえる場所ですね。」

メウィルはそういいながら、文献を読む。

「プリムラの故郷?」
「はい、大体の機械人形マギアナは、ここで生産されて、普及されていましたから。
 おそらくメイド型であるプリムラも、ここで生まれたんでしょう。」
「はい、確かに、私はここで生まれました。」

メウィルの推測に肯定するプリムラ。
メウィルはスキップしていて、気分が有頂天であった。

「メウィル、あんまりはしゃぐなよ、隊の人困ってるだろ」
「おっと失敬。」

そういうと、メウィルはメガネをかけ直す。


「メウィルはこういう・・・アウトドアとは無縁だと思ってたけど・・・」
「そうでもないですよ、フットワークは僕の3番目に得意分野ですし。」
「意外に根性あるんだなあ。」

ルドガーがそう笑うと、メウィルは「おっ」と声を出す。

「皆さん、あれを見てください。」

メウィルが指さす方向に、巨大な人型の何かがあった。
顔のようなもの、それを支える身体のような部分・・・・
一言でいえば、「巨人」であった。

「あれは、「キング型マギアナ」です。」

プリムラがそういって指をさした。

「その通り。人の形を成さず、主に要塞や巨大な生き物のような形をするマギアナ。
 主に戦争用の道具として造られた可能性があります。
 中には巨大な空飛ぶクジラのような形のマギアナもいたんですよ。」

メウィルは書物を読みながら解説する。

「あんなのが動いたら、ミットヴィルクングなんかすーぐぺちゃんこになっちゃうわね」

ティルが笑いながらそんなことを言う。
メウィルもそれには笑った。

「そうですね!・・・もっとも今は奴の「ソウルハート」が再稼働しなければ、動くことはありませんけどね。」
「「ソウルハート」?」

ティルが首をかしげると、プリムラが胸にあるブローチを指さす。

「これです。これは、我々機械人形マギアナにとっての魂そのものと言っても過言ではありません。
 これを失わない限り、私たちは稼働し続けることができます。」

「へー」と、一同はプリムラの胸にあるブローチを見る。
青と赤の石がまるで目のような形をかたどって、埋め込まれている。
金色の枠で収められたそれは、きらりと輝く。

「あ、それマギアナ達の「対消滅」のスイッチみたいなもんだから、
 迂闊に触らない方がいいよ」
「!!?」

メウィルの言葉に、ルドガーとティルとレイは驚いた顔で後ずさった。

「少し語弊がありますが、概ねその通りです。」

プリムラは無表情で頷いた。












「それにしても大きいわねえ。」

ティルは巨人の前に立っていた。
そして、巨人に触れようと、手を近づける。

「コラ、迂闊に触るな!」

そこへ隊員の「ニコル・バッパー」がティルに近づいて注意する。
ニコルは深緑色の髪、橙色の瞳をした青年であった。
皮のマントを羽織り、分厚い皮のグローブやブーツ、
革のベルトを巻き付けた一般的な冒険者のような服装であった。

「一応貴重文化財なんだから、もし触って形が崩れたりしたら大ごとだぞ!」
「あ、すみません・・・」
「意外に素直だなキミは。まあいい、こっちきてこっち。」

ニコルはティルを巨人から離れさせた。


「この巨人はね、「魔神ディアボロス」と対消滅させるために生み出されたらしいんだ。」
「へえー、魔神ディアボロスってあんなに大きいの?」

ニコルはうーんと顎に手をそえて考える。

「正直分からん。」
「なんじゃそりゃ」
「だが、現に巨人が生まれたんだから、それ相応のサイズなんだろうね。」

ニコルは笑いながらティルの肩をたたく。
ティルは手を顎に添えてうーんと唸る。

「さっきさ、あの巨人・・・心臓みたいな鼓動の音を出してた気がするんだよね。
 気のせいかしら・・・・?」

ティルはもう一度巨人を見る。

植物が巻き付き、風化しているそれは、動き出す気配もなく
そこに佇んでいた。

「いやー、まさか、ね。」


Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.130 )
日時: 2018/04/15 21:14
名前: テール (ID: LAu9zylb)


ティルは皆の元へ戻ると、
皆が昼食の準備をしているのが見えた。

「ティル、はやくはやく!」

ルドガーが手を振ってティルを呼ぶ。
人数分の弁当を作っていたのか、全員に弁当がいきわたっていた。

「プリムラは食べないの?」

弁当にを手に取り、ティルはプリムラに尋ねる。
プリムラは弁当を渡されるが、手を付けないで皆の様子を見ていた。

「私たちは食事を必要としませんので。」
「お腹が減らないの?」

ティルは弁当の中身をたらいあげながら質問した。
口に弁当の中身を詰め込んで、まるでリスのように頬を膨らませている。

「行儀が悪いなお前は・・・」
「空腹にはなりません、我々にとって、食事は一種の趣味になりますので。」

プリムラは淡々と答えた。

「流石というかなんというか・・・」

ルドガーもはははと笑った。




そこへ、地鳴りにも似た地響きが一行を襲った。

「な、なんだ!?」

レイは周りを見る。

「あ、あれを見てください!巨人が・・・・動いています!」

メウィルがそう叫んで巨人のいた場所を指さす。
一行はそれを見ると、確かに巨人の頭についている目が光り、
重々しい足取りで一歩踏み出そうとしていたのだ。

「な、なんで急に!?」
「わかりません・・・プリムラ、何かご存知ですか?」

メウィルはプリムラに尋ねるが、プリムラは首を横に振る。

「私と同じく、何らかの力が働いて起動したんだと思われます。」
「そ、そんなことより、あいつを止めないと・・・この先は村がいくつかあるんだ!」

レイは慌てて立ち上がる。

「どうやって!?」
「わかんねえけど、魔術でもなんでもぶっぱなしゃいいだろ!」

レイはそう叫ぶと、巨人に近づく。

「メウィル、あなたは探索隊に避難するよう呼びかけて!」
「・・・・わ、わかりました!」

ティルはレイを追いかける。
プリムラもティルに続いた。

「メウィル、ごめん、あとはお願いする!」
「あ、ちょ、ルドガー!?」

ルドガーも斧を持って走り去ってしまった。








レイは、近くの崖に上り、巨人の頭近くまで来ている。

「カンナカムイ!」

レイは巨人の頭に向かって、黒い雷を放った。
巨人にそれが命中するが、巨人の歩みは止まらなかった。

「プリムラ、あの巨人に語り掛けられない?」
「試してみます。」

プリムラは瞳を閉じ、胸の前で手を組む。
何か甲高い音が発せられ、巨人もピピピと音を発する。



「・・・・魔神を滅する?」

プリムラがそうつぶやく。

「どうしたの?」
「彼は魔神ディアボロスの下へ向かっているようです。」

プリムラがそういうと、ティルは慌てる。

「ディアボロスなんか、今は地中の中に埋まってるのよ!?」
「ですが、反応を辿っている模様です。
 キング型マギアナは、目的を遂行するためだけに生み出されましたので。」
「ほんっと、面倒なんだから!」

ティルはそういうと、剣を抜いて、巨人に向かって走り出した。

「喰らえぇぇーーっ!!」

ティルは居合い斬りで巨人の足を狙う。
しかし、ガキンという音が鳴っただけで、歩みを止めることはなかった。

「か、かったぁー!手がしびれたわよ・・・」
「俺も!」

ルドガーは、手に持った投げ斧・・・フランシスカを巨人の足に向かって投げる。
だが、斧はやはり弾かれてしまう。

「どうにかなんないのか、あの鋼鉄のような巨人!」

ルドガーは足踏みをする。

「皆さん、巨人の足のつなぎ目を狙ってください。
 あそこは足を支える部分・・・斬られればバランスを崩してしまうでしょう。」

プリムラがそういって指をさす。

「足のつなぎ目・・・あそこか!」

ルドガーはそういうと、助走をつけて壁を蹴り、巨人の足のつなぎ目近くまで飛び上がる。

「うおりゃあぁぁぁーっ!!」

ルドガーは、足のつなぎ目を斧でたたき切った。
バリッという音と、火花が散り、巨人の動きが鈍くなる。

「やったか!?」
「まだよ、油断しないで!」

ティルはルドガーの手を引き、すたっと着地した。
巨人はルドガーに狙いを定めると、右腕を振り上げる。

「やばっ、潰される!?」
「いわんこっちゃない!」

ティルは再び居合い斬りで巨人の右腕をうまくはじいた。
金属が打ち合う音が鋭く響き、火花が散る。
巨人は体勢を立て直すと、再び前に歩み出した。

「私たちの事は眼中にないってことね・・・!」
「どうするんだ、こいつ・・・倒せるのか!?」





レイは地上を見下ろす。
ティルとルドガーが必死に足のつなぎ目を斬ろうと武器を当て続けているのがよく見える。

「やっぱりどんなに研がれた刃でも、鋼鉄は斬れないようですね。」

レイの隣までメウィルがやってくる。

「うおぉ!?」
「驚かないでください。僕の魔術と、君の魔術を合わせれば、
 多分巨人の足を止められる・・・かもしれません。」

メウィルは魔導書を取り出す。

「僕のこの、「業雷ヘイルスパーク」で・・・」
「そんな魔導書見たことないぞ、なんだそれ・・・・?」

レイの疑問にメウィルはにこりと笑う。

「僕が改造しました、一度限り、超強力な雷を放てますよ。」
「便利なもんを作るな・・・」

レイは感心しつつ、魔導書を開く。

「それじゃ、いきますよ!」

メウィルとレイは手を巨人の足のつなぎ目に向かってかざした。

「カンナカムイ!」「業雷ヘイルスパーク!」

地鳴りに近い轟音と共に、黒い雷と、凄まじい雷の束が巨人を襲い、命中する。
巨人はバランスを崩して、その場を横転した。


「やった!」
「成功だな・・・!」

メウィルは飛び跳ね、レイはぐっと拳を握りしめる。







「よし、巨人が倒れたわ!」

ティルは横転した巨人を見て拳を握りしめた。

「・・・・!皆さん、戦闘態勢に入ってください。」

プリムラがそう叫ぶと、胸のブローチを槍に変化させた。

「え、何・・・!?」

ティルが巨人の方を見ると、上半身を起こして、腕を振り回した。
巨人の腕は、周りの岩壁を破壊する。

「きゃあっ!」
「くっ、なんてやつだ・・・!」

「あのマギアナのソウルハートを破壊しない限り、動きは止まりません!」

プリムラは槍で巨人の腕を受け流しつつ、二人に叫ぶ。


「おい、無事か!?」

そこへレイとメウィルが降りてくる。

「こっちはなんとか・・・!」
「だがあの猛攻をどうにかして、ソウルハートを壊さないと!」


「定まりました、あのマギアナのソウルハートは、胸に埋め込まれています。」

プリムラがそういうと、皆もそれを確認する。
確かに、胸に青と赤の石が光っているのが見えた。

「しかしどうやってあれに近づく!?」

巨人はなおも暴れている。
近づいて壊すことは不可能である。


「レイ、あなたは魔導書が扱えますね?」
「な、どうしたんだよ突然!?」

プリムラはレイの手を握る。

「マギアナは、自らを武器に変えることも可能です。
 私がレイの魔導書となり、あなたと共に戦います。」

プリムラはそういうと、レイの腕を強く握り、身体が発光する。

「うおぉ!?」
「これは・・・!?」

レイとティルがプリムラを見て驚く。
光がどんどん小さくなり、レイの手元には、金色の目が模られた表紙が特徴の、
プリムラの服と同じ色の魔導書がレイの手に乗っていた。

「それは、「機巧の魔導書フルールカノン」だね。」

メウィルが感心しながら魔導書を見る。

「強力な極太光線を放つことができる魔導書だよ。
 これなら、あの巨人を倒すことが可能だね。」
「じゃ、じゃあこれで!」

レイはそういうと、魔導書を開き空中に浮かせて、手を本に当てる。
魔法陣がレイの足元から広がり、周りが赤色に光る。
レイは、手を巨人に向かってかざした。

「フルールカノン!」


レイの腕から極太の光線を放たれる。
巨人を周囲の岩壁ごと破壊し、凄まじい威力で目の前を猛スピードで駆け巡る。
一行はあまりの眩しさに目をつむる。



やがて、光は消える。

「きょ、巨人は・・・!?」

ルドガーは目を開け、周囲を見渡す。
極太の光線が駆け巡った跡が遺されており、巨人は跡形もなく吹き飛ばされ、粉々に砕けていた。

レイはふうっと息を吐く。

「やっ、た・・・!?」

ティルはそういうと、メウィルは飛び跳ねて喜ぶ。

「やったぞレイ!僕らの勝利だ!!」
「レイ!よくやった!」

ルドガーがレイの肩をたたく。

レイはその場に倒れた。

「・・・・レイ?」

ティルはレイに近づき、身体を揺さぶる。




「レイッ!!」