二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡-【オリキャラ募集】 ( No.13 )
- 日時: 2018/03/12 22:12
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
第一章 自由な風
ユースティア大陸の北は「ウルバ草原」という広大な草原が広がる。
数々の草族、さらに複数の種族が遊牧する、自由な土地でもある。
帝国軍も滅多にこの草原を踏み荒らすことはなく、
大陸では唯一帝国軍の手の届かない場所でもあった。
そんなティルは4年前から草原で暮らしていた。
母からもらった剣を磨き、羊や牛を育てながら一人で暮らしていた。
ティルは家がなくなってしまったため、育てていた家畜たちを近所に住む遊牧民に譲渡し、
少年と共に、かつての恩師である「ネイラ・プレアデス」を訪ねるべく、
草原の西にある「農村フェルミエ」へと歩き始めた。
「・・・・!」
「あ、キミ!大丈夫?」
ローブの裾を踏んで転んでしまった少年に手を伸ばすティル。
「馬まで明け渡すんじゃなかったわね・・・」
と、少年を起こしてつぶやいた。
草原は穏やかな風が吹いて、二人を優しく包む。
「フェルミエはあと少し歩いた場所だから、もうちょっと頑張って!」
ティルはそういって少年の手を引く。
少年は無言でうなずいた。
陽は傾き、夕陽が村を照らす。
穏やかな農村に、二人はたどり着いた。
「ここが農村フェルミエ、私の先生がいるのよ」
ティルはそういうと、村の中歩き始める。
少年はそれについていく。
ある民家の前にたどり着くと、ティルはドアにノックした。
民家の中から、一人の女性がドアを開けてティルを見る。
「あら、誰かと思えばティルじゃない。どうしたの?」
「お久しぶり、ネイラ先生!
実はちょーっと困ったことがあってさ・・・」
髪を三つ編みで後ろにまとめ、髪先から青いグラデーションのかかったアイスブルーの、
青い瞳を持つ妙齢の女性・・・ネイラはドアを開けて、二人を招き入れた。
「中に入りなさいな、外ももう暗くなるし。」
二人はネイラに頭を下げて中に入る。
中は意外に広く、性格が出ていて綺麗な空間であった。
ネイラは「紅茶は飲む?」と聞いて、ガラス瓶を見せる。
ティルも少年も頷いて、それを見たネイラは、紅茶をいれた。
「で、困ったことって何かしら?」
ネイラは微笑みながら二人を見る。
ネイラの服装は女性にしてはかなりシンプルで、
黒のインナー、スカートの上に、肩を出したシンプルな紫色の一張羅を上から着ていた。
ティルは紅茶を飲んで一息ついて、
少年の事、自分の家が焼けてしまったことをネイラに話す。
ネイラはティルの話を聞いて、うんうんと頷いた。
「なるほどね。・・・わかったわ。」
ネイラは立ち上がると、書類を一枚テーブルに置いた。
「あなた、仕事の依頼をこなす気はないかしら?」
「・・・・え?」
ティルは目が点になり、首をかしげた。
ネイラはにっと笑う。
「実は「ある目的」のためにギルドの結成を考えていたんだけど、
メンバーが私と「あの子」しかいなくて、なかなか依頼が回らないのよ。」
ティルは「んん?」と声を漏らす。
「あなた、今家も仕事もないのよね?」
ネイラはニコニコしながら説明する。
「ギルド」とは、複数の人間が協定を組み、結成される団体である。
帝国の階層化された支配構造を否定し、
帝国の法から外れ、自らに課した掟を遵守する者の寄り合い。
帝国にとってはならず者の集団であるため基本的に対立してはいるが、
今の帝国ではギルド無しでは生活が成り立たない部分もあり、
その存在はある程度黙認されている。
五大ギルドと呼ばれる、
ギルドにおいて中心団体と見なされている五つのギルドは、メンバーが桁違いであり、
遥か南にある街「ミットヴィルクング」を拠点におく、大陸に多大な影響力のある大手ギルドは、
帝国にも認められている。
現在の帝国では、ギルドは社会に浸透しており、
ギルドに所属しない一般人もギルドを利用しているほどである。
そんなネイラは、人々の助けになるようにギルドを結成したのだが、
現在メンバーはネイラと「レイ・レグルス」のみ。
依頼は斡旋してもらえたが、二人では回らず、困っていたところに
ティルが現れた・・・というわけである。
「なるほど・・・そっかぁ。」
「ま、すぐに返事をしなくていいわ。
明日、体験加入ってことで、山賊退治の依頼をこなしに行きましょう。
ああ、今日はここに泊まっていくといいわ。」
ネイラは椅子を引いて立ち上がり、二人が飲んでいた紅茶のカップを
台所まで運んでいった。