二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.188 )
日時: 2018/05/08 22:34
名前: テール (ID: X9g0Xy3m)


氷竜はティル達に向かって咆哮を上げる。
セネルは先制攻撃とばかりに
腰を下げ、腕に装備しているクロスボウで、矢を放った。

クロウもそれに続き、クレイモアを振り上げ、氷竜の翼を斬りおとした。

氷竜は悲鳴を上げるが、クロウを腕で捕まえる。

「クロウ!」

ティルは助走をつけて飛び上がり、壁を蹴って、クロウを捕まえる腕を斬る。
氷竜はティルに気づいて、反対の腕を振り上げて、ティルをひっかく。
ティルは咄嗟に剣で防いでくるりと宙返りをして着地する。

魔導書を開いていた少年の詠唱が終わり、手を氷竜にかざす。

「・・・・!!」

氷竜が爆発し、氷竜は爆風に巻き込まれてクロウを放した。
だが、氷竜はまだ元気が有り余っているのか、再び咆哮を上げ、威嚇をしていた。

「せい!」

そこへ助走をつけて、メイは槍で刺突する。
その動きは、俊敏というよりは、瞬間移動をしているかのようである。
メイは非常に楽しそうな顔で氷竜と対峙していた。

「ありゃま~、こりゃメイちゃんの一人勝ちになっちゃうかもなぁ
 わいも負けてられんで!」

セネルはそう叫ぶと、クロスボウに矢をセットして放つ。
確実に翼を奪い、メイは氷竜の体力を奪う。

「せやあっ!」

再びティルは飛び上がり、氷竜の胸を斬りつける。
氷竜は大量の血液を流し、大きく口を開けて叫ぶ。
ティルは止めとばかりに、氷竜の口に向かって剣を突き立てた。

氷竜は声を上げることも叶わなかった。


「よし・・・氷竜を倒したわ!」
「こいつはまだ幼体だな、だから少人数でも倒せた。」

クロウは氷竜の巨体に触れて頷く。

「え、成体ってもっとでっかいの!?」
「せやでティルちゃん。
 けど、氷竜自体滅多に人前に出てこんのや。
 ・・・・ここは氷竜の巣だったわけや、かんにんな~・・・」

セネルは氷竜に向かって頭を下げていた。
クロウはふうっとため息をついてセネルの様子を見る。

「それよりも、オリハルコン・・・採取しないのかしら?」
「ああ、せやったせやった!ほれ、ピッケルや。」

セネルはバッグから組み立て式のピッケルを取り出してティルに渡す。
ティルは受け取って、ピッケルを組み立て、オリハルコンを採取し始めた。






しばらくオリハルコンの周りの岩を削っていると・・・
バコッという大きな音を立てて、オリハルコンを取り外すことができた。

「よし、オリハルコン・・・ゲット!」
「見事な輝きね」
「・・・・♪」

メイと少年は、オリハルコンの輝きに目を丸くする。
セネルはバッグから青い宝石を取り出した。

「さて、氷竜の巣かもしれへんし、こんなところサクッと脱出しようで。」
「そうだな、長居は無用だ。」

セネルは青い宝石を天に掲げる。
宝石に閃光が走り、一瞬まばゆい光が一行を包んだかと思うと、
その場から一行の姿が消えた。








一行は氷結の谷が目の前にある平原に、閃光から現れる。
セネルの手に持っていた宝石がバキッという音を立てて砕けた。

「その石、なんだったの?」
「これは「トブの魔石」っちゅー、一度行った場所ならどこでも行ける石や。
 ただ、一回限りしか使えんのや・・・」

セネルはそういうと、暑そうにコートを脱ぐ。

「よし、街に戻ろうで。」

セネルはそういうと、皆は頷いた。














「ほお~、本当に持ってきちまうとは・・・嬢ちゃん、意外に根性あるなぁ」

鍛冶屋はオリハルコンをまじまじと見ながら感心する。
ティルは折れたノートゥングを鍛冶屋に渡した。

「うん、頑張ったんだから、ちゃんと直してよね!」
「おう、まかせとけ!
 ・・・・1週間待ってくれや、必ずいいモノを鍛えてやっからな!」

「い、一週間・・・」

ティルはそうつぶやいてため息をついた。

「そらそうだ、急ピッチでやってもそのくらいはかかる。
 ・・・・こっちも遊びでやってるわけじゃねえ、
 本気でいいモノを鍛えるには、時間と労力が必要なんだよ。」
「・・・・一理あるわね、じゃあお願いします、おじさん。」

鍛冶屋は笑いながら承知した。
















セネル達の下へと戻るころには、すでに陽が沈み、
辺りは街灯に光が灯っていた。

「無事にオリハルコンもゲットできて、ティルちゃんの剣も直りそうやし、
 オールコンプリート、コングラッチュレイショーンってやつやな!」
「ありがとう、セネル、それにメイ。」

ティルは二人に向かって頭を下げた。

「ええでええで!わいは暇だったしな!」
「うふふ、そうよ。
 勝手についていきたいって言ったのは、私だしね。」

二人は笑顔をティルに向けた。
ティルも二人の笑顔を見て、つられて笑う。

「さてみんな、この後用事はある?」

セネルは背伸びをしながらそんなことを言った。

「・・・帰って食事するだけだが?」
「だったら、行きつけの酒場行こうや、ご馳走すんで?」

セネルは屈託のない笑顔でクロウの肩に腕を回す。

「ええやろ、わいの驕りやって~!」
「お前が飲みたいだけだろう・・・」
「ビンゴ~♪皆もいこうで!氷結の谷から生還できたお祝いに!」

セネルはそういうと、クロウを半ば無理やり引っ張って上機嫌で歩いていた。
ティルは「しょうがない」とため息をついて、セネルとクロウについていった。








「なるほど、あれが「ティルヴィング」の力・・・
 もう少し監視の必要がある・・・か」

メイは顔に影を落として、低い声でつぶやいた。