二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.183 )
- 日時: 2018/05/05 20:55
- 名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
僕は夢を見ていた。
どこかよくわからない場所に、一人立っていた。
僕は首をかしげ、前に進む。
その場所は温かい日差しと、まっさらな空、様々な花が風に揺られる
のどかな場所であった。
「おーい!」
背後から幼い少年の声が聞こえる。
振り向くと薄桃色の短髪、青い瞳が特徴的な少年が僕の目の前にやってくる。
「君!やっと捕まえれたよ・・・!」
少年はそういうと、息を切らしている様子である。
「あれ、ボクのことわかんない?
・・・以前会ったよね、こっちの世界に来るとき。」
僕は首をかしげた。
いつか会ったっけ?・・・・うーん、思い出せない。
「えぇ・・・もしかして覚えてない?」
僕は頷いた。
少年ははあっとため息をつく。
「まあいいか・・・もう一度説明するよ。」
少年は僕の目を見て、真剣な表情で話し始める。
「君はね、ヒュドラを殺すためにボクが送り込んだ存在なんだよ。
まあティルに拾われたのと、記憶がないのは計算外なんだけどさ。
ホントはさ、ティル・・・いや、ティルヴィングを消すのも視野に入れてたけど、
彼女はもうティルと融合しちゃったし、誰かを傷つけることもないだろうから、
大丈夫だとして・・・
問題はさ、ヒュドラが君の存在に感づいちゃったかもしれないんだ。
ホラ、最近・・・君ってば目立つ行動ばっかしてんじゃん?」
僕は今迄のティルとの行動を思い出す。
「ヒュドラに感づかれたとなると、君は一層動きにくくなる。
多分、兵士を送り込んで君を狙うかもしれない。
それか、ティルヴィングの力を手に入れたティルが狙われる可能性がある。
ヒュドラの目的は、魔神の力を手に入れて、世界を破滅させること。
ティルは魔神への供物にされる可能性がある!
で、ここからが本題だよ。」
少年は深呼吸して、冷静になる。
「君の使命は、ヒュドラを倒して大陸に光を照らすこと。
絶対に忘れないでね!」
僕はそれを聞いて頷いた。
僕がヒュドラを殺す・・・・大事な使命だ。
少年はため息をついて愚痴をこぼした。
「というか、まさか「クロノス」の作った魔導書を持ってる女の子がいたなんて予想外だったよ・・・
あの子に記憶とか見られないように、君に術式を刻んでおいてよかったよ。
えーっと、エルピスちゃんだったっけ、覚えておかないとね。
・・・あ、そうだ・・・これあげるよ」
少年は僕の手に太陽の形をした金色のチャームのペンダントを落とした。
赤く燃えるような色をした宝石がきれいだ。
「それ、太陽のチャーム。
それは僕の加護が施されてるから、身に着けておくと、
エルピスちゃんとか他の記憶を覗き込む魔術を跳ね返すことができるよ。
・・・・というか君、昨日「マクスウェル」に会ってるんだね・・・
次会った時に「オリジン」がヨロシクって・・・あっ、
そっか、君喋らないんだっけ。
まあいいか、その方があっちも動きやすいよね。」
少年・・・オリジンが一人で納得していると・・・
突然、空間が揺れるような物凄く振動する。
「やっば!・・・クロノスってばホント人間嫌いなんだから!
それじゃ、そのペンダントは絶対手放しちゃだめだよ!
また会おうね!」
少年は目を覚ました。
いつもの部屋で、隣のベッドにはティルが幸せそうな寝顔で寝ている。
そして外を見た。
朝日はまだ昇っておらず、薄暗かった。
少年はふと、手元を見る。
オリジンからもらったチャームを握っていたのである。
少年はとりあえずオリジンの言う通りに、首から下げることにした。
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.184 )
- 日時: 2018/05/06 23:30
- 名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
「おはよう、ティルちゃん、クロウ・・・あとかわいい顔の少年!」
セネルがニコニコ笑いながら3人を見る。
拠点を尋ねてきて、3人を迎えに来たのである。
「セネルさんは早いね」
「あ、呼び捨てでいいんやでティルちゃん。
それと、この子の名前は?」
セネルは少年の頭をポンポン叩いて笑う。
「えーっと・・・」
「もしかしてないん?」
「・・・はい。」
少年は首をかしげる。
セネルはじーっと少年を見る。
「まあええわ。で、準備はできてん?
・・・・あ、ティルちゃんは丸腰やったね、これあげるわ。」
セネルはそういうと、刀身が波打つ両手剣をティルに差し出した。
ティルは受け取り、じっと見つめる。
「なかなか重さがある剣・・・「フランベルジュ」ってやつね。」
「せや、ティルちゃんなら扱えるやろ。
それあげるから、今日は頑張ってオリハルコンをゲットしよな!」
セネルはそういうと、ティルの肩をたたく。
ティルは頷いて笑った。
「すみません、ちょっといいかしら?」
一連のやり取りを見届けていた金髪の女性が、ティル達に話しかけてきていた。
肩まである金髪が美しく、額には大きな赤い宝石・・・ガーネットが装飾されたサークレットをつけ、
白いベールで頭を包み、かなり露出の高い踊り子のような人物が、
金色の瞳でこちらを見ていた。
「ん・・・踊り子の人?」
「あ、いえ・・・私はシルクナイトよ。
わけあって今は愛竜の「マリオン」と一緒に旅をしてるの・・・・」
「シルクナイト?」
ティルは聞いたことがないワードに首をかしげる。
そこにクロウが補足する。
「主君を持たない流浪のフリーナイトの称号だな。
主に女性が多く、男性の方は「ルーンナイト」と呼ばれる。
魔術と武器を巧みに扱う、騎士としてはかなり軽装な者たちだ。」
「ようしってんな。」
セネルは感心し、目の前の女性も頷く。
「で、私たちに何か用なの?」
「ええ、あなた達、氷結の谷に行くのでしょう?
・・・私も同行させてもらえないかしら?」
女性はにっこりと笑う。
「別にええで、あんた名前は?」
「うふ、ありがとう。
「メイ・エレクトリシテ」って言うわ。」
「「エレクトリシテ」・・・?」
クロウは何か感づいたかのように眼を鋭くさせる。
「どったん?」
「いや・・・まあ・・・・なんでもない」
「へんなの。」
セネルは咳払いをして、メイの肩をたたく。
「ほなメイちゃん、よろしゅうな!」
陽が天高く上るころ・・・
氷結の谷近くにやってきたティル一行。
そこに、セネルが分厚いコートを人数分配る。
褐色の白いファーがついたなんとも温かそうなコートであった。
「これ着て中に入るで。下手したら凍死すんでな。」
「マジで!?」
「大マジや・・・メイちゃんは、服を一式変えてな。」
「うふふ、わかったわ。」
各々受け取ったコートを羽織り、メイはというと、
衣装一式をセネルから受け取って着替えた。
「準備はええか?・・・ま、氷結の谷はその名の通り、
地下からてっぺんまで凍り付いてんで、足元に注意してな。」
セネルはそういうと、先頭に立って進み始める。
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.185 )
- 日時: 2018/05/07 20:47
- 名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
氷結の谷を歩く一行。
外の気温の高さが嘘かのように、寒く、氷の世界に包まれていた。
息を吐けば白い息が宙へ舞い、すぐに消えてしまう。
「セネル、オリハルコンはどこにあるんだ?」
「地下にあるんや。気を付けて降りていくで。」
セネルは谷底を指さす。
風の音が響いており、底は見えなかった。
「どうやって降りるの?」
「こいつや。」
セネルは鉄の束が何重にもなって巻かれた一本の太いワイヤーを取り出す。
「こいつを使って谷底まで降りるねん。
ワイヤー自体はわいの手製だから心配いらんで。」
セネルはそういうと、周辺を見回す。
氷の壁、氷の崖、高くそびえる壁の隙間から太陽光が漏れている。
そして、風の音が響く谷底くらいしかない。
「・・・もうちょっと進んでみよか」
セネルはそういうと、再び一行は歩き出す。
しばらく歩いて、セネルは頷く。
そして、目の前にある凍り付いた太い大木を指さした。
「あれにこのワイヤーを括り付けて、降りるで。」
セネルはそういうと、大木にワイヤーを括り付ける。
そして、ワイヤーを谷底へと落とした。
ワイヤーは底の見えない谷へと落ちていく。
「よし・・・あとは一人ずつ降りていこうで。
誰から行く?」
「じゃ、私から」
ティルはそういうと、ワイヤーを掴む。
「気を付けてな。・・・なるべく下は見んように。」
「わかったわ。」
ティルはワイヤーを伝って、谷へと降りた。
降りることしばらくして、光が届かないほどの地下まで降りてくると、
足場が見えてきたので、そこに着地するティル。
「よい、しょっと。」
無事着地して周りを見るべく、腰から下げていたランプを手に持って
明かりをつける。
すると、ランプの光に反射して、青い氷が煌びやかに輝く。
さらに周りを見ると、竜の骨や人の骨、動物の骨などが氷の中に埋まっていることがわかる。
「よいしょ・・・」
二番目に降りてきたのは、メイであった。
「ティル、無事でよかったわ。」
メイはそう笑った。
そして、ランプで照らされた周りを見て、感心する。
「ここは、元々海だったようね。」
「そうなの?」
「ええ、冥府の三竜の一角「氷竜リオート」の魔力で、海だった場所が凍ったのね。
そして、長年の風化によってだんだんと谷が出来上がったわけ。
なかなか面白い話でしょ?」
メイはそういうと、にこりとティルに笑顔を向ける。
「ねえ、メイ・・・あなた、何が目的でここに?」
ティルの質問に、メイは少し考える。
「ティル、あなたの」
メイはそういいかけると、クロウが降りてきた。
「よっと・・・お前ら、無事のようだな。」
「あ、クロウ!」
メイとティルはクロウに手を振った。
しばらくして、少年とセネルが降りてくる。
セネルは地下の様子を見て「ほー」という声を上げた。
「こりゃどえらい場所やな・・・
この先にオリハルコンが眠ってるかもしれんな!」
ティルはふと、指をさす。
「もしかして金色に光ってるあれじゃない!?」
「えっ!?」
全員ティルの指さす方向を見る。
そこには金色に輝く塊があった。
セネルはバッグから分厚い本を取り出してパラパラとめくってみる。
そして、歓喜の声を上げた。
「まさしくあれがオリハルコンや!
まさかまさかこんな簡単に見つかるとはな!ついてるで!!」
一行はそれに近づいてみる。
すると、ズゴゴゴという地響きで地面が揺れる。
「な、なんや!?」
「・・・皆、武器をとれ!・・・氷竜だ!!」
クロウがそう叫び、クレイモアを手に取る。
そして目の前には、青い鱗を持つ、真っ赤な瞳の巨大な竜が現れ、
こちらを睨んでいた。
「大ボスかい・・・こりゃあ、今の今迄誰も帰ってこれんわけやわ!」
セネルは声を浮つかせて腕のクロスボウに矢をセットした。
「あら怖ぁい」
メイは笑顔を見せながら金色の槍を構えた。
ティルもクロウも少年も、武器を手に取って構える。
「いくわよ、みんな!」