二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡- ( No.223 )
- 日時: 2018/06/03 07:11
- 名前: テール (ID: v2BiiJyf)
第十八章 姉弟
――はじめまして、あなたの名前は?
――へえ・・・良い名前ね。「光」を意味する名前だわ。
――よし、じゃあ今日からあたしたちは姉弟ね!
―――よろしくね、レイ!
ユースティア歴600年8月26日
レイは自室でベッドに横になっていた。
依頼はあったが、なぜかやる気が起きない。
前にマクスウェルが話してくれたこと、ティルのこと、
ハイランド公国の10年前の事件、魔導兵器・・・
いろいろ重なり合って、レイは困惑していたため、仕事に手がつかないでいた。
「レイ、お仕事はなさらないのですか?」
「・・・・今日はやる気が起きない。」
「昨日もそう言っていました。」
部屋を掃除していたプリムラは、レイとそんな問答をしている。
レイは窓から空を見上げる。
「よくわかんねえ・・・」
レイは一言こぼした。
そしてレイはティルと出会った時のことを思い出す。
第一印象は最悪だった気がするが、
彼女はそれでも自分を見捨てたりしなかった。
ティルとレイが出会ったのは、7年前。
レイが故郷の村でネイラに救われ、そのあとすぐにティルと出会った。
「なあ、プリムラ・・・」
「はい。」
「ティルの事をどう思ってるんだ?」
レイはプリムラを見ながら尋ねる。
「危険因子、と。」
プリムラは相変わらず無表情で答えた。
レイは覚えている。
ティルの過去を聞いた後、ずっと殺気立った顔つきでティルを睨んでいたプリムラを。
「レイはティルの事をどう思ってるのですか?」
「えっ?・・・うーん・・・」
レイは思わず飛び上がって腕を組んで頭を悩ませる。
「ブスだしバカだし、まっすぐすぎるし・・・」
「レイはティルの事が嫌いなのですか?」
レイの悪態にプリムラは真顔で尋ねた。
レイは首を振り、顔を赤らめる。
「・・・・違う、そうじゃないんだけど・・・なんていうか・・・」
レイははあっとため息をついた。
「わかんないんだよ・・・・好き~とは違うし、でもなんというか・・・」
「レイ、心拍数が上昇していますよ。」
「だー!うっせえな!!もうおれの部屋の掃除が終わったんなら出てけよ!!」
レイは大声をあげてプリムラを無理やり部屋から押し出した。
ドアをバタンと乱暴に閉め、レイはため息をついた。
「好きなのは好きなんだけどさ・・・違うんだよ・・・はあ、わけわかんねえ・・・」
レイの部屋から追い出されたプリムラは、
仕方がないので、各部屋を掃除することにした。
そこへ、買い物袋を抱えたティルと少年が帰ってくる。
「おかえりなさいませ、ティル、名無しさん。」
「な、名無しさんって・・・」
少年の呼び方を聞いて、呆れて苦笑いするティル。
プリムラは首を傾げた。
「でも、名前がないので不便ですね。
種族も何らかの魔術封印が施され、わかりません。」
「そういや、名前つけずに今まで振り回してきたけど、
そろそろ名前を付けた方がいいかしら・・・」
ティルはそういいながら少年を見下ろし、悩み始める。
だが、変な名前なんか付けたくないしなぁ・・・とティルはぼやいた。
「あら、ティル様にプリムラ様。」
そこへ、リゼとフェンリルが拠点へと入ってくる。
「あ、リゼさん・・・こんにちは。」
「こんにちは。今はティル様とプリムラ様だけでしょうか?」
「ううん、レイもいるわよ・・・何かご依頼?」
ティルの質問に、リゼはにこりと笑う。
「はい、実は「ゼパル・ツァクマキエル」の尻尾を」
「ゼパルだと!?」
レイは勢いよく自室からドアを乱暴に開けて、リゼに詰め寄る。
「どこだよ、どこにいるんだそいつは!?」
「落ち着きなさい、レイ。」
ティルはレイのローブを引っ張って、リゼから引きはがした。
リゼは咳払いをして、続ける。
「ゼパルは、ヴァースキ山脈にて冥府の三竜の一角「ヴァイス」を目覚めさせようとしているみたいです。
ヴァイスの復活は阻止せねばなりません。
ですから、お力添えをと思いまして。」
「・・・・引き受けるに決まってるだろ」
レイは静かに答える。
そして右肩に手を添え、握りしめる。
「・・・・・レイだけじゃ心配ね、私もついていくわよ。」
「私もです。」
「ありがとうございます、皆さま。」
リゼは深く頭を下げた。
「現在、助っ人が先にゼパルの行方を捜索しています。
・・・その方々と合流しましょう。」
フェンリルの言葉に首をかしげるティル。
「助っ人・・・?」