二次創作小説(新・総合)

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡-【オリキャラ募集】 ( No.62 )
日時: 2018/03/25 15:08
名前: テール (ID: /jbXLzGv)


ティルは準備を終え、少年とカグラと共にウルバ草原へと旅立った。

ユースティア大陸は、中心の島を囲うように大陸が広がる。
帝都は中心の島に位置し、島の周りの海域を「内海ないかい」と呼び、
大陸の外側の海域を「外海げかい」と呼ぶ。
外海には異大陸からの連絡船、海賊などが航海している。



港町メロウにたどり着いたティルと少年、そしてカグラは草原へと歩み始めた。

「ねえカグラ、炎竜レーヴァテインって、あの・・・?」
「・・・・ああ。」

ティルは危惧していた。

「炎竜レーヴァテイン」とは、かつて大陸を脅かしていた存在「炎竜ヴァイス」という
強大な炎の力を持つ「レシラム」という冥竜の一角の眷属である。
冥竜は、「魔神ディアボロス」の眷属であり、その力は大陸を凍らせ、切り裂き、焼き尽くすほどのものである。
しかし、魔神ディアボロスが眠ったことで、冥竜は三つの山脈の中に眠った。
その冥竜の魔力が現在も残っており、その三竜の魔力が外に漏れだしていることで、
眷属が外へと蔓延るのである。
能力自体は冥竜ほどではないが、邪悪な力を持つ。

そんな邪悪な存在がウルバ草原を徘徊するということは、
「あの人物」が危機に瀕している可能性があるとティルは踏んでいた。


「ちなみに、カグラ、あなたは誰の代理で私たちに頼みにきたの?」
「ああ、この草原に住むメガニウム族の方だよ。
 空に飛びまわる炎竜を見て、危惧したんだろうね。」

ティルの質問に草原のほうの空を指さしながら答えるカグラ。
草原のほうには、赤い影が飛び回っているのが見えた。
おそらくまだ草原を襲っていないのであろう。

しかし、「まだ」の段階である。


「奴らは人喰いドラゴン・・・今は襲う気がなくてもいつかは襲ってくるはずだ。
 あちらが油断している間にこちらから襲い掛かり、奴を討つべきだ。」

カグラはそういうと、白い袖の中から真っ青に透き通る石を取り出す。

「・・・それは?」
「これは「蒼炎の妖石」。キュウコン族はこれを使わないと、戦うことすらできないんだ。」

ティルと少年は石を見る。
石は青く透き通った美しい宝石にも見えるが、中は青い焔が燃え続けているようにも見える。
この焔が妖石の力の源なんだろうと二人は考えた。








そして三人はウルバ草原の、レーヴァテインが飛んでいる丘へとたどり着いた。
レーヴァテインの知能は飛竜とあまり変わらない。
だが圧倒的に力量が違う。
レーヴァテインは、そこらの飛竜とは比べ物にならないほどの力を持つのである。

物陰の少ない草原では、隠れてやり過ごすこともできないため、
地形を利用してでの戦略は意味を成さない。
だとすれば。

「正面から勝負を挑むしかないわね!行くわよ二人とも!!」

ティルはレーヴァテインの目の前に現れ、「竜剣ノートゥング」をレーヴァテインに向ける。
少年は新しく買った魔導書「アイスブレードの書」を取出し、
カグラは「蒼炎の妖石」を取出した。

レーヴァテインはティルたちを見据えると、咆哮を上げ、臨戦態勢に入った。

Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡-【オリキャラ募集】 ( No.63 )
日時: 2018/03/26 00:22
名前: テール (ID: LAu9zylb)


「行くわよ!」

ティルは居合い切りをレーヴァテインに向け、斬りつける。
鞘から抜かれた銀色の刀身がレーヴァテインの鱗ごと身を切り裂き、
レーヴァテインの腹から真っ赤な血が流れる。

悲鳴のような鋭い声を上げるレーヴァテイン。

その血が地面に落ちると、じゅっという音と共に地面が焼ける。


「っ・・・!?やはり・・・・!」

カグラは焼けた地面を見て険しい顔つきになり、二人に向かって叫ぶ。

「炎竜の血は草原を穢す、迂闊に攻撃すれば草原が焼けるぞ!」
「えぇ!?じゃあどうするのよ・・・!?」

ティルはカグラの方に向かって叫んだ。
そこへレーヴァテインはティルに向かって噛みつこうと口を開けて突進する。

「くっ・・・・!」

ティルは剣で受け止める。
そこに少年が魔導書を開き、氷の柱を上空から落とした。
氷の柱はレーヴァテインの翼に命中した。

悲鳴を上げ、レーヴァテインは少年を睨む。

カグラは額に妖石を当てた。
青い炎がカグラを包み、炎は巨大なものになる。
炎が晴れるとともに、レーヴァテインと同じぐらいに巨大な九本の尾を持つ狐が
レーヴァテインの首にかみつき、捻じ伏せた。

しかし、レーヴァテインは抵抗し、じたばた暴れる。

「カグラ!」
「平気だ・・・っ!」

暴れるレーヴァテインをさらに強い力で捻じ伏せようと、
前足でレーヴァテインを押さえつける。


「・・・・!!」

少年は魔導書を開いて、氷の柱をレーヴァテインに向けて放つ。
しかし、同時にカグラの前足を退け、少年の魔法を避けた。


「翼がやられてるのにまだ動けるの!?」
「奴の魔力は魔神がいる限り無尽蔵だ。既に翼も回復しているんだろう」

ティルは驚き、カグラはそれを冷静に答える。

「こりゃ一筋縄じゃ行かないわね」

ティルは歯を食いしばって上空にいるレーヴァテインを見る。
レーヴァテインも地上にいる3人を睨み、咆哮を上げた。


Re: ポケタリアクロニクル-英雄の軌跡-【オリキャラ募集】 ( No.64 )
日時: 2018/03/26 14:04
名前: テール (ID: LAu9zylb)


ティル達とレーヴァテインの死闘を遠くから遊牧民たちが見ていた。

「なあ、あいつに本当に勝てるのか?」
「我らも協力した方が・・・」
「俺たちじゃ炎竜に勝てない!・・・・だがこのまま見ているわけには・・・」

彼女たちの有志を見て騒めく遊牧民たち。
だが、立てる爪も牙もない彼らは、指をくわえてみているだけであった。


そこに、一人の若者が手に槍を持って皆に叫ぶ。

「あの人達は自分の危険も顧みず、見ず知らずの俺たちのために戦ってくれてる!
 俺達だって何かできるはずだろ、あの人達のために!!」

若者の訴えに、皆は若者を見る。
少し沈黙した後、一人、また一人と賛同の声を上げた。

「確かに、何もできないはずがない。」
「そうだよ、あの人たちだって命を賭しているのに、僕らが何もせず見てるだけなんて、
 情けないにも程があるよ!」


「俺たちも戦おう、あの人たちのために!」

若者が武器を天空に向かって掲げた。
それに賛同するかのように遊牧民達も武器を手に取り、特攻を始めた。




そこに、一人の少女が遠くからその様子を見ている。

「・・・・私も動かねばなりませんね」

そうつぶやくと、手に持つ石を握りしめた。



















炎竜との戦いで、ティル達は身体の彼方此方から血が流れていた。
一方レーヴァテインは、傷が瞬時に回復し、
致命傷を与えない限り動きを止めることは不可能だと3人は悟る。
しかし、炎竜の血は草原を穢し、焼いてしまう。

「だとしても・・・あいつを何とかしないと!」

ティルは血が滲む右手の剣を握りしめる。

「ティル、向こうから誰かが来るみたいだ。」

カグラは背後に目をやりながらティルに言う。
ティルと少年が振り向くと、武器を持った遊牧民達が
声を上げて突進してきていた。

「弓、撃ち方始め!」

誰かが叫ぶと、弓を持った若者たちが一斉に弓を引いてレーヴァテインに矢を放つ。
無数の矢がレーヴァテインの翼を奪った。
レーヴァテインは悲鳴を上げる。

「この野郎、俺たちの安寧の地を好きにはさせんぞ!」

続いて、槍を持った男たちがレーヴァテインを串刺しにした。



「ご無事ですか?」

そこへ緑の長い髪をなびかせる、ケープマントで身を包んだメガニウム族の神官が杖を3人にかざす。

「ああ、フィーヌ、ありがとう。」
「いえ、私たちもあなた方の行動に胸をうたれ、ようやく動けました。
 ありがとうございます、ティル様。」

フィーヌと呼ばれた神官はティルに向かって頭を下げる。

「・・・なぜ私の名前を?」
「先ほどからカグラがあなたの名前を叫んでいたので、それで。」

フィーヌはティルに向かって笑みを浮かべる。

「ここからは私たちにお任せください。」

そういうと、フィーヌは懐から白色のアミュレットを取り出し、天空に掲げた。


「神竜よ!邪悪なる眷属を鎮めたまえ!」

アミュレットは突然光り輝き、辺りに光を照らした。


「あれは「光の護符」だね。
 短い時間、邪悪なる存在の力を抑えることができる。」

カグラはふらふらと立ち上がって光り輝くアミュレットを見る。
光に当てられたレーヴァテインは先ほどまでの威勢を失い、うなだれている。
だが、攻撃を仕掛ける遊牧民を薙ぎ払うくらいの力は残っているようであった。

「やはりまだ足りない!」
「だったら私が!」

ティルはすくっと立ち上がり、レーヴァテインに向かって突進した。

「ティル!」
「まだ回復しきってない・・・危険です!!」

カグラとフィーヌの言葉を振り切り、ティルはレーヴァテインの頭に向かって剣を振り下ろす。
しかし、そこにレーヴァテインは、尻尾を鞭のようにティルにたたきつける。

「ぐえっ・・・!!」

ティルはくぐもった悲鳴を上げて吹き飛ばされた。
同時に、遊牧民達も尻尾で薙ぎ払われる。





「相変わらず、無茶しがちですね。」

凛とした力強い、しかし静かなその声がティルの耳に届く。
その瞬間、ティルは蔦の束に受け止められた。
薙ぎ払われた遊牧民達も同じように蔦の束が受け止める。

「その声・・・・」

ティルは声のした方に目をやると、そこには一人の少女が立っていた。

その少女は鶯色の肩まであるふんわりとした髪が靡いて、
体格には合わないだろうと感じる、植物の蔦の刺繍が施された白いローブを纏っていた。

ティルはその少女の事を知っていた。

「リーヴェシア!」
「お久しぶりです、ティル。」

リーヴェシアと呼ばれた少女は、右手を上げると、
蔦の束が地面へと引っ込み、ティル達をそっと地面へと下ろす。

「ティル、再会の感動は後にしましょう。今は炎竜を叩くべきです。」

リーヴェシアはそういうと、手に持っていた石を額に当てる。
その瞬間、カッと閃光が走り、リーヴェシアを包む。
そして、閃光は大きくなり、それが晴れると緑の鱗を持つ竜が現れた。
その巨体は、カグラより大きく、勇ましさを感じる。


「あれは、「ウルバの守り神」か!?」
「あんなに美しい竜だったのか・・・!」

遊牧民達はその姿を見て、口々に騒ぐ。


「皆さん!守り神に続き、炎竜を討伐しましょう!」

フィーヌがそう叫び、手に黄色の魔導書を取り出し、詠唱を始める。
皆はそれを見て、再び武器を取り、レーヴァテインに向かって突撃した。
リーヴェシアは、レーヴァテインを植物の蔦で拘束した。
レーヴァテインは身動きが取れず、暴れるがうまく動けないようである。

そしてフィーヌは詠唱を完了し、手をレーヴァテインに向けて、叫んだ。

「ジャッジメント!」

天から無数の光の槍がレーヴァテインに降り注ぎ、
レーヴァテインの羽を、鱗を、全身を、腕を串刺しにした。
レーヴァテインは今迄以上に悲鳴を上げた。
しかし、まだ動けるようであり、なおも抵抗を続けようとしていた。

「まだ足りない・・・!?」
「だったら・・・!」
「ティル様!?」

ティルは風のように走り抜け、レーヴァテインに近づいて、鞘から剣を抜いた。

「でやあああぁぁぁぁっ!!」

ティルは力任せに剣を振り下ろし、レーヴァテインの首を斬り落とす。
レーヴァテインは悲鳴を上げる暇もなく、首が胴体から離れる。

レーヴァテインの首が宙を舞い、黒い霧を発して消えた。
胴体の方も身体を支える力を失くし、倒れると同じように黒い霧を発しながら消えてしまった。


しばしの沈黙の後、遊牧民達は歓声を上げた。

「我々の勝利だ!」
「やったぁ!!」
「神竜よ、守り神よ・・・、この日に感謝いたします!」
「うおおおぉぉ!まさしく彼女は草原の英雄だ!」


皆口々に勝利に喜び、神竜とリーヴェシアを称えた。
そして、ティルを持ち上げ、胴上げを始めた。