二次創作小説(新・総合)
- 夜警、遭遇 ( No.148 )
- 日時: 2019/01/16 17:06
- 名前: 月詠 (ID: kXLxxwrM)
あの夢を見てから約二月。
新たな年となり、忙しさから夢のことを昌浩と物の怪は忘れてしまう。
いつものように夜警をしていると、頭上から声が降ってくる。
「やぁ、昌浩、もっくん」
昌浩「月音殿…」
物の怪「もっくん言うな」
見上げれば、一人の女性が大鎌の柄に横座りして浮遊していた。
背中の真ん中まである茶髪に同じく茶色の瞳、眼鏡をかけている以外は平凡な顔立ちをしている。
彼女の名は月音、次元の狭間にある狭界の館にそこの主人として住んでる者。
大鎌から降りて地面に着地し、それを手にすると淡い光に包まれてから消えた。
月音「今、夜警をしているんですね。お願いがあったのでちょうど良かったです」
昌浩・物の怪「お願い?」
首を傾げる二人に頷く月音。
思わず珍しいなと目を僅かに見開く。
基本的に彼女は頼みがある時には事前に連絡を寄越してくる。
なのに今回はそれがない。
月音「はい、文を送ってからのが良かったのでしょうが急いでたので…」
物の怪「それよりもお願いって?」
月音「夜警に同行させてください」
昌浩「それは別にいいですが……何でいきなり?」
それは夜警をしながら話します、と月音は真剣な表情で言った。
- 夜警、遭遇 2 ( No.149 )
- 日時: 2019/01/16 17:07
- 名前: 月詠 (ID: kXLxxwrM)
物の怪を抱き上げた状態で昌浩と歩きつつ、月音は話を始める。
月音「まず……今日の昼間にツキトがこの世界に遊びに来たのは知ってますか?」
物の怪「あー……彰子がそんなこと言ってたような…」
そういえば、と安倍家に預けられている少女の言葉を思い出す。
ツキトとは月音の息子にして弟子である少年だ。
そんな彼が髪と瞳の色を魔法で黒くしてまでこの世界へ来たという話だ。
月音「その時にツキトがある気配を感じ取ったと言ってたんです」
昌浩「ある気配?」
月音「………アンデッドです」
その一言に昌浩と物の怪は驚愕と困惑で頭が埋め尽くされる。
アンデッド。
「仮面ライダー剣」世界にいる、何らかの生命体の始祖である不老不死な怪人。
ツキトは諸事情でそんなアンデッドの気配を感知することが出来る。
だが、納得いかないことがあった。
昌浩「でも何でアンデッドが?」
僅かに眉を顰めて疑問を口にする昌浩。
確かに、ここは「少年陰陽師」世界なので彼の疑問はもっともである。
平代と平成で時代どころか世界が違うのだ。
月音「そこは分からないです……念のために「仮面ライダー剣」世界に行って、急いで広瀬さんに頼んでアンデッドサーチャーのデータを私の携帯にコピーしたのですが反応は今のところないですし…」
物の怪を頭に乗せると折り畳み式の白い携帯電話――ガラホを取り出し、開くと緑の画面が映る。
何も反応しないそれを閉じて手に持ったままでいる。
物の怪「しっかし、アンデッドかー…厄介だな…」
昌浩「俺達はアンデッドの気が分からないからね…」
ため息を吐き出す昌浩と物の怪に月音は苦笑する。
アンデッドは確かに人外だが、生物学的には様々な生命体の始祖なためか陰陽師組などは気配で察知などが出来ない。
唯一、人間からアンデッドになるということを果たした剣崎だけが、意識を集中させることでなんとか分かる程度だ。
- 夜警、遭遇 3 ( No.150 )
- 日時: 2019/01/16 17:15
- 名前: 月詠 (ID: kXLxxwrM)
ふと、月音が足を止めた。
少し先を歩いてから昌浩は立ち止まり、彼の肩に移動した物の怪と一緒に振り向く。
昌浩「月音殿?」
物の怪「どうしたー?」
月音「……いや…なんか感じ取ったような気がし………!」
言葉を途中で止め、月音は目を見開く。
視線の先を追って、その場所にいたものを見た。
擦り切れていたり、あるいは破けている衣服を身につけた長身の茶髪な青年がいた。
何故か、その瞳は虚ろだが。
昌浩「剣崎殿?」
「……」
昌浩「剣崎殿、何でそんな」
ぼろぼろなんですか、と聞こうとするが。
物の怪「昌浩、下がれ!」
肩から物の怪が降りると額の赤い花のようなものが光り、姿を変える。
黒とも見紛う深い紅の髪と切れ長の黄金の瞳を持つ、褐色の肌の青年―――十二神将の一人であり、最強にして最凶の火将、騰蛇。
至宝とし、彼が認める者のみが呼べるもう一つ名を、紅蓮。
月音「……真名解放、咲き誇りたまえ、蓮月」
真顔になり、昌浩の前に出ると月音が出現させた大鎌を片手で構えて真名解放をする。
刃が薄い紅色に、柄が白に染まる。
刃には紅と白の蓮の花が彫られていた。
昌浩「二人とも、何しようと…」
紅蓮「昌浩、あいつは剣崎じゃない」
月音「アンデッドサーチャーも反応してませんしね」
困惑の声を漏らす昌浩に紅蓮は目の前にいる、剣崎の姿をした青年に集中する。
月音は何の反応もしない携帯を仕舞うと、構えた蓮月を両手で持った。
驚く昌浩を無視して青年は何かを二つ取り出す。
箱のようなものと、スペードとカブトムシが組み合わせたような絵が描かれたカード。
それを目にしただけで月音は相手の正体を察した。
月音「トライアル…偽ブレイド…」
青年は箱――ブレイバックルに、カード――スペードスートのカテゴリーAのラウズカードをセットする。
それを腰に押し当てると、ベルトが出現して装着された。
待機音が響き渡り、青年が静かに言葉を紡ぐ。
「…変、身…」
『Turn Up』
ブレイバックルから現れた蒼い光の壁――オリハルコンエレメントを潜り抜け、ブレイドと同じ姿になった青年はブレイラウザーを構えて向かってきた。
彼の声に、あの悲しみと苦しみに満ちた声が響く夢を思い出した昌浩に気づかず。
- 夜警、遭遇 後書き ( No.151 )
- 日時: 2019/01/16 17:16
- 名前: 月詠 (ID: kXLxxwrM)
続編を書いちゃった&シリーズ化にしちゃったよ、な月詠です。
料理対決書いてたら消えるかなーと思いましたが、消えなかったのでそのまま書きました。
今回は麻琴などが出てないので一人である程度、語ります。
現れた剣崎似の男は「仮面ライダー剣 ハイパーバトルビデオ」に出てきたキャラクターです。
二ヶ月前くらいに動画サイトで見てから頭から離れなくて書いたのが「陰陽師の見る夢」だったり…。
現れた剣崎似の男の目的は何か?
何で衣服がぼろぼろなのか?
何で彼は存在しているのか?
それらを書けたらなと思ってます。
それではこれにて、失礼しました。