二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.165 )
日時: 2018/04/28 21:17
名前: テール (ID: AuRKGmQU)

第十二章 Triumphant heroes



ギルド「自由な風」の拠点に、灰色の髪の少年がやってきていた。
先日、ティル達の危機を救ってくれた「ハウル・テラ・エルミネア」である。


「先生、ティル、レイ・・・あとクーちゃんも!
 久しぶりだね~、元気してた?」

ハウルは笑顔でその場にいる、ネイラとティルとレイ、そしてクーを見た。
その場には、クロウもいる。

「まさか、ハウルとクーが幼馴染の親友だったとは・・・」
「うん、そうなんだよ!
 ハウくんってば最近任務で忙しいって全然会ってくれなかったんだよ!」
「ごめんごめん、帝国の動きが最近活発になってきたからさ~」

ハウルは頭をかく。
ティルははははっと笑い、ハウルに用件を尋ねた。

「・・・・みんな、「ハイランド公国」ってもちろんご存じだよね?」

ハウルはふと真面目な顔で皆を見る。
クロウは顎に手をあてて答えた。

「大陸北にある、独自の文化を持ち、独自の武術を持つ高潔な国だな。
 現在は「レイナ・セラ・ハイランド」大公が治めているらしい。」
「そうそう、流石ハイランダーのお兄さんだね。」

クロウの説明に、ハウルはニコニコ笑う。
ティルは、確かにクロウの戦闘は独特な武術であると関心を持つ。

「そういえば、ティルの姓は「ソティス」だったな?
 ・・・・ということは、剣聖「ジークフリート」の娘か。」
「それ、お母さんがハイランド公国で馳せていた名前・・・・
 お母さんの本当の名前は「イリヤ・ソティス」よ。」

ティルはそういうと、ハウルを見る。

「で、ハイランド公国がどうしたの?」

ハウルは「ああ・・・」と頭をかいて、説明を始めた。

「実は、ハイランド公国の公女「シャルト・セラ・ハイランド」が、
 「雷竜トニトルス」に攫われちゃって・・・
 行方不明になっているんだよ。」
「「雷竜トニトルス」・・・・冥府の三竜の一角、「雷竜アーテル」の眷属ね。
 ・・・でもなぜトニトルスが?」

ネイラはハウルに尋ねると、ハウルは首を振る。

「わからない・・・でも「シャルちゃん」の命が脅かされてることには変わりはないよー。」

そういうと、クーも机から身を乗り出して皆に言う。

「シャルシャルが危ないんでしょ!だったら早く行こうよ、ハイランド公国に!」
「行方が分からんつってんのに、行ってどうすんだよ」
「決まってるじゃん、なんか手がかりがないか調べるの!」

クーは珍しく焦っているような様子である。
それにたじろいでクーを見るレイ。

「みんな、クーちゃんの言う通りだよ。
 ハイランド公国まで一緒に来てもらえないかな~?」

ハウルは頭を下げた。
ネイラは、ふうっと息を吐いて立ち上がった。

「わかったわ、クー、ハウル。
 すぐにハイランド公国に向かいましょう。
 何もしないよりはましでしょう。」
「先生・・・ありがとう!」

ハウルは笑顔でネイラに礼を言う。
クロウも立ち上がった。

「俺も同行させてもらう、一応、ハイランドの騎士「だった」からな。」

ティルも立ち上がり、ぐっと拳を握った。

「よし、じゃあさっそくいきましょう。」


そして、ティルの服を引っ張る少年。
ティルをじーっと見つめていた。

「キミもくる?」
「・・・・。」

少年は頷く。

「よし、じゃあ私から離れないでよね!」
「・・・♪」


Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.166 )
日時: 2018/04/29 10:04
名前: テール (ID: AuRKGmQU)


ユースティア歴600年8月18日

ティルとレイ、ネイラ、クロウ、クー、ハウル、ルドガー、少年は、
ハイランド公国へと急いでいた。
ハイランド公国へは、連絡船を使ったのち、陸路を馬車を使ってたどり着ける場所にある。
それでも2週間はかかるのである。

馬車に2つに分かれて乗った一行はハイランド公国までの道のりの景色を楽しんでいた。


「それにしてもハウル、ハイランド公国の公女とどういった関係なの?」
「幼馴染だよー。クーちゃんとシャルちゃんと僕。
 小さい頃から一緒に勉強したり遊んだり、いっぱい思い出を作ったよー」

同じ馬車に乗るクーもうん!と自信満々に頷く。
その馬車にはティル、少年、クー、ハウルが座っていた。

「そうそう、ハイランド、エルミネア、ローランドは大公、公爵がすごく仲が良くてさ!
 そのおかげで私たち、仲のいいお友達になれたの!」

クーは隣にいるハウルに抱き着いた。

「へ、へえ・・・」と若干ひきつった笑いで二人を見るティル。


「クーはどんな任務を命じられて帝都にいたのよ?
 名前を隠してまでの任務って、相当重要なもののようだけど・・・・」
「うーん・・・」

クーは口元に人差し指をあてて悩んでいた。

「帝国の秘密を探ること、かな。
 ・・・お母様も感づいていたみたいなんだけど、
 皇帝「ヒュドラ・ベル・ユースティア」は、600年生きてこの大陸を治めてる可能性があるんだ」
「それは本当なの、クーちゃん!」
「証拠はないけど、帝都の城に忍び込んで文献をいくつか目を通してみたんだけどね。
 600年前の皇帝の名前も「ヒュドラ・ベル・ユースティア」だったの。
 襲名制だったら、皆に伝えるものだよね?
 でもそれがないってことは・・・なんらかの方法で生きながらえてる・・・
 って可能性があると思うんだ。」

クーの推測を聞いて、ティルは驚く。

「クー・・・・あなたすごく賢かったのね・・・」
「ちょ、ネイラ先生みたいなことを言わないでよ!
 これでも、帝国立ユースティアアカデミーを首席で卒業したんだからね!」

ティルはそれを聞いて驚く。

ユースティアアカデミーとは、ユースティア帝国の研究型私立大学であり、
帝都に位置する、500年前に設置された最も学術的起源の古い高等教育機関である。
だが普段のおちゃらけたクーの様子からは想像もできないので、
人は見かけによらないのだと、ティルは頷く。


「話を戻すんだけど」

クーは咳払いをする。

「ホラ、人の寿命ってまあ種族に寄るんだけど、大体90年前後じゃない。
 それを600年生きながらえて統治するなんて、絶対何かあるよ!」
「メウィルみたいに事故があって若返ったとかは?」
「だとしても、最低5回くらい繰り返さなきゃいけないんだよ。
 それも無理があるよ!」

ハウルは腕を組んでうーんっと唸る。

「そういう種族だって可能性は?」
「・・・・ありえるわね、皇帝あいつの種族はギラティナだもの。」

ティルは声を低くしてつぶやく。

「・・・ティル、なんでそれを?」
「今は話せない、聞いたらきっとみんな、私を殺したくなるもの。」

ティルはそういうと、車窓の外を見る。
その様子に、クーと少年は首をかしげる。

「でも、ギラティナか・・・だとしたらとんでもない力を持ってるんだよね。
 だとしたら、長い時を生きていても不思議はないよー。」

ハウルがにこっと笑った。

「ギラティナ・・・・「創造神アルセウス」に叛逆した邪竜だって聞いたことある。
 あ、ちなみにね、「創造神アルセウス」ってのは、この世界を生み出した神様で、
 「時の神クロノス」、「空間の神マクスウェル」、「観測者オリジン」
 の三神を生み出して、世界を動かしたって神話にあるよ。」
「それは神竜神話とは違うの?」
「神竜神話はそのあとに「神竜アナンタ」、「魔神ディアボロス」が生まれて、
 魔神からは「破壊神ティルヴィング」、「邪竜ヒュドラ」が生まれたんだよ。
 で、その戦いが「神竜神話」だって。
 神竜アナンタ、魔神ディアボロスが私たちポケモンを生み出して、世界に繁栄をもたらして、そのあと・・・
 あ、邪竜ヒュドラってのがギラティナ・・・・ん?」

クーは首をかしげる。

「邪竜「ヒュドラ」?」
「・・・・まさか、ね・・・」

ハウルはひきつった顔で笑いをこぼした。



「お客さん、もうすぐハイランドですよ。」
「お、見てみて!あの白い建物!・・・ハイランドだよ!」

クーは車窓の外を指さす。
そこには、白い建物がずらーっと並んでいた。