二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡-【オリキャラ募集】 ( No.54 )
日時: 2018/03/22 21:34
名前: テール (ID: LAu9zylb)


同時刻、帝都にて・・・



「ユラリ ユルレリ 泡沫 想い 廻る 秤・・・」

妙な帽子を被った青い髪の青年が、路地裏を歩きながら
手に持っている竪琴を鳴らしながら歌を歌っていた。

「伝う 水脈・・・・ん?」

ふと、青年は近くで会話が聞こえたので物陰に隠れ、聞き耳を立てる。
翡翠色の髪の騎士と乱れた緑の髪の剣士らしき人物が言い争っているのである。



「だが俺は・・・陛下の意思には従えない!」
「自分は警告しに来ただけだし、それがあんたの答えなら、
 陛下に報告後あんたを裁くだけだ。」
「・・・しかし、神竜のご意思は!?
 あなた方は神竜の声を聴き、神竜のご意思に従う神官のはずでしょう?」
「陛下が罪人と決めれば、そいつは罪人。罪人は死あるのみ。」
「・・・・狂ってる・・・!」


「あら、大変なことを聞いちゃったみたいだな・・・」

青年は一筋の汗を流した。
そして青年は音もなく立ち去ろうと後ずさりする。


しかし、近くに木箱があったようで、青年はそれに足をぶつけてしまう。

「しまっ・・・!」
「誰だ!?」
「やっば、見つかったら殺されちゃうかな!?」

青年は帽子を掴んでその場を全力疾走する。


「ウェンディ!」

青年が叫ぶと、上空に白い鱗の飛竜が姿を現す。
青年は飛竜の腕に掴まり、そのままジャンプして飛竜の背中に乗った。

「ふひぃ・・・こわいお嬢さんだったなぁ・・・」
「ピキィ!」

青年と飛竜ははるか上空を舞い、ミットヴィルクングの方向へ飛び去っていく。
後を追っていた女剣士は舌打ちをし、飛竜と青年を見ていた。























翌朝、朝日が昇り、拠点の窓を開けながら皆を起こす少年。
ティルは出迎えられた朝日に目をこすり、ふわぁっとあくびと伸びをする。

「おはよ~、キミはいつも早いね~・・・」

まだ眠そうにしているティル。
二人は普段、相部屋で寝ているようであった。

レイはというと、自身の研究室を設けてもらい、一階の一日中光の入らない場所で、調合やら実験を行っているらしい。


ティルは寝ぼけ眼で外を見る。
朝霧に街は包まれていた。

「今日は晴れるかなぁ~」

呑気にそんなことを言っていると、少年は頷く。



「おはよーっ!!」

そこへバンッ!と大きな音を立てて部屋へと入ってくるクー。
やけに上機嫌でありニコニコしていた。

「今日の朝ごはんの当番はあたしなの!
 お残しは許さないぞ~☆」

クーはそれだけ言うと、隣の部屋も同じように勢いよく入ってまた同じことを叫ぶ。
正直近所迷惑である。

ティルは肩をすくめて、ベッドから降りる。
そして、髪をセットするために、ドレッサーの前に座った。

「キミ、長くなるから先に降りてて大丈夫だよ。」

ティルはそういうと、少年は首を振ってティルの髪を結わえる。

「手伝ってくれるの?・・・ありがと。
 ホントは気安く触らせないんだけど、キミにだけは特別だよ。」

そういうと、鏡を見ながら少年に指示を出す。



しばらくして、少年が指示通りにリボンを髪に巻き付けて、蝶々結びでティルのいつもの髪型ができあがった。

「うん、いいカンジだわ!
 キミ、ありがとう!」

ティルは笑顔で少年にお礼を言った。


















朝食が済んで、皆は今日の仕事に出かけ始める。
ティルも少年と共に依頼の斡旋へと向かおうとしていた。

すると、入り口のドアからノックの音がする。

「あら、朝っぱらから誰かしら?」

ティルは首をかしげていると、すでに少年が入り口のドアを開けていた。

「すみません、こちら「自由の風」の拠点だとお聞きしたんですが。」

蒼銀の髪の男が、青い瞳で少年を見据え、尋ねる。
少年は頷いて中へと案内した。

「君は・・・もしかしてポケモンじゃ・・・」
「おはようございます、依頼者の方でしょうか?」

蒼銀の髪の男が少年を見ていると、ティルがやってきて尋ねる。

「あ、ああ。頼みごとがあってね、評判良いみたいで直接来ました。」
「ありがとうございます、恐縮です。」




蒼銀の髪の男は「カグラ・シラヌイ」と名乗った。
狐の耳が頭の上からピンと立っていて、なんだか見たことのない奇抜な服を着ている、
巨大な九本の青い尻尾を出している、キュウコン族の男であった。

「それで、カグラさん、依頼の内容は?」
「ああ、実は・・・
 僕は知り合いの代理としてきたんだけどね。
 ・・・。」

カグラは口ごもる。
いっていいのかと悩んでいる様子であった。

「どうされたんですか?」
「・・・実は、ウルバ草原の危機なんだよ。」

ティルはそれを聞くと、表情を一変させる。

「ど、どういうことですか!?」

カグラはティルの目を見つめ、真剣な表情で静かに口にする。





「炎竜レーヴァテインが、ウルバ草原を徘徊しているんだ。
 早く駆逐しないと、草原が穢れ、焼け野原になるかもしれない。」
「・・・・炎竜レーヴァテイン!?」